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2025年3月13日

2025.03.13 発行

HEADLINE

◆リサイクル:住友化学が大手電機・自動車会社向けにアクリル樹脂のケミカルリサイクル品の販売を開始(3月6日)
◆炭素繊維:帝人が高強度・中弾性の36K炭素繊維の販売を開始(3月6日)
◆撥水剤:東洋アルミがコンクリート型枠表面に超撥水性能を付与する「アート型枠」用「超撥水剤」を外販(3月5日)
◆電子材料:クラレが銅張積層板「ベクスターFCCL」の生産終了を発表(3月5日)
◆CO2対策:アイカ工業がけい酸カルシウム板にCO2を固定化する技術を確立(3月4日)
◆電子材料:旭有機材が中国において電子材料の新工場建設を決定(3月3日)
◆電子材料:東レが台湾に先端半導体関連技術・材料の研究・技術開発拠点を開設(3月3日)
◆樹脂:戸田工業と三洋化成が電子機器の熱・電磁ノイズ(EMI)対策に適した2液硬化型磁性ウレタン樹脂を共同開発
 (3月3日)
◆水素関連:エボニックがアニオン交換膜(AEM)を製造するパイロットプラントの建設中を発表(3月3日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの3月の契約価格を改定
・タキロンシーアイが雨どい製品を4月21日出荷分より値上げ
  
  

WEEKLY NEWS

◆リサイクル:住友化学が大手電機・自動車会社向けにアクリル樹脂のケミカルリサイクル品の販売を開始(3月6日)
 住友化学は、ケミカルリサイクルで得られたMMA(メタクリル酸メチル)モノマーを原料としたポリマー材料PMMA(ポリメチルメタクリレートアクリル樹脂)の販売を開始すると発表した。 
 同社は、2022年に愛媛工場にPMMAケミカルリサイクルの実証設備を建設し、ISCC Plusなどの第三者認証を取得し、マスバランス方式を用いた実用的なリサイクルの社会実装をグローバルに進めている。
 今回の販売は、量産設備で生産されたPMMAを、電機や自動車など、高い品質が要求される用途に提供する。液晶ディスプレイのバックライトユニットに用いられる導光板原料として韓国LG Display社向けに、また、ヘッドランプに用いられるレンズ原料として日産自動車向けにそれぞれ販売を開始する。
 同社は、リサイクル価値の社会醸成と歩調を合わせながら、自社での本格事業化、ライセンスを通じた社会全体への普及を進め、サステナブルな社会実現に貢献するとしている。

◆炭素繊維:帝人が高強度・中弾性の36K炭素繊維の販売を開始(3月6日)
 帝人は、優れた強度や弾性率とコスト競争力を両立した炭素繊維(IMS65 E23 36K 1630tex)を開発し、販売を開始したと発表した。
 同製品は、36,000本の単繊維が束になって構成された36Kの炭素繊維であり、独自の製造方法により、高強度(5800MPa)や中弾性率(280Gpa)を実現しながらも生産性を大幅に高めることに成功している。また、炭素繊維としての取り扱いがしやすく、圧力容器用途に用いられるフィラメントワインド成形やプリプレグ用途で用いられる開繊に対しても高い適性を有していることから、さまざまな産業分野で活用することができる。
 今後、36Kの炭素繊維のさらなる用途拡大に向けて、航空宇宙用途にも対応できる製品の研究開発を進めるとしている。

◆撥水剤:東洋アルミがコンクリート型枠表面に超撥水性能を付与する「アート型枠」用「超撥水剤」を外販(3月5日)
 東洋アルミと清水建設は、打放しコンクリートの品質・美観向上技術として開発した超撥水型枠「アート型枠」の現場適用の拡大に向け、水を著しくはじく疎水性の微細な凹凸形状をコンクリート型枠の表面に付与する「超撥水剤」の外部販売を開始したことを発表した。なお、製品の販売はKTSに委託する。
 アート型枠を木目調コンクリートの施工に利用することで、杉板の木目がきれいに転写された美しい表層を構築でき、脱型後の補修費用の削減、杉板型枠の再利用も可能になる。
 同社および清水建設は、超撥水剤の外部販売を通じてアート型枠の適用拡大を図り、良質の木目調コンクリート構造物の普及に寄与していくとしている。

◆電子材料:クラレが銅張積層板「ベクスターFCCL」の生産終了を発表(3月5日)
 クラレは、銅張積層板「ベクスターFCCL」の生産を終了することを発表した。
 ベクスターFCCLは、高速伝送回路や高周波電子機器に好適な高周波特性を備える同社が独自に開発した液晶ポリマーフィルム「ベクスター」に銅箔をラミネートした積層体で、2019年に「ベクスターFCCL」の生産を鹿島事業所(茨城県)にて開始している。しかし、ターゲットとしていたミリ波帯の5G関連市場の立ち上がりの遅れを背景に需要が想定より伸び悩んだため厳しい事業環境が継続し、将来的にも安定的な生産を維持するための事業収益の確保が困難との判断に至った。
 今後は、「ベクスターFCCL」を取扱っている取引先向けに必要な製品の生産を継続した後、2026年6月末を目処に生産を終了する予定である。なお、液晶ポリマーフィルム「ベクスター」については西条事業所(愛媛県)での生産を継続し、今後、用途拡大をはかりながら販売を継続していくとしている。

◆CO2対策:アイカ工業がけい酸カルシウム板にCO2を固定化する技術を確立(3月4日)
 アイカ工業は、けい酸カルシウム板にCO2を固定化する技術を確立したと発表した。
 本技術は、けい酸カルシウム水和物がCO2と反応して炭酸化する仕組みを活用した技術である。けい酸カルシウム板の廃材粉を水の存在下でCO2と接触させることで、CO2は炭酸カルシウムとして製品中に固定化され、固定化の効果が半永久的に続くようになる。
 本技術では、3×6サイズ(910×1,820mm)・厚さ6mmのけい酸カルシウム板1枚あたりに約200~300gのCO2が固定できる見込みであり、仮に同社で製造している全けい酸カルシウム板に本技術を展開できれば、CO2の固定量は1年間で約770t程度と見込まれる。今後、実用化に向けて引き続き技術開発を進めていくとしている。

◆電子材料:旭有機材が中国において電子材料の新工場建設を決定(3月3日)
 旭有機材は、中国江蘇省南通市にある100%出資のグループ子会社の旭有機材樹脂(南通)において新工場を建設することを決定したと発表した。
 同社は、フラットパネルディスプレイ及び半導体製造プロセスには欠かせないフォトレジストのベース樹脂を製造している。2013年から南通市において中国市場向けの電子材料の生産を開始し、品質の安定性を強みとして販売数量を伸ばしてきた。中国では、この分野における原材料の国産化・現地化により需要が増加しており、2023年度には南通既設工場の生産能力を1.5倍に増強している。今後も需要拡大が見込まれる中国市場に対応するため、生産能力を約3倍に拡大した新工場の建設を決定した。
 新工場の生産品目はフォトレジスト用ノボラック樹脂、生産能力は1,970トン/年(南通既設工場の約3倍)、投資金額は約3億元、竣工は2027年3月の見込みとしている。

◆電子材料:東レが台湾に先端半導体関連技術・材料の研究・技術開発拠点を開設(3月3日)
 東レは、台湾に研究・技術開発拠点「Toray Taiwan Technical Center(TTTC)」を開設し、先端半導体向け関連技術・材料の研究・開発、技術サービス活動を強化することを発表した。
 台湾は、世界最大の半導体製造拠点で、台湾政府は2024年から10年間で半導体産業への3,000億台湾元(約1兆4,000億円)の投資を発表し、主要大学に半導体等重点領域の「研究学院」を設置する等、さらに半導体産業の発展が期待されている。既に、異種チップの複合化や3D積層といった半導体の高集積・高性能技術、光電融合技術などの次世代半導体開発が進んでいる。
 上記を背景に、東レは台湾現地有力企業との取り組みを開始し、次世代パッケージ向けモールド用離型フィルムなどのフィルム材料、光電融合関連技術としてマルチコア光ファイバ、インフラ向け製品として下廃水再利用ニーズに対応した高尿素除去RO膜などの新製品開発、提案を進めている。今回、TTTC設立により研究機関や大学、台湾の東レグループ関係会社と連携して先端半導体関連技術・材料の先行開発を推進し、現地顧客ニーズに即した技術、製品のスピーディーな提案、技術サービスを展開していくとしている。

◆樹脂:戸田工業と三洋化成が電子機器の熱・電磁ノイズ(EMI)対策に適した2液硬化型磁性ウレタン樹脂を共同開発(3月3日)
 戸田工業と三洋化成工業は、高い熱伝導性と電磁ノイズ抑制性能を有する、2液硬化型の磁性ウレタン樹脂『キラオーパス』を共同開発したことを発表した。
 『キラオーパス』は、硬化前はペースト状で流動性に優れ、従来のシート状ノイズ低減材では困難だった微細な隙間にも容易に充填できる。室温で硬化し、硬化物は電気絶縁性で接点障害のリスクとなるシロキサン成分を含まないため、各種電気電子部品への封止や注型に適している。この特性により、電子機器の小型化や薄型化、ノイズ低減、安定動作、通信品質の向上などに寄与することが期待できる。今回、商用化に向け、本格的なサンプル提供を開始した。
 今後、5G通信や、AI、IoT、ロボット、自動運転の進展により、情報処理能力向上とともに高周波ノイズや熱の発生が増加することが予想され、その対策が重要となっている。『キラオーパス』はこうした課題の解決に貢献できる可能性があり、両社は、早期の市場投入を目指すとともに、 製品ラインアップの拡充やさらなる技術開発にも引き続き注力していくとしている。

◆水素関連:エボニックがアニオン交換膜(AEM)を製造するパイロットプラントの建設中を発表(3月3日)
 エボニック インダストリーズ(本社:ドイツ)は、ドイツ・マールに、アニオン交換膜(AEM)を製造するパイロットプラントを建設していることを発表した。
 エボニックが開発したこの膜はDURAIONという製品名で販売される予定である。AEM水電解の心臓部にDURAION膜を使うことで、顧客はコスト競争力のあるグリーン水素の生産が可能になる。エボニックは、このAEM製造工場に数千万ユーロを投資している。
 AEM技術は、従来の電解プロセスと比較して安価な材料をセルに使用するため、投資コストの削減に繋がり、この技術は高い電流密度や優れた効率も実現することができる。
 DURAION膜の品質は、商業用電解装置システムでの使用に適しており、本工場の本格稼動が開始すれば、水素製造に必要な2.5GWの電解能力を供給するのに十分な量の膜を毎年製造できるようになる。さらに、この工場では強化膜の製造も行う予定である。本工場の稼働開始は、2025年末の予定としている。

◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの3月の契約価格を改定
 3月契約価格は、925$/t(前月比▲5$/t)
 国内価格換算想定値は144.0円/kg
・タキロンシーアイが雨どい製品を4月21日出荷分より値上げ
 値上げ幅は、サイホン雨どいシステム本体、部品、取り付け金具:15%以上
 住宅用雨どい本体、部品および取り付け金具:20%以上
 大型建築物用大型雨どい本体、部品および取り付け金具:20%以上
 その他(接着剤・結束線):20%以上

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