2023.06.01 発行
◆電子材料:ADEKAが最先端フォトレジスト向け光酸発生剤の生産設備を竣工(5月25日)
◆電池材料:セントラル硝子が中国においてリチウムイオン電池用LiPF6 濃縮液製造の合弁会社を設立(5月25日)
◆低炭素化:デンカがTransform Materials社と低炭素アセチレンチェーン確立に向けた共同研究および実証設備導入契約を
締結(5月25日)
◆電子部品:戸田工業が電磁界シールド用フレキシブルフェライトシートのサンプル出荷を開始(5月24日)
◆電子材料:トクヤマが半導体用多結晶シリコン事業の協業に係る覚書を締結することを決議(5月24日)
◆樹脂原料:三井化学と三洋化成がPPG生産における有限責任事業組合を設立(5月22日)
◆樹脂原料:日本触媒がインドネシアのグループ会社でアクリル酸製造設備の完工式を開催(5月24日)
◆接着剤:日本ゼオンが高信頼性マルチマテリアル接着剤(開発品)の本格展開を開始(5月22日)
◆電子部品:大日本印刷が高輝度と広視野角を両立させた液晶ディスプレイのバックライト向けシステム部材の提供を開始
(5月22日)
◆電子材料:ADEKAが最先端フォトレジスト向け光酸発生剤の生産設備を竣工(5月25日)
ADEKAは、千葉工場で建設中だったEUV(極端紫外線)フォトレジスト向け光酸発生剤の生産設備が完成し、先端材料の需要が高まっていることから、2023年8月より稼働する予定であることを発表した。
半導体は、微細化による高集積化が進んでいる。なかでもロジック半導体は微細化が急激に進行しており、新規材料ニーズが高まっている。
ロジック半導体向けでは、フォトレジスト向け光酸発生剤「アデカアークルズ」シリーズは、同社の強みである光制御技術とメタル管理技術で世界トップクラスの性能を有し、販売が伸長している。今回竣工した生産設備では、生産能力が従来2倍以上となる。また、最先端設備の導入で品質管理能力を高め、1ppb未満の低メタル管理を実現する。さらに、次世代向け新製品を想定した生産設備も導入している。
今後同社は、主力製品である半導体メモリ向け材料の拡大はもとより、ロジック半導体向けへと領域拡大を推し進めていくとしている。
◆電池材料:セントラル硝子が中国においてリチウムイオン電池用LiPF6 濃縮液製造の合弁会社を設立(5月25日)
セントラル硝子は、中国の化学メーカーである広州天賜高新材料の100%子会社である九江天賜高新材料との間で、リチウムイオン電池用LiPF6 濃縮液(LiPF6:六フッ化燐酸リチウム)の製造を行う合弁会社を設立すると発表した。
セントラル硝子は、2018年4月に九江天賜高新材料と合弁で江西天賜中硝新材料を設立したが、急速に市場が拡大しているリチウムイオン電池用電解液の需要に対応するため、新たに合弁会社を設立し、LiPF6濃縮液の生産能力を増強する。
合弁会社の設立時期は2023年8月予定であり、各社の出資比率は九江天賜高新材料が65%、セントラル硝子が35%である。
セントラル硝子は今後、本合弁事業を通して、電解液の主原料であるLiPF6濃縮液の低コストかつ安定調達を目指すとしている。
◆低炭素化:デンカがTransform Materials社と低炭素アセチレンチェーン確立に向けた共同研究および実証設備導入契約を締結(5月25日)
デンカは、アセチレン製造における低炭素化を実現するための技術確立を目的として、米国のベンチャー企業であるTransform Materials社との共同研究および同社が展開する設備の導入を決定し、契約を締結したと発表した。
Transform Materials社は、マイクロ波プラズマを利用したメタンからのアセチレン・水素製造技術を保有する。この技術はカーバイドを原料とする既存のアセチレンチェーンから製造されるクロロプレンゴムなど主力製品のCO2 排出量低減に寄与するだけでなく、副生する水素を活用することで、カーボンニュートラルに貢献する新たな取り組みを創出し得る可能性を持っている。
同社は今後、この技術にもとづくアセチレン・水素の製造設備を大牟田工場に実証機(設備能力1,600t-アセチレン/年)として導入し、技術の実証とアセチレンの大型量産の実現に向けた技術改良に取り組んでいく。共同研究期間は2023年5月~2028年末、設備稼働は2026年度上期の予定としている。
◆電子部品:戸田工業が電磁界シールド用フレキシブルフェライトシートのサンプル出荷を開始(5月24日)
戸田工業は、ノイズ対策部材として開発した広帯域/高性能シールド材「TESシリーズ」のサンプルの出荷を開始すると発表した。
近年、自動車の電動化や自動運転の進展にともない、電磁界ノイズの発生が電子部品の誤動作を起こすなど大きな問題となっており、ノイズ対策の重要性が高まっている。「TESシリーズ」は、自動車のモーターやインバーターなどから発生する低周波ノイズに対応できる周波数100kHzから100MHzのラジオ帯を中心とした広帯域に対応し、磁界と電界のノイズに対して20dBを超える高いシールド性能を発揮する。自動車に用いることで電子部品から発生する電磁界ノイズを効果的にシールドでき、電子部品の誤作動防止が期待できる。
同社は今後、EV向けを中心にサンプルワークを本格的に開始し、量産化を検討するとしている。
◆電子材料:トクヤマが半導体用多結晶シリコン事業の協業に係る覚書を締結することを決議(5月24日)
トクヤマは、取締役会において、マレーシアにおける OCI Company(韓国)との半導体用多結晶シリコン事業の協業に係る覚書を締結することを決議したと発表した。
同社は、将来の半導体市場拡大に伴う多結晶シリコンの需要増加を見据え、クリーンエネルギーを使用した半導体用多結晶シリコンの生産・供給体制の築に向け、OCIとの協業の可能性を模索し、CO2の排出量増加を抑えつつ電子分野の事業拡大の加速を推進させる。
同協業は半導体用多結晶シリコンの半製品の共同生産に関する合弁会社(年間生産能力約 10,000 トン)を設立するものであり、製品化と販売については現状どおり各社が独自に行う予定としている。
◆樹脂原料:三井化学と三洋化成がPPG生産における有限責任事業組合を設立(5月22日)
三井化学および三洋化成工業は、ポリプロピレングリコール(PPG)の生産において、国内における生産性向上や将来の供給安定性確保などの共通課題の解決を目的として、両社折半出資による有限責任事業組合(LLP)を設立したことを発表した。
PPGは、多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加重合した化学製品で、ポリウレタン樹脂の主原料の一つである。ポリウレタン樹脂の主要用途は、自動車部品、家具・寝具、断熱建材、塗料・接着剤等多岐にわたり、その世界市場は拡大を続けている。また、国内外の市場において海外メーカーとの競争環境は厳しさを増している。
このような状況のなか、両社はPPGの生産協力による合理化や、原料調達協力および更なる連携の可能性を検討するために、LLPを設立することを決定した。両社は同LLP設立を通して、PPG事業における継続的な安定供給と収益確保の両立を図っていくとしている。
◆樹脂原料:日本触媒がインドネシアのグループ会社でアクリル酸製造設備の完工式を開催(5月24日)
日本触媒のインドネシア子会社PT. NIPPON SHOKUBAI INDONESIA(以下「NSI」)は、同社敷地内にて、アクリル酸(以下「AA」)(10万トン/年)製造設備の完工式を行ったことを発表した。
日本触媒グループは、紙おむつに使用される高吸水性樹脂(以下「SAP」)と、その原料であるAAを製造している。AAは、塗料および接着剤などの原料としても幅広く使用される物質で、日本触媒グループは、国内外に複数のAA・SAP生産拠点を有している。特にSAPに関しては、AAからSAPを一貫生産する強みを生かし、世界規模での安定供給を実現している。
今回、NSIのAA設備(10万トン/年)が完成したことにより、日本触媒グループの年間AA生産能力は98万/年(国内54万トン/年、海外44万トン/年)に拡大した。なお、同施設内でのアクリル酸の生産能力は既存能力14万トン/年と合わせ計24万トン/年の生産能力となる。2023年4月に商業運転を開始しており、今後もAA・SAPサプライヤーとして顧客のニーズに応えていくとしている。
◆接着剤:日本ゼオンが高信頼性マルチマテリアル接着剤(開発品)の本格展開を開始(5月22日)
日本ゼオンは、開発を進めている高信頼性マルチマテリアル接着剤の本格展開に取り掛かることを発表した。
同社の高信頼性マルチマテリアル接着剤は、異種材料同士の接着が可能であるほか、加熱によって容易に剥離が可能(材料の分別リサイクルが容易)であり、また加水分解をせずに高絶縁性であるといった特長を持ち、次世代モビリティに欠かせない材料・技術となっている。同製品の用途例としては、モビリティ用構造・準構造接着剤、モーター用絶縁フィルム、高周波基板材料などとしている
◆電子部品:大日本印刷が高輝度と広視野角を両立させた液晶ディスプレイのバックライト向けシステム部材の提供を開始(5月22日)
大日本印刷(以下、DNP)は、ノートパソコンなどの液晶ディスプレイモジュールのバックライト用に、従来の標準的な部材構成と比較して、薄型ながら高輝度かつ広視野角を実現する新設計システム部材の提供を開始したと発表した。
本部材は、主に「導光板」と「反射材」、光を屈折させる「プリズム」で構成されている。DNPは、導光板の光が出射する面に向けて、標準とは逆にプリズム(三角の凸部分)を配置することで輝度を向上させた。また、この向きでプリズムを置くことによる視野角の狭さという課題に対しても、「導光板」と「反射材」の工夫により光利用効率を向上させた上で、プリズム形状設計の最適化により、高輝度と広視野角の両立を実現した。
DNPは、ディスプレイを製造するパネルメーカーに本システム部材を提供し、関連部材等も含めて、2025年度までに約20億円の売上を目指すとしている。