2025.02.27 発行
◆コーティング:三井金属鉱業が機能性コーティング事業を開始(2月21日)
◆CO2対策:三井化学などがCO2を原料としたメタノール・パラキシレン合成の実証試験に成功(2月20日)
◆水処理関連:東レがCO2排出量を30%以上削減可能な高効率限外ろ過膜を開発(2月20日)
◆ゴム製品:ニッタがインド市場での事業拡大に向けた連結子会社の工場移転・拡張を発表(2月20日)
◆リサイクル:東レがナイロン66ケミカルリサイクル新技術を創出(2月19日)
◆電子材料:住友ベークライトが次世代半導体パッケージ用ガラス基板向け低弾性率基板材料の開発を開始(2月18日)
◆バイオマス:日本ゼオンと横浜ゴムが植物原料由来などのエタノールから高効率でブタジエンを生成する技術のベンチ設備を
導入(2月17日)
◆有機:UBEが米国ルイジアナ州でDMC・EMCプラントの起工式を開催(2月17日)
◆染料:保土谷化学工業がアルミ着色用染料の製造設備を増強(2月17日)
◆バイオマス:日本製紙、住友商事、Green Earth Instituteが木質バイオマスを原料とするバイオエタノール等の製造販売を
行う合弁会社を設立(2月17日)
◆価格改定
・東洋紡エムシーが光機能材料製品(水現像感光性樹脂凸版、水現像フレキソ版、スクリーン印刷用厚膜フィルム)を5月1日
出荷分より値上げ
◆コーティング:三井金属鉱業が機能性コーティング事業を開始(2月21日)
三井金属鉱業は、機能性液体事業化推進体制の強化の一環として、iconos(レアメタル溶液)および防汚・防曇コーティング剤を活用したコーティング事業を開始したと発表した。
機能性コーティング事業では、機能性コーティング剤と独自の技術により、各種基材の耐熱性、耐食性、防汚性、防曇性などの機能性向上に関する課題に対して、解決策を提案する。
これまでの実証試験において、炭素材料、高級金属材料に対してCVD等のドライコーティングでは困難な複雑形状へ密着性の高い成膜ができ、高温や腐食などの環境下において数倍の寿命延長効果が得られている。また、建材用屋外ガラスの防汚コーティングを複数の大型建造物に施工し、10年を超える期間で防汚効果を実証済みである。
同社は、自社の機能性コーティングにより、顧客のメンテナンスにかかる負荷およびコストの削減、設備の停止期間短縮、作業効率のアップに加え、炭素材、高級金属材、建築材などの寿命を延ばすことで廃棄物の削減にもつながり、環境負荷軽減・カーボンニュートラルに大きく貢献できるとしている。
◆CO2対策:三井化学などがCO2を原料としたメタノール・パラキシレン合成の実証試験に成功(2月20日)
大阪大学大学院基礎工学研究科と川崎重工業、三井化学は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2有効利用拠点における技術開発/研究拠点におけるCO2有効利用技術開発・実証事業」として採択された「カーボンリサイクルを志向した化成品選択合成技術の研究開発」において、CO2を原料としたメタノール合成、パラキシレン合成の実証試験に成功したことを発表した。
同開発は、工場などから排出されるCO2を有効に利用するための技術開発を進めるものであり、CO2と水素からメタノールを経由してパラキシレンを製造する試験をNEDOのカーボンリサイクル実証研究拠点にて行った。同製造法は石油資源を原料とする製造法と比較してCO2排出量の大幅な削減が可能となる。
メタノールは、従来の化成品原料用途に加え、環境負荷を低減する燃料として船舶等での利用が始まっている。またパラキシレンは、高純度テレフタル酸の原料としてポリエステル樹脂の製造にも広く利用されている。
同社は今後、開発をさらに進め、事業化に向けての取り組みを推進するとしている。
◆水処理関連:東レがCO2排出量を30%以上削減可能な高効率限外ろ過膜を開発(2月20日)
東レは、限外ろ過膜(UF膜)と逆浸透膜(RO膜)を組み合わせて用いる下廃水再利用プロセスにおいて、これまでの高い透水能力を維持したまま、RO膜の負荷を軽減し、長期間安定して良質な水を製造できる高除去UF膜を開発したと発表した。
従来のUF膜は、下廃水処理水に多く含まれる生物由来の有機物の除去性が低いため、後段のRO膜の洗浄頻度が多く、薬液使用による造水コストやCO2排出量が多くなる課題がある。
本開発の高除去UF膜の処理水は、様々な原水に対し、RO膜の汚染源となる有機物の透過量が従来品比1/3以下となり、高い除去性を有する。RO膜の洗浄工程の削減が必要な下水再利用を始め、化学・鉄鋼・染色工場等での廃水再利用等において、RO膜の薬液洗浄や運転トラブル対応の低減、さらにはRO膜の寿命の延長が見込まれる。これにより、造水コストの低減だけでなく、RO膜の交換・廃棄に伴うCO2排出量を30%以上削減することが期待できる。
現在、量産準備を進めており2025年中頃に、下水再利用が進む北米での発売を目指し、日本を含むその他の国・地域に向けて製品展開していく予定としている。
◆ゴム製品:ニッタがインド市場での事業拡大に向けた連結子会社の工場移転・拡張を発表(2月20日)
ニッタは、著しい経済成長が見込まれるインド市場での事業拡大に向けて、インド連結子会社NITTACORPORATION INDIAPVTの工場を移転・拡張することを発表した。
新工場の敷地面積は、25,345㎡(延床面積:6,788㎡)であり、伝動搬送用ベルト、樹脂ホース・チューブアッセンブリ、オートツールチェンジャー製品、空調用エアフィルタを製造する。投資額は、約835百万INRを予定しており、2026年1月末の稼働予定としている。
◆リサイクル:東レがナイロン66ケミカルリサイクル新技術を創出(2月19日)
東レは、ケミカルリサイクルが困難と考えられていたナイロン66について、亜臨界水を用いた独自の解重合新技術により、ナイロン66の解重合が均一かつ数十分程度の短時間で進行し、モノマー原料として回収できることを見出したことを発表した。
同社は、亜臨界水中におけるナイロン66の解重合反応解析を行い、副反応を抑制する独自技術により、高収率・高効率で2種類のモノマーを回収し、再重合してナイロン66を再生することに成功した。本技術を用いたナイロン66の製造によって、石油から製造する場合のCO2排出量を半減できる見込みである。
まずは自動車素材をターゲットとして、エアバッグなどの使用済み原資に含まれる他素材の分離技術や、ナイロン66解重合、さらにはモノマーの分離および精製技術を確立し、2025年に品質確認、顧客評価のためのサンプルワークができる体制を整え、2030年頃にプラスチックリサイクルが法規制化される動きを見据えて、本格量産準備を進めるとしている。
◆電子材料:住友ベークライトが次世代半導体パッケージ用ガラス基板向け低弾性率基板材料の開発を開始(2月18日)
住友ベークライトは、2.xD/3D構造の次世代半導体パッケージ向け低弾性率基板材料の開発を開始したと発表した。
近年、2.xD/3D構造を始めとするAI向け半導体パッケージにおいて従来の有機基板と比較して、低熱膨張率や高弾性率、基板表面の平滑性といった特徴を持つガラス基板の適用が期待されている。
次世代半導体パッケージ用ビルドアップ材料は、パッケージ構造や生産プロセスに合わせて、反り制御、高密度実装、微細配線、高信頼性、高生産性を実現できる材料が必要とされていることから、同社は高い接続信頼性を期待できるガラス基板向けの低弾性率ビルドアップ材料の開発を開始した。
同社が開発した低弾性率ビルドアップ材料を使用することで、パッケージ基板加工時の内部応力を低減することができ、加工時の衝撃によりガラス基板に発生した微小クラックや割れの拡大を低減することが期待できる。さらに従来材に比べて低誘電率、低誘電正接の機能を有しており、伝送損失に対する効果を得られる。従来のガラスエポキシ基板でも適用可能で、パッケージ基板の構造や構成の自由度が増し、更なる機能の向上が見込めるとしている。
◆バイオマス:日本ゼオンと横浜ゴムが植物原料由来などのエタノールから高効率でブタジエンを生成する技術のベンチ設備を導入(2月17日)
日本ゼオンと横浜ゴムは、植物原料由来などのエタノールからブタジエンを高効率で生成する技術を実証するためのベンチ設備をゼオン徳山工場(山口県)内に建設することを決定したと発表した。
本取り組みは2022年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」に採択された2つの研究開発テーマの内のひとつである。ゼオンと横浜ゴムは、産業技術総合研究所、東京科学大学(旧東京工業大学)、および理化学研究所の協力の下、2030年代に植物原料などからブタジエン、イソプレンを高効率で生成する2つの技術の社会実装を目指しており、今回のベンチ設備は「エタノールからの高効率ブタジエン合成」に基づくものである。
ベンチ設備は、2026年から稼働を開始し、ブタジエンの確保並びに量産に向けた各種データを収集するとしている。
◆有機:UBEが米国ルイジアナ州でDMC・EMCプラントの起工式を開催(2月17日)
UBEは米国ルイジアナ州でジメチルカーボネート(DMC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)のプラントの起工式を開催したことを発表した。
DMC・EMCは、BEV(バッテリー式電気自動車)・HEV(ハイブリッド自動車)やESS(電力貯蔵システム)向けで需要拡大が見込まれるリチウムイオン電池の電解液溶剤の主要成分であり、DMCは半導体製造プロセス現像液の原料としても使用されている。
新工場で生産されるDMCは、同社独自の気相ナイトライト法で製造され、エチレン由来の製法に比べて低エネルギー消費、高品質、副産物や不純物が少ないという特徴がある。DMC年産10万トンで、DMCから誘導されるEMC年産4万トンのプラントは2026年7月完工、同11月稼働開始の予定としている。
◆染料:保土谷化学工業がアルミ着色用染料の製造設備を増強(2月17日)
保土谷化学工業は、奥野製薬工業との共同開発によるアルミ着色用染料に関して、今後の需要拡大を踏まえた供給体制の増強計画の検討に着手したことを発表した。
アルミニウムは、スマートフォンや電子機器などで広く利用され、そのカラーアルマイト染料の需要は拡大している。耐光性・染色性が高く、多彩な色表現を可能とする従来のアルミ着色用染料のニーズの高まりに加え、2022年度より販売を開始した環境対応型(メタルフリー)アルミ着色用染料が堅調に伸長している。
今後も、両社にて、高耐光性を実現する高品質かつサステナブルな製品の開発ならびに市場への展開に取り組んでいくとしている。
◆バイオマス:日本製紙、住友商事、Green Earth Instituteが木質バイオマスを原料とするバイオエタノール等の製造販売を行う合弁会社を設立(2月17日)
日本製紙、住友商事、Green Earth Institute(以下、GEI)は、「木質バイオマスを原料とするバイオエタノールおよびバイオケミカル製品の製造販売事業」に向け、合弁会社「森空バイオリファイナリー」の設立(2025年3月を予定)に合意したことを発表した。
上記3社は、2023年2月に発表した「木質バイオマスを原料とする国内初のセルロース系バイオエタノール商用生産およびバイオケミカル製品への展開に向けた協業に関する基本合意書」に基づき、持続可能な航空燃料(以下、SAF)の普及・拡大を目的とした「森空プロジェクト」を発足した。
合弁会社を通じて推進する本事業では、宮城県にある日本製紙・岩沼工場内にセミコマーシャルプラントを建設し、製材端材などの東北地域の持続可能な森林資源を原料に、GEIが開発した低炭素、低コストを実現できるバイオエタノール生産プロセスを用いて、2027年から年産1,000kL以上のバイオエタノールを製造する予定である。
日本においてSAFの本格的な導入・普及が見込まれる2030年頃をターゲットに、年産数万kL以上のバイオエタノールおよびバイオケミカル製品の製造が
可能となるコマーシャルプラントの稼働を目指すとしている。
◆価格改定
・東洋紡エムシーが光機能材料製品(水現像感光性樹脂凸版、水現像フレキソ版、スクリーン印刷用厚膜フィルム)を5月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、5%