2024.10.24 発行
◆リサイクル:豊田合成がゴムリサイクル工程の生産能力を強化(10月18日)
◆電子材料:三菱ケミカルグループが偏光板向け光学用フィルムの生産設備を増設(10月17日)
◆リサイクル:AGCディスプレイグラス米沢とユーグレナが国内で初めて化学強化廃棄塩を肥料原料としてリサイクルすること
に成功(10月17日)
◆電子材料:AGCが多層プリント基板材料の新シリーズを販売開始(10月16日)
◆バイオマス:東洋エンジニアリングがエタノール由来のバイオエチレン製造設備の基本設計業務を受注(10月16日)
◆自動車部品:長瀬産業がアテックスと合弁会社をメキシコに設立を発表(10月15日)
◆価格改定
・タキロンシーアイがアセテートシートを11月1日受注分より値上げ
・旭有機材がパイプ、継手を11月1日出荷分より値上げ
◆リサイクル:豊田合成がゴムリサイクル工程の生産能力を強化(10月18日)
豊田合成は、車に使用されるゴムの資源循環を加速させるため、森町工場(静岡県)のリサイクル工程の生産能力を2倍に強化したことを発表した。
同社では、ゴム製品を高品質な原材料に再生できる独自の「脱硫再生」を用いて、21年度にリサイクル工程を稼働させ、製品の生産時に発生した廃材の活用を進めてきた。
今回、2本目のゴムリサイクル工程の稼働により、生産能力が従来の2倍となる年間1,200トンとなる。新ラインでは、技術改良によりリサイクルしたゴムの品質も向上したことで、数%だった新材への配合割合を、20%まで引き上げることが可能となった。これにより、森町工場で製造するオープニングトリムウェザストリップのほぼ全ての廃材をリサイクルできるようになった。
今後は、リサイクルしたゴムは廃材と同種の合成ゴムを用いた他の製品にも適用するとしている。また、現在、天然ゴムなどにも視野を広げた技術開発も進めており、将来的には廃車からゴムを回収する循環システムの確立も目指すとしている。
◆電子材料:三菱ケミカルグループが偏光板向け光学用フィルムの生産設備を増設(10月17日)
三菱ケミカルグループは、光学用ポリビニルアルコール(PVOH)フィルム「OPLフィルム」の生産設備を、中日本事業所 大垣(神田)地区(岐阜県)で増設することを決定したと発表した。
OPLフィルムは、主にテレビ等の液晶ディスプレイ用偏光板に使用されており、液晶ディスプレイの画面サイズの大型化に伴い、OPLフィルムの需要も拡大している。このような市場環境のもと、同社グループはさらなる需要増加と高品質要求に対応するため、生産設備を増設することを決定した。
今回増設する生産設備は、高品質要求への対応に加えて従来と比較しても高い生産性が特長で、1系列としては同社グループ最大の生産能力2,700万㎡/年を有する。生産設備は、2027年度下期の稼働を目指しており、完成後の同社グループの合計生産能力は15,400万㎡/年になる予定としている。
◆リサイクル:AGCディスプレイグラス米沢とユーグレナが国内で初めて化学強化廃棄塩を肥料原料としてリサイクルすることに成功(10月17日)
AGCディスプレイグラス米沢(以下、ADY)とユーグレナは、車載ディスプレイ用カバーガラスの化学強化工程で発生する廃棄塩を肥料原料としてリサイクルすることに日本で初めて成功したことを発表した。
ADYは、車載ディスプレイ用カバーガラスの強度を高めるため、硝酸カリウムを主成分とする溶融塩を用いて化学強化を行っているが、この工程で発生する廃棄塩は、焼却処理や埋め立て処理より廃棄されていた。また、廃棄塩に含まれる窒素・カリウムは肥料を構成する重要な成分であるが、日本ではこれらの成分を含む肥料原料の大部分を輸入に依存していた。
ユーグレナでは、未利用資源を飼料や肥料へと活用する取り組みを行っており、今回両社は廃棄塩に高濃度の窒素・カリウムが含まれていることに着目し、肥料原料としての活用を実現した。
今後はAGCグループから排出される全ての廃棄塩をリサイクルすることを目指し、焼却処理に伴うCO2排出や埋め立て処分による環境負荷を低減するとともに、国内の未利用資源活用により、肥料原料の海外依存度を減少させることで国内肥料市場、国内農業の持続可能性に寄与していくとしている。
◆電子材料:AGCが多層プリント基板材料の新シリーズを販売開始(10月16日)
AGCは、高速通信用途においての低伝送損失・高耐熱性を実現する「多層プリント基板材料METEORWAVE ELL シリーズ」の販売を開始したことを発表した。
AIサーバーやルーターなど高速通信ネットワーク機器の性能向上に欠かせない要素のひとつが、部材の低伝送損失化である。伝送損失が低減され、電気信号が機器内の回路をより効率的に流れることで、大容量データの高速処理化と消費電力の低減が実現される。また、高速通信ネットワーク機器は高温環境下における安定稼働が必須であることから、その部材である多層プリント基板材料にも高い耐熱性が求められるが、一般的に低伝送損失化を進めると耐熱性は悪化する傾向にある。
同シリーズは、同社が有するガラスや樹脂に関する広範な材料技術により開発し、高温環境下においても高い信頼性を確保することが可能である。IoT、DX、生成AIの進展により、今後もデータ通信量の飛躍的な増加が予想される中、同シリーズは、データ通信の大容量・高速化、消費電力低減に貢献していくとしている。
◆バイオマス:東洋エンジニアリングがエタノール由来のバイオエチレン製造設備の基本設計業務を受注(10月16日)
東洋エンジニアリングは、ブラジルのBraskemとタイのSCG Chemicalsが設立した合弁会社Braskem Siamから、エタノール由来のバイオエチレン製造設備における基本設計業務(FEED)を受注したことを発表した。
最終製品であるバイオポリエチレンは、化石原料 (石油由来のナフサなど) からではなく、サトウキビ由来のエタノールなどの再生可能な原料から製造される。この製造方法は、Lummus社とBraskem社がライセンスを持つEtE Ever Greenが適用されており、CO2を大気中から回収することにより、最終プラスチック製品のカーボンフットプリント(CFP)を大幅に削減する。
今回、基本設計業務を受注した対象設備は、タイ・ラヨン州に建設する年産約20万トンのエタノール由来のバイオエチレン製造設備であり、完成予定は2025年としている。
◆自動車部品:長瀬産業がアテックスと合弁会社をメキシコに設立を発表(10月15日)
長瀬産業は、アテックス(本社:大阪)との間で、メキシコ・ グアナファト州に合弁会社社・ATECS INSERT MOLDING MEXICO(アテックスインサートモールディングメキシコ、以下、AIM)の設立について契約を締結したことを発表した。
アテックスは長瀬産業のパートナー企業であり、xEV車種のインバーターやバッテリーに採用される精密金属インサート成型部品の設計、生産技術、品質に強みを有している。
AIMは、北米でのxEV車の需要の高まりを受けて設立するもので、xEV車向け電動化部品の部材を現地で調達することで、高品質でありながら安定供給の実現を目指すものである。2024年内に設立し、2026年以降の量産化に向けて生産体制を構築する予定である。
AIMには、予めアテックスが日本国内で起工した金型での試作を経て量産体制が可能な状態で生産移管される予定で、生産量は月産数十万個を見込んでいるとしている。
◆価格改定
・タキロンシーアイがアセテートシートを11月1日受注分より値上げ
値上げ幅は、15%
・旭有機材がパイプ、継手を11月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、パイプ(U-PVC、HI-PVC):20%以上
TS継手(U-PVC、HI-PVC):10%以上