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2024年11月21日

2024.11.21 発行

HEADLINE

◆CO2回収:東ソーがCO2回収および原料化設備の稼働を開始(11月14日)
◆水処理関連:東レが下廃水再生水からの超純水製造を可能とする逆浸透(RO)膜の販売を開始(11月14日)
◆CO2対策:千代田化工建設がCO2液化・貯蔵設備検討業務の受注を発表(11月13日)
◆非鉄金属:JX金属が関係会社のドイツ拠点における高純度金属化合物の開発・生産設備の稼働開始を発表(11月13日)
◆3Dプリンター材料:JX金属が独自表面処理を施した金属3Dプリンター用銅粉を開発(11月12日)
◆コンパウンド:積水化学工業がタイに塩素化塩ビ樹脂(CPVC)コンパウンド第2工場を新設(11月11日)
◆バイオマス:東レとGC社(タイ)が非可食バイオマス由来ナイロン原料の量産技術の検討を開始(11月11日)
◆半導体関連:三菱ケミカルグループの新菱が福島工場の新設と岩手工場の増強を決定(11月11日)
◆価格改定
・日本軽金属が水酸化アルミニウム、アルミナ製品を2025年1月1日出荷分より値上げ
・レゾナックがアンモニアおよび関連製品を2025年1月1日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆CO2回収:東ソーがCO2回収および原料化設備の稼働を開始(11月14日)
 東ソーは、南陽事業所(山口県)において二酸化炭素(CO2)回収および原料化設備を新設し、稼働を開始したことを発表した。
 同設備で回収したCO2は同社主力製品であるイソシアネート製品の原料として使用される。
 同社は、イソシアネート原料である一酸化炭素(CO)をナフサから製造している。今回稼働した設備では、自社技術による回収プロセスを用いて、CO製造過程から発生する燃焼ガス中のCO2を回収し、CO原料として活用する。年間約4万tのCO2を回収し、ナフサ代替原料として有効利用することで、イソシアネート製品の低炭素化に寄与する。
 また、CO2回収プロセスでは、自社開発の高耐久性CO2回収アミンを回収剤として採用した。今後、同設備での運用により自社のCO2回収アミンの性能、耐久性を確認すると共に、更なる性能向上および外販に向けた取り組みを推進していくとしている。

◆水処理関連:東レが下廃水再生水からの超純水製造を可能とする逆浸透(RO)膜の販売を開始(11月14日)
 東レは、半導体分野等での超純水製造に向けて、下廃水再生水を原水とした場合に求められる尿素の除去性を2倍に高めた中性分子高除去・低圧逆浸透(RO)膜エレメント「TBW-XHRシリーズ」を2024年11月から国内水処理エンジニアリング会社向けに先行販売を開始することを発表した。
 世界各地で水不足が深刻化する中、半導体メーカー各社は工場内廃水の再利用率を高める取り組みに加え、半導体製造に用いる超純水の水源として、下廃水再生水の活用や海水の利用拡大を検討している。
 従来の下廃水再生水は、水道水と比較して尿素濃度が高く、超純水製造プロセスでは、尿素を極限まで除去することが求められている。しかし尿素はサイズが小さく、電気的に中性の分子であるため、海水に含まれるホウ素と同様に除去の難度が高く、高い造水量を維持しながら尿素やホウ素の除去率を向上させることがRO膜開発の課題であった。そこで東レは、尿素やホウ素、アルコールなどの除去性を高める新たな膜構造の制御技術を開発した。
 本製品は、現行超純水製造システムでの水質向上のニーズに応え、更に下廃水再生水利用などの新システム構築を担う製品として販売する。また、今後は、国内外の海水淡水化や河川水等のかん水淡水化、各種工場廃水処理用途への製品展開を進めるとしている。

◆CO2対策:千代田化工建設がCO2液化・貯蔵設備検討業務の受注を発表(11月13日)
 千代田化工建設は、電源開発(以下、Jパワー)よりCO2液化・貯蔵設備に係る検討業務を受注したことを発表した。
 Jパワーは、他7社と共同で提案した「マレー半島沖南部CCS事業」が、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の実施した令和6年度「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する公募に採択されており、本委託調査業務のうち、九州エリアに所有する火力発電所から排出されるCO2を回収し、マレー半島沖のCO2貯留サイトへ貯留するCCSに関連する検討を行う。
 千代田化工建設はCCSに関して様々な知見を得るべく積極的に対応を行うなかで、特に天然ガスの液化プラント建設で培ったガスの低温液化技術を強みとし、CO2の液化プラントについて独自の技術開発を進めており、本検討業務においてもその知見を活かしていくとしている。

◆非鉄金属:JX金属が関係会社のドイツ拠点における高純度金属化合物の開発・生産設備の稼働開始を発表(11月13日)
 JX金属は、関係会社であるTANIOBIS社が、同社ドイツ・ゴスラーの拠点へ次世代半導体向けCVD・ALDプリカーサ材料の開発・生産が可能な設備を導入し稼働を開始したと発表した。
 TANIOBIS社のドイツ・ラウフェンブルクの拠点では塩化物を中心とした各種金属化合物を開発・生産しているが、近年の先端半導体需要の高まりを受け、半導体内のきわめて薄い膜の生成や微細配線の形成に利用される高純度CVD・ALDプリカーサ材料の引き合いが増えている。このような背景から、同国ゴスラーにあるTANIOBIS社の拠点に新たに設備を導入し稼働を開始した。また、ラウフェンブルクの既存設備については、さらなる生産能力向上による供給力強化と事業継続性の強化を図る。
 同社グループは、本年6月にも東邦チタニウムの茅ヶ崎工場の敷地内および自社の日立事業所白銀地区へ生産設備および開発設備投資を決定しているが、本設備増強ではさらなる製品ラインナップ拡充を図るとしている。

◆3Dプリンター材料:JX金属が独自表面処理を施した金属3Dプリンター用銅粉を開発(11月12日)
 JX金属は、独自の表面処理を施したレーザーパウダーベッド方式(以下、L-PBF)向け3Dプリンター用銅粉を開発したことを発表した。
 銅粉を用いた3Dプリンティングは、革新的な製品展開が可能で、小型化・軽量化、納期短縮等の効果が見込まれ、ロケットエンジンの冷却機構や誘導加熱用コイル等様々な分野での採用が期待される。ただし、純銅は3Dプリンターの熱源の近赤外レーザーをほとんど吸収せず、さらに熱伝導率が高く熱が逃げやすいため、高密度造形には高出力レーザーを採用した金属3Dプリンターを必要としていた。また、純銅粉の代替として銅合金粉を用いた場合、造形後に電気伝導率を向上させる熱処理を施しても、純銅に比べて9割以下の電気伝導率しか得られず、熱処理のための設備投資や工程数増加によりコストが上昇することが課題となっていた。
 そこで、同社は出資先企業のAlloyed社と共同で本製品を開発した。本製品は造形性を向上させる独自の表面処理が施されており、L-PBFの金属3Dプリンターで一般的な出力である400~500Wの近赤外レーザーを使用して高密度の造形に成功し、純銅と同等の電気伝導率を持つ造形物の作製を可能にした。今後は本製品のサンプル提供を順次開始し拡販を推進していくとしている。

◆コンパウンド:積水化学工業がタイに塩素化塩ビ樹脂(CPVC)コンパウンド第2工場を新設(11月11日)
 積水化学工業の環境・ライフラインカンパニーは、タイの連結子会社である、SEKISUI SPECIALTY CHEMICALS (THAILAND) (以下、SSCT)のタイ東南部マプタプットのヘマラートイースタン工業団地内にある工場敷地内に第2工場を新設することを発表した。
 積水化学では、SSCTにおいて塩素化塩ビ樹脂(以下、CPVC)をコンパウンド化し、「Durastream(デュラストリーム)」ブランドとして、樹脂配管などを成型する海外メーカーに販売をしている。CPVCは、塩素を付加した特殊な塩化ビニル樹脂で、主に耐熱性が必要とされる、給湯管用、スプリンクラー用などの配管材の原料に用いられている。
 近年、インドをはじめとする各国で耐熱性樹脂配管材の需要が高まってきており、今後も堅調な伸びが期待できることから、SSCTに第2工場を新設し、CPVCコンパウンドの生産能力を1.6倍強に増強する。第2工場の稼働開始は、2025年度下期の予定としている。

◆バイオマス:東レとGC社(タイ)が非可食バイオマス由来ナイロン原料の量産技術の検討を開始(11月11日)
 東レは、タイの大手石油化学会社であるPTT Global Chemical Public社(以下、GC社)と、非可食バイオマスを原料としたアジピン酸(以下、バイオアジピン酸)の量産技術の開発に関する覚書(MOU)を2024年11月に締結したと発表した。
 東レとGC社は、2023年から非可食バイオマス由来の糖を原料とし、ナイロン66の原料となるムコン酸とバイオアジピン酸を製造する技術開発を共同で行い、世界で初めてパイロットスケールでの製造に成功した。
 本製造技術では、GC社は、独自の発酵技術により、非可食糖を短時間でムコン酸に高収率で変換する。さらに、東レは、独自の水素化処理プロセスにより、ムコン酸から高純度のバイオアジピン酸を高収率で製造する。得られたバイオアジピン酸は、石油由来のアジピン酸と同様に、ナイロン66の原料として樹脂・繊維などに利用することが可能である。
 今後、東レとGC社は共同でタイおよび日本にて商業化に向けた実現可能性調査を進め、事業性があると判断した場合、2030年までに数千トン規模のムコン酸およびバイオアジピン酸の商業化を目指す。将来的には、タイで農業残渣を利用して、数万トン規模でバイオアジピン酸を製造するサプライチェーンを構築するとともに、環境配慮型のナイロン66の製造に繋げるとしている。

◆半導体関連:三菱ケミカルグループの新菱が福島工場の新設と岩手工場の増強を決定(11月11日)
 三菱ケミカルグループの新菱は、半導体精密洗浄事業において、福島工場を新設し、岩手工場を増強することで、半導体製造装置などのパーツ洗浄の能力を拡大することを発表した。ともに2026年10月の稼働を予定している。
 半導体精密洗浄事業では、半導体製造装置メーカーや半導体デバイスメーカーに対して、パーツ洗浄サービスを提供している。同社グループの精密洗浄技術は、パーティクル(塵、埃)や金属不純物などナノ単位の汚れをきめ細かく除去し、必要に応じてパーツの表面を改質することで、半導体製造の歩留りを向上させ、廃棄パーツの削減および環境負荷低減に貢献している。また、使用済みパーツだけでなく新品パーツも洗浄することで、半導体製造装置の初期稼働不良の低減にも貢献するとしている。
 
◆価格改定
・日本軽金属が水酸化アルミニウム、アルミナ製品を2025年1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、水酸化アルミニウム製品:20円/kg以上
 アルミナ各種製品:30円/kg以上
・レゾナックがアンモニアおよび関連製品を2025年1月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、液化アンモニア:20円/kg以上
 液化アンモニア(ボンベ):30円/kg以上
 アンモニア水(25%濃度):5円/kg以上

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