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2024年11月28日

2024.11.28 発行

HEADLINE

◆樹脂関連:ADEKAが透明化剤「トランスパレックス」を米国、アジア圏中心に販売を開始(11月22日)
◆研究開発:三井化学が研究開発拠点「クリエイティブインテグレーションラボ」の竣工式を開催(11月21日)
◆リサイクル:三井化学グループが高純度リンマテリアルの循環利用の技術開発に着手(11月21日)
◆電子材料:日本曹達とKyuluxが有機EL発光材料の量産体制構築に向け資本業務提携契約を締結(11月20日)
◆電子材料:住友化学がNEDOの「パワーエレクトロニクス用大口径GaN on GaNウエハの開発」に関する事業を受託
 (11月20日)
◆電池材料:ADEKAがSPANと樹脂箔を用いた軽量リチウム-硫黄二次電池の試作・実証に成功(11月20日)
◆電池材料:三井金属がレアメタル新溶液材料「iconos」を活用したリチウムイオン電池材料を開発(11月19日)
◆電子材料:住友ベークライトが先端半導体向けPanel Level Package(PLP)に対応した圧縮成形用封止樹脂(顆粒材料)
 を量産化(11月19日)
◆電子材料:日本電気硝子がビアメカニクスと共同開発契約を締結(11月19日)
◆アンモニア:東洋エンジニアリングがインドネシアにおけるグリーンアンモニア事業に関しPIHC社、伊藤忠と合弁企業設立
 に向けた株主間契約を締結(11月19日)
◆リサイクル:住友電気工業がディーピーエスとフレキシブルプリント回路製造時の排水からレアメタルの回収事業に関する
 契約を締結(11月19日)
◆電池材料:旭化成バッテリーセパレータがカナダで湿式セパレータ新工場の起工式を開催(11月18日)
◆フィルム:サンエー化研がレゾナックから表面保護フィルム事業を譲受(11月18日)
  
  

WEEKLY NEWS

◆樹脂関連:ADEKAが透明化剤「トランスパレックス」を米国、アジア圏中心に販売を開始(11月22日)
 ADEKAは、樹脂添加剤の新ブランドとして透明化剤「トランスパレックス」を立ち上げ、2024年11月から米国、アジア圏を中心に販売を開始したことを発表した。
 トランスパレックスは、ポリプロピレン(以下、PP)に少量添加することで世界最高の透明性を実現する。食品容器、医療器具や化粧品ボトルなどをはじめ、様々な市場の要望に応えることができる、今までにない透明化剤である。
 PPは、一般的な透明樹脂であるポリスチレン(以下、PS)やPETに比べて透明性が低いプラスチックであるが、トランスパレックスを添加することでPPの結晶構造を微細化し、PSやPETに匹敵する透明性を実現する。
 PPは、カーボンフットプリントの削減や耐熱性・耐薬品性などの機能的なメリットを出せるプラスチックであり、これに透明性をプラスすることでPSやPETからPPへのシフトを加速していく。
 ADEKAグループは、トランスパレックスの市場投入により、2030年までに同製品を含む透明化剤全体の連結売上高で300億円超を目指すとしている

◆研究開発:三井化学が研究開発拠点「クリエイティブインテグレーションラボ」の竣工式を開催(11月21日)
 三井化学は、名古屋工場内に新たな研究開発拠点となるクリエイティブインテグレーションラボ(以下、CIL)を建設したと発表した。
 CILは、顧客と研究者のコミュニケーションを促進し、共創に取り組む場となる共創棟(ATTA)と、クリーンルームや様々な試験設備を集約したICTテストフィールド(DELA)の2棟からなる。CILでは、半導体・実装関連の研究部門が連携し、顧客との共創によるソリューション提案力を強化するとともに、関連研究部門の一体運営による問題解決能力向上、および人材の育成を推進するとしている。

◆リサイクル:三井化学グループが高純度リンマテリアルの循環利用の技術開発に着手(11月21日)
 三井化学と子会社の下関三井化学は、国内の未利用リン資源から回収したリン酸を高純度リンマテリアルへと高付加価値化し、循環利用を可能とするために必要な技術開発に着手したことを発表した。
 これは、NEDOが公募した「NEDO先導研究プログラム/新産業・革新技術創出に向けた先導研究プログラム」に、産業技術総合研究所、米山化学工業、佐賀大学とともに共同提案し採択され、進めているものである。
 高純度リンマテリアルは、EV電池や半導体、再生エネルギー発電蓄電池など、脱炭素産業社会の形成に欠かせない材料である。これらは、リン鉱石から作られる「黄リン」を共通の原料として製造されているが、その生産には未だに19世紀後半に開発された手法が用いられており、環境に大きな負荷を与えているという課題がある。また、日本で使われるリン鉱石および黄リンは、海外輸入に100%依存しているのが現状であり、リン資源の安定供給には経済安全保障上のリスクもあることから、リンは特定重要物資に指定されている。
 本研究では、国内製造業分野などで発生するリン含有廃棄物および副産物を高純度リンマテリアルへと高付加価値化させ、回収リンを原子および分子のレベルで精製し、循環利用を可能とする技術の確立を目指すとしている。

◆電子材料:日本曹達とKyuluxが有機EL発光材料の量産体制構築に向け資本業務提携契約を締結(11月20日)
 日本曹達とKyuluxは、次世代有機EL発光材料である熱活性化遅延蛍光材料(以下、TADF:Thermally Activated Delayed Fluorescence)に関する量産体制構築に向け資本業務提携契約を締結したと発表した。
 TADFは、有機EL分子が熱エネルギーの助けを受けて放出する、熱活性化遅延蛍光と呼ばれる第3世代有機EL発光材料である。TADFは内部量子効率が極めて高く、現在の有機EL材料技術に不可欠なレアメタルが不要なことから、低コスト化、高効率化の切り札とされている。
 Kyuluxは九州大学発のスタートアップ企業で、同社が開発するTADFは、レアメタルを一切使用しない環境負荷低減型の新規材料である。このTADFをアシストドーパントとして活用した有機EL発光技術Hyperfluorescencは高効率、高色純度および長寿命、低コストを同時に実現する究極の発光技術として、今後さらなる事業拡大が期待されている。
 今後、日本曹達はKyuluxに資本参加するとともに、量産体制確立に向けたプロセス開発ならびに設備投資を行い、Kyuluxは日本曹達の量産体制構築を技術面から支援することで、世界初となるTADFの量産と安定した供給体制を実現していくとしている。

◆電子材料:住友化学がNEDOの「パワーエレクトロニクス用大口径GaN on GaNウエハの開発」に関する事業を受託(11月20日)
 住友化学は、NEDOによる2024年度「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」において、「パワーエレクトロニクス用大口径GaN on GaNウエハの開発」に関する事業の採択を受けたことを発表した。
 GaN on GaNウエハは、省エネ性や高耐圧・大電流動作の点で他半導体材料より優れると言われており、電力インフラやデータセンターサーバー、電気自動車向け用途などパワーエレクトロニクス用半導体分野での活用が期待されている。
 しかし、同ウエハをパワーエレクトロニクス用途へ展開するには、デバイスメーカーのプロセスに適合するサイズへの大口径化が不可欠となっている。同社は本プログラムを通して、GaN基板と成長層それぞれに対する技術改良を行うことで、パワーデバイス向け6インチGaN on GaNウエハの量産化技術の確立を目指すとしている。

◆電池材料:ADEKAがSPANと樹脂箔を用いた軽量リチウム-硫黄二次電池の試作・実証に成功(11月20日)
 ADEKAは、うるたま社とともに世界で初めて、同社で開発中の次世代二次電池向け正極材「SPAN」と樹脂箔から構成される正極を用いた軽量二次電池「軽量Li–SPAN/樹脂箔パウチセル」の試作に成功したことを発表した。
 現在、クルマや飛行体、モバイル機器などに搭載されるリチウムイオン二次電池(以降、LIB)は、その重量や寿命、安全性が課題となっており、次世代二次電池の研究開発が進められている。
 なかでも、リチウム-硫黄二次電池は、正極にレアメタルを使用せず、世の中にありふれた硫黄を使用することから、サステナブルで軽い電池として、その研究開発の動向が注視されている。
 今回試作した「軽量Li–SPAN/樹脂箔パウチセル」は、重量エネルギー密度が最大で552Wh/kgに達し、現行LIBの値を大きく上回った。さらに、満充電状態の試作セル(500Wh/kg級)に鉄釘を刺しても発煙・発火が起こらないことを実証した。
 ADEKAでは現在、次世代二次電池向け正極活物質「SPAN」の量産化を相馬工場(群馬県)で進めている段階にあり、今後はリチウム-硫黄二次電池の実用化、電池材料分野の早期事業化を目指していくとしている。

◆電池材料:三井金属がレアメタル新溶液材料「iconos」を活用したリチウムイオン電池材料を開発(11月19日)
 三井金属は、レアメタル新溶液「iconos」を活用した電池材料開発において、リチウムイオン電池で長年実用化の課題であった高電位領域でのマンガン溶出やガス発生を克服したマンガン系正極材料(LiNi0.5Mn1.5O4/LiMn2O4)の開発に成功したことを発表した。
 マンガン系正極材料であるニッケルマンガン酸リチウム(LNMO)は、高電位領域における電解液との副反応により、正極成分からマンガン溶出やガス発生の懸念があり、実用化への大きな障壁となっていた。
 そこで、独自の溶解技術により難溶性というハードルを克服した新溶液材料シリーズ「iconos」を活用し、自社が保有している次世代ニッケルマンガン酸リチウム正極材料への応用を検討してきた。様々な被覆材料を検討した結果、P-Taを被覆することで技術課題を克服したニッケルマンガン酸リチウム正極材料を開発した。
 この新しい正極材料により、これまでマンガン溶出が起因で実用化が困難であった用途や、入出力特性が必要とされるアプリケーションへの展開が期待できる。なお、本技術はLiMn2O4正極材料においても効果を認めており、今後は新たな電池用「iconos」の開発および全固体電池材料への応用展開を加速させていくとしている。

◆電子材料:住友ベークライトが先端半導体向けPanel Level Package(PLP)に対応した圧縮成形用封止樹脂(顆粒材料)を量産化(11月19日)
 住友ベークライトは、パネルレベルパッケージ(以下、PLP)に対応した圧縮成形用エポキシ樹脂封止材料を製品化し、量産販売を開始したことを発表した。
 PLPは、一回の成形でより多くの半導体パッケージを一括製造可能なことからウェハーレベルパッケージ(WLP)よりも生産性が高く製造コストの面で有利とされている。一方で、パネルのさらなる大型化に伴い、実装後の反りやパネル内の成形厚みのばらつきなどの品質面の課題克服が必要であった。
 今回、封止材のフィラーサイズ及び樹脂粘度を最適化することにより、成形後のパネルの反りを低減した圧縮成形用封止樹脂(顆粒材)を製品化し、600×600mmサイズの大型パネルでも均一な成形が可能となった。また、これまで多く使用されてきた液状封止樹脂に比べ、同社の顆粒樹脂は成形前の樹脂撒き特性の向上や成形後のパネル反りおよび個片化後のパッケージ反りも低減でき、顧客の生産性向上に寄与する。
 同社は、今後も市場拡大が見込まれるAI半導体向けなど2.5/3Dの先端半導体を製造する国内外の顧客に向けてサンプル出荷を開始しており、AI半導体の大型化に伴うPLP工法への材料開発を推進していくとしている。

◆電子材料:日本電気硝子がビアメカニクスと共同開発契約を締結(11月19日)
 日本電気硝子は、ビアメカニクス社とガラスおよびガラスセラミックス製半導体パッケージ用無機コア基板の開発加速に向けた共同開発契約を締結したと発表した。
 現在の半導体パッケージでは、コア基板としてガラスエポキシ基板などの有機材料ベースの基板が主流となっている。今後さらなる需要が期待される生成AI向けなどハイエンドの半導体パッケージにおいては、コア基板上の回路や微細加工穴(ビア)にさらなる微細化や高密度化、高速伝送が可能な電気特性が求められており、代替の素材としてガラスが注目されている。
 一方、一般的なガラス基板はCO2レーザーによる穴あけを行うと、クラック(割れ目)が入りやすく、基板が破損する可能性が高まるため、レーザー改質とエッチングを用いたビア形成が必要だが、加工難易度の高さや加工時間の長さが課題となっている。
 同社は今後、CO2レーザーによるビア形成を可能にするべく、同社が長年培ってきたガラスやガラスセラミックスのノウハウとビアメカニクス社のレーザー加工技術を融合するため、ビアメカニクスとの共同開発契約を締結するとともに、ビアメカニクスのレーザー加工装置を導入し、無機コア基板の早期開発を目指すとしている。

◆アンモニア:東洋エンジニアリングがインドネシアにおけるグリーンアンモニア事業に関しPIHC社、伊藤忠と合弁企業設立に向けた株主間契約を締結(11月19日)
 東洋エンジニアリング(TOYO)は、インドネシア・アチェにおいてPupuk Indonesia Holding Company(以下、PIHC社)および伊藤忠商事とPIHC社傘下のPupuk Iskandar Muda(以下、PIM社)保有の既設アンモニアプラントに水電解装置を併設し、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を供給してグリーンアンモニアを製造する事業の合弁企業設立に向けた株主間契約書(以下、SHA)を締結したことを発表した。
 本プロジェクトでは、TOYOが2000年代に設計・建設し、PIM社がアチェ州の経済特区にて保有・運転する既存プラントの製造能力の一部を活かし、グリーンアンモニアを製造する。このグリーンアンモニアを伊藤忠商事が船舶燃料として調達することで、一連のバリューチェーンの構築を目指す。将来的には、PIHC社傘下の他既設プラントも同様の仕組みを横展開することを視野に入れている。
 既に2024年8月より基本設計を開始し、今回のSHAに基づき2024年度内には3社で合弁企業を設立、2025年前半の最終投資決定、2027年頃の生産開始を目指すとしている。

◆リサイクル:住友電気工業がディーピーエスとフレキシブルプリント回路製造時の排水からレアメタルの回収事業に関する契約を締結(11月19日)
 住友電気工業は、ディーピーエス(以下、DPS)と、フレキシブルプリント回路(以下、FPC)製造工程で使用される希少金属(レアメタル)の回収事業に関する契約を締結したことを発表した。
 FPCの製造工程では、多くのめっき処理が行われている。めっき処理を効率よく行うための触媒として、レアメタルであるパラジウムが多く使用されており、FPC表面に付着したパラジウムを含む薬液を洗浄工程にて洗い流す際に、従来は微量のパラジウムが回収できず洗浄排水として処理されている事が課題となっていた。
 以前からDPSより住友電気工業ベトナムのFPC製造拠点に対し、DPSの独自構造のシリカゲル「DualPore(デュアルポア)」の応用によって超低濃度で排水に含まれたパラジウムを吸着・回収する技術提案を受け、検証の結果、今回採用を決定した。
 また、回収されたパラジウムを日本国内の金属精錬業者に売却するスキームを確立することで、原価低減を推進するとともに、レアメタルであるパラジウムの国際資源循環や採掘・精錬に伴う環境負荷低減に貢献することが可能になるとしている。

◆電池材料:旭化成バッテリーセパレータがカナダで湿式セパレータ新工場の起工式を開催(11月18日)
 旭化成は、リチウムイオン電池(LIB)用湿式セパレータ「ハイポア」事業を承継した完全子会社である旭化成バッテリーセパレータが、カナダ・オンタリオ州において、「ハイポア」の製膜・塗工一貫工場の起工式を行ったことを発表した。
 新工場は旭化成と本田技研工業による合弁会社により運営される予定である。新工場の「ハイポア」塗工膜の生産能力は年間約7億m2であり、2027年に商業生産を開始する予定としている。

◆フィルム:サンエー化研がレゾナックから表面保護フィルム事業を譲受(11月18日)
 サンエー化研は、レゾナックと事業譲渡契約を締結し、同社の表面保護フィルム事業を譲り受けたことを発表した。
 本事業は、レゾナックが旧日立化成社時代から長きに亘り展開してきた事業であり、取り扱う製品は、半導体リードフレームめっき保護用途をはじめ、車載用、センサー用、深絞り加工用など様々な特殊用途に対応している。
 サンエー化研は、高い技術力に裏打ちされた製品群を数多く有する本事業を譲り受けることで、今まで参入していなかった新たな業界への販路拡大が実現する。また、この技術ノウハウを取得することで既存分野を含む製品開発力の向上が期待でき、今後の成長に繋がるものとしている。

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