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2024年6月13日

2024.06.13 発行

HEADLINE

◆電子材料:出光グループが電材中国を合弁会社へ移行(6月7日)
◆電池材料:旭化成がリチウムイオン電池用超イオン伝導性電解液のコンセプト実証に成功、実用化に前進(6月7日)
◆電子材料:東京応化工業が阿蘇工場阿蘇くまもとサイトにおける新工場の竣工を発表(6月6日)
◆エンジニアリング:日揮ホールディングスが海外プラント建設プロジェクトにおける3Dプリンタ技術を導入(6月6日)
◆電子材料:日本電気硝子がガラスセラミックスコア基板「GCコア」の開発を発表(6月5日)
◆医薬品:旭化成メディカルの米国子会社がプラスミドCDMOサービスの提供とテキサス州での施設新設を決定(6月3日)
◆ 微粒子:積水化学工業が機能性微粒子の生産能力を増強することを発表(6月3日)
◆R&D:ENEOSが中央技術研究所リニューアルを発表(6月3日
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・東ソーがPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を6月17日出荷分より値上げ
・大洋塩ビが塩化ビニル樹脂を7月1日納入分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:出光グループが電材中国を合弁会社へ移行(6月7日)
 出光興産は、西安瑞联新材料(本社:中国陝西省、以下、西安マナレコ)による出光電子材料(本社:中国四川省、以下「電材中国」)への出資に合意したことを発表した。
 西安マナレコは1999年に設立された、有機新素材の研究開発、生産、販売に注力するハイテク企業である。対象の電材中国は、同社グループ会社として2018年に設立され、高機能ディスプレイに適用される有機EL材料を製造している。今回の合意により、電材中国への出資比率は、出光グループが80%、西安マナレコが20%となる。
 今後も大きな成長が予測される中国有機EL市場において、同社と西安マナレコの強みを生かした高品質かつ競争力のある製品により、さらなるシェア拡大を狙う。また、西安マナレコとの合弁会社化、ビジネスの現地化により、製造体制の強化、現地顧客との関係深化を図るとともに、有機EL業界のさらなる技術発展に貢献する。加えて、同社は日本で行っていた中国有機ELディスプレイ会社の販売機能を電材中国に移管する。
 今後は、研究開発から製造、販売まで一気通貫した事業体制を中国国内に構築し、生産性の向上を図るとしている。

◆電池材料:旭化成がリチウムイオン電池用超イオン伝導性電解液のコンセプト実証に成功、実用化に前進(6月7日)
 旭化成は、自社が開発した超イオン伝導性電解液(以下、本電解液)を使用したリチウムイオン電池(以下、LIB)のコンセプト実証(以下、PoC)に成功したことを発表した。
 本電解液は、溶媒にアセトニトリルを含むことで既存の電解液では実現困難な高いイオン伝導性を有しており、同社独自の電解液組成調合技術と電極/電解液の界面制御技術により、現行LIBの課題である「低温下での出力向上」と「高温下での耐久性向上」の両立を実現した。
 実用化に向けたPoCは、リン酸鉄(LFP)系円筒電池にて実施され、マイナス40℃の極低温でも高い出力で動作し、かつ60℃の高温でも高い充放電サイクル耐久性を有することが実証され、今後、自動車メーカーやLIBメーカーとの連携を強化し、2025年の実用化を目指す。
 同社は、今回のPoC成功を契機に、本電解液の技術をLIBメーカーに広くライセンスすることにより、LIBの高性能化とコストダウンおよび低炭素社会に貢献していくとしている。

◆電子材料:東京応化工業が阿蘇工場阿蘇くまもとサイトにおける新工場の竣工を発表(6月6日)
 東京応化工業は、高純度化学薬品の品質向上および供給能力拡大を目的として、「阿蘇工場 阿蘇くまもとサイト」(熊本県菊池市)における新工場を竣工したことを発表した。
 同工場は、厳格な品質管理を可能にする設備を備えており、2025年上期からの稼働を予定している。
同社は1984年に阿蘇工場(熊本県阿蘇市)を開設し、高純度化学薬品の製造を行ってきたが、昨今の九州エリアにおける半導体生産の拡大を受け、2022年に熊本県菊池市に事業用地を取得し、同サイトを新設することを決定した。今後は同サイトと阿蘇工場の相乗効果を通じ、高純度化学薬品の品質向上および供給能力拡大、西日本エリアにおけるユーザーサポートの強化を目指すとしている。

◆エンジニアリング:日揮ホールディングスが海外プラント建設プロジェクトにおける3Dプリンタ技術を導入(6月6日)
 日揮ホールディングスは、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、サウジアラビアで遂行中の原油・ガス分離設備建設プロジェクトにおいて、実証を進めてきた3Dプリンタを活用した技術を導入することを決定したと発表した。
 同社は2021年10月から日揮が宮城県石巻市で遂行中のバイオマス専焼発電設備の建設工事現場に、デンマークのCOBOD社のガントリー型コンクリート系建設用3Dプリンタを設置し、プラントの配管支持構造物(基礎型枠)への3Dプリンタの適用に向けた実証に取り組んできた。
 今回、サウジアラムコ社と協議を重ねた結果、日揮グローバルが同社向けに2022年5月に受注し、サウジアラビアで現在遂行中である原油・ガス分離設備建設プロジェクトにおいて、化学品保管庫の建屋の外壁(約340㎡)を3Dプリンタで造形することが決定した。オンサイトプレキャストで製造した型枠から、オンサイトプリントによる壁面の造形というステップアップに加え、海外でのプリント作業遂行の新たなスキーム確立を視野に入れ、同様にCOBOD社の大型造形に適した3Dプリンタを保有しているサウジアラビア現地企業や現地施工会社と協力し、2024年夏ごろの造形作業の開始を目指すとしている。

◆電子材料:日本電気硝子がガラスセラミックスコア基板「GCコア」の開発を発表(6月5日)
 日本電気硝子は、次世代半導体パッケージへの利用が期待されるガラスセラミックスコア基板(GCコア)を開発したことを発表した。
 同製品はガラス粉末とセラミックス粉末の複合材を用いたコア基板で、ガラスを用いたコア基板の特性に加え、微細貫通穴(ビア)の加工が容易という特長を有する。
 コア基板には、表裏に形成された微細な金属配線を電気的に接続するため、微細貫通穴の形成が必要になるが、同製品はセラミックス特性を有するため、高速穴あけ加工ができる。穴加工は一般に広く普及しているCO2レーザー加工機でできるため、経済的で量産コストの低減ができる。また、ガラスセラミックス材は、同社が開発したLTCC材料(低温同時焼成セラミックス)を使用するため、誘電率・誘電正接が低く、信号の遅延や誘電損失の低減を実現する。さらに、同製品は、用途に合わせてガラスとセラミックスの組成や配合比を変更することで、誘電特性に優れた低誘電率タイプ、樹脂基板の熱膨張に合わせた高膨張タイプ、強度に優れた高強度タイプなど、幅広い用途に対応する。
 同社は現在、300mm角の基板の開発に成功し、2024年内には515×510mmへの基板の大型化を目指して開発を進めるとしている。

◆医薬品:旭化成メディカルの米国子会社がプラスミドCDMOサービスの提供とテキサス州での施設新設を決定(6月3日)
 旭化成メディカルは、子会社であるバイオ医薬品CDMOの米国Bionova Scientificが、新たにプラスミドCDMOサービスの提供および米国テキサス州にその拠点となる施設を新設することを発表した。
 Bionova社は、製薬企業に対して製造プロセス開発受託、製造受託サービスを提供するバイオ医薬品のCDMO企業である。プラスミドは大腸菌などの微生物の細胞内に存在するDNA分子であり、遺伝子治療や細胞治療、mRNAワクチン、抗体医薬品等のさまざまな用途の重要な原材料として使用されている。
 世界のプラスミド製造市場は、遺伝子・細胞治療法などの新規モダリティの急速な成長に伴い、今後数年間高い伸び率で成長すると予想されている。
 Bionova社は、これまで培った製造プロセス開発の知見、GMP製造ノウハウや柔軟な顧客対応、対象新規モダリティにおける業界ネットワークを活かすことで新規モダリティの成長加速に貢献できると判断した。
 サービスの提供開始時期は、プロセス開発については2025年前半、GMP製造については2025年後半の予定としている。

◆ 微粒子:積水化学工業が機能性微粒子の生産能力を増強することを発表(6月3日)
 積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは、子会社の徳山積水工業で機能性微粒子(製品名:アドバンセル)の生産能力を増強することを決定したことを発表した。
 アドバンセルは、熱可塑性ポリマーセル内に低沸点炭化水素を内包した機能性微粒子であり、加熱することによって、シェルが軟化し、それと同時に内部の炭化水素が急激に膨張して、中空状のバルーンを形成するため、樹脂(基材)に混練することで、軽量化・柔軟化など、さまざまな特性を実現させることができる。高機能プラスチックスカンパニーは、この製品をグローバルに展開し、自動車用シール材や靴底、建材などで使用されている。近年、主要市場である靴底用途に加え、自動車の需要が急速に拡大している。
 本件の投資額は20億円を予定しており、2025年度第4四半期(2026年1月から3月)から増産を開始し、2026年度には現行の生産能力を倍増させる計画としている。

◆R&D:ENEOSが中央技術研究所リニューアルを発表(6月3日
 ENEOSは、研究開発の主要拠点である中央技術研究所(横浜市)内に、新たな研究棟の建設を決定したことを発表した。
 新研究棟は、水素、合成燃料、バイオ燃料といった次世代エネルギーや、プラントの自動化、エネルギーマネジメント、マテリアルズ・インフォマティクスなど最先端のデジタル技術を活用した研究開発を行う中核拠点として機能する。
 敷地内に分散していた実験室や執務室などの研究機能を新研究棟に集約し、研究者同士が知識とアイデアを共有することで、イノベーションを加速させるとともに、研究者間の活発なコミュニケーションを支援する環境を整備し、創造的な研究活動を推し進める。さらに、他企業や研究機関との連携を強化するための特別なスペースを設け、オープンイノベーションの促進も図り、新たな価値を創造する。
 新研究棟の建屋延床面積は、約2万平米の4階建て、2026年度竣工予定としている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
 6月契約価格は、1,095$/t(前月比+10$/t)
 国内価格換算想定値は177.2円/kg
・東ソーがPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を6月17日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、40円/kg以上
・大洋塩ビが塩化ビニル樹脂を7月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、17円/kg以上

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