2023.08.24 発行
◆水素関連:凸版印刷が電極部材の生産設備を導入し、8月から水素市場向けに販売を開始(8月17日)
◆医薬品:日揮がバイオ原薬製造棟建設プロジェクトを受注(8月14日)
◆リサイクル:三菱ガス化学が提案した「光学用途向け特殊ポリカーボネートの水平マテリアルリサイクル実証事業」が
環境省「令和5年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業」に採択(8月10日)
◆樹脂:クラレが米国と欧州におけるEVOH樹脂の生産能力を増強(8月9日)
◆コンパウンド:リケンテクノスが熱可塑性エラストマーコンパウンド生産設備を増強(8月9日)
◆電子材料:東京応化工業が郡山工場に製造棟の新設を決定(8月8日)
◆電子材料:東京応化工業が熊本県に阿蘇工場「阿蘇くまもとサイト」を新設(8月8日)
◆電子材料:東京応化工業が連結子会社であるTOK尖端材料の仁川工場に新検査棟を建設することを発表(8月8日)
◆ウレタン:三井化学がポリウレタンディスパージョンの生産能力を増強(8月9日)
◆有機:三井化学がポラリスケミカルのアクリルアマイド製造用バイオ触媒の生産開始を発表(8月8日)
◆価格改定
・ニチバンが救急絆創膏を9月1日より値上げ
・レゾナックが粉末冶金製品を11月1日納入分より値上げ
◆水素関連:凸版印刷が電極部材の生産設備を導入し、8月から水素市場向けに販売を開始(8月17日)
凸版印刷は、水素エネルギー市場への参入に向け、触媒層付き電解質膜(CCM)、膜電極接合体(MEA)の生産設備を高知工場に導入、8月から販売を開始すると発表した。
CCM/MEAは、水素を製造する水電解装置、水素の貯蔵や運搬に関わる電解槽、そして水素を利用する燃料電池において中核となる部材で、今後の水素社会に不可欠なエネルギー変換デバイスである。
本設備は、凸版印刷がこれまで大型カラーフィルタの製造で培ってきた大サイズ均一塗工技術や、枚葉基板搬送技術などの製造技術を活用することで、CCM/MEAを枚葉式で量産可能である。枚葉サイズは600mm×800mmで、最大6万枚/年を製造するほか、枚葉のCCM/MEAを繋げることで、ロール形態での提供も可能としている。
今後、事業成長とともに設備のサイズアップと増強を図り、2028年に100億円の売り上げを目指すとしている。
◆医薬品:日揮がバイオ原薬製造棟建設プロジェクトを受注(8月14日)
日揮HDは、日揮が中外製薬のグループ会社である中外製薬工業より、バイオ原薬製造棟を新設するプロジェクトを受注したと発表した。
バイオ医薬品は、特定の細胞や組織に作用し高い効果や副作用が少ないことが期待できる医薬品として近年、急速に市場が拡大している。
本プロジェクトは、中外製薬工業の宇都宮工場内に、第1相、2相臨床試験用を含む中期段階以降の治験薬製造、および初期商用のバイオ原薬製造を担う製造棟を新設するものである。同設備の導入により、中外製薬グループのバイオ原薬の臨床開発から初期生産までの一貫した自社供給基盤が強化され、同グループ創製品の高速上市につながる。
また、従来のバッチ式の生産方式に加え、灌流培養の導入など連続生産機能を新たに実装することにより、生産効率化、環境負荷低減対応などに取り組むことで、次世代のバイオ医薬品工場の実現にも寄与する。
この製造棟の竣工・引き渡し時期は2026年5月の予定としている。
◆リサイクル:三菱ガス化学が提案した「光学用途向け特殊ポリカーボネートの水平マテリアルリサイクル実証事業」が環境省「令和5年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業」に採択(8月10日)
三菱ガス化学は、同社が提案した「光学用途向け特殊ポリカーボネートの水平マテリアルリサイクル実証事業」が環境省「令和5年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)」に採択されたと発表した。
同社の光学樹脂ポリマー「ユピゼータEP」は高機能小型カメラレンズ用途で広く採用されているが、レンズ部品以外の端材の大部分は廃棄されていた。また、「ユピゼータEP」などの高透明プラスチックは、リサイクルの実用化には混入した異種プラスチックを除去する選別技術が重要だが、従来技術では実現が困難であった。
今回、同社はラマン分光を用いることにより高純度で特殊ポリカーボネートのみを選別できる技術の確立に一定の目処が立ったことから、環境省の上記事業に応募し、対象事業として採択された。
今回採択された事業を通じて特殊ポリカーボネートの水平マテリアルリサイクルの実証検討を引き続き進めていくとしている。
◆樹脂:クラレが米国と欧州におけるEVOH樹脂の生産能力を増強(8月9日)
クラレは、世界的に需要が増加しているEVOH樹脂「エバール」の米国および欧州の既存拠点における生産能力増強計画を決定したと発表した。
EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)樹脂はプラスチックの中で最高レベルのガスバリア性を持つ機能性樹脂であり、内容物の劣化を防ぐことから食品包装用途に広く使われている。循環型経済に求められる食品包装のモノマテリアル化、フードロス削減のための食品のロングライフ化により、同製品の需要は今後もさらなる伸びが見込まれる。日米欧をはじめとする先進国のほか、新興国でも需要が伸張しており、安定供給体制を維持するため生産能力の増強が必要と判断した。
同社は、米国、欧州拠点にて2024年に計5,000トン/年の増強を実施し、2026年にはさらに計5,000トン/年の増強を行う。合計10,000トン/年の能力増強により、グローバルの生産能力は現在の103,000トン年から113,000トン年に拡大するとしている。
◆コンパウンド:リケンテクノスが熱可塑性エラストマーコンパウンド生産設備を増強(8月9日)
リケンテクノスは、三重県亀山市に所在する基幹工場の熱可塑性エラストマーコンパウンドの生産設備を増強することを正式決定したと発表した。
同工場では、コンパウンド・フィルム・食品包装用ラップを製造しており、2023年7月開催の取締役会にて、熱可塑性エラストマーコンパウンド(TPE)生産設備を増設することを正式に決議した。本格稼働は2025年冬を予定している。
TPEは加硫ゴムと比較して、軽量で成形時の二酸化炭素の排出量が少ないという特長があり、自動車用部材の軽量化や燃費向上等に貢献し、リサイクル性にも優れているという利点もある。
生産設備の増強により、自動車用部品用途を中心とするゴム代替素材の需要増加に対応するとともに、拡販を進めるとしている。
◆電子材料:東京応化工業が郡山工場に製造棟の新設を決定(8月8日)
東京応化工業は、主力生産拠点のひとつである郡山工場(福島県)に新製造棟を建設することを発表した。
郡山工場では、EUV用フォトレジスト、ArF用フォトレジスト、KrF用フォトレジスト等の各種半導体用フォトレジストを製造している。半導体市場は今後の中長期的な成長が予想されることから、同社製品のさらなる高品質化および供給能力拡大を目的として、同工場に国内最大の新製造棟の建設を決定した。
新製造棟は製造ラインを自動化・デジタル化したスマートファクトリーとする計画であり、高い安全性・生産効率を追求するとともに、世界最高品質のフォトレジスト製造を目指す。
新製造棟(建築面積:4,800㎡)の投資金額は200億円以上(予定)であり、2024年7月に着工し、2026年下期より稼働を開始する予定としている。
◆電子材料:東京応化工業が熊本県に阿蘇工場「阿蘇くまもとサイト」を新設(8月8日)
東京応化工業は、熊本県菊池市に阿蘇工場「阿蘇くまもとサイト」を新設することを決定したことを発表した。
同社は1984年に阿蘇工場を開設し、高純度化学薬品の製造を行ってきたが、昨今の九州における半導体生産の拡大を受け、2022年に事業用地を取得し、今回、同地に阿蘇くまもとサイトを開設することを決定した。
現在、同サイトでは高純度化学薬品の製造工場を建設中であり、今後は同サイトと阿蘇工場の相乗効果を通じ、高純度化学薬品の品質向上および供給能力拡大、九州を含む西日本地域におけるユーザーサポートの強化を目指す。
阿蘇くまもとサイトの投資金額は130億円以上(予定)であり、2025年上期より稼働を開始する予定としている。
◆電子材料:東京応化工業が連結子会社であるTOK尖端材料の仁川工場に新検査棟を建設することを発表(8月8日)
東京応化工業は、連結子会社であるTOK尖端材料の仁川工場に新検査棟を建設することを発表した。
同社は、韓国半導体市場における需要拡大に伴い、製品のさらなる高品質化および供給能力拡大を目的として、TOK尖端材料における新検査棟の建設を決定した。投資金額は70億円以上(予定)、工事は2023年11月に着工し、2026年上期に稼働開始を予定している。
今回建設する新検査棟には新たな検査装置を導入する予定であり、製品の品質や検査効率の向上を見込んでいる。加えて、将来の需要増加にも対応できる拡張性を備えているとしている。
◆ウレタン:三井化学がポリウレタンディスパージョンの生産能力を増強(8月9日)
三井化学は、環境対応ニーズの高まりによるモノマテリアル食品包材の需要拡大に対応するため、ポリウレタンディスパージョン(PUD)であるタケラックPUDの生産能力を増強すると発表した。
同品は、耐熱性、高温度下における高いガスバリア性、耐摩擦堅牢性に優れた水系樹脂であり、環境対応製品として、塗料・コーティング剤・接着剤・バインダー・樹脂改質剤・収束剤・繊維加工分野などで幅広く使用されている。近年、環境対応ニーズの高まりにより、リサイクル可能なモノマテリアル食品包装用バリアコーティング材として、欧州を中心に需要が拡大している。
生産能力の増強は、三井化学エムシーの清水工場で行い、国内の生産能力は約2倍となる。着工は2024年2月、営業運転開始は2025年6月の予定としている。
◆有機:三井化学がポラリスケミカルのアクリルアマイド製造用バイオ触媒の生産開始を発表(8月8日)
三井化学は、2021年に同社と笠野興産が設立したポラリスケミカルにおいてアクリルアマイド製造用バイオ触媒の生産を開始したことを発表した。
アクリルアマイドは、排水処理用凝集剤や紙力増強剤、原油回収剤などに使われるポリアクリルアミドの原料で、世界中で需要が堅調に推移している。それに伴い、三井化学の環境調和型アクリルアマイド製造用バイオ触媒の需要も増加していることから、生産能力を増強することとした。
生産能力の増強は、ポラリスケミカルで実施され、生産設備にはマザー工場である三井化学の大牟田工場の最新技術やノウハウが導入されるとしている。
◆価格改定
・ニチバンが救急絆創膏を9月1日より値上げ
値上げ幅は、4~11%
・レゾナックが粉末冶金製品を11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、平均15%