2024.10.10 発行
◆ガラス:ユニチカガラスビーズが機械的強度に優れた中空ガラスビーズを開発(10月4日)
◆ウレタン:UBEがLANXESS社(ドイツ)のウレタンシステムズ事業を買収(10月3日)
◆電子材料:東洋合成が千葉工場で先端半導体の需要拡大に向け感光材の製造設備を増設(10月2日)
◆樹脂:住友ベークライトがSNC Industrial Laminates Sdn(マレーシア)での液状フェノール樹脂の供給拡大を決定
(10月2日)
◆メディカル:第一工業製薬がセルロースナノファイバー複合磁性粒子の開発に成功(10月2日)
◆エチレン:大阪石油化学がエチレンプラントの生産を再開(10月2日)
◆非鉄金属:三井金属が2024年度下期の地銀生産計画を発表(10月1日)
◆非鉄金属:三菱マテリアルが2024年度下期の地金生産計画を発表(10月1日)
◆バイオマス:千代田化工建設が植物による有用タンパク質の大量生産技術を開発(10月1日)
◆合成燃料:ENEOSが原料から一貫製造可能な合成燃料製造実証プラントの完成を発表(9月30日)
◆電子材料:富士フィルムが先端半導体材料の開発・生産・品質評価の設備を増強(9月30日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの10月の契約価格を改定
・クラレが・ 水添スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン」「ハイブラー)「TUポリマー」を10月15日出荷分より値上げ
◆ガラス:ユニチカガラスビーズが機械的強度に優れた中空ガラスビーズを開発(10月4日)
ユニチカガラスビーズは、機械的強度に優れた中空ガラスビーズの開発に成功したと発表した。
今回開発されたガラスビーズは、樹脂成型体の新しいフィラー素材として、様々な産業分野での活用が期待されている。同製品は、従来の中空ガラスビーズや中実ガラスビーズとは異なる新しい製法により、気泡を内包した中空ガラスビーズを実現した(特性:見かけ密度1.20~1.80g/cm3、メジアン径5~50µm)。従来の気泡を内包しない中実ガラスビーズに比べて、見かけ密度が約 60%軽量化し、さらに殻が薄い市販の中空ガラスビーズと比べて、機械的強度に優れ一定荷重を加えても球形状を保つことが可能である。また、気泡の内包による低誘電化が期待でき、電子部品や高周波回路において信号損失を低減できる可能性がある。
同社では、今回の開発品を通じて、強度向上や軽量化を実現する樹脂成型体向けや、高周波領域での性能が求められる電子材料製品や用途向けに、さらなる技術開発と市場開拓に注力するとしている。
◆ウレタン:UBEがLANXESS社(ドイツ)のウレタンシステムズ事業を買収(10月3日)
UBEは、LANXESS Deutschland(以下、LANXESS 社)のウレタンシステムズ事業を営む子会社の全株式を取得し、子会社化することを決議し、LANXESS社と株式譲渡契約を締結したことを発表した。
対象事業は、LANXESS社のウレタン関連製品(熱硬化性ウレタンエラストマー用プレポリマー等)の製造・販売に関する事業(売上高:265百万ユーロ)であり、対象事業を構成する直接出資の子会社 9 社(間接出資含め11社)の全株式を取得する。取得価額(参考値)は、約460百万ユーロ(約736億円)、買収実行日は2025年前半を予定している。
UBEでは、スペシャリティ事業の一つであるC1ケミカルチェーンにおいて、米国を重点市場と位置付け、北米ルイジアナ州にDMC・EMCC(ジメチルカーボネート・エチルメチルカーボネート)の新プラントを現在、建設中である。さらに、その川下であるPCD(ポリカーボネートジオール)及びPUD(ポリウレタンディスパージョン)においても積極的な拡大を進めている。
UBEは、対象事業が有するウレタン樹脂に関する強固な事業基盤の獲得により、PCD・PUD事業を更に拡大させ、高機能ウレタン樹脂市場におけるプレゼンス強化を図るとしている。
◆電子材料:東洋合成が千葉工場で先端半導体の需要拡大に向け感光材の製造設備を増設(10月2日)
東洋合成工業は、千葉工場内の第4感光材工場において、先端半導体向け感光材の製造設備を増設し、竣工したことを発表した。
半導体分野では2020年から2030年の10年間で2倍以上の市場成長が予測され、世界各国ではすでに戦略的投資競争が加速し、より高性能な電子デバイスの実現のために多くの機能性材料の供給拡大が望まれている。
同社ではその実現に向けて、急増する需要と顧客品質を満たす安定供給体制を強化するため、先端半導体向け感光材の製造設備を増設した。今回の設備投資(投資規模:約120億円)により、千葉工場の先端半導体向け材料の生産能力は 2022年3月期比で最大1.8倍の規模となる。
これまでに実施してきた、淡路工場の蒸留塔増設(2022年4月完成)および充填所増設(2024年3月完成)による高純度溶剤の品質向上・供給力強化、千葉工場の開発分析棟(2024年5月完成)による製造技術力・分析体制の強化とともに、今後さらに成長・進化が見込まれる半導体市場の需要に応え、最先端品質を満たす安定供給体制を実現しいくとしている。
◆樹脂:住友ベークライトがSNC Industrial Laminates Sdn(マレーシア)での液状フェノール樹脂の供給拡大を決定(10月2日)
住友ベークライトは、SNC Industrial Laminates Sdn(以下、SNC)での液状フェノール樹脂の供給を拡大することを発表した。
SNCは、主に回路製品の生産・販売拠点として設立され、設立当初から内製用にフェノール樹脂生産をしていたが、2020年からフェノール樹脂の外部販売を一部開始し、2023年から本格的に外部販売を開始した。今後は、さらに需要の拡大が見込まれる東南アジア・西南アジア・オセアニアをターゲットに拡販していく。
現在、同社グループは日本、北米、欧州、中国、東南アジアにフェノール樹脂の拠点を有しており、今回マレーシアのSNCからの液状フェノール樹脂の供給を拡大・強化することで、東南アジア・西南アジア・オセアニア地域の顧客に対して安定供給を行う体制を整えた。また、SNCでは世界各地の拠点で開発された同社グループの差別化製品についても、顧客の要望に応じて供給が可能であり、フェノール樹脂事業の競争力強化を担っていくとしている。
◆メディカル:第一工業製薬がセルロースナノファイバー複合磁性粒子の開発に成功(10月2日)
第一工業製薬は、広島大学大学院先進理工系科学研究科との共同研究でセルロースナノファイバー複合磁性粒子の開発に成功したことを発表した。
近年、生体物質を分析して薬の開発や診断に利用する研究が盛んに行われている。その中で生体中のタンパク質を分析して、さまざまな疾患を発見する技術が実用化されているが、サンプル採取時に動物や人への負担が大きいという課題があった。この課題を解決し、高い分析精度を得るためには、タンパク質をより多く効率的に回収することが求められている。
同製品は、従来の合成高分子を用いずにセルロースナノファイバーと磁性体粒子の複合化を行い開発したものであり、従来品よりも多くのタンパク質を回収できる。そのため、動物や人への負担を軽減することができ、今後の診断薬分野への貢献が期待されている。
同社は2024年11月から、研究用試薬や診断薬メーカーに対して、「セルロースナノファイバー複合磁性粒子」のサンプル提供を開始するとしている。
◆エチレン:大阪石油化学がエチレンプラントの生産を再開(10月2日)
三井化学の100%子会社である大阪石油化学は、生産再開を延期していたエチレンプラントについて9月30日に稼働を再開したことを発表した。
◆非鉄金属:三井金属が2024年度下期の地銀生産計画を発表(10月1日)
三井金属は、2024年度下期における地金生産計画を発表した。
2024年度下期の生産計画として、亜鉛は119.1千t/期(同年上期見込:103.2千t/期)、鉛は35.6千t/期(同年上期見込:33.1千t/期)、金は2.7t/期(同年上期見込:2.7t/期)、銀は67.6t/期(同年上期見込:64.1t/期)の生産を計画している。
同年上期見込との比較について、亜鉛の計画値の増加理由は、2024年上期に定期修繕を実施したためとしている。
◆非鉄金属:三菱マテリアルが2024年度下期の地金生産計画を発表(10月1日)
三菱マテリアルは、2024年度下期における地金生産計画を発表した。
2024年度下期の生産計画としては、銅は32,763t/月(前年同期:34,730t/月)、鉛は2,496t/月(前年同期:2,527t/月)、金は3,383kg/月(前年同期:2,193kg/月)、銀は25,000kg/月(前年同期:26,206kg/月)の生産を計画している。
前年同期実績との比較では、銅については、直島製錬所において2024年度下期に炉修を予定しており、その影響で前年同期実績(銅:34,730t/月)と比較して、約16%減、小名浜製錬所は約6%増、全体では約6%減となる計画である。金および銀の生産増減については、主に原料受入量増減によるものとしている。
◆バイオマス:千代田化工建設が植物による有用タンパク質の大量生産技術を開発(10月1日)
千代田化工建設は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」で植物を用いて有用タンパク質を生産する、新規基盤技術の実験設備の建設を進めていることを発表した。
同技術は、植物を用いることで、ワクチンなどの医薬品や、再生医療等製品、化粧品、機能性食品など多様な製品をアニマルフリーで安価に生産できる技術であり、CO2排出抑制効果も期待できる。同実証設備を様々な企業の植物バイオものづくりの実用化開発に利用できるよう整備し、国内初の「植物バイオファウンドリ」として機能させる計画である。本設備完工時期は2025年1月末としている。
◆合成燃料:ENEOSが原料から一貫製造可能な合成燃料製造実証プラントの完成を発表(9月30日)
ENEOSは、中央技術研究所(横浜市)内において建設を進めていた合成燃料製造実証プラントが完成したことを発表した。
実証プラントは、原料から合成燃料を一貫製造できる日本初のプラントであり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「グリーンイノベーション基金」の支援のもと建設し、実証運転を開始した。原料となるCO2フリー水素を製造する過程においては、日本で初めてグリーン電力が使用されている。実証プラントの製造規模は1バレル/日になる。
今後、実証プラントでの検証を通じて、スケールアップに向けた知見を獲得することで、合成燃料製造技術の早期確立を目指すとしている。
◆電子材料:富士フィルムが先端半導体材料の開発・生産・品質評価の設備を増強(9月30日)
富士フィルムは、半導体材料事業をさらに拡大するため、静岡と大分にある開発・生産拠点において、先端半導体材料の開発・生産・品質評価などの設備を増強することを発表した。
今回、半導体材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズが、静岡と大分にある2つの開発・生産拠点において、先端半導体材料の開発・生産・品質評価の設備を増強する。
静岡拠点では、極端紫外線(EUV)向けフォトレジストをはじめとする先端レジストや、イメージセンサー用カラーフィルター材料をはじめとしたWave Control Mosaicの開発・生産・品質評価機能を強化するために約130億円を投資し、新棟を建設する。開発のスピードアップとともに生産能力の拡大、品質評価体制の拡充をさらに進めていく。
また、大分拠点では、約70億円を投資し、既存の工場に隣接する土地に新棟を建設する。半導体製造プロセスの基幹材料であるポストCMPクリーナーの生産設備や検査装置を導入し、大分拠点での生産能力を約4割拡大する。
静岡拠点の新棟の稼働開始は2025年秋、大分拠点の新棟の稼働開始は2026年春の予定としている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの10月の契約価格を改定
10月契約価格は、975$/t(前月比▲70$/t)
国内価格換算想定値は144.7円/kg
・クラレが・ 水添スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン」「ハイブラー)「TUポリマー」を10月15日出荷分より値上げ
値上げ幅は、0.22 USD/kg