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2024年6月6日

2024.06.06 発行

HEADLINE

◆電子材料:住友ベークライトが3DS-TSV向け圧縮成形用封止樹脂を販売(5月31日)
◆無機:戸田工業と堺化学工業がハイドロタルサイト事業の協業を解消(5月31日)
◆電子材料:藤森工業が偏光板用プロテクトフィルムの生産増設等の投資額修正を発表(5月30日)
◆R&D:石原産業が新たな研究開発拠点を設置(5月29日)
◆電子材料: 三井化学が次世代EUV露光用CNTペリクルの生産設備を設置(5月28日)
◆バイオマス:レゾナックと丸紅がバイオマス製品事業の協業を開始(5月28日)
◆電子材料:住友ベークライトが次世代SiCパワーモジュール向け高Tgエポキシ封止材料の開発を発表(5月27日)
◆CO2対策:出光興産、ENEOS、トヨタ自動車、三菱重工業が自動車向けカーボンニュートラル燃料の導入と普及に向けた
 検討を開始(5月27日)
◆ リサイクル:ENEOSが次世代基油の製造プロセス構築について発表(5月27日)
◆化粧品原料:堺化学工業が既設のパイロットプランのリニューアル、及び化粧品メイクアップ用原料の製造施設の建設を発表(5月27日)
◆価格改定
・カネカが塩化ビニル樹脂を6月21日出荷分より値上げ
・ユニチカが成型用樹脂製品を6月21日出荷分より値上げ 
・信越化学工業が塩化ビニル樹脂を7月1日納入分より値上げ
・ユニチカがポリエステル、ナイロン製の産業資材用合成繊維(長繊維・短繊維)を7月1日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆電子材料:住友ベークライトが3DS-TSV向け圧縮成形用封止樹脂を販売(5月31日)
 住友ベークライトは、世界で初めて3DS-TSVメモリ(シリコンビア接続3次元積層DRAM)に対応した圧縮成形用封止材樹脂(顆粒材)を開発したと発表した。
 半導体デバイスの小型化を図るための一つの方法として、メモリ半導体の3D積層技術を実現するための技術として3DS-TSV(Through-Silicon Via)の採用が進んでいる。TSVは、シリコンウェハー上に穿孔された微細な穴で、複数の層を貫通している。チップの積層間の狭いギャップを充填するために、粘度が低く小粒径のフィラーを配合出来る液状樹脂が採用されてきたが、液状樹脂は、狭ギャップへの充填性が良好である一方で、パッケージ反りが大きい傾向や、生産性、コストが高いなど課題があった。
 同社は、狭ギャップ充填性とパッケージ反り改善の両立を目指し、技術開発を進めており、今回、5umカットフィラーを適用した圧縮成形用封止樹脂(顆粒材)を製品化した。液状樹脂から顆粒樹脂へ置き換えることにより、顧客の工程において、生産効率の向上とパッケージの品質向上が見込まれる。
 同製品は、2024年に大手メモリメーカーにて、3DS-TSVの量産立ち上げに使用開始される予定としている。

◆無機:戸田工業と堺化学工業がハイドロタルサイト事業の協業を解消(5月31日)
 戸田工業と堺化学工業は、ハイドロタルサイトの製造委託契約の解消を決定したことを発表した。
 両社は、ハイドロタルサイトの世界的需要が拡大すると見込み、2017年から協業を開始している。しかし、2019年末に発生した新型コロナウイルスの世界的な蔓延、2021年頃から発生した中国不動産不況の長期化により、当初見込んでいたハイドロタルサイト需要が大きく落ち込んだ。また、需要回復の兆しが見えない中、中国市場においてはハイドロタルサイトメーカーが乱立し、価格が大幅に下落したこと等から両社で協議した結果、現状の生産能力を維持しながら事業継続することは困難と判断した。
 協業の解消時期は2025年4月の予定としている。

◆電子材料:藤森工業が偏光板用プロテクトフィルムの生産増設等の投資額修正を発表(5月30日)
 藤森工業は、偏光板用プロテクトフィルムの生産設備増設等の投資額を修正することを発表した。
 同社は液晶ディスプレイ製品の大画面化と世界的な需要増に対応した偏光板用プロテクトフィルムの設備投資に際し、当初計画では総投資額は145億円としていたが、生産最適化を目的としたレイアウト変更や資材価格高騰等により、26億円増額の171億円へと修正した。
 投資内容は、同社沼田事業所で、最大3,000mm幅対応塗工機の新設、環境に配慮した生産体制の構築を行い、投資総額161億円を見込んでいる。またZACROS TAIWAN(台湾)では、既存塗工機の改造(1,700mm幅対応)に向けて10億円の投資を見込んでいる。
 生産開始時期は、沼田事業所で2026年度下期、ZACROS TAIWANで2025年度上期の予定としている。

◆R&D:石原産業が新たな研究開発拠点を設置(5月29日)
 石原産業は、兵庫県小野市に有機化学事業における農薬の生産技術の研究開発拠点として『ひょうご小野研究センター』を新たに設置することを発表した。
 同社グループは、新中期経営計画を制定し、その重点施策として、有機化学事業では「新規化学農薬及び動物用医薬品等の開発・商品化の促進」や「農薬の安定供給・製造コスト低減により世界市場占有率の拡大」などを掲げており、これら重点施策の具体化の一つとして同拠点を設置した。同拠点設置により、現在複数拠点に分散する組織体制の集約と農薬生産技術の研究開発機能の向上が図られ、有機化学事業(農薬事業)において新規剤・既存剤のプロセス検討による継続的なコスト低減、自社スケールアップ検討による、高効率・安価プロセスの確立、人財(ケミカルエンジニア)の育成とモノづくり力(プラントエンジニアリング)の伝承の達成を目指す。
 同拠点の業務開始は、2025年12月の予定としている。

◆電子材料: 三井化学が次世代EUV露光用CNTペリクルの生産設備を設置(5月28日)
 三井化学は、半導体の更なる微細化、生産性向上に不可欠な次世代の高NA(開口数)、高出力EUV露光装置に対応したEUV露光用CNT(カーボンナノチューブ)ペリクルの生産設備を岩国大竹工場に設置することを決定したことを発表した。
 ペリクルは、半導体のフォトリソグラフィ工程で使用されるフォトマスク用防塵カバーであり、フォトマスクをクリーンに保ち、半導体の生産性向上に貢献するものである。同社はオランダASML社からEUV露光用ペリクル事業のライセンスを受け、2021年にEUVペリクルの商業生産を岩国大竹工場で開始している。
 また、EUV露光の次世代技術として、高NA(開口度0.55)、高出力(≧600W)化が求められている。同社は高いEUV透過性(≧92%)と1kWを超える露光出力への耐光性を兼ね備えたCNTペリクルの事業化に向けた量産用設備を設置することを決定した。同設備は生産能力年間5,000枚を想定しており、2025年12月に完工予定である。
 今後は、膜材にシリコン系素材を使用した既存のEUVペリクルに加えて、CNTを膜材に使用した次世代製品をラインナップすることで、半導体の高性能化と生産性向上に貢献するとしている。

◆バイオマス:レゾナックと丸紅がバイオマス製品事業の協業を開始(5月28日)
 レゾナックと丸紅が、フィンランドのバイオマス燃料製造会社であるNesteとともに、レゾナック大分コンビナートにおけるバイオマス原料由来のエチレンやプロピレンなどの製品製造に向けた協業を開始すると発表した。
 本協業は、カーボンニュートラル化に向けて国内外で高まっているバイオマス製品の需要に応えるもので、2024年6月よりバイオマス原料の使用を開始する。
 本協業では、Nesteが製造したバイオマス原料「Neste RE」を、レゾナックがエチレンプラントを有する大分コンビナートに供給する。Neste REは、使用済み植物油や残渣油など再生可能な原材料から製造される。大分コンビナートは多様な原料を使用する能力があることが特徴で、これまで石油由来原料を使用していたが、本協業により、原料の一部をさまざまなバイオマス原料に置き換えることで、温室効果ガスの排出量削減に貢献するとしている。

◆電子材料:住友ベークライトが次世代SiCパワーモジュール向け高Tgエポキシ封止材料の開発を発表(5月27日)
 住友ベークライトは、次世代SiCパワーモジュール向け高Tgエポキシ封止材料の開発を発表した。
 本製品によって、パワーモジュールの耐熱性が向上するため、パワーモジュールの小型化や機能向上が期待できる。特に自動車業界のBEV(Battery Electric Vehicle)需要の高まりからバッテリー供給電圧が高まる流れで、パワーモジュールのチップの主要素材がSiから、エネルギー効率が良く高電圧耐性、高温耐性に優れるSiCに置き換わっている。また、自動車走行中のCO2削減効果のあるxEVが世界的に増加する傾向のため、バッテリーの高電圧化に対応できるSiCパワーモジュールが注目されているが、機能を十二分に発揮するために半導体封止材も更なる高耐熱性が求められている。
 本製品は、エポキシ樹脂の架橋密度向上と樹脂の主鎖骨格を硬直化することでガラス転移温度(Tg)を向上させ、一般的なTgが100~200℃のところ、240℃を実現し、独自の樹脂の配合とフィラーの組み合わせでエポキシ封止材料化に成功している。
 今後、本製品のサンプルの提供を開始し、2025年度からの量産化を見込むとしている。

◆CO2対策:出光興産、ENEOS、トヨタ自動車、三菱重工業が自動車向けカーボンニュートラル燃料の導入と普及に向けた検討を開始(5月27日)
 出光興産、ENEOS、トヨタ自動車、および三菱重工業は、カーボンニュートラル(以下CN)社会の実現を目指して、自動車の脱炭素化に貢献する「CN燃料」の導入・普及に向けた検討を開始したと発表した。
 CN燃料は、製品ライフサイクル全体においてCO2排出量を抑えられる燃料のことであり、水素とCO2を原料とする合成燃料(e-fuel)や、光合成でCO2を吸収する植物等を原料にしたバイオ燃料などの総称である。特に液体のCN燃料は、エネルギーを「ためる」「はこぶ」点において優位性があり、輸送可能なエネルギー源として適している。
 4社は、日本の自動車市場におけるCN燃料の導入シナリオやロードマップ、市場導入に必要となりうる諸制度について議論・検討する。また、日本におけるエネルギーセキュリティ等の観点から、製造の実現可能性を調査する。日本国内において2030年頃のCN燃料の導入を目指して、供給、技術、需要のそれぞれで主要な役割を果たす4社が共同で検討を進めていくとしている。

◆ リサイクル:ENEOSが次世代基油の製造プロセス構築について発表(5月27日)
 ENEOSは、使用済み潤滑油を再利用して潤滑油基油を再生する技術の実証事業において、低炭素基油の製造に成功したと発表した。
 低炭素基油を使用したガソリンエンジンオイルは、高温酸化防止性の国際指標であるSequence IIIH試験で、従来の原油由来の基油を使用したガソリンエンジンオイルと同等の高温酸化安定性が確認された。技術検討においては、トヨタ自動車の協力のもと市場から集めた、使用済みエンジンオイルを原料として使用している。
 この技術検討は、環境省の令和4年度公募事業「脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に採択された「廃潤滑油を活用した潤滑油基油への再生プロセス構築」の検証テーマであり、既存の国内石油精製技術を活用するだけでなく、海外企業との技術提携の可能性も含めて取り組んでいるとしている。

◆化粧品原料:堺化学工業が既設のパイロットプランのリニューアル、及び化粧品メイクアップ用原料の製造施設の建設を発表(5月27日)
 堺化学工業は、成長事業の収益を拡大するために、小名浜事業所内で既設のパイロットプラント(工業化試験棟)のリニューアル、及び化粧品メイクアップ用原料の製造施設(化粧品マルチプラント)を建設することを発表した。
 工業化試験棟リニューアルについては、成長事業である電子材料や化粧品材料などの高付加価値製品の試作をより効率的に実施出来るように、使用頻度や工程フローに応じた試験設備の再配置や、固定式から可搬式装置への変更を行い、必要なエリアを確保して作業の自由度を高め、迅速な試作対応を実現する。投資金額は160 百万円、竣工は2025年2月を予定している。
 一方、化粧品マルチプラント建設については、同社は板状硫酸バリウム、球状硫酸バリウム、球状炭酸カルシウム、化粧品用蛍光体等のメイクアップ商品での実績を有しており、今後も更なる成長が見込まれる為、需要に対応するべく能力を増強した製造施設を新設する。本施設は、複数の製品を切替えて生産するコンパクトで効率性を高めたマルチプラントとし、将来の生産品目の増加にも対応する。投資金額は2,590百万円、竣工は2026年2月の予定としている。

◆価格改定
・カネカが塩化ビニル樹脂を6月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、15円/kg以上
・ユニチカが成型用樹脂製品を6月21日出荷分より値上げ 
 値上げ幅は、ナイロン6樹脂:40円/kg以上
 ポリアリレート樹脂:50円/kg以上
 高耐熱ナイロン樹脂:100円/kg以上
・信越化学工業が塩化ビニル樹脂を7月1日納入分より値上げ
 値上げ幅は、15円/kg以上
・ユニチカがポリエステル、ナイロン製の産業資材用合成繊維(長繊維・短繊維)を7月1日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、ポリエステル及びナイロン短繊維:20%程度
 ポリエステル高強力糸:200円/kg
 ポリエステル及びナイロン モノフィラメント:20~40%

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