2020.11.12 発行
◆新エネルギー:日揮が愛知県で国内最大級のバイオマス専焼発電設備建設プロジェクトを受注(11月9日)
◆産業用ガス:昭和電工が電子材料用高純度ガス事業で中国四川省に合弁会社を設立(11月6日)
◆ウイルス対策:ダイセルが抗ウイルスコーティング技術による新型コロナウイルスの不活性化を確認(11月6日)
◆リサイクル:日本触媒とリブドゥコーポレーション、トータルケア・システムが高吸水性樹脂の新規リサイクル技術を開発(11月5日)
◆セラミックス:デンカが窒化珪素の生産能力を大幅増強、機能性セラミックス材料事業を強化(11月5日)
◆紙・パルプ:日本製紙が釧路工場の紙・パルプ事業から撤退(11月5日)
◆アクリル:三菱ケミカルが米国テキサス州におけるMMAモノマー及びMAA工場の生産終了・閉鎖を発表(11月4日)
◆培養:豊田合成が創薬用の細胞を培養する「ウレタン微細発泡膜」を開発(11月4日)
◆包材:凸版印刷が冷凍保存食品向け環境配慮型パッケージを新開発(11月2日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
◆新エネルギー:日揮が愛知県で国内最大級のバイオマス専焼発電設備建設プロジェクトを受注(11月9日)
日揮は、愛知県田原市において、丸紅、JAG国際エナジー、大阪ガスが推進する国内最大級のバイオマス専焼発電設備建設プロジェクトを受注したとしたことを発表した。
契約先は愛知田原バイオマス発電合同会社(丸紅、JAG国際エナジー、大阪ガスで構成される事業会社)、バイオマス専焼発電設備の出力は約75MW、発電用燃料は木質ペレットを予定しており、運転開始は2024年の予定としている。
◆産業用ガス:昭和電工が電子材料用高純度ガス事業で中国四川省に合弁会社を設立(11月6日)
昭和電工は、電子材料用高純度ガス事業強化のため、中国の成都科美特特種気体と合弁で「成都科美特昭和電子材料」を四川省に設立し、2021年1月に営業を開始することを発表した。
新会社では主に半導体の製造工程で使われる高純度FC-14(テトラフルオロメタン、以下CF4)の最終製造工程を担う。新会社の資本金は400万人民元、出資比率は昭和電工40%、成都科美特特種気体60%である。これにより、昭和電工のCF4事業は、稼働中の川崎事業所に、新会社を加えた2拠点体制となる。
同社グループは、東アジア地区におけるCF4の安定供給の強化を実現し、今後も戦略事業である半導体プロセス材料事業の一層の拡充を図っていくとしている。
◆ウイルス対策:ダイセルが抗ウイルスコーティング技術による新型コロナウイルスの不活性化を確認(11月6日)
ダイセルは、特殊銀化合物を用いて新規開発した抗ウイルスコーティング技術により、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の99%以上を不活性化することを確認したと発表した。
ダイセルは、独自の抗ウイルスコーティング技術によるウイルスや細菌に対する不活性効果を実証してきたが、今回、新型コロナウイルスに対する不活性化効果の実証試験を、広島大学大学院医系科学研究科にてISO21702に準拠する方法で実施し、コーティング表面に付着した新型コロナウイルスの99%以上が感染力を失っていることを確認した。
なお、本実証は、特殊銀化合物と親和性の高い数種類の樹脂を配合した独自処方をコーティング加工した試作実験の結果であり、実製品での効果を示すわけではないとしている。
◆リサイクル:日本触媒とリブドゥコーポレーション、トータルケア・システムが高吸水性樹脂の新規リサイクル技術を開発(11月5日)
日本触媒とリブドゥコーポレーション、トータルケア・システムの3社は、使用済紙おむつ中の高吸水性樹脂(以下SAP)に関する新規リサイクル技術を開発したことを発表した。
これまで使用済紙おむつのリサイクル工程においては、尿を吸収して大きく膨らんだSAPは紙パルプの回収率を低下させる、あるいはSAPを回収しても性能低下が大きく再利用が難しいという課題があった。これらの課題に対し、3社協力のもと、尿を吸収して大きく膨らんだSAPに処理を施して紙パルプとの分離性を高め紙パルプ回収率を向上させる技術、SAPの性能低下を最小限に抑えて回収する技術を開発した。この技術は、世界で流通している様々なSAPに適用できるものである。
今後は本技術を実用レベルまで高めていくとともに、素材原料メーカー、紙おむつメーカー、リサイクル事業者である3社が協力して、リサイクルしやすい素材開発、紙おむつ開発、環境にやさしい使用済紙おむつ新規リサイクル技術の開発・実用化を進めるとしている。
◆セラミックス:デンカが窒化珪素の生産能力を大幅増強、機能性セラミックス材料事業を強化(11月5日)
デンカは、xEV向け放熱材料の事業強化の一環として、福岡県大牟田工場で製造する窒化珪素の能力を現行比から約3割増強し、機能性セラミックス事業を強化すると発表した。
窒化珪素とは熱的・機械的特性に優れたエンジニアリングセラミックの一つであり、デンカは生産能力、市場シェア共にトップクラスの位置付けにある。
xEVの普及に伴い、放熱材料市場の伸長だけでなく、車載部品の高性能化により、高熱伝導性や高信頼性等、その要求水準が高まっている中、デンカの窒化珪素は、高熱伝導性をはじめ高強度、耐摩耗性、高信頼性等の特長から、車載駆動用インバーター向け放熱基板や風力発電向けベアリングボール、半導体製造装置など構造材用途において評価されている。
設備の稼働時期は2022年度下期を予定しており、今回の能力増強により、安定供給体制をさらに強化するとともに多様なユーザーニーズに応えるとしている。
◆紙・パルプ:日本製紙が釧路工場の紙・パルプ事業から撤退(11月5日)
日本製紙は、取締役会において釧路工場における紙・パルプ事業からの撤退を決議したと発表した。
同社は、これまでに合計約76万トンの生産能力削減を行ってきた。一方、日本国内における新聞用紙および印刷用紙をはじめとする洋紙の需要は、従来からのIT化の進展により構造的な減少が続いていることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞に伴い大きく減少している。今後も需要減少が進んでいくと想定しており、今回、釧路工場における紙・パルプ事業から撤退することで、一層の需給バランス適正化とともに収益改善を図る。
釧路工場の全ての抄紙機と関連する設備は、2021年8月に生産を終了し、同9月に設備を停機する。今回の事業撤退による固定費削減効果は、約54億円としている。
◆アクリル:三菱ケミカルが米国テキサス州におけるMMAモノマー及びMAA工場の生産終了・閉鎖を発表(11月4日)
三菱ケミカルは、米国子会社である Lucite InternationalのBeaumont(テキサス州)におけるMMAモノマー及びMAA生産を終了し、工場を閉鎖することを発表した。
MMA(メタクリル酸メチル)モノマーは、自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、建材、塗料などに用いられるアクリル樹脂の原料として使用されている。また、MAA(メタクリル酸)は、塗料、接着剤、合成ゴム、コンクリート混和剤などの原料として使用されている。
今回の生産終了・閉鎖は、事業競争力の強化と供給体制の最適化を図るために行われる。Beaumont工場の生産能力は年産13.5万tであり、生産終了予定日は2021年2月としている。
◆培養:豊田合成が創薬用の細胞を培養する「ウレタン微細発泡膜」を開発(11月4日)
豊田合成は、車のハンドルの開発・生産で培ったウレタン材料の知見を活用し、細胞を生体に近い構造で培養できる「ウレタン微細発泡膜」を開発したことを発表した。
ウレタン微細発泡膜を用いることで、両面に2種類の細胞を培養して2層の細胞組織を作製することができ、細胞の混合を防ぐことができる。また、膜に設けた無数の孔の大きさをマイクロレベルで制御することで表と裏の細胞が孔を介して繋がり、血管や腸の上皮といった生体組織に近い層状の構造を実現できるようになる。
この細胞組織を新薬開発に用いると、生体内での薬の動きを細胞の層ごとに詳しく調べられるようになり、薬の効力や安全性を確認するための動物実験の代替が可能になる。また、候補物質の早期絞り込みが可能となるため、開発期間の短縮や開発費の低減などに寄与する。
現在、早期実用化に向けて実証試験を進めており、今後もコア技術を活かして医療の進歩に寄与すべく取り組んでいくとしている。
◆包材:凸版印刷が冷凍保存食品向け環境配慮型パッケージを新開発(11月2日)
凸版印刷は、長期冷凍保管される畜肉や魚介類加工品などの1次産品を、長期品質保持することが可能となる環境配慮型パッケージを開発したことを発表した。
本製品は、独自の蒸着加工技術とコーティング技術をもとに開発された「GL BARRIER」を使用することで、畜肉や水産加工品の冷凍保管時に発生する酸化による商品の変色や風味の変化を、従来よりも長期的に抑えることが可能となる。またリサイクルが容易なモノマテリアル構成にも対応可能で、CO2排出量の削減とリサイクル適性の向上を実現した環境配慮型パッケージとなっている。
凸版印刷は、本製品を畜産品・水産品・農作物生産者、食品メーカーやコンビニ、スーパーなどの流通業界に拡販し、2021年度までに関連事業含めて約50億円の売上を目指すとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
11月契約価格は、460$/t(前月比+35$/t)、国内価格換算想定値は53.4円/kg