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2023年9月14日

2023.09.14 発行

HEADLINE

◆建材:積水化学工業グループが信越ポリマーの塩ビ管および塩ビ継手製造販売事業を譲受(9月8日)
◆樹脂:アイカ工業がタイのフェノール樹脂製造販売会社の株式を取得(9月7日)
◆塗料:日本ペイントが樹脂パーツ用水性プライマーの新製品の発売を発表(9月7日)
◆電池材料:AGCが車載用全固体電池向け硫化物固体電解質の新生産技術開発に成功(9月6日)
◆電子材料:信越化学工業がGaNパワーデバイスの社会実装に向けてQST基板事業を推進(9月5日)
◆リサイクル:三洋化成工業がリサイクルPET樹脂を含有したトナーバインダーの開発に成功(9月4日)
◆価格改定
・プライムポリマーがポリエチレン及びポリプロピレンを10月1日納入分より値上げ
・堺化学工業が樹脂添加剤製品を10月1日納入分より値上げ
・東レが家庭用浄水器「トレビーノ(本体、交換用カートリッジ)」を10月1日
 納品分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆建材:積水化学工業グループが信越ポリマーの塩ビ管および塩ビ継手製造販売事業を譲受(9月8日)
 積水化学工業は、同社関係会社である徳山積水工業およびヴァンテックと共同で、信越ポリマーの塩ビ管および塩ビ継手製造販売事業を譲り受けることを決定したことを発表した。
 事業譲受後の製品販売は、ヴァンテックへ継承され、生産は徳山積水の事業所に編入される。また、製品の物流については積水化学工業グループの物流網と連動される予定である。
 事業譲受予定日は2023年11月1日とし、譲受後は同社の環境・ライフラインカンパニー管材事業部門と一体化し、さらなる事業体質強化に努めるとしている。

◆樹脂:アイカ工業がタイのフェノール樹脂製造販売会社の株式を取得(9月7日)
 アイカ工業は、アイカタイケミカル社(以下、ATC社)を通じて、タイKUEN BONG社の全株式を、HONOUR RICH INTERNATIONAL、KUEN BONG   CHEMICAL INDUSTRYおよびその他少数株主から取得するための株式譲渡契約を締結したことを発表した。
 近年、同社グループ内での技術移転や建装建材事業とのシナジー効果によりフェノール樹脂事業が大きく成長した。その結果、フェノール樹脂の製造能力が限界に近づき、設備増強が必要となっていた。
 タイKUEN BONG社は2017年にフェノール樹脂事業に参入した新興企業であり、ATC社にはないフェノール樹脂製品群の製造設備などを保有している。今回、タイKUEN BONG社の株式取得により、ATC社グループとしてのフェノール樹脂製造能力を拡大する(約 2.5 倍)とともに、製品群も拡充する。
 株式の譲渡実行日は2023年10月31日を予定しており、今回の株式取得を通じてタイ国内でのフェノール樹脂販売シェアを拡大するとともに、東南アジア諸国への輸出も広げていくとしている。

◆塗料:日本ペイントが樹脂パーツ用水性プライマーの新製品の発売を発表(9月7日)
 日本ペイントは、樹脂パーツ用水性プライマー「nax E-CUBE WB PPプライマー」を9月7日より発売することを発表した。
 同品は、ポリプロピレン(以下、PP)系バンパー素材への密着を向上させる水性プライマーであり、同品を用いることにより、PPバンパー等の補修におけるオール水性での塗装が実現できる。
 また、オール水性システムで法規制を守り、SDGsで掲げられているゴールの「すべての人に健康と福祉を」、「働きがいも経済成長も」、「住み続けられるまちづくりを」の達成にも貢献できるとしている。

◆電池材料:AGCが車載用全固体電池向け硫化物固体電解質の新生産技術開発に成功(9月6日)
 AGCが車載用全固体電池に使われる硫化物固体電解質の量産に向けた、新たな生産技術の開発に成功したことを発表した。
 硫化物固体電解質は、イオン伝導率が高く、自動車の航続距離の延長や充電時間の短縮を実現することから、車載用全固体電池の有力材料とされている。但し、従来の電解質合成法では、一度に取り扱える量に限界があることや反応に時間がかかることから、量産プロセス確立が大きな課題とされてきた。また、均質性不足や不純物の影響で、電解質の性能改善に向けた取り組みに限界があった。
 同社は、硫化物固体電解質の新たな生産技術として溶融法を確立し、AGC横浜テクニカルセンターのパイロットラインにおいて技術的な実証に成功した。今回開発した溶融法は、ガラス量産技術をベースにして将来の量産を視野に入れたプロセスであり、均質で高品質な電解質を効率的に生産することを可能に
した。
 同社は今後、車載用次世代電池として実用化が期待される全固体電池の普及に向けて生産プロセスや品質の改善を進めていくとしている。

◆電子材料:信越化学工業がGaNパワーデバイスの社会実装に向けてQST基板事業を推進(9月5日)
 信越化学工業は、QST基板をGaNパワーデバイスの社会実装に不可欠な材料であると見定め、開発と製品上市を推進すると発表した。
 QST基板は、米国Qromis社が開発したGaN成長専用の複合材料基板であり、2019年に信越化学がライセンス取得している。同基板はGaNと熱膨張係数が同等であるため、大口径で高品質な厚膜GaNエピタキシャル成長を可能とする基板材料である。この特長を生かし、パワーデバイス、RFデバイス、マイクロLEDディスプレイ用の微小LED成長基板等への適用が期待されている。
 信越化学は、QST基板の販売に加え、顧客の要望に応じてGaNを成長したエピタキシャル基板の販売も行っており、大口径化に有利な材料特性を生かし、12インチ化にも取り組んでいる。
 また、信越化学は沖電気と共同で、Crystal Film Bonding(CFB)技術でQST基板からGaNを剥離し異種材料基板へ接合する技術開発に成功している。これにより大電流を制御できる縦型パワーデバイスが実現する。
 信越化学では、これらの開発成果と、顧客からの引合い状況を踏まえ、生産増強を継続し、顧客からの需要に応えるとしている。

◆リサイクル:三洋化成工業がリサイクルPET樹脂を含有したトナーバインダーの開発に成功(9月4日)
 三洋化成工業は、使用済のPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を利用した環境対応型トナーバインダーを開発したことを発表した。
 トナーバインダーとは、レーザープリンターや複写機に使用されるトナーの約8~9割占める構成成分である。同社はこれまで、トナーの高精細化、高画質化、低温定着性を実現するトナーバインダーの開発に注力してきたが、近年の環境意識の高まりから、高いトナー性能を維持しつつ、リサイクルPET樹脂を50%以上含有するトナーバインダーを開発した。
 通常、低温定着性に優れるトナーバインダーにはポリエステル樹脂が使用されているが、分子量が数千~数万程度で、分子がランダムに配置されたもの(非晶性)が主流である。一方、リサイクルPET樹脂を使用したトナーバインダーは、分子量が数十万~数百万以上で、分子は整列した状態(結晶性)である。
 両者は特性が異なるため、リサイクルPET樹脂をトナーバインダーに組み込むには、適した特性に変換する必要があったが、同社は長年の知見を生かして、本製品の開発に成功した。本開発品により石油由来原料の使用量の削減に貢献することができるとしている。

◆価格改定
・プライムポリマーがポリエチレン及びポリプロピレンを10月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、15円/kg以上
・堺化学工業が樹脂添加剤製品を10月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、粉状安定剤・特殊金属石鹸等の粉末製品:10%以上、
 液状安定剤:20%以上
・東レが家庭用浄水器「トレビーノ(本体、交換用カートリッジ)」を10月1日納品分より値上げ
 値上げ幅は、約5%~12%

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