2025.03.21 発行
◆太陽電池材料:保土谷化学がペロブスカイト太陽電池向けの高機能材料を開発(3月14日)
◆ガラス:AGC Glass Europe社がCO2排出量を大幅に削減する型板ガラスパイロットラインの稼働を開始(3月13日)
◆中空糸膜:東レがナノ構造制御による高分離精度中空糸膜モジュールを開発(3月13日)
◆電子材料:東京応化工業が韓国子会社において新検査棟を竣工(3月12日)
◆光触媒:京都大学と住友金属鉱山が従来比約30倍の変換効率を示す二酸化炭素還元光触媒を共同開発(3月11日)
◆ウレタン原料:旭化成が旭化成精細化工(南通)の新工場の竣工を発表(3月10日)
◆フィルム:東レが遮熱・ナノ積層フィルムをウインドウフィルム向けに本格展開を開始(3月11日)
◆二次電池:東洋エンジニアリングが日本触媒よりリチウムイオン電池用電解質製造プラント建設プロジェクトを受注
(3月11日)
◆セルロース:王子ホールディングスがインドの微結晶セルロース製造販売会社を買収(3月10日)
◆価格改定
・日本触媒がメラミン・ベンゾグアナミン系微粒子を4月1日出荷分より値上げ
・東洋紡が包装用フィルム製品を5月1日納入分より値上げ
◆太陽電池材料:保土谷化学がペロブスカイト太陽電池向けの高機能材料を開発(3月14日)
保土谷化学は、桐蔭横浜大学、韓京国立大学校とのペロブスカイト太陽電池向けの高機能材料の共同研究において、ドーパントを添加せずに高い変換効率を発現する正孔輸送材料を開発したと発表した。
ドーパントはペロブスカイト太陽電池の耐久性を低下させる一因とされており、開発した材料を用いることでペロブスカイト太陽電池の耐久性を向上させることが期待される。
同社は今後、さらなる技術開発を通じ、ペロブスカイト太陽電池の普及に貢献していくとしている。
◆ガラス:AGC Glass Europe社がCO2排出量を大幅に削減する型板ガラスパイロットラインの稼働を開始(3月13日)
AGCの100%子会社である AGC Glass Europe社(ベルギー)は、バレフカ工場(チェコ)にて、新たな型板ガラスパイロットラインの稼働を2025年2月から開始したと発表した。
同プロジェクトは、AGC Glass Europe社とサンゴバン社(Saint-Gobain S.A.)の共同で実施され、世界最大級の資金プログラムの一つである「革新的な低炭素技術の商業化の支援を通じて、温室効果ガス排出量削減を目指すEUイノベーション基金」から資金提供を受けて実現した。
パイロットラインの稼働は2028年までの予定としている。
◆中空糸膜:東レがナノ構造制御による高分離精度中空糸膜モジュールを開発(3月13日)
東レは、食品飲料製造やバイオ用途に用いる中空糸膜モジュールについて、ナノ細孔構造制御技術を用いた高分離精度中空糸膜モジュールを開発したことを発表した。
近年、機能性表示食品を始め、タンパク質や多糖類を濃縮し、製造コスト低減や新製品を創出したいという顧客からの要望が増加している。これらのろ過対象物質は分子量が小さいものも多く、中空糸膜の孔径(分画分子量)を小さくする必要があるが、同社品の特徴である高い耐熱性を維持したまま小孔径と高透過性を両立させることは困難だった。
この課題を解決すべく、同社は高耐熱性と高透過性を維持しつつ、孔径を同社品比で約1/4に低減した高分離精度中空糸膜モジュールを開発した。同開発品は、従来の同社品よりも幅広い分子量のタンパク質や多糖類の回収率や濃縮倍率を向上することが可能である。
同開発品については、顧客向けにサンプル提供を開始しており、今後は、低分子量の目的物の濃縮・精製を希望される場合には同開発品を、高分子量の目的物の濃縮・精製を希望される場合には、従来の同社品を検討するなど、顧客の用途や製造プロセスに適した中空糸膜モジュールの選定が可能になるとしている。
◆電子材料:東京応化工業が韓国子会社において新検査棟を竣工(3月12日)
東京応化工業は、連結子会社であるTOK尖端材料(韓国)において、製品のさらなる高品質化および生産能力拡大のため、新検査棟を竣工したことを発表した。
新検査棟には新たな検査装置を導入し、製品の品質管理強化および検査効率の向上を見込んでいる。加えて、将来の需要増加にも対応できる拡張性を備えている。
今後も半導体市場の拡大と高品質製品の安定提供に向けた生産基盤の拡充および研究開発基盤の強化のため、積極的な設備投資を実施する計画である。今回の投資金額は約70億円、運用開始時期は2026年上期の予定としている。
◆光触媒:京都大学と住友金属鉱山が従来比約30倍の変換効率を示す二酸化炭素還元光触媒を共同開発(3月11日)
京都大学と住友金属鉱山は、CO2を従来比約30倍の変換効率で一酸化炭素(CO)へ還元する紫外光応答型光触媒を開発したことを発表した。
両者が研究開発を進めているCO2還元光触媒を用いると、光エネルギーを利用してCO2をプラスチックの原料となるCO等へ変換することができる。これにより、CO2を再資源化するとともに、より少ない石油資源でプラスチック等を生産することが可能となる。
CO2還元光触媒は、土台である半導体光触媒と、反応を向上させるための助触媒から構成されている。従来のAgナノ粒子助触媒を担持したタンタル亜鉛(ZnTa2O6)半導体光触媒の場合、紫外光照射下でのCO2光還元により得られるCO濃度は270ppm程度であったが、最適化を行なった結果、従来の約30倍となる8,000ppm超のCO濃度が得られ、国内外の報告例と比較して非常に高い変換効率を実現することに成功した。
今回用いたZnTa2O6光触媒は300nmよりも短波長の紫外光しか利用できないが、太陽光に多く含まれる可視光を利用できる光触媒であればCO2還元性能のさらなる向上が期待できる。今後は光エネルギーのさらなる活用を目指し、半導体光触媒の開発にも注力する必要があるとしている。
◆ウレタン原料:旭化成が旭化成精細化工(南通)の新工場の竣工を発表(3月10日)
旭化成は、同社の中国拠点である旭化成精細化工(南通)の南通経済技術開発区内での移転を進め、第1期の稼働準備が整ったことを発表した。
同社は、旭化成精細化工(南通)において、2007年より塗料等に用いられる高機能ウレタン樹脂原料であるHDI系ポリイソシアネート「デュラネート」を、2014年より同ウレタン樹脂原料であるポリカーボネートジオール「デュラノール」を製造してきた。今回、旭化成精細化工(南通)は、中国長江保護法および関連法規を根拠とした南通経済技術開発区の方針により、同北区に所在する化学企業に対して移転要請が通知されたため、同南区への移転を進めていた。
旭化成精細化工(南通)では、3月末より稼働準備の整った新製造ラインから順次商業運転を開始するとしている。
◆フィルム:東レが遮熱・ナノ積層フィルムをウインドウフィルム向けに本格展開を開始(3月11日)
東レは、高い透明性と遮熱性を備えたナノ積層フィルム「PICASUS IR」をウインドウフィルム向けに本格展開を開始したことを発表した。
省エネルギー化要請や夏場の気温上昇を背景に、遮熱性に優れたウインドウフィルムの需要が高まる中で、建築物の美観や室内からの景観の保持、自動車の視認性確保の必要性から、遮熱性に優れ、透明性が高いウインドウフィルムの需要が増えている。
今回、建築物や自動車の窓に後から貼り付けるウインドウフィルム向けに業界標準の50μm厚のスタンダードタイプの販売を開始した。スタンダードタイプは、市販の遮熱ウインドウフィルムでは最高レベルの透明性と遮熱性を有する。さらに、市販品と比較してナノ積層の各ポリマー層間の密着力が良好で施工時のリワーク性に優れるという特徴も有する。
今後さらに遮熱性をスタンダードタイプ比40%向上させた高遮熱タイプの顧客評価も本格化し、ラインナップ拡充を進めていくとしている。
◆二次電池:東洋エンジニアリングが日本触媒よりリチウムイオン電池用電解質製造プラント建設プロジェクトを受注(3月11日)
東洋エンジニアリングは、日本触媒が福岡県に新設するリチウムイオン電池用電解質製造プラント(3,000トン/年)の建設プロジェクトを受注したことを発表した。
本件は設計、調達、建設工事を一括で受注し、2027年度の完工を予定している。このプラントで製造される電解質は、電気自動車のバッテリーに使われるリチウムイオン電池の充電時間の短縮化、長寿命化、低温環境下の出力向上などといった高性能化に寄与するものとしている。
◆セルロース:王子ホールディングスがインドの微結晶セルロース製造販売会社を買収(3月10日)
王子ホールディングスは、製薬業界向け微結晶セルロースの製造、販売をグローバルで事業展開する、Chemfield Cellulose社の発行済株式を取得したことを発表した。
微結晶セルロースは、医薬品製造用の賦形剤や栄養補助食品向けなど幅広い用途に適した安全性の高い製品であり、錠剤製造に求められる成形性、粉体の流動性などの優れた高機能性が評価され、新薬やジェネリック医薬品への採用が拡大している。
Chemfield社は、発がん性のあるニトロソアミン類を含まない高い品質水準と価格競争力に強みを持つ製品群により、インド国内医薬品メーカーに加えて、欧米の大手グローバル医薬品メーカーへの採用実績も重ねており、市場において高い優位性を発揮している。
王子ホールディングスグループは、従来の原材料(パルプ)事業の下流工程であるパルプ加工品(微結晶セルロース)の製造販売一貫体制の確立を通して高付加価値事業にビジネスを拡大することで、森林資源を活かした木質バイオビジネスを発展させていくとしている。
◆価格改定
・日本触媒がメラミン・ベンゾグアナミン系微粒子を4月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、400円/kg以上
・東洋紡が包装用フィルム製品を5月1日納入分より値上げ
値上げ対象となる製品は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)
無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)
リニアローデンシティ・ポリエチレンフィルム(LLDPE)
二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)
二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)
透明蒸着フィルム(PET)
熱収縮ポリエステルフィルム(SC)
値上げ幅は、3.0%以上