2020.08.27 発行
◆界面活性剤:BASFがアジア太平洋地域のアルコキシレート生産能力増強に投資(8月20日)
◆リサイクル:三菱ケミカルが廃棄物リサイクル先進企業・リファインバース社と資本業務提携(8月20日)
◆化粧品原料:大阪有機化学工業が三菱ケミカルの化粧品用アクリル樹脂事業を譲受(8月19日)
◆有機化学:出光興産がBASF出光の合弁契約を解消、1,4-ブタンジオール事業から撤退(8月19日)
◆IoT:ダイセルが「自律型生産システム」を開発(8月19日)
◆R&D:三菱ガス化学が新潟研究所N-SEQ棟を竣工(8月19日)
◆ウイルス対策:AGCの子会社がNovavaxの新型コロナウイルス感染症ワクチン候補アジュバントの製造受託規模を拡大(8月18日)
◆ウイルス対策:富士フイルムの子会社が新型コロナウイルス感染症ワクチン候補の原薬製造を受託(8月17日)
◆界面活性剤:BASFがアジア太平洋地域のアルコキシレート生産能力増強に投資(8月20日)
BASFは、中国の金山(ジンシャン)への投資により、アジア太平洋におけるアルコキシレートの生産能力を増強することを発表した。
アルコキシル化技術は、洗濯用洗剤、硬質表面用洗剤、食器洗い機用洗剤などのホームケア、パーソナルケア、工業用および業務用洗浄剤、可塑剤、乳化重合用乳化剤、農薬添加剤、ゴム産業用ポリウレタンフォームの製造に使用される工業用配合物を含む、広範囲の産業分野で使用される界面活性剤の製造に使用されている。
同社は、Sinopec Shanghai Petrochemical Company 社が保有し、BASFの金山工場に隣接する、アルコキシレート生産に関連する土地、建物および資産を取得した。金山工場のアルコキシル化製造ラインは現在フル稼働しており、今回の買収により金山工場の生産能力は2020年末から倍増するとしている。
◆リサイクル:三菱ケミカルが廃棄物リサイクル先進企業・リファインバース社と資本業務提携(8月20日)
三菱ケミカルは、サーキュラ―エコノミー(循環型経済)推進に向けた取り組みの一環として、産業廃棄物を回収処理し再資源化する事業を行うリファインバースと資本業務提携すると発表した。
リファインバースグループは、建築系廃棄物処理の収集運搬業を主とした事業を起点に、廃棄物処理から 樹脂製造までの一貫した体制を築き、様々な再生資源の提供を行っている。
三菱ケミカルでは、リファインバースと資本業務提携することにより、同社が持つ産業廃棄物全般のノウハウと同社の技術及び知見を融合させ、廃棄物の適切なリサイクルや有効利用を促進するとしている。
◆化粧品原料:大阪有機化学工業が三菱ケミカルの化粧品用アクリル樹脂事業を譲受(8月19日)
大阪有機化学工業は、三菱ケミカルの事業の一部である頭髪化粧品用アクリル樹脂の製造・販売事業を譲り受けることで合意し、契約を締結したことを発表した。譲受する商品名は、「ユカフォーマー」「ダイヤフォーマー」「ダイヤスリーク」である。
大阪有機化学工業は、三菱ケミカルから本事業を譲り受けることで、製品ラインナップの拡充及び海外販売のチャンネルを得ることができ、機能化学品セグメントの強化に繋がる。
事業譲受予定日は、2021年2月1日であり、2021年2月1日以降は当面、三菱ケミカルへ製造を委託し、大阪有機化学工業が販売するとしている。
◆有機化学:出光興産がBASF出光の合弁契約を解消、1,4-ブタンジオール事業から撤退(8月19日)
出光興産は、BASFとの1,4-ブタンジオール(BDO)の製造・販売事業を行うBASF出光社(BASF67%、出光33%、以下BIC)の合弁契約を解消し、BDO事業から撤退すると発表した。
BDOは伸縮性繊維やエンジニアリングプラスチックの原料として使われる有機化合物である。近年、国内需要の減少、アジアでの設備新増設による供給過剰などで事業環境が悪化しており、今後の方針について検討した結果、事業継続は困難と判断した。
出光興産の千葉事業所内にあるBICの製造設備(25,000トン/年)は2020年12月に停止し、その後合弁契約を解消する。BICのBDO事業はBASFグループが承継し、既存の客額への供給を継続するとしている。
◆IoT:ダイセルが「自律型生産システム」を開発(8月19日)
ダイセルは、「自律型生産システム」を開発したと発表した。このシステムは同社が2000年に完成させた「ダイセル式生産革新手法」で構築した「知的統合生産システム」を、2種類のアプリケーションによって進化させたものである。
同システムは、化学などプロセス型のモノづくり現場で取得したデータから日々学習を重ねたAIを搭載し、現場作業者を支援する。搭載されたAIは、過去に蓄積してきた運転ノウハウを活用するだけでなく、日々の運転の中からも新たなノウハウを自動で抽出していく。
同システムによって生産の最適解が求められ、製造コストの劇的な削減に繋がる。同社では、年間100億円程度のコストダウンが可能と試算している。また、同システムは、ひとつの企業における単一製品の生産の最適化だけでなく、関連する前後の企業・工程にまたがって応用でき、企業の枠を超えたサプライチェーン全体の最適化を実現する。
将来的には、一つのサプライチェーンを仮想的な会社ととらえ、製品の調達、生産、販売といった機能や設備を一体で管理・経営する考え方に基づいた、効率的・即応的な市場ごとの資産コントロール体制の確立を目指すとしている。
◆R&D:三菱ガス化学が新潟研究所N-SEQ棟を竣工(8月19日)
三菱ガス化学は、新潟研究所内に建設していた新棟が竣工したことを発表した。
N-SEQ棟と命名された新棟の執務室には、新潟研究所員のほか、新潟工場の研究技術・品質保証部門が入居する。
三菱ガス化学は、N-SEQ棟への分析機器移設などとあわせて、更なるコミュニケーションの円滑化、研究開発活動のスピードアップや工場-研究所間の連携強化を図っていくとしている。
◆ウイルス対策:AGCの子会社がNovavaxの新型コロナウイルス感染症ワクチン候補アジュバントの製造受託規模を拡大(8月18日)
AGCは、同社のCDMO事業(製造受託に加え、製造方法の開発を受託・代行)子会社であるAGC Biologicsが、米国のNovavax社から、新型コロナウイルス感染症ワクチン候補「NVX-CoV2373」のアジュバントである「Matrix-M」について、受託規模を従来の約1.5倍に拡大したことを発表した。
アジュバントとは、ワクチンによる効果を増強したり補助したりする目的で併用される物質であり、同社のワクチンには、免疫応答を増強し、中和抗体の産生を刺激するために用いられている。
AGC BiologicsはNovavax社のワクチン供給量大幅増強に向けて、現在コペンハーゲン工場で実施しており、今回の受託拡大により、米国シアトル工場でも「Matrix-M」を製造するとしている。
◆ウイルス対策:富士フイルムの子会社が新型コロナウイルス感染症ワクチン候補の原薬製造を受託(8月17日)
富士フイルムは、同社のCDMO事業(製造受託に加え、製造方法の開発を受託・代行)子会社である子会社でバイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下 FDB)が、英国政府が調達する新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)ワクチン候補の原薬製造を受託したことを発表した。
今回受託するCOVID-19ワクチン候補は、米国バイオテクノロジー企業のNovavax社が開発する「NVX-CoV2373」である。Novavax社は、今秋より、米国・英国などで「NVX-CoV2373」の臨床第Ⅲ相試験を開始する計画である。
FDBは、最大6,000万回分の投与量の「NVX-CoV2373」の原薬供給に向けて、2021年初めより英国拠点にて製造を開始する予定である。なお、英国拠点では、最大1億8000万回分/年の投与量に相当する「NVX-CoV2373」の原薬製造が可能であるため、英国以外への供給も可能としている。