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2024年12月26日

2024.12.26 発行

HEADLINE

◆電池材料:三菱ケミカルグループが香川における車載用途リチウムイオン電池向け負極材の生産能力を増強(12月20日)
◆電池材料:三井金属鉱業が全固体電池向け硫化物固体電解質の量産開発技術が経済産業省の「蓄電池に係る供給確保計画」
 として認定(12月20日)
◆リサイクル:UBEが欧州子会社によるリサイクルプラスチック製造会社の買収を発表(12月20日)
◆電子材料:三菱ケミカルが九州事業所における半導体向け合成石英粉の生産能力を増強(12月19日)
◆非鉄金属:住友金属鉱山が日向製錬所でニッケルマット生産のための設備投資を決定(12月19日)
◆洗浄剤:旭化成がプラスチック成形機用洗浄剤「アサクリン」の新シリーズを販売開始(12月16日)
◆非鉄金属:住友化学がブラジルにおけるアルミ製錬企業の株式売却ならびにアルミ地金事業からの撤退を発表(12月19日)
◆樹脂関連:住友化学が中国ポリプロピレンコンパウンド事業会社2社の株式を譲渡(12月18日)
◆潤滑油:ENEOSがカーボンニュートラル実現に貢献するエンジンオイルを開発(12月18日)
◆CO2分離膜:東レがオールカーボンCO2分離膜の量産技術構築に向けパイロット設備を導入(12月16日)
◆電子材料:東レが高耐熱性150℃対応の高耐電圧コンデンサ用フィルムを創出(12月16日)
◆CO2分離回収:千代田化工建設が出光興産より北海道製油所CO2分離回収設備設置FEED業務を受注(12月16日)
  
  

WEEKLY NEWS 

◆電池材料:三菱ケミカルグループが香川における車載用途リチウムイオン電池向け負極材の生産能力を増強(12月20日)
 三菱ケミカルグループは、電気自動車(EV)を中心とした車載用途のリチウムイオン電池向け負極材について、香川事業所で生産能力を増強することを決定したと発表した。
 負極材はリチウムイオン電池を構成する主な材料の1つであり、天然系黒鉛または人造系黒鉛を原料としている。同社グループは、製造工程でのGHG排出量が少なく、ライフサイクルアセスメントの観点で優位性がある天然系黒鉛を原料とした製品に強みを持っている。さらに独自開発の新技術により、天然系黒鉛の課題であった電池寿命に影響する膨張を抑制し、人造系黒鉛の性能を上回るグレードを開発した。
 今後、香川事業所の生産能力を11,000トン/年に増強し、2026年10月に稼働する予定としている。

◆電池材料:三井金属鉱業が全固体電池向け硫化物固体電解質の量産開発技術が経済産業省の「蓄電池に係る供給確保計画」として認定(12月20日)
 三井金属鉱業は、全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD」の量産技術開発が経済産業省の「蓄電池に係る供給確保計画」として認定されたことを発表した。
 全固体電池は、電気自動車をはじめとした幅広い用途で開発が進んでいるが、同社は硫化物固体電解質ASOLiDをそのキー・マテリアルと位置づけており、全固体電池の実用化に向けた取り組みを進めている。全固体電池の開発競争が活発化する中、同社の固体電解質は複数のユーザー間において開発標準材料として位置づけられ、更なる需要が見込まれている。
 同社は、当該計画に従った取り組みにより、固体電解質需要に対応する生産能力を具備するための基盤技術を確立するとともに、将来的な日本の全固体電池サプライチェーン構築に貢献する。同社の当該計画の投資金額は約198億円、助成金額は最大で約99億円である。助成対象事業終了までに市場環境を鑑み、蓄電池3GWh/年相当以上の規模の量産設備投資の判断を行うとしている。

◆リサイクル:UBEが欧州子会社によるリサイクルプラスチック製造会社の買収を発表(12月20日)
 UBEの連結子会社であるUBE Corporation Europe(以下、UCE)は、スペインのリサイクルプラスチック製造会社Manufacturas Paulowsky(以下、Paulowsky)の買収を決定したと発表した。
 Paulowskyはスペインのバレンシア州に拠点を置き、最先端技術を用いてポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)をはじめとする高品質のリサイクルプラスチックを生産しており、RecyClassなど、第三者機関によって認証されている。 Paulowskyが生産するリサイクルプラスチックはポストコンシューマーリサイクル(PCR)品としては欧州トップクラスの品質であり、産業用途や民生用途で幅広く使用されている。
 欧州では、欧州指令2019/904、包装及び包装廃棄物規制(PPWR)、廃自動車(ELV)に関する欧州指令2000/53/ECなど新たなリサイクル関連規制を背景に、各種分野においてプラスチックの循環型素材に対する需要が高まっている。
 UCEでは、包装材料やモビリティ、漁業、農業といったさまざまな用途で用いられるプラスチックを生産しており、今回の買収により市場からの需要と今後の環境規制に対応し、サーキュラーエコノミーへの取り組みを推進するとしている。

◆電子材料:三菱ケミカルが九州事業所における半導体向け合成石英粉の生産能力を増強(12月19日)
 三菱ケミカルグループは、半導体製造工程で使用される合成石英粉「三菱合成石英」について、九州事業所・福岡地区の生産能力の増強を決定したことを発表した。
 同製品は、超高純度を特長とする合成石英粉であり、半導体用シリコン(インゴット)の製造に使用する「石英るつぼ」や半導体製造装置内の高純度石英パーツの原料として使用されている。半導体市場の継続的な成長に伴う需要に応えるため、現状の生産能力から35%増強させ、2028年9月に稼働する予定としている。

◆非鉄金属:住友金属鉱山が日向製錬所でニッケルマット生産のための設備投資を決定(12月19日)
 住友金属鉱山とその子会社である日向製錬所は、同製錬所においてフェロニッケルなどから「ニッケルマット」と呼ばれるニッケル原料を生産するための設備投資を実施することを発表した。
 日向製錬所は、現在フェロニッケルを生産し、主にステンレス鋼メーカーに販売している。住友金属鉱山は、ニッケル地金や電池材料等の生産に必要な原料(ニッケルマット、ニッケルコバルト硫化混合物等)を、海外子会社等から輸入しているが、同設備投資完了後は、新たな原料として日向製錬所製のニッケルマットの調達も可能になる。
 住友金属鉱山は、長期ビジョンのターゲットの 1 つとして「ニッケル生産量15万トン/年」を掲げており、今後もニッケルの安定供給を実現するサプライチェーンの構築に努める。
 生産設備の導入は2025年に着工し、2027年度中に完工の予定としている。

◆洗浄剤:旭化成がプラスチック成形機用洗浄剤「アサクリン」の新シリーズを販売開始(12月16日)
 旭化成は、プラスチック成形機用洗浄剤「アサクリン」の新シリーズに、3グレードをラインアップし、Rシリーズとして日本国内向けに販売を開始したことを発表した。
 アサクリンは、プラスチック成形の現場で使用される成形機内部のスクリューやダイなどに残った汚れや樹脂を効率的に洗浄するプラスチック成形機用洗浄剤(パージ剤)である。
 今回、販売を開始するRシリーズは、「高水準スタンダードタイプのRUグレード」、「異物除去を重視したRXグレード」、「材料置換を重視したREグレード」の3種類で構成されており、同社既存製品に比べ、洗浄中の溶融状態での流動を制御することで、高洗浄性能や低残留性能を強化し、異物混入による不良や材料置換に伴う時間ロスを削減し、生産性の向上に貢献するとしている。

◆非鉄金属:住友化学がブラジルにおけるアルミ製錬企業の株式売却ならびにアルミ地金事業からの撤退を発表(12月19日)
 住友化学は、同社が保有する日本アマゾンアルミニウム(当社持分比率2.97%)の全株式をYKK APに売却することを発表した。
 2024年5月に公表した海外アルミニウム製錬企業2社の株式売却に続き、今回の売却をもって、同社は輸入アルミニウム地金のリセール事業から撤退することとなった。
 今回の海外アルミニウム製錬企業株式の売却、ならびに、輸入地金のリセール事業からの撤退は、同事業が国際アルミニウム市況の影響を強く受け、損益面でのボラティリティが大きいことなどを踏まえて判断したものである。
 なお、同社が愛媛工場で製造する高純度アルミニウム事業については、引き続き、半導体や表示材料をはじめとするICT&モビリティ分野での事業拡大を図るとしている。

◆樹脂関連:住友化学が中国ポリプロピレンコンパウンド事業会社2社の株式を譲渡(12月18日)
 住友化学は、中国におけるポリプロピレンコンパウンド事業会社2社(珠海住化複合塑料、大連住化複合塑料)の株式の全持分を、現地コンパウンド事業会社である仕天材料科技に譲渡したと発表した。
 ポリプロピレンコンパウンドは、主に自動車のバンパーや内装材、家電製品などに使用されている。同社においては、2000年代から主要顧客である日系自動車メーカーのグローバルな供給体制の構築に合わせ、北米、欧州、アジアにおいて製造・販売拠点を拡充してきた。
 中国における当該2社の事業については、現地のコンパウンド事業者がシェアを急拡大している状況にある。今後もさらに厳しい競争環境が見込まれることから、技術力と中国市場での高い成長力に強みを持つ仕天材料科技をベストオーナーとして経営効率化を進めることが最善と考え、譲渡を実施したとしている。

◆潤滑油:ENEOSがカーボンニュートラル実現に貢献するエンジンオイルを開発(12月18日)
 ENEOSは、カーボンニュートラル実現に貢献するエンジンオイルの開発に成功したことを発表した。
 同製品は、植物由来のベースオイルを100%使用し、粘度グレードOW-20、API SP、ILSAC GF-6 の認証を取得している。また、新たにAPI SQ、ILSAC GF-7およびJASO GLV-2規格に適合するオイルを開発する予定である。なお、ILSAC GF-7は、ILSAC GF-6よりも高い省燃費性能とエンジン内の摩耗や汚れを防止する性能向上を保証する規格であり、JASO GLV-2はIL SAC GF-7よりもさらに高い省燃費性を追求し、業界最高レベルの省燃費性を保証する規格である。
 同社の潤滑油事業では、同製品開発をはじめ、植物由来の原料を使用した潤滑油・グリース商品「ENEOS GXシリーズ」の販売、使用済み潤滑油を原料とした低炭素基油の製造および事業検討、潤滑油サプライチェーンのライフサイクル全体におけるCO2排出量の可視化等の取り組みを進めていくとしている。

◆CO2分離膜:東レがオールカーボンCO2分離膜の量産技術構築に向けパイロット設備を導入(12月16日)
 東レは、オールカーボン製のCO2分離膜のパイロット設備を滋賀事業場へ導入することを発表した。
 天然ガスは、燃焼時のCO2排出量が天然資源の中で比較的少なく、安定したエネルギー需要を支えるものとして、今後も利用が見込まれている。また、今後は、天然ガスと同じメタンガスとCO2の混合ガスが得られるバイオマス由来のバイオガスや、窒素とCO2からなる排ガスから、それぞれCO2を効率的に分離・回収してCCS、CCUに繋げる技術開発も必要となっている。
 今回、東レが持つ中空糸の紡糸技術と薄層コーティング技術を深化させ、連続かつ安定した品質の製膜技術を構築し、同時にCO2分離膜を束にする膜エレメントを製造する基本技術に目途を得た。作製した小型膜エレメントを用いて、東レ東海工場において実際に排出されるバイオガスおよび排ガスからのCO2分離を実証し、1週間の連続したCO2分離機能を発揮することも確認した。
 同パイロット設備は、2025年度中の設置および稼働開始を予定しており、CO2分離膜の量産技術構築を推進するとともに、バイオガスや天然ガスの開発会社や関連するエンジニアリングメーカーなどパートナー企業と連携して実証を行い、2026年度中のCO2分離膜エレメントの実用化を目指すとしている。

◆電子材料:東レが高耐熱性150℃対応の高耐電圧コンデンサ用フィルムを創出(12月16日)
 東レは、150℃で動作可能な高耐熱性を有する高耐電圧コンデンサ用フィルムを創出したことを発表した。
 電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)などの電動モビリティはいずれもモーターで駆動するが、その制御回路(インバータ)の動作を安定化する主要部品がフィルムコンデンサである。
 近年、車載インバータではSiCパワー半導体の採用が始まっており、小型化・軽量化に向けて、半導体の冷却機構の簡素化が検討されている。この動きの中で、周辺部品も150℃耐熱設計としてインバータ機構全体を超小型化・軽量化する検討が進められている。しかし、現状のPPフィルムコンデンサでは、耐熱性向上には限界があり、150℃の耐熱性確保は困難である。また、一般的な耐熱性フィルムには、信頼性を確保するためのセルフヒールが不十分という課題がある。
 東レは、独自のポリマー設計技術と二軸延伸技術により、高温での高い耐電圧を有するフィルム基材層を設計し、さらに本基材層に独自設計の高セルフヒール層を薄膜積層することで、信頼性を高めた。同社では今後、本フィルムのサンプルワークと量産化に向けた検討を進めていくとしている。

◆CO2分離回収:千代田化工建設が出光興産より北海道製油所CO2分離回収設備設置FEED業務を受注(12月16日)
 千代田化工建設は、出光興産より北海道製油所CO2分離回収設備設置FEED業務を受注したことを発表した。
 これは、出光興産、石油資源開発、北海道電力の3社が、 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「先進的CCS 事業に係る設計作業等」に関する委託公募において、共同で受託した令和6年度の北海道苫小牧エリアにおけるCCS事業に係る設計作業等に関連し、出光興産より北海道製油所CO2分離回収設備設置FEED業務を受託し、実施するものである。
 今後、3社は、「CCS バリューチェーンにおける設計作業」として、CO2を分離・回収、CO2輸送・貯留に関して、事業実施判断に向けて具体的な技術検討を進めていく。その内、千代田化工建設は、CO2排出源の一つとなる出光興産の北海道製油所において排出されるCO2を分離・回収する設備の新設及び関連する既設設備の改造等に関する基本設計作業を行い、本業務を通じ、設備の実装に向けて積極的に協力を行っていくとしている。

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