2025.02.06 発行
◆コーティング剤:大阪有機化学工業が万能型、超親水性コーティング剤を開発(1月31日)
◆電池材料:日本ゼオンが北米リチウムイオン電池用バインダー生産設備投資計画の一時凍結を発表(1月31日)
◆リサイクル:ブリヂストンが使用済タイヤの精密熱分解パイロット実証プラントを建設(1月30日)
◆リサイクル:住友ゴムと三菱ケミカルがタイヤ用カーボンブラックにおける資源循環の取り組みで協業を開始(1月30日)
◆サスティナブル:旭化成と産総研が「旭化成-産総研サステナブルポリマー連携研究ラボ」を設立(1月30日)
◆電子材料:東京応化工業と東京科学大学がUVナノインプリントを用いたシリコンフォトニクス半導体プロセスを開発
(1月29日)
◆電子材料:ZACROSがLG ディスプレイの環境認証取得パネルに バイオマス由来偏光板用保護フィルムを供給(1月28日)
◆リサイクル:レゾナックの混合プラを直接基礎化学品へ再生する技術がNEDOのグリーンイノベーション基金に採択
(1月27日)
◆分離膜:東レが医薬品製造工程に用いる高効率分離膜を開発(1月27日)
◆リサイクル:ブリヂストンと東海カーボンが使用済タイヤ等からカーボンブラックを生成する共同プロジェクトの開始を発表
(1月27日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの2月の契約価格を改定
・クラレが水添スチレン系熱可塑性エラストマー及びブロック化エラストマーを2月1日出荷分より値上げ
・東海カーボンが黒鉛電極を2025年新規注文分より値上げ
・レゾナックが塩酸を2月20日納入分より値上げ
・UACJがアルミ製品を4月1日出荷分より値上げ
◆コーティング剤:大阪有機化学工業が万能型、超親水性コーティング剤を開発(1月31日)
大阪有機化学工業は、信州大学繊維学部、NT&Iと共同で、独自の塗布型ポリマーブラシ技術を駆使し、ガラスだけでなく様々なプラスチックや金属、繊維等にコーティング可能な超親水性コーティング剤を開発したと発表した。
既に製品化されている塗布型ポリマーブラシ「製品名:LAMBIC」はガラス又はシリカ蒸着膜にのみコーティングできるものであった。今回開発した万能型、超親水性コーティング剤は塗布型ポリマーブラシと共にアンカー剤としてのシランカップリング剤や有機無機成分を配合した複合型コーティング剤であり、プラスチックや金属など様々な基材に 直接コーティングすることが可能である。このコーティング剤を使用することで様々な基材の表面に超親水による防曇、セルフクリーニング、生体適合性、低摩擦性、速乾燥性などを付与することができる。
今後、同社は信州大学繊維学部の技術を応用した製品の実現化をNT&Iと共に進めていくとしている。
◆電池材料:日本ゼオンが北米リチウムイオン電池用バインダー生産設備投資計画の一時凍結を発表(1月31日)
日本ゼオンは、子会社であるZeon Chemicals L.P.の米国テキサス工場へのリチウムイオン電池用バインダー生産設備の投資計画を凍結すると発表した。
従来は、2026年稼働予定であったが、昨今の事業環境の変化や市場動向に鑑み、2年程度凍結するとしている。
◆リサイクル:ブリヂストンが使用済タイヤの精密熱分解パイロット実証プラントを建設(1月30日)
ブリヂストンは、タイヤ水平リサイクルの社会実装に向けて、関工場(岐阜県)敷地内に使用済タイヤの精密熱分解パイロット実証プラントの建設を決定したと発表した
同社は2023年に実証機をBridgestone Innovation Park(東京都小平市)に導入し、使用済タイヤの精密熱分解試験による分解油や再生カーボンブラックを回収する技術開発を進めてきた。回収した分解油をリサイクルオイル化し、合成ゴムの素原料であるブタジエンなどの化学品を製造することで、再生カーボンブラックとともにタイヤ原材料として再利用される資源の循環を目指している。
本パイロット実証プラントは、2022年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の実証事業「使用済タイヤからの化学品製造技術の開発」の研究開発テーマの一つとして、ENEOSと進めている共同プロジェクであり、分解油や再生カーボンブラックなどの量産を想定したスケールアップ技術の確立を目指している。同プラントの最大処理能力は7,500トン/年であり、2027年9月に稼働を開始する予定としている。
◆リサイクル:住友ゴムと三菱ケミカルがタイヤ用カーボンブラックにおける資源循環の取り組みで協業を開始(1月30日)
住友ゴム工業と三菱ケミカルは、2025年1月から、タイヤの主原料のひとつであるカーボンブラックにおける資源循環の取り組みで協業を開始したことを発表した。
現在、日本では使用済みタイヤの多くは燃焼され、熱源として再利用されているが、タイヤの構成物質の大部分を占めるゴム成分とカーボンブラックが燃焼することでCO2が排出されている。
今回の協業で、住友ゴムはタイヤの製造工程で発生するゴム片および使用済みタイヤの粉砕処理品(再生材料)を三菱ケミカルに供給する。三菱ケミカルはそれらの再生材料を原料の一部としてコークス炉に投入してケミカルリサイクルを行い、得られたタールからカーボンブラックを生産する。できあがった資源循環型カーボンブラックは住友ゴムが生産するタイヤの原料として使用する。
使用済みタイヤを有効な資源として再利用するシステムを構築することでCO2排出量を削減することが期待でき、両社は、自動車・タイヤ業界のサーキュラーエコノミー実現に貢献するとしている。
◆サスティナブル:旭化成と産総研が「旭化成-産総研サステナブルポリマー連携研究ラボ」を設立(1月30日)
旭化成と産総研およびAIST Solutionsは、産総研内に「旭化成-産総研サステナブルポリマー連携研究ラボ」を設立したことを発表した。
今回設立した同連携研究ラボは、大学、研究機関、企業(サプライチェーン、同業他社、スタートアップ)など多様なステークホルダーの共創の場として位置付けており、サステナブルポリマーの提供を可能にする社会システムの早期実現を目指して取り組んでいく。設置期間は3年を予定している。
本連携研究ラボでは、「リサイクル材の確保と利用」を可能にするポリマーリサイクルシステムの社会実装、「機能を伴ったリサイクルしやすい設計」を実現する技術・システムの提供を目指す。具体的には、「リサイクル材の確保と利用」に向けた課題の一つである品質確保にむけたグレーディングのモデルケースの創出を目指す。また、「機能を伴ったリサイクルしやすい設計」の実現のために、易解体接着剤に着目し、使用材料の再生・再利用につながる易解体ソリューションの提供に向けた開発を行うとしている。
◆電子材料:東京応化工業と東京科学大学がUVナノインプリントを用いたシリコンフォトニクス半導体プロセスを開発(1月29日)
東京応化工業と東京科学大学工学院電気電子系は、UVナノインプリント(UV-NIL)を用いたシリコンフォトニクスプロセスを開発したことを発表した。
ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は、半導体における次世代リソグラフィ技術の一つとして期待されている。
本研究では、シリコンフォトニクスプロセスに合わせたNIL用の光硬化性樹脂の開発を行った。さらに、SmartNIL技術(透明なフレキシブルポリマーのワーキングスタンプを使用して、ウェハレベルでUV-NILを行う技術)に基づいたロールオンプロセスの最適化を実施し、従来の90nm CMOSプロセスラインや電子線描画を用いて作られた光導波路と同程度の性能を得ることに成功した。今回開発したシリコンフォトニクスプロセスでは、UV-NILの大面積転写性や高スループット性を活かすことができ、かつコストの観点からも優位性があると考えられる。
シリコンフォトニクスは、高速、高帯域、低エネルギーであることから、将来のデータセンターとデータ伝送のボトルネックを解決するための重要な技術の一つと見なされている。将来的には、シリコンフォトニクスを扱っている各ファウンドリの標準プロセスラインへのNIL導入も期待される。また、従来の露光法では難しい3次元露光も可能であり、それを積極的に利用した新たな光デバイスの実現も示唆できるとしている。
◆電子材料:ZACROSがLG ディスプレイの環境認証取得パネルに バイオマス由来偏光板用保護フィルムを供給(1月28日)
ZACROS(旧社名:藤森工業)は、LG Displayのハイエンド14インチラップトップ用パネルの製造工程における重要部材として、自社のバイオマス由来の偏光板用保護フィルムが採用され、LGディスプレイの環境認証取得に貢献したことを発表した。
LGディスプレイは、LGのハイエンド14インチラップトップ用パネルにおいて、世界で初めてTUV RheinlandのProduct Carbon Reduction(PCR)認証を取得し、UL SolutionsよりEnvironmental Claim Validation(ECV)の認証も取得した。
同社が供給するバイオマス由来の偏光板用保護フィルムは、非可食バイオマス材料を使用することで、従来の石油由来製品と比較してCO2排出量を削減した。本製品は、偏光板用保護フィルムとしての従来の機能は維持したまま基材と粘着層を合わせて31%のバイオマス度を実現したとしている。
◆リサイクル:レゾナックの混合プラを直接基礎化学品へ再生する技術がNEDOのグリーンイノベーション基金に採択(1月27日)
レゾナックは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が追加公募した「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」に対し、「混合プラスチックから基礎化学品を製造するケミカルリサイクル技術の開発」を提案し、採択されたことを発表した。
研究開発の内容は、使用済みプラスチックの大部分を占める混合プラスチックを直接基礎化学品に変換・再生する熱分解技術に関して、低級オレフィンやベンゼンなど有用な基礎化学品を収率60%以上で製造し、製造時に排出されるCO2を0.8 kg-CO2/kg-オレフィン以下にする技術の開発を行う。本プロジェクトではマイクロ波加熱などを活用した熱分解を数千トン/年の実証スケールで行い、多様な使用済みプラスチックに対応できる技術の確立を目指す。まずラボ、ベンチスケールで分解プロセスや反応器形式の選定を行い、パイロットスケール、大規模実証スケールとスケールアップを行いながら条件の最適化を進める。また、商業化した際に生じうる課題の抽出・対策も並行して実施する。
事業期間は、2024年度~2032年度までの最大9年間の予定としている。
◆分離膜:東レが医薬品製造工程に用いる高効率分離膜を開発(1月27日)
東レは、バイオ医薬品の製造工程に用いるための高効率分離膜モジュールを開発したことを発表した。
近年、医薬品市場は従来の低分子医薬品からバイオ医薬品へのシフトが進んでいる。また、遺伝子治療薬等の新たなモダリティー(治療手段の種別)も上市されており、この傾向は今後も続くと予想されている。
遺伝子治療薬は培養細胞を用いて作られ、精製工程では培養細胞やその破片を含む培養液をデプスフィルターで粗ろ過し、次に、たんぱく質などの不純物を限外ろ過膜で除去している。この時に起こる目詰まりや限外ろ過膜への遺伝子治療薬の付着により、有効成分のロスが発生し、高コスト化に繋がっている。
今回、開発した分離膜モジュールは、複数種類の不織布を用いた粗ろ過膜(デプスフィルター)と、中空糸を用いた限外ろ過膜の2段階から成る。本モジュールは、バイオ医薬品の製造工程における目詰まりを低減することで、従来製品と比較してろ過性能が2倍以上に向上し、バイオ医薬品の収率90%以上ならびに精製度向上が期待できる。まずは遺伝子治療薬製造の精製工程用途に向けて、幅広い顧客に試作品を提供して評価を進める。今後、2025年度中の販売開始を目標に、量産体制の構築を進めていくとしている。
◆リサイクル:ブリヂストンと東海カーボンが使用済タイヤ等からカーボンブラックを生成する共同プロジェクトの開始を発表(1月27日)
ブリヂストン、東海カーボン、九州大学、岡山大学は、使用済タイヤ等のゴムを含む高分子製品から取り出された再生カーボンブラック(以下、rCB)を二次処理し、石油・石炭由来の新品カーボンブラック(以下、vCB)並のゴム補強性を持つカーボンブラック(以下、eCBTM)を生成するための技術開発プロジェクトを開始したことを発表した。
既に、使用済タイヤ等のゴムを含む高分子製品を熱分解し、rCBを回収、再利用する取り組みは行われているが、rCBには多くの不純物が含まれていることなどから、タイヤへの活用には、vCBと比較してゴム補強性の面で課題を抱えている。また、使用済タイヤの多くはサーマルリカバリー(熱回収)により燃料として有効利用されているが、その際にCO2排出を伴う。
本プロジェクトでは、rCB内の不純物等を除去し高いゴム補強性を持つeCBを生成する技術開発に取り組み、2032年度までにeCBを5,000t/年生産する実証プラントの稼働を目指す。また、使用済タイヤを熱分解せずにカーボンブラックの再利用を可能とする特殊ポリマー/特殊カーボン複合体の開発にも取り組むとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの2月の契約価格を改定
2月契約価格は、930$/t(前月比+10$/t)
国内価格換算想定値は150.4円/kg
・クラレが水添スチレン系熱可塑性エラストマー及びブロック化エラストマーを2月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、0.33USD/kg
・東海カーボンが黒鉛電極を2025年新規注文分より値上げ
値上げ幅は、10%
・レゾナックが塩酸を2月20日納入分より値上げ
値上げ幅は、10円/kg以上
・UACJがアルミ製品を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、ロールマージンの20%以上相当