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2023年6月15日

2023.06.15 発行

HEADLINE

◆水素:ENEOSとJERAが水素の品質規格体系の構築に向けた研究開発を開始(6月9日)
◆水素:日本触媒らの大規模アンモニア分解触媒の技術開発がNEDOの競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発
 事業に採択(6月9日)
◆フィルム:東レが土浦工場におけるポリプロピレンフィルムの生産能力を増強(6月8日)
◆建材:旭有機材が米国子会社でプレファブリケーション用加工製品の新工場の完成を発表(6月8日)
◆バイオマス:旭化成と三井物産がバイオメタノールの新たな供給・調達体制を構築(6月8日)
◆リサイクル:ブリヂストンが使用済タイヤのリサイクル熱分解試験を開始(6月8日)
◆繊維:クラレトレーディングがシンジオタクチックポリスチレン(SPS)繊維を開発(6月7日)
◆電子材料:東洋合成工業が淡路工場において半導体向け溶剤を充填する屋内充填所を新設(6月5日)
◆価格改定
・日本製紙が高級白板紙、キャストコート紙、紙製品を7月1日出荷分より値上げ
・信越ポリマーが継手及び関連製品を7月21日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆水素:ENEOSとJERAが水素の品質規格体系の構築に向けた研究開発を開始(6月9日)
 ENEOSとJERAは、大規模なCO2フリー水素サプライチェーン構築に向け、産業用途における水素の品質規格体系の構築を目的に研究開発を実施すると発表した。
 本件は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/大規模水素サプライチェーンの構築に係る技術開発」の委託先として採択された。
 本研究開発では、ENEOSが幅広い産業燃料用途に対応する水素性状の調査を行い、JERAが発電用途における芳香族系化合物等の影響評価を実施した上で、両社で用途ごとの水素性状に 関する業界規格化に向けた検討を行い、これらを取りまとめた水素の品質規格体系の構築を目指すとしている。

◆水素:日本触媒らの大規模アンモニア分解触媒の技術開発がNEDOの競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業に採択(6月9日)
 JERA、日本触媒、千代田化工建設は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」に共同で応募し、採択通知を受けたことを発表した。
 同事業はアンモニアを水素エネルギーキャリアとして有効活用することを目的に、既存の技術より競争力あるアンモニア分解技術の確立に向けて、アンモニアから水素を取り出すための触媒の開発を行うものであり、2025年度までの約3年間にわたって実施する。
 同事業において、JERAは触媒の性能を確認するためのベンチ試験を実施し、社会実装に向けた課題を抽出する。また、日本触媒はアンモニアから水素を取り出すための触媒の開発に向けて、触媒基本製法の確立などについて検討する。さらに、千代田化工建設は触媒の性能を確認するためのベンチ試験の装置の設計を行い、装置の大規模化に向けた課題を明確にしていくとしている。

◆フィルム:東レが土浦工場におけるポリプロピレンフィルムの生産能力を増強(6月8日)
 東レは、電動化車両(xEV)市場の拡大を背景とした車載コンデンサ用フィルムの需要拡大に対応するため、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム「トレファン」の生産能力を増強すると発表した。
 トレファンはプラスチックフィルムの中でも軽く、強靱性・電気特性・機械的特性に優れたフィルムで、主力用途であるフィルムコンデンサは、家電・IT機器向け電子部品のほか、xEVのモーターを駆動させるパワーコントロールユニット(PCU)のインバーター回路に使用されている。
 xEVの運転性能と燃費の向上、車内空間の確保と設計の自由度向上のため、PCU及びフィルムコンデンサの小型・軽量化が求められている。これにはフィルムの薄膜化が最も有効であるが、薄膜化すると耐電圧性が悪化するという問題が生じる。トレファンは、独自技術により薄膜化と高耐電圧化という相反する性能を両立することができるフィルムである。
 同社の土浦工場(茨城県)に生産設備を増設し、車載コンデンサ用フィルムの生産能力を現行比1.4倍にする。本設備の稼働開始は2025年の予定としている。

◆建材:旭有機材が米国子会社でプレファブリケーション用加工製品の新工場の完成を発表(6月8日)
 旭有機材は、グループ会社のAsahi/America(米国、以下A/A)においてプレファブリケーション用加工製品の新工場の完成に伴い、オープニングセレモニーを開催したと発表した。
 同社は、ルイジアナ州に有する現工場の隣接地に新工場の建設・移設を進めていたが、2023年2月に新工場が完成し、生産を開始している。A/Aでは樹脂配管材料の仕入販売に加えて、主にアメリカ樹脂配管市場における半導体や水処理工場建設時の工期短縮及び建設コスト削減ニーズに応えるべく、プレファブリケーション用加工製品の製造・販売を行っている。
 今後、アメリカでは半導体を中心としたアメリカ国内での生産回帰を背景にプレファブリケーション用加工製品の需要が更に拡大すると見込まれており、この旺盛な需要に対応するため、加工能力を増強し、供給量を増やすとしている。

◆バイオマス:旭化成と三井物産がバイオメタノールの新たな供給・調達体制を構築(6月8日)
 旭化成と三井物産は、米国で生産するバイオメタノールの新たな供給・調達スキームを構築することを発表した。
 三井物産は、米国で都市廃棄ごみから出るバイオガス経由のRNG(再生可能天然ガス)を調達し、マスバランス方式(投入したバイオマス原料等の割合に応じて、製品の生産量を割り当てる方法)を用いて現地合弁会社でバイオメタノールを生産している。
 一方、旭化成はポリアセタール(POM)樹脂「テナック」などの各種エンジニアリングプラスチックにおいて、温室効果ガス(GHG)排出量が少ないバイオマス原料を使用した製品の製造に取り組み、GHG排出量の削減への貢献に努めている。
 今後、旭化成は三井物産より調達したバイオメタノールを原料として、従来品よりカーボンフットプリントの低いエンジニアリングプラスチックを日本で生産する予定としている。

◆リサイクル:ブリヂストンが使用済タイヤのリサイクル熱分解試験を開始(6月8日)
 ブリヂストンは、新たにBridgestone Innovation Park(小平市)内に実証機を導入し、使用済タイヤを熱分解することによって分解油や再生カーボンブラックを生成する取り組みを開始したと発表した。
 この取り組みは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」において実施する2つの研究開発テーマのうちの1つでありENEOSと進めている共同プロジェクトである。ブリヂストンが精密熱分解の技術を、ENEOSが精密熱分解で得られる分解油からブタジエンなどを精製する技術をそれぞれ研究・開発し、共創を進めている。
 今回の実証機の導入は、使用済タイヤを精密熱分解して得られる分解油をリサイクルオイル化し、このオイルから合成ゴムの素原料であるブタジエンなどの化学品を高収率に製造するケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた実証実験である。2030年までに量産を想定した大規模実証を行う予定としている。

◆繊維:クラレトレーディングがシンジオタクチックポリスチレン(SPS)繊維を開発(6月7日)
 クラレトレーディングは、出光興産が独自開発したスチレン系樹脂・ザレック(SPS)を用いて、優れた速乾性とドライ感を有する繊維「エプシロン」を新たに開発したと発表した。
 同品は、高い疎水性や耐熱性などの特長を併せ持ち、ポリプロピレン繊維では困難であったアイロンを用いたケア(シワ取り)やプリント(捺染)によるデザイン性の向上を実現する。
 従来、速乾性を有する繊維としてはポリエステルが主流であり、より高い機能が求められる用途では撥水加工を施すことが一般的であった。
 クラレトレーディングは、出光興産が世界で初めて合成に成功したSPSと、クラレグループが持つ溶融紡糸製造技術を組み合わせることにより、撥水加工を施すことなく、速乾性やドライ感による着用時の快適性向上に貢献する繊維を開発した。
 同社では、2023年下期の販売開始に向けて、衣料・スポーツ・インテリア分野等への提案を加速するとしている。

◆電子材料:東洋合成工業が淡路工場において半導体向け溶剤を充填する屋内充填所を新設(6月5日)
 東洋合成工業は、淡路工場(兵庫県)において、半導体向け溶剤を充填する屋内充填所を新設すると発表した
 淡路工場では、半導体の製造に使用されるシリコンウエハーの洗浄液などに使う溶剤を約10品目生産し、国内外の半導体メーカーなどに供給しており、特に先端半導体分野においては、回路の微細化が進み、より純度の高い溶剤の需要が増加している。これらに対応するため、屋内充填所を新たに建設する。投資額は約10億円、稼働開始は2024年3月末の予定としている。

◆価格改定
・日本製紙が高級白板紙、キャストコート紙、紙製品を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15%以上
・信越ポリマーが継手及び関連製品を7月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、10%以上

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