2024.10.17 発行
◆成形材料:住友ベークライトが高電圧・高耐熱に対応するジアリルフタレート樹脂成形材料を開発(10月11日)
◆合成燃料:千代田化工建設がENEOS向け1BD(1Barrel per Day)合成燃料製造実証プラント建設工事を完工
(10月10日)
◆電子材料:DICとユニチカが低誘電特性を持つ「特殊PPSフィルム」を共同開発(10月10日)
◆電子材料:積水化学工業が導電性微粒子の生産能力を増強(10月10日)
◆水処理関連:三菱ケミカルが半導体向け超純水製造用イオン交換樹脂の生産能力を増強(10月10日)
◆CO2回収:レゾナックが「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する委託調査業務の受託を発表(10月10日)
◆ガラス:日本板硝子がドイツ・グラートベック工場のフロート窯の停止を発表(10月10日)
◆包材:TOPPANが軟包材フィルムを水平サイクルしたパウチを開発(10月10日)
◆建材:TOPPANが樹脂サッシ向けの高耐候塩ビ化粧シートを開発(10月10日)
◆エチレン:出光興産が「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」検討の基本設計(FEED)移行を発表(10月9日)
◆樹脂:住友ベークライトのグループ会社がレゾール型リグニン変性フェノール樹脂の商業販売を開始(10月9日)
◆価格改定
・積水化学工業がガラス用中間膜を10月14日出荷分より値上げ
・セントラル硝子プロダクツが鏡製品を2025年1月納入分より値上げ
◆成形材料:住友ベークライトが高電圧・高耐熱に対応するジアリルフタレート樹脂成形材料を開発(10月11日)
住友ベークライトは、ジアリルフタレート樹脂を使用した高絶縁高耐熱成形材料(スミコンAM-3800)を開発し、サンプルワークを開始すると発表した。
近年、カーボンニュートラルの取り組みが進む中で、電気自動車や風力・太陽光発電など再生可能エネルギー由来の電力の需要が急速に拡大している。これらの分野では、高電圧化が進んでいるが、高電圧化によって電気部品の絶縁破壊、短絡、誤作動などの不具合が発生するリスクが高まる。また、高電圧により熱量も増加するため、電気部品や絶縁材料にはこれまでよりも高い絶縁性と耐熱性が求められている。
本成形材料は、耐熱性と電気絶縁性に優れたジアリルフタレート樹脂を使用し、比較トラッキング指数 (CTI) 800V以上の高絶縁性と、ガラス転移温度 (Tg) 235℃に達する耐熱性を特長としている。200℃程度の高温雰囲気下でも高い絶縁性を維持するため、電気部品の安全性と信頼性の向上が期待できる。さらに、射出成形機による薄肉成形にも対応可能であるため、高CTIと薄肉・複雑形状成形性を生かし、部品の小型化や高放熱化など部品の設計自由度も向上させることが可能である。
住友ベークライトは、2024年12月から量産機製造品のサンプルワークを開始し、新規需要の開拓を進めるとしている。
◆合成燃料:千代田化工建設がENEOS向け1BD(1Barrel per Day)合成燃料製造実証プラント建設工事を完工(10月10日)
千代田化工建設および同社グループ企業の千代田エクスワンエンジニアリングは、ENEOSが取り組む1BD(1Barrel per Day)合成燃料製造実証プラント建設工事を完工したことを発表した。
同実証プラントは試運転等を経て、2024年9月より運転を開始している。
本件は、ENEOSが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO₂等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」に採択された事業である。同事業は、将来におけるカーボンニュートラル燃料製造技術の社会実装に向け、水素とCO₂を原料とした合成燃料製造プロセスの早期技術確立を目指すプロジェクトである。同実証プラントは将来の社会実装時における合成燃料コストの低減を目指し、液体燃料の収率を80%以上に向上させるための要素技術評価と合成燃料の一貫製造実証を目的として建設されたものとしている。
◆電子材料:DICとユニチカが低誘電特性を持つ「特殊PPSフィルム」を共同開発(10月10日)
DICとユニチカは、高周波領域で伝送損失を低く抑える「特殊PPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム」を共同開発したと発表した。
同開発品は、ミリ波などの次世代通信規格に対応したプリント配線板やミリ波レーダーなどの関連部材向けの低誘電材料である。
現在、スマートフォンや小型電子機器などに使用される高周波対応のフレキシブルプリント配線板には、液晶ポリマー(以下、LCP)と銅箔を接着したものが使用されているが、LCPは銅箔との接着界面が平滑でないため伝送損失が高い。一方、次世代通信機器では高周波領域のミリ波(30~300GHz)を使用するため、伝送損失を低く抑える(低誘電)素材が必要とされている。
同開発品では、PPS樹脂に由来する低吸水性・難燃性・耐薬品性を維持しながらも、高周波基板に要求される低誘電特性・寸法安定性・耐リフロー性や厚みの均一性などの優れた性質を併せ持っている。そのため、LCPなどの既存フィルムでは改善が難しかった高温環境下や、幅広い周波数領域(10~100GHz)でも安定した誘電特性を示すため、自動車用途やスマートフォンなどの様々な用途展開が期待される。すでに一部の電子材料メーカーにて評価を受けており、同社では製品化に向けた作り込みを進めていくとしている。
◆電子材料:積水化学工業が導電性微粒子の生産能力を増強(10月10日)
積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは、多賀工場(滋賀県)において、ディスプレイや機構部品の回路接続に使用されている導電性微粒子「ミクロパール AU」の生産能力の増強を決定したことを発表した。
同品は、均一粒子径の樹脂粒子に金属被覆した製品で、電子部品と基板間の導通やギャップ形成を目的とし、主に液晶や有機EL ディスプレイ (OLED)のガラス基板上の電極とICチップの電極などを電気的に接続する異方導電フィルム (ACF:AnisotropicConducting Film)に使用されている。また、同製品はμLEDなどの次世代ディスプレイや車載分野へ展開されている。
今後も、これらの高付加価値用途は継続的な需要拡大が見込まれることから同品の生産能力増強と品質管理レベルの強化に取組み、ディスプレイ分野、車載分野以外に半導体分野など、様々な分野に拡大を図っていく予定である。
今回の投資額は約20億円、稼働開始は2028年度上期(4~9月)の予定としている。
◆水処理関連:三菱ケミカルが半導体向け超純水製造用イオン交換樹脂の生産能力を増強(10月10日)
三菱ケミカルグループは、半導体の製造工程に使用される超純水製造用のイオン交換樹脂について、九州事業所・福岡地区(北九州市)の生産能力の増強を決定したことを発表した。
イオン交換樹脂は、水からイオン状の不純物を選択的に除去・回収する機能を持ち、水処理分野で使用される合成樹脂である。同社グループのイオン交換樹脂は、豊富な品揃えから、軟水や純水などの工業用水の製造、医薬・食品の精製、半導体向け超純水の製造など幅広い用途で使用されている。
近年は半導体市場の拡大に伴い、半導体の製造工程で使用される超純水製造用のイオン交換樹脂の需要も増加しており、同社グループのイオン交換樹脂は、半導体の洗浄工程など、よりクリーンさが求められる超純水の製造に適していることから、国内外の需要増に対応するため今回の増強を決定した。
九州事業所・福岡地区の既存設備のうち、精製を行う再生系設備を増強し、2026年4月の稼働を目指すとしている。
◆CO2回収:レゾナックが「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する委託調査業務の受託を発表(10月10日)
レゾナックは、三井物産、関西電力、九州電力、コスモ石油、中国電力、電源開発、UBE三菱セメントと共同で、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の令和6年度「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する委託調査業務を受託したことを発表した。
委託調査では、上記8社が共同して、2030年度までのCO2貯留開始に向け、マレー半島沖南部CCS事業のバリューチェーン全体の設計・評価作業を実施する。
同社は、同プロジェクトを通じ、大分コンビナートにおけるCO2の回収、CO2貯留サイトでの貯留(CCS)、および輸送などのバリューチェーンにおいて、それぞれで必要な技術的要件の検証およびコストの概算などの検討を進めていく。また、本共同検討を通じたCCSの早期導入検討をはじめ、脱炭素化に向けてあらゆる選択肢を検討するとしている。
◆ガラス:日本板硝子がドイツ・グラートベック工場のフロート窯の停止を発表(10月10日)
日本板硝子は、同社グループのグラートベック工場で稼働するフロート窯2基のうち1基について、2025年1月に生産を停止することを発表した。
今回の決定は、既に本年3月に公表済のドイツ・バイアハマー工場のフロート窯の早期生産停止ともあわせ、直近のドイツを含む欧州地域における建築ガラス市場の弱い需給状況を勘案したものである。
同社としては、中長期的には欧州建築用ガラス市場の安定的な成長を見込んでいるが、現時点で同窯の再稼働の時期は未定としている。
◆包材:TOPPANが軟包材フィルムを水平サイクルしたパウチを開発(10月10日)
TOPPANは、アールエム東セロ、三井化学と共に2023年8月より印刷済のOPPフィルムを元の軟包材フィルムに水平リサイクルする共同実証試験を行っており、今回、量産化が可能となるリサイクルOPPフィルムを開発したことを発表した。
本開発の背景として、日本政府が提唱するプラスチック資源循環戦略に基づき、三井化学が2022年5月に軟包材コンバーターで発生する廃棄フィルムを回収し、インキを除去してペレット化し、軟包材フィルムに再生する取組みを開始している。また、同年12月からTOPPAN、アールエム東セロと共に本実証試験の基礎検討、2023年度から本格的に共同実証試験を開始している。
具体的には、TOPPANにて発生した印刷後の廃棄フィルムを回収し、三井化学名古屋工場にてインキを除去してペレット化し、アールエム東セロにてフィルム化する。再生したフィルムはTOPPANのパッケージ工場で量産検証を行い、量産加工適性があることと、パウチとしての物性評価を行い、パッケージとしての機能性を確認している。本製品は2024年10月からサンプル提供を開始するとしている。
◆建材:TOPPANが樹脂サッシ向けの高耐候塩ビ化粧シートを開発(10月10日)
TOPPANは、塩ビ製樹脂サッシ向け高耐候塩ビ化粧シートを開発したことを発表した。
高断熱な樹脂サッシの需要が増えている中、表面を加飾する化粧シートの素材として、サッシと同じ塩ビを主材料として用いることで、樹脂サッシのリサイクル性を向上させることが期待される。また、屋外でも使用される樹脂サッシ表面を加飾する化粧シートに必要な高耐候性能も付与し、屋外用途の樹脂サッシ向けとして長期使用が可能な化粧シートを開発した。
同社は樹脂サッシ商材を展開するサッシメーカー向けに、2024年10月よりサンプル提供を開始する予定である。今後の目標として、同化粧シートを国内外のサッシメーカー中心に展開し、2027年度に10億円の売り上げを目指すとしている。
◆エチレン:出光興産が「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」検討の基本設計(FEED)移行を発表(10月9日)
出光興産と三井化学は、「千葉地区エチレン装置集約による生産最適化」を進める中で、事業化調査(FS)を完了し、次のフェーズである基本設計(FEED)に移行することを発表した。
両社は、2010年に生産最適化を目的として千葉地区に両社が保有するエチレン装置の運営統合を行った。しかし、中国を中心とした大型石油化学装置の新増設と国内のエチレン需要減衰により、日本のエチレン装置は低稼働の継続を余儀なくされている。
このため、両社はそれぞれが京葉地区に保有するエチレン装置を三井装置1基に集約するためのFSを行ってきたが、今回、集約化の実現性を有するとの結論に至ったことを受け、FEEDに移行することを合意した。
FEEDにおける千葉地区のエチレン装置集約の方法は、集出光装置を停止し、三井装置に集約、対象製品はエチレン、プロピレン、C4(炭素数4の炭化水素)を含む全留分である。集約時期の目途は2027年度であり、意思決定の時期は2025年度下期としている。
◆樹脂:住友ベークライトのグループ会社がレゾール型リグニン変性フェノール樹脂の商業販売を開始(10月9日)
住友ベークライトは、グループ会社の木質材料用接着剤に関する製造・販売を手掛けるサンベークがフェノール樹脂生産時の原料として化石資源由来原料である「フェノール」の一部を、非可食バイオマス由来原料である「リグニン」で置き換えたリグニン変性フェノール樹脂「スミタック PL-700シリーズ」の商業販売を開始したことを発表した。
住友ベークライトは、主力製品のフェノール樹脂について環境対応ニーズが将来的に高まることを想定し、2010年以前からリグニン成分の樹脂利用の基礎研究に着手してきた。同社は化石資源から再生可能な資源への転換を進める一つの方策として、非可食バイオマスであるリグニンを活用したレゾール型リグニン変性樹脂の開発・量産化を進めており、今回商業販売を開始するに至った。なお、本製品のバイオマス度は15%である。
本製品を使用することで、化石資源由来原料を15%削減することが可能としている。
◆価格改定
・積水化学工業がガラス用中間膜を10月14日出荷分より値上げ
値上げ幅は、6~15%
・セントラル硝子プロダクツが鏡製品を2025年1月納入分より値上げ
値上げ幅は、10%