2024.12.05 発行
◆リサイクル:ブリヂストンが東北大学、産総研、滋賀県立大学とポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術確立に向けた
共同研究を開始(11月29日)
◆樹脂:BASFがPA66とPPAの利点を兼ね備えた高度な金属代替素材を上市(11月29日)
◆研究開発:タキロンシーアイが新研究所「三田総合研究所」の起工式を実施(11月29日)
◆樹脂:ポリプラスチックスが中国におけるPOM生産設備の稼働開始を発表(11月29日)
◆リサイクル:出光興産が使用済み潤滑油のマテリアルリサイクル実現に向けたプロセス構築と検証を開始(11月28日)
◆電子材料:UBEが半導体用途向け高純度硝酸の生産能力増強を決定(11月28日)
◆DX:出光興産が製造4拠点へ産業向けDataOps基盤「Cognite Data Fusion」を導入(11月27日)
◆有機:住友化学がカプロラクタム製造技術をハイケムへ譲渡(11月26日)
◆電子材料:JX金属が米国アリゾナ州で半導体材料工場の開所式を実施(11月25日)
◆価格改定
・トクヤマが塩酸を1月1日出荷分より値上げ
◆リサイクル:ブリヂストンが東北大学、産総研、滋賀県立大学とポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術確立に向けた共同研究を開始(11月29日)
ブリヂストン、東北大学、産業技術総合研究所、滋賀県立大学は、プラスチックの一種であるポリオレフィンのマテリアルリサイクル技術確立に向けた共同研究を開始したと発表した。
現在、国内で発生している廃プラスチックのうち有効利用されているのは717万トン(内半分以上がポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)に代表されるポリオレフィン)であり、その内マテリアルリサイクル率は22%にとどまっている。また、廃プラスチックは化合物(不純物)の分離が極めて難しく、現状は混在した状態で再生されている。不純物が混ざった状態でリサイクルすると脆く壊れやすくなるため、不純物を分離せずに混在させた状態で、強度の高い再生素材を生み出す技術が求められている。
このような状況に対し、廃プラスチックの構成比率が高いPEとPPの境界面に、ブリヂストンが開発した高分子ESB(高機能性エチレン系熱可塑性エラストマー)を接着させることで、その界面が強靭化され、接合性が向上することが判明している。今回の研究では、ESBによるポリオレフィン特性の変化メカニズムを分子レベルで解明し、ESBの最適な分子設計を行うことで、PEとPPを使用した再生素材の強度を高める。これにより、プラスチックの効果的なマテリアルリサイクルの実現に向けた可能性を検討するとしている。
◆樹脂:BASFがPA66とPPAの利点を兼ね備えた高度な金属代替素材を上市(11月29日)
BASFは、構造部品における高度な金属の代替素材として、PA66より機械特性が安定して優れたポリアミド(PA)とポリフタルアミド(PPA)のブレンド製品群「Ultramid T7000」を上市したことを発表した。
同品は、PA66と同様に射出成形が容易で、光沢のある滑らかな表面に仕上がる為、自動車のミラーカバー、エアブレーキの部品、バルブなど湿気に触れる構造部品のほか、家具の部材にも適した金属代替素材である。
上記の部材にUltramid T7000を使用すると同品の優れた機械特性を活かせるだけでなく、BASFのシミュレーションツールであるUltrasimを使用して最適化し、NVH(騒音、振動、ハーシュネス)を改善することも可能である。これにより部品がまとまり、腐食がなく、耐久性を向上した堅牢な組み立てが可能となる。また、金属代替としてPA/PPAブレンドを使用することで、組み立て部品全体の重量とコストを大幅に下げることが出来る。高負荷の構造部品向けなど、最大60%まで各種のガラス繊維の補強材を加え、世界中で提供を開始した。
今後、同社では低PCF、バイオマスバランス、Ccycledなど、持続可能性に優れたグレードを提供する予定としている。
◆研究開発:タキロンシーアイが新研究所「三田総合研究所」の起工式を実施(11月29日)
タキロンシーアイは、新たな総合研究所となる「三田総合研究所」(兵庫県)の着工にあたり、起工式を行ったことを発表した。
新たに建設される研究所は、現在、滋賀工場(滋賀県)、網干工場(兵庫県)、岡山工場(岡山県)に分散している研究・開発機能を集約し、機能間の連携を強化することでシナジーの創出を図る。また、今後さらなる成長が見込まれるモビリティ分野、ヘルスケア・メディカル分野、半導体・通信技術分野などに向けた技術開発を促進する。
新研究所の稼働開始は2026年4月の予定としている。
◆樹脂:ポリプラスチックスが中国におけるPOM生産設備の稼働開始を発表(11月29日)
ポリプラスチックスは、中国において間接出資するポリアセタール(POM)製造会社(大宝理工程塑料(南通))について、第1期の稼働準備が整ったため、2024年11月末から商業運転を開始することを発表した。
同グループでは、世界的に旺盛なPOM需要を持つ中国に対して、高雄工場及び今回の中国本土の新規製造拠点から同社の持つ中国国内需要をカバーする体制を整え、リードタイム・輸送コストの削減等の改善を図り、顧客ニーズに応えていくとしている。
◆リサイクル:出光興産が使用済み潤滑油のマテリアルリサイクル実現に向けたプロセス構築と検証を開始(11月28日)
出光興産は、同社が提案した「使用済み潤滑油のマテリアルリサイクルを実現するための再生基油製造プロセスの構築及びその検証事業(以下、本事業)」が、環境省の公募事業「令和6年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業」に採択されたことを発表した。
現在、日本では使用済み潤滑油の大半が熱源として再利用(サーマルリサイクル)されている。一方で、脱炭素化と潤滑油の供給安定性向上の観点から、使用済み潤滑油を再生して、潤滑油の原材料としてマテリアルリサイクルする必要性が高まることが予想されている。
本事業では、使用済み潤滑油の再生プロセスが環境に与える影響を検証し、日本における使用済み潤滑油のマテリアルリサイクルの社会実装を目指す。本事業の対象期間は、2024・2025年度の2年間(予定)としている。
◆電子材料:UBEが半導体用途向け高純度硝酸の生産能力増強を決定(11月28日)
UBEは、今後の更なる需要増加に対応するため、宇部ケミカル工場(山口県)内において高純度硝酸の生産能力を増強することを発表した。
近年、半導体の洗浄やエッチング工程に使われる高純度硝酸の市場は成長を続けている。今後も半導体市場は、生成AIやデータセンター、モビリティをはじめとした高度ICT社会の実現に向けて、需要拡大が見込まれることから、今回の生産能力増強を決定した。
今回の新規設備建設計画は、2024年度初頭に増設した製造設備に続くもので、生産能力は現在よりもさらに30%程度増強する計画である。
UBEの高純度硝酸は、自社高純度化技術と品質管理能力を強みに、半導体製造には不可欠な安定した高純度製品を製造し、国内外の半導体製造工程で採用されている。今後も社会のデジタル化に伴い拡大する高純度薬液需要に対してタイムリーに能力増強を行い、高純度安水(高純度アンモニア水)を含めたスペシャリティ事業の拡大を推進していくとしている。
◆DX:出光興産が製造4拠点へ産業向けDataOps基盤「Cognite Data Fusion」を導入(11月27日)
出光興産とCogniteは、出光興産の石油精製や化学品の製造を行う4つの製造拠点で、産業向け DataOps基盤「Cognite Data Fusion」(以下、CDF)の導入が完了したことを発表した。
CDFは、Cogniteが開発したデータ管理基盤で、プラントの多岐にわたるデータを、AIや機械学習を用いて連携することが可能である。出光興産はCDFを利用して4つの製造拠点における、P&ID(配管計装図)、補修履歴、運転データ、設備図面、ヒヤリハット・ 事故情報など、さまざまなデータを統合データベース上で一元管理する。
これまで担当者は装置の運転や保全業務の計画を立てる際に様々なデータを個別に収集する必要があったが、CDFの導入により必要なデータを瞬時に抽出することが可能となる。現在約1万枚のP&IDデータが集約されており、 P&IDを起点に補修履歴、運転データ、設備図面など600万件以上のデータを瞬時に確認できる。今後は約3千人の従業員が CDF を使用する予定としている。
◆有機:住友化学がカプロラクタム製造技術をハイケムへ譲渡(11月26日)
住友化学とハイケムは、住友化学が保有する気相法ベックマン転位によるカプロラクタム製造技術に関する知的財産をハイケムに譲渡する契約を締結したことを発表した。
気相法ベックマン転位によるカプロラクタム製造技術は、シクロヘキサノンオキシムを原料として、6ナイロンの原料であるカプロラクタムを製造する技術である。本技術は世界で初めて商業運転された硫酸アンモニウムを副生しないプロセスであり、目的とするカプロラクタムのみを高品質で製造することができる。ハイケムは、本技術の知的財産を継承し、世界各地で本技術のライセンスを展開する予定としている。
◆電子材料:JX金属が米国アリゾナ州で半導体材料工場の開所式を実施(11月25日)
JX金属は、米国における半導体用スパッタリングターゲット事業の強化および新規事業の展開のため、同国アリゾナ州で新工場の建設を進めていたが、工場が竣工し、現地法人のJX Advanced Metals USA(以下、JXUSA) が開所式を実施したことを発表した。
JXUSAは、JX金属の主要顧客である複数の先端半導体メーカーが相次いで拠点の新設・拡張を進めているアリゾナ州において、これらの顧客拠点の近接地で半導体用スパッタリングターゲットの加工やカスタマーサービスを行っている。
新工場では生産能力を拡張するとともに、最新鋭の設備を導入することで工程の自動化を実現しており、大幅に生産性を向上させている。本年7月から試運転を行い、2025 年初頭を目途に本格的な量産を開始する予定である。
また、同工場は、広大な用地を有しており、建屋の増築余力が十分にあることから、今後、半導体用スパッタリングターゲットの生産能力を顧客ニーズに応じて機動的に拡大するだけではなく、様々な半導体材料の生産拠点や新規事業拠点として展開いくとしている。
◆価格改定
・トクヤマが塩酸を1月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、15円/kg以上