2020.07.22 発行
◆電子材料:日本ゼオンがポジ型感光性絶縁材料の新製品の販売を開始(7月17日)
◆環境対策:宇部興産の「産業廃棄物中のカルシウム等を用いた加速炭酸塩化プロセスの研究開発」がNEDOの研究開発委託事業として採択(7月15日)
◆環境対策:トクヤマが双日とナノミストテクノロジーズと共同でカーボンリサイクルの研究開発事業を開始(7月14日)
◆環境対策:富山大学、千代田化工建設、日鉄エンジニアリングなどがCO2を原料とするパラキシレン製造に関する開発に着手(7月14日)
◆環境対策:ユニチカの耐溶剤性分離膜プロセスの開発がNEDOの助成事業に採択(7月14日)
◆電子材料:昭和電工が高耐湿・高熱伝導の窒化アルミニウムフィラーを開発(7月14日)
◆炭素繊維:東レがUAM(Urban Air Mobility)用途向け炭素繊維複合材料の事業拡大と独・リリウム社との供給契約を締結(7月14日)
◆IT:ダイキン工業と日立製作所が化学事業において最適な生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションの運用を開始(7月14日)
◆電子部品:大日本印刷と東京大学がスキンディスプレイのフルカラー化に成功(7月13日)
◆電子材料:日本ゼオンがポジ型感光性絶縁材料の新製品の販売を開始(7月17日)
日本ゼオンは、ポジ型感光性絶縁材料「ZEOCOAT ZC100」を開発し、販売開始したことを発表した。
新製品のZC100は、アルカリ現像タイプのポジ型感光性絶縁材料で、180℃の低温硬化が可能であり、高解像性、高絶縁信頼性を有するため、デバイスの歩留まりや信頼性を向上させる。
主な使用用途としては、さらなる微細化や低温プロセスが求められる、次世代ウエハーレベルパッケージへの展開を目指すとしている。
◆環境対策:宇部興産の「産業廃棄物中のカルシウム等を用いた加速炭酸塩化プロセスの研究開発」がNEDOの研究開発委託事業として採択(7月15日)
宇部興産は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/炭酸塩、コンクリート製品・コンクリート構造物へのCO2利用技術開発」プロジェクトに「廃コンクリートなど産業廃棄物中カルシウム等を用いた加速炭酸塩化プロセス研究開発」が採択されたことを発表した。
本事業の委託期間は2020年度から2024年度の5年間であり、廃コンクリート等カルシウムを多く含む産業廃棄物から原料となるカルシウムを抽出し、排ガス中のCO2と反応させて固定化させるプロセスの実用化と普及を目指した技術開発を行う。また、カルシウム分の抽出と炭酸塩化の効率を高めるため、加速炭酸塩化技術について試験・評価を実施するとともに、プロセス全体の最適化を図りながら技術を確立させ、CO2削減効果を評価していくとしている。
◆環境対策:トクヤマが双日とナノミストテクノロジーズと共同でカーボンリサイクルの研究開発事業を開始(7月14日)
トクヤマは、双日とナノミストテクノロジーズと共に、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より、カーボンリサイクルの技術開発・普及を目的とした「化石燃料排ガスのCO2を微細ミスト技術により回収、CO2を原料とする炭酸塩生成技術の研究開発」事業を受託したと発表した。
現在、炭酸塩(ソーダ灰)の製造プロセスには、石灰石焼成由来のCO2を原料としているが、今回、石炭火力発電所の燃焼排ガス中のCO2を、微細ミスト(超音波などを用いて水溶液を粒径5マイクロメートル程度以下の霧状にしたもの)にて吸収し、炭酸塩の原料に置き換えることで、CO2の排出削減の実現を目指す。
本事業は2022年までの約3か年で、トクヤマがCO2 放散技術の開発、エンジニアリング業務を、ナノミストテクノロジーズが微細ミストによるCO2吸収技術の開発を、双日が幹事業務、LCA評価を行い、3社共同で概念設計の策定、CO2吸収材の開発を行うとしている。
◆環境対策:富山大学、千代田化工建設、日鉄エンジニアリングなどがCO2を原料とするパラキシレン製造に関する開発に着手(7月14日)
富山大学、千代田化工建設、日鉄エンジニアリング、日本製鉄、ハイケム、三菱商事は、共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/化学品へのCO2利用技術開発」に採択されたことを発表した。
火力発電などから排出されるCO2の削減は気候変動対策として重要であり、またCO2を資源として捉えて、回収し、有効利用する「カーボンリサイクル技術」の開発が求められている。
こうした中、NEDOは、既存の化石燃料由来化学品に代替することを目的とする化学品へのCO2利用技術の開発として、CO2を原料とするパラキシレン製造に関する技術開発事業への取り組みを開始した。パラキシレンは、化学品を製造するカーボンリサイクル技術の中では水素原料の使用量を抑えながらCO2を固定化できる特長があり、経済的観点、環境的観点いずれの意味でも可能性が大きいテーマである。
本事業の事業期間は2020~2023年度で予算は19.9億円であり、本事業では、CO2からパラキシレンを製造するための画期的な触媒の改良、量産技術の開発やプロセス開発を実施するとともに、全体の経済性やCO2削減効果を含めた事業性検討を行い、実証段階への道筋を作ることを目指すとしている。
◆環境対策:ユニチカの耐溶剤性分離膜プロセスの開発がNEDOの助成事業に採択(7月14日)
ユニチカは、長瀬産業と共同提案した「有機溶剤回収の省エネルギー化を目指した耐溶剤性分離膜プロセスの開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2020年度戦略的省エネルギー技術革新プログラム/実用化開発の助成事業に採択されたと発表した。
化学工業等において、有機溶剤の分離・濃縮に多用される蒸留法は、エネルギー消費の大きいプロセスであり、蒸留に要するエネルギーを低減させる方法として、膜分離法が検討されている。しかし膜分離法は、水処理分野では広く実用化されているが、水処理膜として実用化されている膜は耐溶剤性がなく、有機溶剤分離には用いることが出来なかった。
ユニチカは、幅広い有機溶剤に耐性を持つナイロン中空糸ナノろ過膜『WINSEP NF』を開発し、この『WINSEP NF』の実用化へ向けて長瀬産業、神戸大学等と取り組むプロジェクトが今回のNEDOの助成事業に採択された。実施期間が2020年7月から2023年2月までである。
ユニチカは、NEDO助成事業において具体的な用途を想定し、さまざまな分野での実用化に向けた研究開発を進めるとしている。
◆電子材料:昭和電工が高耐湿・高熱伝導の窒化アルミニウムフィラーを開発(7月14日)
昭和電工は、半導体デバイス等の放熱フィラー用の高耐湿・高熱伝導窒化アルミニウムフィラー(以下、窒化アルミフィラー)を開発し、サンプル提供を開始したと発表した。
半導体の高性能化によりデバイス内で発生する熱が増加しており、発生した熱をいかに素早く除去するかが重要な課題となっている。
窒化アルミニウムは高い絶縁性、シリコンと同程度の熱膨張係数、半導体製造時に使用される塩素系ガスに対する耐性といった特性を有している。また、高い熱伝導率を有しているが、水分が付着すると加水分解を起こして腐食性のアンモニアが発生することが問題となっていた。同社では、窒化アルミニウムの表面に独自の極薄膜による表面処理を行うことで、高耐湿性・高熱伝導性を有する窒化アルミフィラーの開発に成功した。
今後サンプル提供を通じて市場を開拓し、2023年から量産を開始する計画としている。
◆炭素繊維:東レがUAM(Urban Air Mobility)用途向け炭素繊維複合材料の事業拡大と独・リリウム社との供給契約を締結(7月14日)
東レは、ドイツのLilium(リリウム社)と、同社が開発中の「リリウム・ジェット(Lilium Jet)」に使用する炭素繊維複合材料の供給契約を締結したと発表した。
UAM(Urban Air Mobility)は、都市部の交通が抱える渋滞・騒音・大気汚染といった課題の解決に繋がる新交通システムとして期待されており、現在は各国において、UAMの商業運航開始に向けて機体や運航システムの開発、法制度の整備が進んでいる。また、UAMは「空飛ぶ車」とも呼ばれ、垂直離着陸が可能な小型電動機を主流に開発が進んでいる。リリウム社は、そうしたUAMの開発のトップランナーの1社であり、同社では2025年の商業運航開始に向けて機体の開発を推進している。
UAMにおいては、機体の軽量化など様々な要求に応えるため、炭素繊維複合材料の果たす役割が極めて重要となる。東レはUAMメーカーとの協業を深化させながら、機体の高性能化・省エネルギー化・低コスト化に向けた革新的な複合材料の開発を継続しており、今回のリリウム社との取り組みは、この一環としている。
◆IT:ダイキン工業と日立製作所が化学事業において最適な生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションの運用を開始(7月14日)
ダイキン工業と日立製作所は、日立グループのSCM(Supply Chain Management)最適化シミュレーション技術を適用し、ダイキンの化学事業において需要変動に即応する最適な生産・販売計画の立案・実行支援ソリューションを実用化したことを発表した。
本ソリューションは、複数の製造・販売拠点の需給バランスをもとに、利益、売上、キャッシュフローなどの重要業績指標(KPI)の最大化に向けて適正化した製造・販売施策シナリオや生産計画を自動で提示し、意思決定の迅速化に貢献するとともに、ウィズ・アフターコロナ時代の急激な需要変化にも対応するとしている。
◆電子部品:大日本印刷と東京大学がスキンディスプレイのフルカラー化に成功(7月13日)
大日本印刷(以下:DNP)と東京大学の研究チームは、独自の伸縮性ハイブリッド電子実装技術を進化させ、薄型で伸縮自在なフルカラーのスキンディスプレイと駆動・通信回路及び電源を一体化した表示デバイスの製造に成功したと発表した。
本研究では、発光素子として無機半導体を発光材料としたLEDと独自の伸縮性ハイブリット電子実装技術を駆使することで、従来の伸縮性ディスプレイよりも圧倒的な大気安定性と機械的耐久性を同時に達成した。
今回開発したスキンディスプレイには、12×12個(画素数:144)の1.5mm角サイズのフルカラーLEDが、薄いゴムシートに2.5mmの等間隔で埋め込まれている。全体の厚みは約2mmで、130%までの伸縮を繰り返しても電気的・機械的特性が損なわれない。また、伸縮性のある配線材料として銅を採用し、産業界で実績のある量産性に優れた方法で製造が可能なため、早期の実用化と将来の低コスト化が期待できる。
将来的には、同技術の更なる発展により皮膚に貼りつくデバイスで身体の動きや体調をセンシングでき、コミュニケーションをとる相手と感覚情報を共有するための新たな手段を提供できる可能性がある。DNPは、間もなくスキンエレクトロニクスの実用化検証を開始するとしている。