メールマガジン

2024年12月12日

2024.12.12 発行

HEADLINE

◆電子材料:アキレスがガラス基板への高密着めっき形成技術を開発(12月6日)
◆溶剤:KHネオケムが四日市工場における一部溶剤の生産・販売終了を発表(12月6日)
◆電子材料:富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズが熊本拠点における先端半導体材料CMPスラリーの生産能力を強化
 (12月5日)
◆CO2利用:旭化成がCO2を主原料とする高純度カーボネート類製造技術のライセンスプラントを稼働(12月5日)
◆CO2対策:千代田化工建設が石油資源開発より東新潟エリアにおけるCO2圧入設備建設に係る基本設計業務を受注
 (12月5日)
◆電子材料:日本電気硝子がCO2レーザー加工対応ガラスコア基板の開発に着手(12月4日)
◆ウレタン関連:東ソーがHDI誘導品の生産能力を増強(12月3日)
◆リサイクル:日本板硝子がガラス端材を活用しCO2排出量を削減するリサイクル光輝材を開発(12月3日)
◆電子材料:レゾナックが先端半導体パッケージ向け新規感光性フィルムを開発(12月2日)
◆バイオマス:デンカが環境配慮型素材の「バイオマス BOPS」を上市(12月2日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの12月の契約価格を改定
・DICが顔料製品を2025年1月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:アキレスがガラス基板への高密着めっき形成技術を開発(12月6日)
 アキレスは、同社独自のポリピロールめっき法を用いて、ガラス基板への高密着めっき形成を可能にする技術を新たに開発したと発表した。
 同社は導電性高分子であるポリピロールを用いた独自のめっき技術を開発し、様々な難めっき素材に対応する密着性の高いめっき技術を提供してきた。また、ポリピロールめっき法に関連する特許を取得し、約50件を権利化している。
 これまでガラス基板に密着性の高いめっき膜を形成することは難易度が高いとされていたが、同社はこのポリピロールめっき法を用い、低温・常圧のプロセスで密着性の高いめっき膜をガラス基板に形成する技術を新たに開発した。
 半導体の微細化・高集積化が進む中で、半導体パッケージ基板の新たな材料としてガラスが注目されている。同社は今回開発した新技術について微細配線形成に関する研究開発をさらに進めるとともに量産技術の確立を図り、次世代半導体の製造分野における利用を図るとしている。

◆溶剤:KHネオケムが四日市工場における一部溶剤の生産・販売終了を発表(12月6日)
 KHネオケムは、四日市工場で生産している一部の溶剤について、2025年12月をめどに生産・販売を終了することを決定したと発表した。
 生産・販売終了を決定した溶剤は、MIBK、DIBK、ダイアセトンアルコール、ブチセルアセテート、ブチセノール20アセテートであり、主に塗料やインキの原料として用いられている。生産終了の要因は、需要回復の遅れに加え、原燃料価格の高騰や製造固定費が増加するなど、中長期にわたり事業を維持するための収益確保が困難になったためとしている。

◆電子材料:富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズが熊本拠点における先端半導体材料CMPスラリーの生産能力を強化(12月5日)
 富士フィルムの半導体材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズは、半導体材料事業をさらに拡大するため、熊本県菊陽町に立地する生産拠点に先端半導体材料であるCMPスラリーの生産設備を増強することを発表した。
 5G/6Gによる通信の高速・大容量化、自動運転の拡大、AIやメタバースの普及などにより、半導体のさらなる需要拡大と高性能化が見込まれている。このような中、半導体製造プロセスで使用する半導体材料では、より高品質・高性能な製品をグローバルで安定的に供給することがますます重要となっている。
CMPスラリーは、硬さの異なる配線や絶縁膜が混在する半導体表面を均一に平坦化する研磨剤で、年率13%の高い成長性が見込まれている。今回の投資規模は約20億円で、生産能力は約3割拡大する。稼働開始時期は2025年1月の予定としている。

◆CO2利用:旭化成がCO2を主原料とする高純度カーボネート類製造技術のライセンスプラントを稼働(12月5日)
 旭化成は、高純度エチレンカーボネート(以下、EC)および高純度ジメチルカーボネート(以下、DMC)を技術ライセンスしたJiangsu Sailboat Petrochemical(以下、Sailboat)の新プラントが、2024年11月に中国・江蘇省で商業運転を開始したことを発表した。
 旭化成とSailboatは、年間10.8万トンの高純度ECおよび高純度DMC製造技術のライセンス契約を2021年9月に締結し、共同でプラントの設計・建設、試運転を進めてきた。このプラントは年間5.4万トンのCO2を原料として消費する。
 これらの高純度カーボネートは、EV用リチウムイオン電池の電解液溶剤に用いられており、CO2を主原料とする大型高純度カーボネート類生産技術の確立とこの工場の稼働は、CO2を化学製品の原料として消費する機会を大きく広げることができるとしている。

◆CO2対策:千代田化工建設が石油資源開発より東新潟エリアにおけるCO2圧入設備建設に係る基本設計業務を受注(12月5日)
 千代田化工建設は、石油資源開発より東新潟CCS_CO2圧入設備建設に係る基本設計業務を受注したことを発表した。
 本業務は、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する委託公募において、石油資源開発、三菱ガス化学、東北電力、北越コーポレーションの4社が共同で受託した令和6年度の東新潟地域におけるCCS事業に係る設計作業等に関連するものである。
 石油資源開発より千代田化工建設がCO2圧入設備建設に係る基本設計業務を受託するものであり、昨年度において千代田化工建設が石油資源開発から受託したCCS圧入設備概念設計検討業務に引き続き、今年度はCO2圧入設備に関連する設計の精緻化を行う計画である。
 千代田化工建設は各事業者から排出されたCO2を圧入井の入り口まで圧送するための設備等を設計し、設備の実装に向けて協力を行っていくとしている。

◆電子材料:日本電気硝子がCO2レーザー加工対応ガラスコア基板の開発に着手(12月4日)
 日本電気硝子は、汎用性が高いCO2レーザーで穴あけ加工ができる新型ガラスコア基板の開発に着手したと発表した。
 近年、AI半導体の高性能化に伴い、チップレット構造の採用が進み、搭載するダイの大型化とダイ数の増加が進んでいる。これに伴い、半導体のチップとマザーボードを接続するためのコア基板の大型化需要が高まっているが、現在主流の樹脂製基板では、大型化に伴う寸法安定性、熱膨張係数、剛性、放熱性能といった課題があり、次世代の高性能・高密度アプリケーションへの対応が困難とされ、これらの課題を解決する素材としてガラスが注目されている。しかし、ガラス製のコア基板における微細貫通(ビア)の形成には、レーザーによる改質と酸やアルカリによるエッチングを組み合わせた複雑な工程が必要となり、技術的な難易度、加工時間及び設備投資の面で課題があった。
 現在開発を進めているガラスコア基板は、汎用性の高いCO2レーザーで微細貫通穴(ビア)の加工が可能で、上記の課題を克服する革新的な技術となる。ガラスの組成とレーザー加工条件の最適化により、一部の穴形状においてはクラックレスの穴あけに成功しており、様々な穴形状への展開も目指して開発を継続している。また、2025年内に515×510mmサイズへの大型化を目指し開発を推進していく。開発が完了次第、このガラスコア基板をガラスコア事業のラインナップに加え、顧客の幅広いニーズに対応していく予定としている。

◆ウレタン関連:東ソーがHDI誘導品の生産能力を増強(12月3日)
 東ソーは、南陽事業所(山口県)において、ヘキサメチレンジイソシアネート誘導品(商品名:コロネート、以下HDI誘導品)の生産能力増強を決定したことを発表した。
 本計画の対象設備はHDI誘導品製造設備であり、増強後の生産能力は現有能力比50%増の年間3万トン、投資額は約60億円である。工事着工は2025年5月、増強後の商業運転開始は2026年8月以降を予定している。
 HDI誘導品は、同社のスペシャリティ事業を構成する機能性ウレタン製品で、耐黄変性や耐候性に優れた塗料硬化剤として、主に自動車や建築外装塗料等に広く用いられている。先進国の安定した需要と新興国におけるモータリゼーションの進展、およびインフラ投資等の増加により塗料市場は拡大しており、更なる成長も見込まれている。
 同社は、本計画によりHDI誘導品の安定供給を図るとともに、伸長する需要に対応し今後も更なる事業規模の拡大と収益力の強化を図っていくとしている。

◆リサイクル:日本板硝子がガラス端材を活用しCO2排出量を削減するリサイクル光輝材を開発(12月3日)
 日本板硝子は、同社舞鶴事業所で、フロート板ガラス製造時に発生するガラスの端材(以下、ガラスカレット)を活用して、産業用光輝材の原料となるフレーク状ガラスの製造に成功したことを発表した。
 同社はこれまで、産業用および化粧品向けの光輝材として、独自に開発したオリジナルガラス組成を基材に用いた「METASHINE」シリーズを販売してきた。昨今、産業用同製品を取り扱うサプライチェーンにおいて、よりエネルギー負荷の低い素材へのニーズが高まっているため、同社は、産業用リサイクル光輝材「METASHINE ECO」を開発した。
 通常、フロート板ガラス製造工程で発生するガラスカレットは、製品の品質に影響を与えない、同一組成のものが同工程の原料として再利用されているが、組成の異なる品種切り替えの際に発生するガラスカレットについては、その有効活用に課題があった。今回開発したMETASHINE ECOは、こうした再利用が困難と思われてきたガラスカレットを原料として活用している。
 今後、同社は表面処理プロセスの量産化技術の確立を進め、リサイクル光輝材「METASHINE ECO」として2026年の上市を目指すとしている。

◆電子材料:レゾナックが先端半導体パッケージ向け新規感光性フィルムを開発(12月2日)
 レゾナックは、AI用など先端半導体の製造に使用する、高解像度の感光性フィルムを新たに開発したことを発表した。
 半導体はチップ回路を微細化してより多くの機能を1チップ上に集積させ、複雑な計算処理を高速に行えるように進化してきた。近年では、複数のチップをインターポーザー上で相互接続させ、高機能と高速処理を両立するチップレット技術をはじめ、パッケージ技術が進化を続けている。
 現在のインターポーザーはウェハで製造されているが、チップ数が増えるとインターポーザーの面積を大きくする必要があるため、歩留まりなどの課題がある。そこでインターポーザーを有機材料と銅めっきにより、1辺が約500~600mmのパネルで製造する、有機インターポーザーが注目されている。同社が開発した新規感光性フィルムは、有機インターポーザー向けとして線幅/間隔それぞれ解像度1.5 μmを実現した。製品形態はパネルでの製造プロセスに適したフィルムタイプとしている。先端パッケージの有機インターポーザーにおいて、線幅と配線間隔が各1.5μmの微細な銅回路を形成できるとしている。

◆バイオマス:デンカが環境配慮型素材の「バイオマス BOPS」を上市(12月2日)
 デンカは、バイオマス由来の原料を配合した、地球にやさしいサステナブルポリスチレンシート「バイオマス BOPS」を上市したことを発表した。本製品は、ファミリーマートで販売されている一部デザートの容器に採用された。
 デンカグループは、経営計画の中でスチレン系材料のサーキュラーエコノミー推進を、取り組むべき施策の一つと位置付けている。その一環として、既にリサイクル原料やバイオマスなどの持続可能な原料を用いた製品をサプライチェーン上で管理・担保する国際的な認証制度「ISCC PLUS 認証」を取得している。
 今回の「バイオマス BOPS」は、マスバランス方式による初のバイオマス製品になるとしている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの12月の契約価格を改定
 12月契約価格は、910$/t(前月比▲5$/t)
 国内価格換算想定値は142.7円/kg
・DICが顔料製品を2025年1月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、5~10%
 但し、一部の製品は改定幅が異なるため個別対応致

TOPへ戻る