2023.09.28 発行
◆通信関連:住友電気工業が世界初の極低損失マルチコア光ファイバの量産化に成功(9月22日)
◆インキ:T&K TOKAが新特練インキ事業を開始(9月21日)
◆バイオマス:BASFがバイオマスバランス・プラスチック添加剤を上市(9月20日)
◆リサイクル:東レとHondaが自動車用ナイロン6樹脂のケミカルリサイクルに関する共同実証を開始(9月19日)
◆香料:東洋合成が香料工場管理分析棟を竣工(9月19日)
◆塗料原料:サンケミカル社が新たに2種類のコーティング向け高微粒化顔料分散体を発表(9月19日)
◆価格改定
・東ソーがポリエチレン樹脂を10月1日納入分より値上げ
◆通信関連:住友電気工業が世界初の極低損失マルチコア光ファイバの量産化に成功(9月22日)
住友電気工業が極低損失マルチコア光ファイバ「2C Z-PLUS Fiber ULL」の量産化に世界で初めて成功し、2023年10月に販売開始すると発表した。
光ファイバは今日の情報通信社会を支える基盤インフラであり、5Gモバイル通信の普及・発展、世界各国の大規模データセンタ間の通信トラフィックの急増などに伴い、光ファイバ通信システムの大容量化が求められている。
従来の光ファイバは光信号の通り道であるコアが1本であるのに対し、同製品は従来と同一サイズの光ファイバ中に2本の純石英ガラスコアを有し、それぞれのコアで独立に光信号を送ることができる。そのため、光ファイバ1本あたりの伝送容量を2倍に拡大することが可能となる。
同品の用途例としては、地域系から大洋横断まで広範にわたる海底光システム、大陸横断などの陸上幹線光ネットワーク、データセンタ間など大容量通信が必要な光ネットワーク、量子暗号通信の伝送路、地震探知や火災検知などのセンサー応用などとしている。
◆インキ:T&K TOKAが新特練インキ事業を開始(9月21日)
T&K TOKAは、ビデオジェット・エックスライトと協業し、新しい特練インキ事業を開始することを発表した。
従来、新規特練インキの注文は、営業担当者が直接訪問した際に色見本サンプルを預かり、会社に持ち帰った後、特練インキを製造し納品をしていた。今回、ビデオジェット・エックスライトのeXact(分光測色計)を用いた測色により、測色結果をデータ化しメールでT&K TOKAに送付する事で、リモートによる特練インキの注文が可能となった。
これにより、移動にかかる物理的な時間を削減することが可能となり、納期対応に大きく貢献することが出来る。対象品目は、油性、UVオフセット用インキであり、2024年1月1日より、サービスを開始するとしている。
◆バイオマス:BASFがバイオマスバランス・プラスチック添加剤を上市(9月20日)
BASFは、プラスチック添加剤として使用できる業界初のバイオマスバランス製品を上市したことを発表した。
Irganox(イルガノックス)1010 BMBcertとIrganox 1076 FD BMBcertを含む最初に上市する製品群は、ISCC PLUS認証(国際持続可能性カーボン認証)に従い、国際的な第三者認証機関であるTÜV Nord(テュフ ノルド)によってマスバランスの認証を受けている。これらのソリューションは、顧客がそれぞれの持続可能性目標を達成できるよう、化石原料に代わる再生可能原料としてサポートすることができる。
また、Irganox 1010 BMBcertおよびIrganox1076 FD BMBcertは、Irganox 1010 およびIrganox 1076のドロップイン代替品となる。これらの製品は、性能、品質、プロダクトスチュワードシップおよび規制の面において従来のグレードと全く変わらないため、顧客は新しい添加剤の再確認や製品の再処方を行う必要がない。
なお、Irganox 1010 BMBcertとIrganox 1076 FD BMBcertは、まずスイスのカイステンにあるBASFの製造拠点で生産され、Irganox 1010 FF BMBcertとIrganox 1076 FD BMBcertは 2024年初頭に米国アラバマ州マッキントッシュの製造拠点から追加供給される予定としている。
◆リサイクル:東レとHondaが自動車用ナイロン6樹脂のケミカルリサイクルに関する共同実証を開始(9月19日)
東レは、本田技術研究所と使用済みの自動車から回収するガラス繊維配合ナイロン6樹脂の部品を亜臨界水で解重合し、原料モノマー(カプロラクタム)に再生する、ケミカルリサイクル技術に関する共同開発契約を締結し、技術実証を開始したことを発表した。
亜臨界水は高温・高圧の水であり、触媒不使用で添加剤の影響を受けることがなく、数十分でナイロン6を解重合し、かつ、高収率で原料モノマーを生成することができる。原料モノマーを分離・精製し、再重合することで、バージン材と同等の物性のナイロン6に再生することが可能である。
本技術は、「環境省令和5年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業(うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)(補助)」に採択されており、これを活用し、原料となる樹脂処理量500トン/年規模のパイロット設備の導入および実証実験を進める計画である。
将来的には、同取り組みへの参画企業を募り、日本国内でナイロン6のケミカルリサイクルスキームを構築することで、資源循環社会の実現、温室効果ガスの削減に貢献していくとしている。
◆香料:東洋合成が香料工場管理分析棟を竣工(9月19日)
東洋合成は、香料工場において建設を進めていた管理分析棟が竣工したと発表した。
香料工場では、フレーバー(食品香料)・フレグランス(化粧品香料)製品に使用される高品質な合成香料材料を生産し、世界27か国以上に供給している。
今回新設した管理分析棟では、香料の香気に影響を与える微量成分分析に加えて、さらに精密かつ高度な分析が可能な機器の環境を整備した。管理分析棟の活用により、更なる事業拡大と安定供給を目指すとしている。
◆塗料原料:サンケミカル社が新たに2種類のコーティング向け高微粒化顔料分散体を発表(9月19日)
DICの子会社のサンケミカル社は、コーティング市場向けに2種類の高微粒化顔料分散体、「eXpand! Yellow ST 1018」と「eXpand! Black ST 9005」を発表した。
「eXpand! Yellow ST 1018」は、散乱を抑えることで非常に高い彩度と高い透明性を兼ね備え、自動車塗料における新世代のスタイリングを可能にする。「eXpand! Black ST 9005」も同様に散乱を低減させることで、卓越した漆黒性と独特な濃淡を実現する。
最新の水性塗装システムに完全に適合する高微粒化顔料分散体eXpand!は、高い透明性と高い着色力も兼ね備えており、散乱を抑えた調合により、これまでにない濃厚な色合いを実現し、輝き、フロップ、光沢の向上も可能にする。また、小粒径かつシャープな粒度分布をもつため、塗料系内へ容易に添加が可能で、従来の破砕方法とは対照的に生産工程時間を短縮できるとしている。
◆価格改定
・東ソーがポリエチレン樹脂を10月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、20円/kg以上