メールマガジン

2020年10月15日号

2020.10.15 発行

HEADLINE

 

◆セラミックス:デンカが5G・xEV 向けに最先端機能性セラミックスを市場投入(10月9日)

◆電子材料:大阪有機化学工業が光配向材料の量産・販売を発表(10月8日)

◆メディカル:住友化学と大日本住友製薬が再生・細胞医薬分野のCDMO事業に関する合弁会社を設立(10月08日)

◆ウイルス対策:カネカが独自の検体処理技術を用いた新型コロナウイルスPCR検査キットを発売(10月8日)

◆リサイクル:宇部興産が荏原環境プラント、日揮グローバルと廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクルに関するライセンスの実施許諾権契約を締結 (10月6日)

◆ウイルス対策:凸版印刷が非住宅の壁面や家具向けの抗ウイルス・抗菌加工の塩ビ製化粧シートを開発(10月6日)

◆セルロース:ダイセルが環境に優しく柔らかい触感の酢酸セルロース真球微粒子を開発(10月5日)

◆セラミックス:日本ファインセラミックスが窒化ケイ素セラミックス製絶縁放熱基板の新工場の完成を発表(10月5日)

◆メディカル材料:ユニチカが血液適合性ポリマーの高靭性化と3Dプリンティングに成功(10月5日)

◆バイオマス:日本触媒と理化学研究所がバイオマス由来難重合性モノマーの効率的な重合技術を開発 (10月5日)

◆新エネルギー:三菱ケミカルが参画する微細藻類利用事業実証プロジェクトがNEDO委託事業に採択(10月5日)

◆ウイルス対策:富士フイルムが高感度で迅速な新型コロナウイルスの抗原検査キットの開発を開始(10月5日)

◆価格改定

・日本触媒が海外向け特に欧州地域向けの高吸水性樹脂を次期契約分より値上げ

・東海カーボンが人造黒鉛電極を2021年1-6月納入分より値上げ

値上げ幅は、10~20%

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆セラミックス:デンカが5G・xEV 向けに最先端機能性セラミックスを市場投入(10月9日)

デンカは 新たなサーマルソリューションを提供する最先端機能性セラミックス「デンカ 球状マグネシア」を10 月より本格的に市場投入することを発表した。

次世代情報通信インフラやxEVの開発と普及が進むにつれ、通信量の増加や高速化、車載部品の高性能化により、放熱材料に対する高熱伝導性や高信頼性の要求が急速に高まっている。

新製品の球状マグネシアは、球状アルミナの約1.5倍の高熱伝導を示し、5GやxEVで求められる要求特性に応える素材となっている。今回の市場投入を通じて、環境・エネルギー分野のさらなる強化を進め、SDGsに掲げるクリーンで安全な未来社会の実現に貢献するとしている。

 

◆電子材料:大阪有機化学工業が光配向材料の量産・販売を発表(10月8日)

大阪有機化学工業は、開発した光配向材料が有機ELフレキシブルディスプレイ(有機ELFD)に用いられる薄型積層フィルムの原材料として採用され、量産・販売を開始したことを発表した。

新たに開発した本材料は、従来の光配向膜と比較して、非常に高い配向力を有しているため、塗布化が困難であった材料も配向させる事ができ、塗布製造による有機ELFD用薄型積層フィルムの製造が可能となった。

また、本材料により製造されたフィルムは、その厚みを従来の約50分の1程度にまで薄くする事が可能となり、屈曲耐性の向上や透過率の向上、さらには折り曲げによる光学特性の変化を抑制する事ができるようになる。

本材料は、高い配向力を活かすことで、有機ELFD用薄型積層フィルム用途だけでなく、自動車・建材等に用いられる調光フィルムやAR/VR向けホログラフィック光学素子といった、将来拡大が期待される新規分野への展開が可能としている。

 

◆メディカル:住友化学と大日本住友製薬が再生・細胞医薬分野のCDMO事業に関する合弁会社を設立(10月08日)

住友化学と大日本住友製薬は、再生・細胞医薬分野の製法開発、製造などの受託(CDMO:Contract Development and Manufacturing Organization)事業を行うため、合弁会社S-RACMOを設立し、業務を開始したと発表した。

再生・細胞医薬分野では、生産体制の構築が開発・商業化上の課題となっている。S-RACMOは、住友化学が有するiPS/ES細胞の基盤技術や医薬品の受託製造に関するノウハウと、大日本住友製薬が再生・細胞医薬事業における複数のプロジェクトで培った高度な製法開発や製剤開発などのノウハウを生かし、再生・細胞医薬の早期普及および産業化を目指す。

S-RACMOでは、大日本住友製薬が所有する再生・細胞医薬製造施設「SMaRT」の一部、および大日本住友製薬の総合研究所(大阪府)内に今後新設される再生・細胞医薬製造施設(2021年に完成予定、総工費約11億円)を使用してCDMO事業を実施する計画としている。

 

◆ウイルス対策:カネカが独自の検体処理技術を用いた新型コロナウイルスPCR検査キットを発売(10月8日)

カネカは、新型コロナウイルスを1時間以内に検出可能なRT-qPCRキットを、医療機関および検査施設向けに販売開始したことを発表した。

本製品は、同社が取り組んできた遺伝子検査関連製品などの技術を活かして開発した、独自の検体処理技術を採用しており、通常は必要とされる唾液や鼻咽頭ぬぐい液から採取した検体からのウイルスRNA精製工程が不要であり、熱処理だけで前処理工程が完了する。これにより従来法では約1時間を要していた前処理工程をおよそ5分に短縮することで、PCR検査全体の所要時間を従来の2~3時間から大幅に短縮し、1時間以内の判定が可能となった。希望小売価格は110,000円(検査100回分)で、グループ会社であるカネカメディックスが販売する。

本製品は、行政検査および公的医療保険の適用対象であり、今後、医薬品医療機器等法に基づく体外診断用医薬品として承認取得を目指す計画としている。

 

◆リサイクル:宇部興産が荏原環境プラント、日揮グローバルと廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクルに関するライセンスの実施許諾権契約を締結 (10月6日)

宇部興産は、EUP(Ebara Ube Process)を活用した廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクルに関して、共同ライセンサーである荏原環境プラントと共に、日揮グローバルとEUPのライセンス実施許諾権契約を締結したと発表した。

廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクルは、他の手法ではリサイクルが困難である異種素材や不純物を含むプラスチックを分子レベルまで分解し、アンモニアやメタノール、オレフィン等、様々な化学品に再生し、プラスチックやゴム、化学繊維の原料として活用することが可能であり、廃プラスチックリサイクル率の大幅な向上への貢献が期待されている。

宇部興産は、今後同ライセンス契約を通じ、ライセンサーとしての立場から廃プラスチックのガス化ケミカルリサイクルであるEUPの普及・促進をはかるとともに、国内外における廃プラスチック対策に積極的に取り組んでいくとしている。

 

◆ウイルス対策:凸版印刷が非住宅の壁面や家具向けの抗ウイルス・抗菌加工の塩ビ製化粧シートを開発(10月6日)

凸版印刷は、ウイルスや菌の数を著しく減少させることが可能な商業施設やオフィスなどの壁面や家具に使用される塩ビ製化粧シートを開発したと発表した。

塩ビ製の化粧シートの表面に特殊コーティングを施すことにより、特定ウイルスの数を著しく減少させる。これにより、オレフィン製化粧シートとあわせ、塩ビ製化粧シートの両方により、抗ウイルス・抗菌性能を有する化粧シートのラインアップが拡大する。主に非住宅施設の壁面パネル・机・家具などに向け、2020年10月に同製品の販売を開始する予定である。

凸版印刷は、建具や床材、壁材、什器(机・家具)などの表面に使用される化粧シートの高機能化を推進し、住宅市場をはじめオフィス、商業施設、医療施設、公共施設などにも展開する。国内のみならず海外市場へも積極的に拡販を進め、2022年度に関連受注も含め約700億円の売上を目指すとしている。

 

◆セルロース:ダイセルが環境に優しく柔らかい触感の酢酸セルロース真球微粒子を開発(10月5日)

ダイセルは、環境に優しく柔らかい触感を持つ酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA」を開発したと発表した。主に化粧品向けの素材として製品化を進めていく。

BELLOCEAは、酢酸セルロースを独自の技術で加工した真球状の微粒子で、柔らかい触感と伸びの良さが特徴である。酢酸セルロースは天然に存在する「酢酸」と植物由来の「セルロース」を原料とした環境にやさしい素材で、土壌や廃棄部中のほか、海洋でも生分解されることが確認されている。

化粧品業界においても環境にやさしい天然由来の素材が求められている。ダイセルは、BELLOCEAを化粧品業界の環境対応ニーズに応えるものとして、すでにサンプル品を提供しており、製品化に向けて検討を進めているとしている。

 

◆セラミックス:日本ファインセラミックスが窒化ケイ素セラミックス製絶縁放熱基板の新工場の完成を発表(10月5日)

日揮グループの機能材製造事業会社である日本ファインセラミックスが、窒化ケイ素セラミックス製絶縁放熱基板の量産化を目的に、宮城県にある同社事業所内で建設を進めていた新工場(第2、第3工場)で竣工式を行ったことを発表した。

日本ファインセラミックスの窒化ケイ素セラミックス製絶縁放熱基板は、高い熱伝導率 (80~90W/(m・K)) 、優れた機械的性質、絶縁性を有し、ハイブリッド自動車や電気自動車向けパワー半導体用の絶縁放熱基板として、自動車メーカーおよび回路基板メーカーから高い評価を得ている。

今後、新工場では市場の拡大に合わせながら順次増産させていく計画であり、加えて、熱伝導率を現状の約1.5倍までに高めた絶縁放熱基板の製品化も実現していくとしている。

 

◆メディカル材料:ユニチカが血液適合性ポリマーの高靭性化と3Dプリンティングに成功(10月5日)

ユニチカは、名古屋大学大学院と共同で、血液適合性ポリマーであるPoly(2-methoxyethyl acrylate) (PMEA)に直径約100nmのシリカ微粒子を高濃度で分散させると力学的に高靭性化し、3Dプリンターを使用して様々な形状に加工できることを見出したことを発表した。

PMEAは、水溶性が低い次世代の血液適合性材料として、ECMO(体外式膜型人工肺)をはじめとする血液と接触する医療器具に広く利用されている。一方で、PMEAはガラス転移温度がマイナス30℃以下であることから、体温以上の環境下では粘着質でPMEAのみでは自立可能な成型体を作製することが難しく、そのために主な用途がコーティング剤に限られていた。

本研究では、PMEA中に硬いシリカ微粒子を高濃度で分散させることで、力学的に高靭性なPMEA-シリカ複合エラストマーを調整した。この複合エラストマーは、血液適合性評価のひとつである血小板粘着試験において、PMEAと遜色のない結果を示した。

本研究の複合エラストマーは、優れた力学物性と高い加工性を備えていることから、人工血管をはじめとする血液適合性が必要とされる医療器具の開発に有用な材料になることが期待できるとしている。

 

◆バイオマス:日本触媒と理化学研究所がバイオマス由来難重合性モノマーの効率的な重合技術を開発 (10月5日)

日本触媒と理化学研究所(理研)は、バイオマス由来の難重合性モノマーの重合において、効率的に高分子量化できる重合システムを開発し、高性能なポリマーを得ることに成功したと発表した。

バイオマス資源からは、ケイ皮酸モノマーやクロトン酸モノマーなど不飽和炭素―炭素二重結合を有する脂肪族化合物や芳香族化合物が数多く得られる。これらのモノマーを重合して得られるポリマーはモノマー単位当たり2つの光学中心を有し、高度に立体規則性を制御することができるため、バイオマス由来の高性能・高機能な新規樹脂素材の創出が期待されている。しかし、これらのモノマーは通常のラジカル重合法では高分子量化が困難な難重合性モノマーであり、実生産においては多くの課題がある。

今回、日本触媒と理研はβ置換アクリレートの重合に対して、モノマーを活性化させることで重合を進める有機酸触媒を用いたグループトランスファー重合(GTP)技術が適用可能であることを見出し、技術開発を進め、重合を阻害する要因の特定と効率化のための知見を得た。

今回得られたケイ皮酸系ポリマーはポリカーボネートと同等あるいはそれ以上の耐熱性を示し、多くの薬剤への耐薬品性を示す。またクロトン酸系ポリマーは、ポリメチルメタクリレートに匹敵する透明性を持ちつつ、メタクリレートポリマーに比較して高い耐熱性、耐薬品性を持つ。両者は今後、生産技術の確立を進め、ポリマー用途開発を加速するとしている。

 

◆新エネルギー:三菱ケミカルが参画する微細藻類利用事業実証プロジェクトがNEDO委託事業に採択(10月5日)

三菱ケミカル、ユーグレナ、デンソー、伊藤忠商事の4社は、微細藻類利用事業モデルの実証研究プロジェクトが新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業「バイオジェット燃料生産技術開発事業/微細藻バイオマスのカスケード利用に基づくバイオジェット燃料次世代事業モデルの実証研究」に採択されたことを発表した。

微細藻類は光合成により二酸化炭素を吸収することからカーボンリサイクル技術の一つと位置づけられており、NEDOは地球温暖化防止対策としてバイオジェット燃料の普及を推進している。4社はバイオジェット燃料の原料となる微細藻類を安定的に大量培養する技術の確立を目的としており、実用化に向けた規模での実証事業を行うとしている。

 

◆ウイルス対策:富士フイルムが高感度で迅速な新型コロナウイルスの抗原検査キットの開発を開始(10月5日)

富士フイルムは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キットの開発を開始したと発表した。

抗原検査は、迅速に検査を実施でき、その場で結果を確認できるというメリットがあるが、PCR検査に比べて感度が低く、その高感度化が求められている。

今回、写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅技術を応用した「銀増幅イムノクロマト法」により、新型コロナウイルスの抗原に対しても、抗原検査の高感度化が可能なことを確認した。今後、検体中の新型コロナウイルス抗原の有無を迅速かつ、高感度に検査可能な抗原検査キットの開発を進めていくとしている。

 

◆価格改定

・日本触媒が海外向け特に欧州地域向けの高吸水性樹脂を次期契約分より値上げ

値上げ幅は、15%以上

・東海カーボンが人造黒鉛電極を2021年1-6月納入分より値上げ

値上げ幅は、10~20%

関連記事

 

素材・工業材料

TOPへ戻る