2020.10.29 発行
◆化粧品原料:ダイセルが化粧品向け素材「セルモリスSB10」を開発(10月23日)
◆化粧品原料:ダイセルが酢酸セルロース真球微粒子を用いたピッカリングエマルションを開発(10月23日)
◆電子材料:三菱ガス化学が台湾の電子材料メーカーとプリント配線板用積層材料事業に係る合弁契約を締結(10月23日)
◆蓄熱材:住友化学の繊維用途向け樹脂製蓄熱材が高機能寝具の中綿に採用(10月22日)
◆経営:日本触媒と三洋化成工業が経営統合を中止、最終契約の解約を発表(10月21日)
◆遮熱材料:住友金属鉱山が中性色の近赤外線吸収材料を新規開発(10月20日)
◆合成木材:積水化学工業が欧州において鉄道枕木向け合成木材(FFU)の生産工場を設立(10月20日)
◆感光材:東洋合成が千葉に感光材の新工場を建設・竣工(10月19日)
◆ウイルス対策:東洋紡STCが抗ウイルス加工生地の新製品を開発(10月19日)
◆価格改定
・東海カーボンがカーボンブラックを11月1日納入分より値上げ
◆化粧品原料:ダイセルが化粧品向け素材「セルモリスSB10」を開発(10月23日)
ダイセルは、シリコーンオイルを透明なまま増粘させる化粧品原料「セルモリスSB10」を開発したことを発表した。
これまで、シリコーンオイルをゲル化することはできても、とろみをつけることができない、白濁する、感触が悪くなる等の課題があった。
セルモリスSB10は、シリコーンオイルの透明性を維持したまま、とろみをつけることができる。また、低分子の増粘剤であるため、高分子の増粘剤に特有のべたつき感がなく、化粧品に添加しても、製品の感触を損なわないという特徴を有しており、化粧品向けの素材として展開できる可能性があるとしている。
◆化粧品原料:ダイセルが酢酸セルロース真球微粒子を用いたピッカリングエマルションを開発(10月23日)
ダイセルは、酢酸セルロース真球微粒子「BELLOCEA」を用いたピッカリングエマルションを開発したことを発表した。
ピッカリングエマルションとは、液体同士、もしくは液体と気体が接する面(界面)に固体の粒子を吸着させることで、液体の乳化(ねばりけのある状態)を安定させる技術である。乳化には界面活性剤を使用するのが一般的であるが、ピッカリングエマルションによる乳化は、界面活性剤よりも乳化している物質が分離しにくい(安定性が高い)とされる。
BELLOCEAは、ボディクリームやクリームファンデーションなどへ配合することで、高い乳化安定性と柔らかな肌触りを付与する。同社は、天然由来で環境にやさしい BELLOCEAによるピッカリングエマルションを、界面活性剤に代わるサステナブルな乳化法として、化粧品業界などに展開していくとしている。
◆電子材料:三菱ガス化学が台湾の電子材料メーカーとプリント配線板用積層材料事業に係る合弁契約を締結(10月23日)
三菱ガス化学は、台湾の電子材料メーカーである聯茂電子と共同開発した製品を製造販売することを目的とした合弁会社の設立契約を締結したと発表した。
三菱ガス化学では、独自のBTレジンを用いた高耐熱性、低熱膨張性を特徴とするプリント配線板用積層材料を半導体パッケージ用途に展開し、半導体用途に幅広く採用されている。
本合弁会社では、半導体パッケージ用積層材料に関するプリント配線板用銅張積層板およびプリプレグの製造販売を行うとしている。
◆蓄熱材:住友化学の繊維用途向け樹脂製蓄熱材が高機能寝具の中綿に採用(10月22日)
住友化学が開発した樹脂製蓄熱材「コンフォーマ」が、大手寝具メーカーの高機能掛け布団の中綿に採用されたことを発表した。
「コンフォーマ」は、相変化を利用して20~50℃の範囲内の所望の特定温度域で熱の出し入れができるよう設計された繊維向け樹脂製蓄熱材である。
パラフィンなど従来からある低分子系蓄熱材は、漏洩防止を目的としてカプセルに封入し繊維表面に付着させたり、繊維に練り込んで使用する必要がある。しかし、同製品は、蓄熱する温度域で固体状態を維持するため、そのまま繊維の形態で使用することができるという特性を有している。今回、繊維化した同製品を布団の中綿に使用することにより、周辺環境の温度変化に対し布団と人体との間の空気層を快適な温度に維持できるため、羽毛に代わる合成繊維の中綿設計に寄与する素材として評価され、採用に至った。
今後、衣料やカーペットなど様々な繊維製品への展開を目指すとしている。
◆経営:日本触媒と三洋化成工業が経営統合を中止、最終契約の解約を発表(10月21日)
日本触媒と三洋化成工業は、共同株式移転の方式により、2021年4月1日に両社の親会社となる「Synfomix株式会社」を設立し、経営統合を行うことについて合意していたが、両社の合意により、この経営統合を中止することを決議し、本経営統合に係る最終契約を解約したことを発表した。
最終契約の締結以降、原材料価格や製品価格の著しい変動が見られ、また製品需要の先行き不透明感が増すなど、両社を取り巻く事業環境が急速にかつ大きく変化したことにより、経営統合を実施することが困難になったとの認識に至った。また、現在の事業環境に鑑みたそれぞれの会社が持つ優位性を独自に発揮していくことが、両社の企業価値向上につながると判断した為、経営統合を中止し、経営統合に係る最終契約を解約することに合意した。
本経営統合は中止となるが、両社は引き続き様々な面において良好な関係を維持するとしている。
◆遮熱材料:住友金属鉱山が中性色の近赤外線吸収材料を新規開発(10月20日)
住友金属鉱山は、セシウムドープポリタングステート(CPT)を用いた、中性色の近赤外線吸収材料を新たに開発したと発表した。
近赤外線吸収材料は、太陽光に含まれる近赤外線をカットし、室内や社内の温度上昇を抑える遮熱材料として自動車の各種ガラス、一般建築用合わせガラス、各種プラスチックガラスなどに使用されている。同社はこれまで独自のCWO(セシウムドープ酸化タングステン)のナノ微粒子関連製品を取り扱ってきたが、従来品には青の弱い着色が存在していたため、中性色かつ近赤外線吸収効果の強い新規材料が求められていた。
今回、CPTを用いることで、近赤外線吸収量を大幅に落とすことなく青みのレベルをコントロール可能とする技術を獲得し、新たな中性色の近赤外線吸収材料の開発に成功した。これにより、錫ドープ酸化インジウムやアンチモンドープ酸化スズなどの従来の中性色の近赤外線吸収材料の特性を大きく上回りながら、ニュートラルな色調である中性色を実現でき、市場からの色調ニーズへの対応強化だけではなく、様々な用途への拡大が見込まれる。
同社は、近赤外線吸収材料について研究開発を引き続き行い、顧客願望や市場需要を見極めながら製品化を目指すとしている。
◆合成木材:積水化学工業が欧州において鉄道枕木向け合成木材(FFU)の生産工場を設立(10月20日)
積水化学工業は、オランダにおいて、ガラス長繊維強化プラスチック発泡体「FFU」製枕木の生産工場設立を決定したと発表した。
同社の「FFU」は、軽量であり、耐久・耐候性、加工性に優れるなど、天然木材とプラスチックの長所を兼ね備えた合成木材である。現在、日本国内において多くの鉄道会社に採用されているが、海外においても、ドイツ、イギリスなど需要の拡大が見込まれる欧州を中心に事業規模を拡大してきた。
現在、FFU製枕木は、ほぼ全量を日本の滋賀栗東工場で生産しているが、海外市場の需要拡大により生産能力の向上や納品期間の短縮が必要となってきた為、海外における鉄道分野最大の需要地である欧州に生産工場を設立した。これにより、FFU製枕木の生産能力はこれまでの1.8倍に拡大することとなる。生産開始は2022年度下期を予定している。
欧州での生産開始により、海外鉄道会社からのさらなる採用拡大を図り、2030年度にはFFU製枕木を柱とする機能材事業の海外売上高で100億円を目指すとしている。
◆感光材:東洋合成が千葉に感光材の新工場を建設・竣工(10月19日)
東洋合成は、千葉工場敷地内に第4感光材工場を建設し、竣工式を行ったことを発表した。
千葉工場では、半導体、ディスプレイの製造に使用されるフォトレジストの主原料となる感光材および周辺材料を主要製品として生産、世界市場で高いシェアを獲得している。
半導体業界およびディスプレイの需要拡大に対応するため今回新工場を建設した。新工場の竣工により、感光材の生産能力は、2018年3月期比で約30%増となる見込みである。なお、新工場の延べ床面積は約5,000㎡(第1期工事分)であり、投資額は70億円としている。
◆ウイルス対策:東洋紡STCが抗ウイルス加工生地の新製品を開発(10月19日)
東洋紡STCは、抗ウイルス加工生地「ナノバリアー」について、工業洗濯耐性を付与した新製品を開発したことを発表した。
「ナノバリアー」は、独自の加工剤を繊維に浸透させることで、繊維上の特定のウイルスの数を減少させる効果を有しており、ビジネスシャツ用途などで採用されてきた。
今回、加工剤を繊維により強く固定する新しい技術により、家庭洗濯よりも条件の厳しい、工業洗濯に対応する高い洗濯耐久性を実現した。
今後、白衣など医療施設用ユニフォームやワーキングウエア、スクールシャツなどの衣料用途、また寝具の側地やカバー、マスクなどの生活資材用途にも展開し、2022年度に30万m、2025年に100万mの売り上げを目指すとしている。
◆価格改定
・東海カーボンがカーボンブラックを11月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、11.0円/kg