2024.08.22 発行
◆樹脂:クラレがシンガポールでEVOH樹脂の生産プラントの起工式を開催(8月9日)
◆ゴム製品:三ツ星ベルトが四国工場の新工場会館を新設(8月9日)
◆グリーンガス:古河電工が北海道鹿追町でグリーンLPガス実証プラントの起工式を開催(8月8日)
◆フッ素:AGCが革新的なフッ素ポリマー製造技術を開発(8月7日)
◆電池材料:第一工業製薬がポリマー電解質材料「エレクセルACGシリーズ」による リチウムイオン電池の安全性と長寿命化
を実現(8月7日)
◆太陽電池材料:大日本印刷が泉崎工場(福島県)で太陽電池用封止材の生産能力を2倍に増強(8月6日)
◆バイオプラ:長瀬産業とTotalEnergies Corbionがバイオプラスチックの販売代理店契約を締結(8月6日)
◆タイヤ:ブリヂストンが鉱山・建設車両用タイヤの生産拠点である北九州工場への投資を発表(8月6日)
◆非鉄金属:住友金属鉱山がコテ金鉱山にて商業生産を開始(8月5日)
◆価格改定
・クラレが、MMAモノマー(メタクリル酸メチル)およびMAA(メタクリル酸)の国内向け価格を9月1日出荷分より値上げ
・東ソーがクロロプレンゴムを9月16日出荷分より値上げ
◆樹脂:クラレがシンガポールでEVOH樹脂の生産プラントの起工式を開催(8月9日)
クラレは、シンガポール現地法人である Kuraray Asia Pacific(クラレ 100%出資会社)内のEVOH樹脂(エバール)の生産プラント建設予定地において、起工式を実施したことを発表した。
EVOH樹脂(エバール)は、機能性樹脂の中では最高レベルのガスバリア性を有しており、同社が世界で初めて開発・事業化した素材である。
近年、循環型経済の観点から、食品包装用途における環境配慮型製品のニーズが高まっており、リサイクル可能な包装材料へのシフトが望まれている。特に欧米ではポリオレフィンのリサイクルを妨げないバリア材としてエバールの引き合いが増えており、需要は世界的に拡大していくと見込まれている。
新設プラントのEVOH樹脂の生産能力は年産18千トン(前工程は将来の増設を視野に年産36千トン能力にて建設。後工程は2期に分け、今回1期分を実施)であり、投資額は410百万米ドル、稼働時期は2026年末の予定としている。
◆ゴム製品:三ツ星ベルトが四国工場の新工場会館を新設(8月9日)
三ツ星ベルトは、四国工場(香川県)での第5棟、ボイラー棟、施設棟に引き続き、同工場に新工場会館を新設すると発表した。
同社は、24年度の中期経営計画において企業価値向上の基本政策を推進するため、積極的な設備投資を展開している。生産・物流再編の一環として約10億円を投じ、鉄骨造2階建の延べ床面積約2,600㎡の新工場会館を建設する。完成予定は2026年8月としている。
◆グリーンガス:古河電工が北海道鹿追町でグリーンLPガス実証プラントの起工式を開催(8月8日)
古河電気工業は、NEDOグリーンイノベーション基金(以下、GI基金)事業での取り組みの一環として、北海道鹿追町でグリーンLPガス合成プロセスの実証を目的としたプラントの起工式を実施したことを発表した。
同社は2022年にNEDOのGI基金事業「CO2等を用いた燃料製造技術開発事業プロジェクト 化石燃料によらないグリーンなLPガス合成技術の開発」に採択され、2030年にグリーンLPガスを年間1,000トン製造することを目指して技術開発を進めている。
今回、GI基金事業の取り組みの一環として、グリーンLPガス技術の実証を目的としたプラントを世界的にもいち早く北海道鹿追町環境保全センター内に建設する。本プラントでは、2026年度から同センターで製造されたバイオガスを原料にグリーンLPガスを製造してプロセス実証する計画で、同年度内のグリーンLPガス製造量は100~200トンの予定としている。
◆フッ素:AGCが革新的なフッ素ポリマー製造技術を開発(8月7日)
AGCは、乳化剤を使用することなくフッ素ポリマーを製造できる革新的な方法を開発したと発表した。
従来、一部のフッ素ポリマーは、フッ素系乳化剤を使用した乳化重合と呼ばれる製法で製造されてきた。近年、フッ素系乳化剤を使用しないポリマー製造技術の開発要望が高まっていたが、乳化剤をフッ素系から非フッ素系に置き換えた先行の技術では、フッ素系の副生物が生成され、また従来製品並の性能が発現しないなどの課題があった。今回、同社が独自に開発した革新的なフッ素ポリマー製造技術は、一切の乳化剤を使用せず、フッ素系副生物の生成を極めて少なく抑えることができ、かつ従来製法と同等の耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐久性を有するフッ素ポリマーを製造可能とする。
現在、同社は2030年までに本技術によるフッ素ポリマーの量産化を実現すべく更なる開発を進めており、脱炭素社会やデジタル社会の実現に不可欠な素材であるフッ素ポリマーを継続的・安定的に供給していくとしている。
◆電池材料:第一工業製薬がポリマー電解質材料「エレクセルACGシリーズ」による リチウムイオン電池の安全性と長寿命化を実現(8月7日)
第一工業製薬が、研究開発の成果としてリチウムイオン電池の安全性と長寿命化を両立するポリマー電解質材料「エレクセルACG シリーズ」を開発したと発表した。
再生可能エネルギーの普及が社会的課題となる中、蓄電池技術への注目が高まっている。電池の大型化にともない安全性要求が増す一方で、従来の電池は可燃性の有機電解液を使用しているため、漏液などのリスクが存在していた。開発品は、電解液をゲル化させることで漏液を防ぐ。また各部材の密着性向上にともなう機械強度の付与により、電池の安全性が大幅に向上する。加熱処理後は、電池の高電圧化および長寿命化が可能となり、条件によっては寿命が従来の3倍以上に延びることが確認されている。
また、より高い安全性が求められる用途へ向けて、電解液を含まない、ドライ系ポリマー電解質材料エレクセルTAシリーズの開発も並行して進めている。同社は、2030 年までに電解質分野において年間30億円の売上を目指すとしている。
◆太陽電池材料:大日本印刷が泉崎工場(福島県)で太陽電池用封止材の生産能力を2倍に増強(8月6日)
大日本印刷(DNP)は、太陽電池の電極やセル等を保護する封止材の生産能力を2023年比2倍に増強することを発表した。
DNPは2005年から、泉崎工場(福島県)で太陽電池用の封止材を生産している。太陽電池用封止材は、太陽電池の内部の電極やセルを保護し、湿気、塵埃、酸素、紫外線などによる外部環境から損傷を防ぐシートである。DNPは、発電効率の高い太陽電池向けオレフィン系樹脂の封止材を提供しており、バリア性や長期信頼性などの品質の高さが評価されている。また、オレフィンは、焼却しても有害なガスがほとんど発生しない環境配慮材料でもある。
DNPは、今回の太陽電池用封止材の生産能力増強により、脱炭素社会の実現に向けた、世界各国・地域での再生可能エネルギー(太陽電池等)導入の加速に対応する。今回の投資額は約30億円、2025年内の稼働を予定している。
また、今回の設備増強のほか、「DNP太陽光発電所用反射シート」などの周辺部材の製品開発を進め、太陽電池関連部材事業で2027年度に年間200億円の売上を目指すとしている。
◆バイオプラ:長瀬産業とTotalEnergies Corbionがバイオプラスチックの販売代理店契約を締結(8月6日)
長瀬産業は、TotalEnergies Corbion(以下、TEC) が扱うバイオプラスチック「Luminy PLA」の販売代理店契約を締結したと発表した。
TECのLuminy PLAは、従来のPLA(ポリ乳酸)と比べて光学純度が高く、耐熱性や機械強度を持つ一般衣料や車両内装部品等を安定的に成型できる点に優れている。さらに、TECは原料の乳酸とPLAの中間体ラクチドの製造において業界最大手であることから、PLAの需要増に対応するため、ケミカルリサイクルを積極的に推進している。
同契約を通じ、TECは持続可能なバイオプラスチックソリューションの普及を促進し、日本を含め世界の二酸化炭素排出量削減への貢献を目指す。長瀬産業は、Luminy PLAを日本市場で拡販するとともに、今後は素材のさらなる機能拡張や顧客ニーズに応じた材料の配合・用途開発の提案に向け、長瀬グループ内の研究開発機能と連携し、素材の評価・分析等の材料研究にも取り組むとしている。
◆タイヤ:ブリヂストンが鉱山・建設車両用タイヤの生産拠点である北九州工場への投資を発表(8月6日)
ブリヂストンは、鉱山・建設車両用タイヤの生産拠点である北九州工場に戦略的な投資を行い、既存設備を刷新する計画を発表した。
今回の投資は生産量の拡大ではなく、製品の質の向上に焦点を当て、ブリヂストンのプレミアムタイヤ事業のさらなる強化を目指している。北九州工場は、鉱山・建設車両用タイヤなどを生産する戦略生産拠点であり、高品質な商品をグローバルへ供給している。今回の投資により、高品質で安定した生産体制を確立し、グローバルの競争力を強化する。加えて、安全・防災・環境・品質及び生産性など全てのレベルを向上させる。
今回の投資金額は約250億円で、2027年中に完了する予定としている。
◆非鉄金属:住友金属鉱山がコテ金鉱山にて商業生産を開始(8月5日)
住友金属鉱山は、アイアムゴールド社とカナダのコテ金鉱山プロジェクトの共同開発を進めており、8月2日から商業生産を開始したと発表した。
同社は、金について「優良権益獲得による鉱山オペレーションへの新規参画」を長期ビジョンのターゲットの1つとして掲げており、コテ金鉱山開発プロジェクトの推進は長期ビジョンに則った戦略である。また、今後もアイアムゴールド社との強固なパートナーシップの下、早期のランプアップ達成に向けてコテ金鉱山開発プロジェクトを強力に推進するとしている。
コテ金鉱山は、2024年3月末に生産を開始し、現在、ランプアップを進めている。2024年の生産金量は6.9トン(権益100%)の予定としている。
◆価格改定
・クラレが、MMAモノマー(メタクリル酸メチル)およびMAA(メタクリル酸)の国内向け価格を9月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、30円/kg
・東ソーがクロロプレンゴムを9月16日出荷分より値上げ
値上げ幅は、60円/kg以上