2024.10.03 発行
◆電子材料:住友金属鉱山がパワー半導体材料SiC基板の8インチ量産ライン構築を決定(9月27日)
◆シーリング材:積水フーラーが半導体クリーンルーム向け低アウトガスシーリング材を発売(9月27日)
◆バイオ由来:エボニックが新たなイノベーション戦略で15億ユーロの追加売上を目指すことを発表(9月27日)
◆リサイクル:日本化学産業が「先進的金属リサイクル事業」に向けて、パイロットプラントの建設を決定(9月26日)
◆メディカル:旭化成ファーマが診断薬事業を長瀬産業へ譲渡すると発表(9月26日)
◆電子材料:住友ベークライトが中国で半導体封止材新工場の竣工式を開催(9月25日)
◆LNG:日揮ホールディングスがモザンビーク向けLNGプラントの基本設計役務を受注(9月25日)
◆電池材料:三井金属が全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD」の初期量産工場の新設を発表(9月24日)
◆電子材料:レゾナックがソイテック社とSiCパワー半導体向け貼り合わせ基板の共同開発契約を締結(9月24日)
◆メディカル:レゾナックがAltarisに再生医療事業の譲渡を決定(9月24日)
◆価格改定
・JNCが酢酸を10月10日出荷分より値上げ
◆電子材料:住友金属鉱山がパワー半導体材料SiC基板の8インチ量産ライン構築を決定(9月27日)
住友金属鉱山とその100%子会社であるサイコックスは、サイコックス大口工場(鹿児島県)に貼り合せSiC(シリコンカーバイド)基板「SiCkrest」(サイクレスト)の8インチ(200mm)量産ラインを構築することを決定したと発表した。
同製品は、独自の接合技術を応用してウェハを2層化することで、性能と低コストを両立させた製品である。低抵抗の多結晶SiC支持基板の上に高品質な単結晶層を薄く貼り合わせることによって、単結晶の特性を維持しつつ、基板全体における低抵抗化と通電劣化抑制効果を実現している。
SiCは主に電力を制御するパワー半導体に使用される材料である。従来のシリコンと比較して高電圧に対応可能で、エネルギー損失も大幅に低減できることから、ハイブリッド車や電気自動車などの駆動制御装置で要求される大容量領域(大電流・高耐電圧)において、装置全体の小型化や航続距離向上を後押しできる優れた材料として注目され、市場の拡大が期待されている。
今回8インチ基板の量産ライン構築により2025年度下期には貼り合せSiC基板の月産能力は1万枚(6インチ換算)を超え、さらに、ライセンス供与先への多結晶 SiC 支持基板の供給も開始する予定としている。
◆シーリング材:積水フーラーが半導体クリーンルーム向け低アウトガスシーリング材を発売(9月27日)
積水フーラーは、電子材料の汚染につながるアウトガス成分を抑制したシーリング材「抗菌GOOD!クリーンルーム用」を発売すると発表した。
半導体などの先端産業においては、製造環境中に存在する揮発性物質が製品へ付着し、性能へ悪影響を及ぼすことが問題となるため、クリーンルームでの使用に特化したシーリング材が選定されている。しかし、半導体向けシーリング材についてはその特殊性から、供給可能なメーカーは限られ、旺盛な需要に対して慢性的な供給不足を起こしている。また、工場建設の現場では職人不足が深刻化しており、工期の短縮ができる施工簡易化の新工法や、職人の負担を軽減する施工しやすい材料が求められている。
同製品は、通常の変成シリコーン系シーリング材の施工性、伸び、接着性を保ちながら、電子材料を汚染するアウトガス成分を抑制したシーリング材となっている。今後、同社では、変成シリコーン技術を用いた商品開発による事業展開を進め、2025年度「抗菌GOOD!クリーンルーム用」は、関連用途の市場シェア30%を目指すとしている。
◆バイオ由来:エボニックが新たなイノベーション戦略で15億ユーロの追加売上を目指すことを発表(9月27日)
エボニックインダストリーズは、新たなイノベーション戦略で15億ユーロの追加売上を目指すことを発表した。
新たなイノベーション成長分野には、「バイオ由来ソリューション」、「エネルギー転換」、「循環型経済」の3つが設定され、2032年までに15億ユーロの追加売上を目標とする。
「バイオ由来ソリューション」では、同社は5月に、スロバキアで新たなバイオサーファクタントを工業規模で生産する世界初の工場を稼働させており、ラムノリピッドの他分野への応用の開発も進めている。「エネルギー転換促進」では、二酸化炭素をプロセスから出る排気ガスや直接空気から回収するソリューションや水素製造用の分離膜に関連したソリューションの研究も行っている。また「循環型経済」では、循環型経済の実現に向けた全研究プロジェクトを統合している。例えば、高度な触媒リサイクル技術や、ポリウレタンやゴムのリサイクルを向上させるソリューションなどが挙げられる。
同社は、今後も自社だけでなく顧客の活動においてもグリーントランスフォーメーションの推進に貢献できるよう、引き続き研究開発に注力していくとしている。
◆リサイクル:日本化学産業が「先進的金属リサイクル事業」に向けて、パイロットプラントの建設を決定(9月26日)
日本化学産業は、福島県いわき市に「先進的金属リサイクル事業」に向けてパイロットプラントを建設することを発表した。
同社は、金属リサイクルに必要な分離・精製技術、並びに電池材料の研究発に取り組んできた。これらの独自技術を組み合わせて、相乗効果を発揮させることで、EVの使用済み二次電池に含まれる、ニッケル、コバルト、リチウム等の金属を分離・精製し、再びEV向け電池材料に戻すことが可能となる。
このプラントは、電気自動車(EV)の使用済み二次電池の金属リサイクルのために、技術実証から事業化に向けた取り組みの一環として建設するものである。概算投資額は約31億円、処理能力はブラックマス(回収後の電池を粉砕してできる、様々な金属が混じった粉体)として約60トン/年、2024年度中の着工、2026年3月完成予定で、完成次第、稼働を開始する予定としている。
◆メディカル:旭化成ファーマが診断薬事業を長瀬産業へ譲渡すると発表(9月26日)
旭化成ファーマは、診断薬事業、大仁医薬工場((診断薬用酵素原料、および「ブレディニン」医薬品の原薬製造工場)および大仁統括センター(主に、診断薬事業および大仁医薬工場を含む大仁地区全体のインフラ管理組織)を長瀬産業へ譲渡すること等を内容とした最終契約を締結したと発表した。
旭化成グループでは、ヘルスケア領域において、将来の優先順位を決定するためにポートフォリオの見直しを行っている。その中で、診断薬事業とのシナジーが発揮できる他社への譲渡の検討を慎重に行ってきた。その結果、長瀬産業の傘下で事業を運営することが最も適切であり、当該事業の成長を最大化できるとの結論に至った。
本件譲渡は、2025年7月1日を効力発生予定日予定としている。なお、本件譲渡の対象外である同社大仁地区のその他組織(医薬研究センター、医薬生産管理部など)については、旭化成ファーマの傘下に残り、引き続き大仁地区において業務を継続する予定である。
本件譲渡の後も大仁医薬工場から旭化成ファーマへの医薬品原薬供給を継続することを主な内容とする製造委受託契約を旭化成ファーマと新会社の間で締結し、安定供給のため協働していく予定としている。
◆電子材料:住友ベークライトが中国で半導体封止材新工場の竣工式を開催(9月25日)
住友ベークライトが、半導体封止材の中国グループ会社(蘇州住友電木)において新工場が完成し、竣工式を行ったことを発表した。
新工場は、蘇州工業園区内に新たに土地を確保、工場を建設し、中国内の半導体封止材の生産能力を1.3倍に拡大することで十分な供給能力を確保している。今後、さらに拡大が見込まれる中国市場に向けて、スマートフォンやパソコン、家電用途などの半導体関連に加えて、パワーデバイスやモビリティ用途、さらには先端AI用途においても中国市場でのシェアを高めていく。
新工場の主要生産品目は半導体封止用エポキシ樹脂成形材料、投資金額は約66億円(土地、建物、生産ライン、付帯設備などを含む)である。現在、新工場の正式稼働に向けた作業を進めており、2025年に本格的な量産を開始する予定としている。
◆LNG:日揮ホールディングスがモザンビーク向けLNGプラントの基本設計役務を受注(9月25日)
日揮ホールディングスは、海外EPC事業会社である日揮グローバルが仏テクニップエナジー社と共同で、モザンビーク・ロブマ・ベンチャー社がモザンビークで計画しているLNGプラントの基本設計役務、および設計・調達・建設工事に係る見積役務を受注したことを発表した。
本役務は、モザンビーク沖合エリア4鉱区に位置するマンバガス井より供給される天然ガスを原料として、モザンビーク・ロブマ・ベンチャー社が同国カボ・デルカド州で計画している年産1,800万トン(150万トン×12系列)のLNGプラントの新設に係る基本設計役務およびEPC役務に係る見積役務である。
本LNGプラントでは、原料である天然ガスを圧縮するコンプレッサーの駆動に関し、従来のガスタービンの使用ではなく、電動モーターによる「E-Drive」の採用を予定しており、LNGプラントの操業時のCO2排出の低減に寄与するとしている。
◆電池材料:三井金属が全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD」の初期量産工場の新設を発表(9月24日)
三井金属は、全固体電池向け硫化物系固体電解質「A-SOLiD」の、「初期量産工場」の新設を決定したことを発表した。
次世代の蓄電池として期待されている全固体電池は、電気自動車(EV)をはじめとした幅広い用途で開発が進んでいる。同社は、長年培った電池材料技術を活かして開発したA-SOLiDをそのキー・マテリアルと位置づけ、顧客や市場パートナーと全固体電池の実用化に向けた取り組みを進めている。
国内外における全固体電池の開発競争が活発化する中、同社固体電解質は複数の顧客において開発標準材料として位置づけられ、更なる需要が見込まれている。その中でも、一部の顧客においては2027年近傍に全固体電池を搭載したEVの初期市場導入が計画されている。同社としては更なる生産キャパシティーの確保、および革新的生産プロセス開発を目的として埼玉県に固体電解質の初期量産工場を新設することを決定した。
初期量産工場は2027年の稼働開始を予定しており、高効率な生産方式を採用することにより、これまで以上に顧客の全固体電池の実用化に貢献できることを見込んでいるとしている。
◆電子材料:レゾナックがソイテック社とSiCパワー半導体向け貼り合わせ基板の共同開発契約を締結(9月24日)
レゾナックは、フランスのソイテック社と共同で、パワー半導体に使用される200mm(8インチ)炭化ケイ素(SiC)エピタキシャルウェハの材料となる8インチSiC貼り合わせ基板の開発契約を締結したことを発表した。
パワー半導体は、電動車(xEV)や産業機器などのパワーアプリケーションで幅広く使用され、今後の市場の拡大が見込まれている。特に、SiCはシリコンに比べて電力損失や発熱が少なく、電動車(xEV)や産業機器での需要が急増している。しかし、SiCパワー半導体の主要材料となるSiC単結晶基板は、均一な結晶であることが求められ、その生産には、結晶成長に時間が要することから、生産性の向上が課題となっている。
本共同開発において、レゾナックは、ソイテック社にSiC単結晶を供給し、ソイテック社は、その単結晶を使ってSiC張り合わせ基板を製造する。両社の共創により、8インチSiCウェハの生産性を向上し、SiCエピウェハビジネスでのサプライチェーンの多様化を目指すとしている。
◆メディカル:レゾナックがAltarisに再生医療事業の譲渡を決定(9月24日)
レゾナックは、米国を拠点としてヘルスケアセクターに特化した豊富な投資実績を有するAltarisがサービスを提供するファンドとの間で、 再生医療事業を手掛けるMinarisの全発行済株式を、Altarisに譲渡する株式譲渡契約を締結したことを発表した。
Minarisは、再生医療等製品の製法開発・受託製造事業について日本、アメリカおよび欧州の国や地域で展開し、グローバルにサービスを提供してきた。
一方、レゾナックは、機能性化学メーカーとして、持続可能なグローバル社会の発展に貢献することを目指している。そうした中、再生医療CDMO事業の在り方について、あらゆる選択肢を慎重に検討した結果、Altarisとの間で本取引を推進することを決定した。本取引は、株式譲渡契約に定める前提条件が満たされることを条件とし、2025年第1四半期に完了する予定としている。
◆価格改定
・JNCが酢酸を10月10日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15円/kg以上