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2024年8月29日

2024.08.29 発行

HEADLINE

◆アンモニア:東洋エンジニアリングがインドネシアにおけるグリーンアンモニア事業に関しPIHC、伊藤忠と共同開発契約を
 締結(8月22日)
◆リサイクル:三菱ケミカルがコークス炉を活用した使用済みタイヤのケミカルリサイクルの事業化検討を開始(8月22日)
◆電子材料:東京工業大学と東京応化工業が線幅7.6 nmの半導体微細加工を可能にする高分子ブロック共重合体の開発に成功
 (8月22日)
◆電子材料:三菱マテリアルが半導体パッケージ向け角型シリコン基板を開発(8月21日)
◆樹脂:JSRが生体分子のように抗体を精密認識するスマートプラスチック材料の開発に成功(8月21日)
◆エチレン:大阪石油化学がエチレンプラントの生産再開の見通しを発表(8月21日)
◆塩素関連製品:日本曹達が無機系塩素薬剤および関連製品の生産と販売の終了を発表 (8月21日)
◆医薬原料:エボニックがmRNAおよび遺伝子治療に用いられる脂質ナノ粒子(LNP)製剤のスケールアップ能力を向上
 (8月20日)
◆価格改定
・デンカがクロロプレンゴムを9月2日出荷分より値上げ
・デンカがアルミナセメントを9月2日納入分より値上げ
・レゾナックがクロロプレンゴムを9月17日出荷分より値上げ
・サカタインクスがオフセット印刷用インキを9月20日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS 

◆アンモニア:東洋エンジニアリングがインドネシアにおけるグリーンアンモニア事業に関しPIHC、伊藤忠と共同開発契約を締結(8月22日)
 東洋エンジニアリング(以下 TOYO)は、インドネシアにおいて、同国肥料公社Pupuk Indonesia Holding Company(以下 PIHC社)および伊藤忠商事とPIHC社傘下のPupuk Iskandar Muda(以下 PIM社)保有の既設アンモニアプラントに水電解装置を併設し、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を供給してグリーンアンモニアを製造する事業の共同開発契約書(JDA)を締結したことを発表した。
 同プロジェクトでは、TOYOが2000年代に設計・建設し、PIM社がアチェ州の経済特区にて保有・運転する既存プラントの製造能力の一部を活かし、グリーンアンモニアを製造する。このグリーンアンモニアは、伊藤忠商事により船舶燃料として調達されることで、一連のバリューチェーンを構築することを目指す。将来的には、PIHC社傘下の他既設プラントにも同様の仕組みを横展開することを視野に入れている。
 同共同開発の一環として、2024年8月より、基本設計(FEED)を実施、並行して2024年内には3社でJoint Venture Companyを設立、2025年前半の最終投資決定(FID)および、2027年頃の生産開始を目指すとしている。

◆リサイクル:三菱ケミカルがコークス炉を活用した使用済みタイヤのケミカルリサイクルの事業化検討を開始(8月22日)
 三菱ケミカルグループは、香川事業所に有するコークス炉において、使用済みタイヤをケミカルリサイクルする検討を開始したことを発表した。
 タイヤ業界では、主原料のひとつであり、ゴムの補強剤として使用されているカーボンブラックの再生原料化のニーズが高まっている。同社グループのサプライチェーンを活用することで、破砕した使用済みタイヤを原料としてコークス炉に投入し、得られたタールから再びカーボンブラックを生産することができる。生産した資源循環型カーボンブラックは通常品と同等の性能を有しており、タイヤの水平リサイクル実現に貢献する。
 事業化に向け、2024年7月から使用済みタイヤをコークス炉へ投入する実証実験を開始し、2025年度には年間数千トン規模、2030年度には年間数万トン規模の資源循環型カーボンブラックの販売を目指すとしている。

◆電子材料:東京工業大学と東京応化工業が線幅7.6 nmの半導体微細加工を可能にする高分子ブロック共重合体の開発に成功(8月22日)
 東京工業大学と東京応化工業の研究グループは、電子デバイスの高性能化を志向した10 nm以下の半導体微細加工を可能にする高分子ブロック共重合体の開発に成功したと発表した。
 現状の最先端技術としてEUVリソグラフィが挙げられるが、従来の露光装置では得られる凹凸パターンの不均一さや線幅10nm以下の微細加工が困難なことが課題となっている。その課題を解決する目的で、現在、分子の自己集合により得られるナノ構造を用いるボトムアップ型の微細加工技術が注目されている。
 本研究では、極性官能基の割合を精密に制御した分子設計と精密重合法での高分子の合成により、ポリスチレンの化学パターンに沿ってミクロ相分離構造を配列させた、新たな高分子ブロック共重合体を開発した。この高分子ブロック共重合体は、シリコン基板上に薄く塗られた膜中に、回路パターンの線幅7.6 nmに相当する線状構造を形成することが明らかとなった。
 本研究で得られた線状構造の線幅は EUVリソグラフィにより得られるパターン線幅の下限値よりも小さく、10nm以下の微細加工を可能とするものである。今後は工業的に用いられている 300mmのシリコンウエハ上に本開発品を塗布して誘導自己組織化により回路パターンを形成し、半導体微細加工材料としての実用化に向けた機能評価を行う予定としている。

◆電子材料:三菱マテリアルが半導体パッケージ向け角型シリコン基板を開発(8月21日)
 三菱マテリアルは、高平坦度かつ低表面粗さを実現した世界最大級の四角形状のシリコン基板「角型シリコン基板」を開発したと発表した。
 近年注目を集めているチップレット技術を採用した次世代半導体パッケージは、100mm角程度まで大型化が進んでいる。半導体パッケージの製造工程において、半導体チップを配置するキャリア基板に従来のφ300mmシリコンウエハなどを利用するWLP(Wafer-Level-Package)では、ウェーハの面積が小さく円形状であるため、効率よくパッケージをウェーハ基板に収められないことが課題となっている。この課題を解決するため、同社は、従来から自社グループで培ってきた大型シリコンインゴットの鋳造技術と、独自の加工技術を組み合わせた大面積かつ四角形状の角型シリコン基板を開発した。
 角型シリコン基板は、半導体製造工程におけるキャリア基板としての活用や、半導体パッケージのインターポーザー材料としての適用など、半導体分野における生産性向上に貢献するとしている。

◆樹脂:JSRが生体分子のように抗体を精密認識するスマートプラスチック材料の開発に成功(8月21日)
 JSRは、独自のエポキシド間結合反応を用いた橋掛け表面修飾技術により、生体分子のプロテインA(PA)のように抗体を精密認識するスマートプラスチック材料の開発に成功したことを発表した。
 生体分子のPAに代表される抗体結合性タンパク質は、特異的に抗体と強く結合し、さらにバッファーのpHの変化に応じて、結合した抗体を放出するという特性を有している。一方、製造コストや混入等の生体分子由来の課題がある。
 同社は今回、独自のエポキシド間結合反応を用いて分子レベルの橋掛け構造で表面修飾したカラム精製用多孔質粒子が、抗体の一種である免疫グロブリンG(IgG)に対して、PAと酷似した「IgG結合選択性」、「バッファー応答性」や「Fc部位特異認識」の発現を発見し、IgGとモデルタンパク質の混合物をバッファー交換のみで容易に分離することに成功した。
 表面修飾構造を変えた一連の粒子を調査したところ、一連の橋掛け構造のみがIgGと結合したことから、今回開発した橋掛け表面修飾は、簡便かつ低コストでプラスチック素材を高機能化する新たな技術であるといえる。
 本材料は、簡便な表面修飾技術で作成された低コストPA代替材料として、抗体精製や診断向けバイオセンサーなど様々な用途への展開が期待されるとしている。

◆エチレン:大阪石油化学がエチレンプラントの生産再開の見通しを発表(8月21日)
 三井化学の100%子会社である大阪石油化学は、補修作業の工程等を検討した結果、10月よりエチレンプラントを再稼働する見通しとなったことを発表した。
 稼働再開までの間、顧客への影響を最小限にするため、同社市原工場(千葉県)のエチレンプラントからの転送や外部調達等あらゆる方策を行っていく。業績への影響は、上期が約70億円で、下期が精査中であり、上期決算時に下期業績予想に織り込むとしている。

◆塩素関連製品:日本曹達が無機系塩素薬剤および関連製品の生産と販売の終了を発表 (8月21日)
 日本曹達は、長年にわたり販売してきた無機系塩素薬剤「日曹ハイクロン」、「高度晒粉」、および関連製品の生産と販売を終了することを発表した。
 対象となる製品は「日曹ハイクロン(全銘柄)」、「高度晒粉」、「マイトレス」、「バストップ」、「バストップミニ」、「シアントールC」である、これらの製品の生産は2025年5月に終了し、販売についても2025年8月を目途に在庫が無くなり次第、順次終了する予定としている。

◆医薬原料:エボニックがmRNAおよび遺伝子治療に用いられる脂質ナノ粒子(LNP)製剤のスケールアップ能力を向上(8月20日)
 エボニックは、科学機器メーカーであるクナウアー(KNAUER、本社:ドイツ)社と共同で、脂質ナノ粒子(LNP)製剤のスケールアップ技術の向上に取り組んでいることを発表した。
 エボニックの処方設計およびスケールアップの専門知識とクナウアー社の技術ノウハウを組み合わせ、初期の前臨床開発に要する時間を大幅に短縮することができる。また、クナウアー社と協力することで、小規模なプロトタイプから生産規模のリード製剤、直接GMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)に対応した医薬品生産に移行するスピードを高めることができる。
 エボニックの研究・生産ネットワークを補完するエボニック バンクーバー ラボラトリーズでは、30年近くにわたり、LNPやリポソームをベースとした製剤の医薬品受託開発製造企業(CDMO)を行っている。その中には、臨床用および小規模商業生産用の少量バッチサイズの脂質を開発・製造するドイツ・ハナウのcGMP対応施設などを有しており、米国インディアナ州・ティピカヌーの拠点では、特殊脂質の迅速なスケールアップと製造を行う新しい製造施設を建設する予定としている。

◆価格改定
・デンカがクロロプレンゴムを9月2日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、120円/kg以上、500ドル/トン以上、460ユーロ/トン以上
・デンカがアルミナセメントを9月2日納入分より値上げ
 値上げ幅は、40円/kg
・レゾナックがクロロプレンゴムを9月17日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、110円/kg以上、550USD/トン以上、500EUR/トン以上
・サカタインクスがオフセット印刷用インキを9月20日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、オフ輪インキ:60円/㎏以上、枚葉インキ:150円/㎏以上
 UVインキ/コーティング剤:150円/㎏以上、新聞インキ:60円/㎏以上
 ※中間色/特色インキおよびその他製品については個別にご案内

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