2024.09.19 発行
◆電子材料:レゾナックが山形にSiCウェハー拠点を新設、起工式を実施(9月13日)
◆CO2対策:石油資源開発ほか7社がJOGMECの公募においてマレーシアサラワク州におけるCCS事業に係る設計作業等を受託
(9月13日)
◆GHG削減:日揮HDのグループ企業がインドネシアのアンモニア製造拠点におけるメタン等GHG排出削減に向けた共同スタ
ディ覚書を締結(9月13日)
◆電子材料:JNCがミリ波を制御するデバイス用液晶材料を開発(9月12日)
◆樹脂関連:東洋エンジニアリングがインドネシアで高吸水性樹脂(SAP)製造設備プラント増設プロジェクトを受注
(9月12日)
◆MMA:住友化学がシンガポールにおけるMMAの生産能力を削減(9月11日)
◆電池材料:日本触媒がリチウムイオン電池用電解質LiFSIの国内供給体制強化を発表(9月11日)
◆水素:旭化成とDe Noraが水素製造用コンテナ型アルカリ水電解システムの開発および販売に関する覚書を締結(9月11日)
◆抗菌:ハリマ化成グループが銀ナノ抗菌液を開発(9月11日)
◆生産拠点:デンカが大船工場の稼働停止を発表(9月9日)
◆電池材料:東亞合成がリチウムイオン電池用バインダー製造設備の増強を発表(9月9日)
◆繊維:三菱ケミカルグループが繊維事業を譲渡(9月9日)
◆価格改定
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS 製品等を10月出荷分より値上げ
◆電子材料:レゾナックが山形にSiCウェハー拠点を新設、起工式を実施(9月13日)
レゾナックは、レゾナック・ハードディスクの山形工場内に、パワー半導体向けの炭化ケイ素(SiC)ウェハー(基板・エピタキシャル)の生産建屋を新設することを発表した。
今回の新設は、経済産業省から認定を受けた、経済安全保障推進法に基づく特定重要物資である半導体部素材(SiCウェハー)の供給確保計画の実現に向けた取り組みの一環である。
竣工は、2025年第3四半期の予定としている。
◆CO2対策:石油資源開発ほか7社がJOGMECの公募においてマレーシアサラワク州におけるCCS事業に係る設計作業等を受託(9月13日)
石油資源開発、日揮ホールディングス、川崎汽船、JFEスチール、三菱ガス化学、三菱ケミカル、中国電力、日本ガスラインの 8社は、エネルギー・金属鉱物資源機構(以下、JOGMEC)の令和6年度「先進的CCS事業に係る設計作業等」に関する業務公募において、瀬戸内エリアなどの複数産業から排出されるCO2を、マレーシアサラワク州沖を対象地として圧入貯留するCCS事業に係る設計作業等の受託に係る契約を、JOGMECと締結したと発表した。
今後、日本側8社は日本国内の製鉄所、発電所、化学工場等から排出されるCO2の分離・回収・液化に必要な設備やコストの検討作業を進めていく。また、プロジェクトの共同推進者であるPETRONAS CCS Ventures Sdnと日本側8社はサラワク州までの海上輸送(瀬戸内エリアにおける内航輸送を含む)、圧入・貯留までに必要な設備ならびにコストの検討を共同で進めていくとしている。
◆GHG削減:日揮HDのグループ企業がインドネシアのアンモニア製造拠点におけるメタン等GHG排出削減に向けた共同スタディ覚書を締結(9月13日)
日揮ホールディングスは、同社グループ企業でデジタルツインの構築・運用を行うブラウンリバースが、インドネシアのアンモニア製造販売会社PT Panca Amara Utama(以下、PAU)社と、インドネシア中央スラウェシ州の同社アンモニア製造拠点においてメタンを含む温室効果ガス(以下、GHG)排出削減に向けた共同スタディを開始することに合意し、覚書を締結したことを発表した。
これまでPAUに対しては、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、PAUのアンモニア製造拠点で赤外線カメラやドローン、衛星等によるGHG排出量の測定を実施してきた。
本共同スタディでは、PAUのアンモニア製造プラントをブラウンリバースが提供する3Dビューア「INTEGNANCE VR」内に構築し、このビューア上の空間に日揮グローバルが測定したGHG排出量のデータをもとに各設備からのGHG排出状況をマッピング・可視化することで、GHG排出量削減と合わせた最適なプラント操業条件やメンテナンス戦略の検討を行う。実施期間は2024年7月から1年間の予定としている。
◆電子材料:JNCがミリ波を制御するデバイス用液晶材料を開発(9月12日)
JNCは、低軌道衛星アンテナやアクティブ反射板に適用可能な、ミリ波を制御するデバイス用液晶材料を開発したことを発表した。
開発した液晶材料は、既にサンプル販売を開始している。
同液晶材料の特長としては、(1)位相変調量が大きくミリ波の方向制御が可能(大きな誘電率異方性)、(2)ミリ波の吸収が少なくエネルギー損失が小さい(小さな誘電正接)、(3)低電圧で駆動できるため消費電力が小さい(省エネルギー)としている
◆樹脂関連:東洋エンジニアリングがインドネシアで高吸水性樹脂(SAP)製造設備プラント増設プロジェクトを受注(9月12日)
東洋エンジニアリング(以下、TOYO)のインドネシア子会社であるPT Inti Karya Persada Tehnik(以下IKPT)は、日本触媒のインドネシア子会社であるPT. NIPPON SHOKUBAI INDONESIA (以下NSI) から、ジャワ島西部チレゴンに新設する高吸水性樹脂(SAP)製造設備プラント増設プロジェクトを受注したと発表した。
同社は、インドネシア国内で、2011年にNSI向けにアクリル酸およびSAP製造設備プラント建設プロジェクト、2018年にアクリル酸製造設備プラント建設プロジェクトを受注し、完工している。これらの実績を通して培ってきた両社の良好な関係と、インドネシアにおけるTOYOとIKPTの多くの案件の遂行能力が高く評価されたことにより、同件の受注に至った。
同件はIKPTが設計、調達業務、建設工事を一括で受注し、プラントは2027年に完工を予定している。SAPの生産能力は既存能力9万トン/年と合わせて14万トン/年の能力になるとしている。
◆MMA:住友化学がシンガポールにおけるMMAの生産能力を削減(9月11日)
住友化学は、シンガポールの100%子会社である住友化学アジアにおける、MMAモノマー(メタクリル酸メチル)およびPMMA(メタクリル樹脂)の各製造設備について、3系列中2系列を2024年9月末目途に停止することを発表した。同拠点でのMMAモノマーは約8割、PMMAは約7割の生産能力削減となる。
MMAモノマーおよびPMMAの足元の市況は、大幅な低迷期に比べると回復の兆しが見える一方、同製品における、アジアを中心とした生産能力の拡大は今後も継続することが見込まれる。このような環境の中、同社グループにおいては、特に汎用品の領域において、中長期的に安定した販売量とマージンの確保が困難になると判断した。本再編実施後、同社グループは、技術的な強みを生かしたPMMAの特殊品・高付加価値品分野へと注力することで、市況動向に左右されない安定した事業構造へ転換していくことを目指すとしている。
◆電池材料:日本触媒がリチウムイオン電池用電解質LiFSIの国内供給体制強化を発表(9月11日)
日本触媒がリチウムイオン電池用電解質LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、製品名:イオネル)の国内供給体制を強化することを発表した。
同社はリチウムイオン電池用の電解質として使用され、充電時間の短縮化、航続距離の延長、低温環境下の出力向上など電気自動車の高性能化に寄与するLiFSIについて、2028年の商業運転を目指し、新たな設備を建設する計画を進めている。立地場所としては、福岡県を計画している。
本計画は、経済産業省の「蓄電池等の安定供給確保のための取組に関する計画(供給確保計画)」として認定され、投資額は最大375億円、うち供給確保計画の認定による助成金は最大125億円を見込んでいる。イオネル新設備の生産能力は年産3,000トンで、電解質として100%使用された場合のリチウムイオン電池容量は21.4GWhとなり、これを用いた電気自動車は21万台に相当するとしている。
◆水素:旭化成とDe Noraが水素製造用コンテナ型アルカリ水電解システムの開発および販売に関する覚書を締結(9月11日)
旭化成とイタリアのDe Noraは、両社が保有するアルカリ水電解システムの技術・ノウハウ・実績を基に、コンテナ型のアルカリ水電解システムについて、共同で開発・評価・販売・検討を進める覚書(MOU)を締結したと発表した。
今回両社が開発を進めるシステムは、旭化成が開発を進めてきた大規模アルカリ水電解システム「Aqualyzer」と比較して小型であり、主に導入コストや設置スペース、納期などの面で負担が少なく、新規参入企業を中心に需要が拡大することが見込まれる。
本システムは1~7.5MWと設備容量を任意に調整できる加圧小型電解槽を用いており、水素製造に必要な機器類をすべてコンテナに収納した仕様で、水電解システムの新規導入を目指す企業のエントリーモデルや、小規模製造装置、水素ステーションに併設するような分散型の設備に適している。一方で、旭化成が持つ大規模アルカリ水電解システム「Aqualyzer」は、常圧大型電解槽を用いた大量かつ安価な水素製造を得意としており、双方の特長とニーズは大きく異なっている。このように、異なる需要に合致したラインアップを揃えることで、旭化成は、幅広い水電解需要にも対応していくことを目指すとしている。
◆抗菌:ハリマ化成グループが銀ナノ抗菌液を開発(9月11日)
ハリマ化成グループは、独自の銀ナノ粒子合成技術を基盤とした同社初の銀ナノ抗菌液「HARITECT」を開発したことを発表した。
本製品は、銀由来の細菌の増殖抑制効果や高い持続性と、ナノ粒子由来の密着効果を併せ持つことで、細菌やカビの増殖を長期間抑えることができる。また、日用品から業務用品まで幅広い用途に適用でき、様々な分野での応用が期待されている。
本製品の特長は、高い抗菌性、微生物による水回り等のヌメリの形成やカビの増殖の抑制、優れた耐水性や耐摩擦性、塗布表面を拭き取っても抗菌効果が持続し6カ月以上持続する抗菌効果や、各種溶剤への対応可能な点であり、抗菌や防カビスプレーの有効成分や、エアコンフィルターや窓ガラス用パッキンの防カビ剤として使用できる。
同社は以前から銀ナノ粒子合成技術を確立しており、今後この技術の可能性をさらに広げ、新製品HARITECTを衛生業界などへと展開していくとしている。
◆生産拠点:デンカが大船工場の稼働停止を発表(9月9日)
デンカは、2026年3月末を目途に大船工場(神奈川県)の稼働停止を決議したことを発表した。
同工場の主力製品である「Toyokalon」については、シンガポール子会社の Denka Advantech Pte. Ltd. South Plant(以下、DAPL)に事業を集約し、「カラリヤンYフィルム」および「カラリヤンテープ」については、事業撤退する予定である。
ファッション用ウィッグの原糸「Toyokalon」は、販売面でトレンドシフトによる需要構造の変化に加え、コロナ禍以降、主要販売地域であるアフリカ経済の停滞により需要が低下している。また、包装用粘着テープ「カラリヤンテープ」においては簡易包装化の影響により販売数量が減少しており、今後の事業の維持・成長が見込まれず、同テープの原料の一部でもあるポリエチレン横延伸フィルム「カラリヤンYフィルム」についても単独による事業継続が困難との結論に至った。
今後の予定として「Toyokalon」は製造・販売・研究をDAPLへ順次移管し、2026年3月末までに当該工場での生産を停止する予定である。「カラリヤンYフィルム」「カラリヤンテープ」については、2026年3月末までに当該工場での生産を停止する予定としている。
◆電池材料:東亞合成がリチウムイオン電池用バインダー製造設備の増強を発表(9月9日)
東亞合成は、電気自動車などに使用されるリチウムイオン電池用バインダーの製造設備の増強を決定したことを発表した。
同社の負極用バインダーは、電池の長寿命化と低抵抗化に優れ、2017年から製造・販売している。今回の設備増強は、経済産業省により「供給確保計画」として認定され、経済安全保障の観点から蓄電池の安定供給を確保するための取り組みとして位置づけられている。
設備の増強は、名古屋工場において2025年12月に完成予定で、2026年10月から供給を開始する。生産能力は蓄電池142GWh/年相当であり、取組みを実施するために必要な資金の額は約38億円、最大助成額は約13億円としている。
◆繊維:三菱ケミカルグループが繊維事業を譲渡(9月9日)
三菱ケミカルグループは、トリアセテート繊維事業をGSIクレオスへ譲渡することで合意し、最終契約書を締結したことを発表した。
トリアセテート繊維は、天然パルプ由来の植物繊維を化学的に処理してつくる半合成繊維で、世界で同社グループのみが生産している。その素材特性から国内外のアパレル市場に高い評価を受けており、今後も一定の需要伸長が期待できることから、ベストオーナーのもとで持続的に事業を成長させていくことが最善だと判断し、事業譲渡を決定した。
今回譲渡する事業概要は、トリアセテート繊維(ブランド名:ソアロン)原糸および生機の製造・販売と、菱光サイジング(トリアセテート繊維の原糸加工を行う同社グループの完全子会社)である。
トリアセテート繊維の用途は、中高級婦人衣料、フォーマル衣料、オフィス用ユニフォームなどであり、GSIクレオスは、繊維事業と工業製品事業を扱う専門商社である。譲渡日は2025年3月3日としている。
◆価格改定
・旭有機材がフェノール樹脂製品、RCS 製品等を10月出荷分より値上げ
値上げ幅は、固形フェノール樹脂製品:10%以上
液状フェノール樹脂製品:10%以上
RCS(レジンコーテッドサンド)製品:5%以上
その他関係製品:製品毎に設定