2021.01.14 発行
◆電池材料:BASFが大容量化と充電時間短縮に貢献する新規LIB負極用バインダーを上市(1月8日)
◆ポリマー関連:BASFが最新のプレポリマー製造設備を備えたASEAN テクニカル・ディベロップメント・センターを開設(1月7日)
◆複合材料:三菱ケミカルが熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維複合材料のパイロット設備を新設(12月25日)
◆石油化学:住友化学がシンガポールでプロパン脱水素技術と二酸化炭素の有効利用技術を組み合わせる検討を開始(12月24日)
◆蓄電池:三洋化成がHAPSモバイルとの全樹脂電池を用いた蓄電池の開発に向けて基本合意を発表(12月24日)
◆ポリマー関連:三菱ガス化学と田岡化学工業が光学樹脂ポリマー増産に係る原料モノマー合弁会社を設立(12月23日)
◆電子材料:三菱マテリアルが有機EL・液晶 TFT配線用黒化膜スパッタリングターゲットを開発、量産開始(12月23日)
◆電子材料:JX金属が半導体用スパッタリングターゲットの生産能力を約30%増強(12月22日)
◆建材:宇部興産が新開発の有機系土木・建築材料を宇部興産建材より発売開始を発表(12月22日)
◆リサイクル:凸版印刷がリサイクルフィルムを使用した環境配慮型・紙パックの販売を開始(12月22日)
◆工業用織物:大和紡績が出雲工場の立地計画の認定を島根県より受けたことを発表(12月22日)
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
・クラレがビニロンとクラロンK-Ⅱを1月1日出荷分より値上げ
・積水化学工業が塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂およびCPVCコンパウンド製品の南アジア(インド・ネパール他)の価格を1月1日より値上げ
・住友化学がMMA(メタクリル酸メチル)モノマーを1月11日出荷分より値上げ
・住友化学がポリエチレンおよびポリプロピレンを1月15日納入分より値上げ
・住友化化学がエチレン・プロピレンゴム(EPDM)を1月18日出荷分より値上げ
・東ソーがポリエチレン樹脂を2月1日納入分より値上げ
◆電池材料:BASFが大容量化と充電時間短縮に貢献する新規LIB負極用バインダーを上市(1月8日)
BASFは、リチウムイオン電池の大容量化と充電時間短縮を実現する負極用バインダーの新製品、Licity(リシティ)シリーズを開発したことを発表した。
顧客の必要要件により、黒鉛やシリコン系負極に適したバインダーなど、異なる用途に応じて選択することができる。各用途において、大容量化、充放電サイクル数の増加、および、充電時間の短縮が可能となる。また、低温環境下での性能を高め、集電体との密着性に優れ、幅広い活物質との高い適合性も有しているとしている。
◆ポリマー関連:BASFが最新のプレポリマー製造設備を備えたASEAN テクニカル・ディベロップメント・センターを開設(1月7日)
BASFは、タイのバンプーにある既存のポリウレタン(PU)システムハウスに隣接する「ASEAN テクニカル・ディベロップメント・センター」を開設したことを発表した。
BASFはこれまでにも、バンプーにあるポリウレタンシステムハウスの生産能力を増強し、ASEANにおける自動車、コンシューマー、建設およびインダストリアル市場での需要拡大に対応するため、総面積2,700㎡のシステムハウスに撹拌槽やリアクター、貯蔵用タンクを追加している。
新施設では、最先端のプレポリマーリアクター技術により硬化剤(B剤)を生産する。硬化剤は、製品開発の効率を向上させ、PU素材や溶剤をより早く市場へ投入するために重要な要素である。新しいプレポリマーリアクター技術により、中国、韓国、ドイツにおけるBASFの技術サポートネットワークを強化し、補完するとしている。
◆複合材料:三菱ケミカルが熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維複合材料のパイロット設備を新設(12月25日)
三菱ケミカルは、熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維複合材料(CFRTP)のパイロット設備を新設すると発表した。
航空機や自動車などのモビリティ用途では、機体/車体の軽量化要求が高まっており、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維複合材料(CFRP)の利用が進むと見込まれている。一方で、CFRPの利用促進のためには、従来の「熱硬化性樹脂」を用いたCFRPに対し、部品製造に要する時間を短縮できリサイクルも容易なCFRTPの普及が求められている。三菱ケミカルは、空隙が少なく極めて高品質なCFRTPを高効率に製造できる技術を確立し、パイロット設備の設置に至った。
同社ではパイロット設備を福井県内に設置し、2021年中に稼働を開始する予定である。今後、これまで輸入品が中心であった国内のCFRTP市場に対し、同社熱可塑性樹脂複合材料のブランドである「Kyron」シリーズの新製品として提案を進めていくとしている。
◆石油化学:住友化学がシンガポールでプロパン脱水素技術と二酸化炭素の有効利用技術を組み合わせる検討を開始(12月24日)
住友化学は、シンガポールにある同社グループの石油化学コンプレックス内で、プロパンガスからプロピレンを生産するプロパン脱水素(PDH)技術と、それから副生される水素のほか二酸化炭素を原料に、高効率でメタノールを合成する技術とを組み合わせる検討を開始したことを発表した。
エチレンやプロピレンなどの石化製品は、ナフサ・クラッキングで製造されているが、近年は、シェールガス由来のエタンを原料とするエタン・クラッキングが増加している。エタン・クラッキングは、ナフサ・クラッキングに比べエチレン以外の生産物が少なく、その増加に伴いプロピレンが相対的に不足する傾向にあることから、今回導入を検討するPDH技術は、プロピレン供給不足への解決策になると考えている。また、二酸化炭素については総排出量抑制のため、現在、島根大学と共同で二酸化炭素からメタノールを高効率で合成する技術の研究を進めている。本合成には水素が必要であるため、PDH技術によるプロピレン製造の際に副生される水素と、石油化学コンプレックス内などで排出された二酸化炭素とを利用する観点から、この2つの技術を組み合わせて実装することを検討する。
PDH技術は既に確立されているため、二酸化炭素と水素からメタノールを高効率で合成する技術が確立すれば、二酸化炭素の削減による環境負荷低減と、製品需要への対応や石油化学コンプレックスの経済性の向上を同時に実現できる新たなブレークスルーになるとしている。
◆蓄電池:三洋化成がHAPSモバイルとの全樹脂電池を用いた蓄電池の開発に向けて基本合意を発表(12月24日)
三洋化成は、関係会社のAPB社とソフトバンクの子会社であるHAPSモバイルが、HAPSモバイルの開発する成層圏の通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station:「HAPS」)向けに、高いエネルギー密度の蓄電池を開発することを目的に協業することに基本合意したと発表した。
HAPSモバイルは、HAPS向け無人航空機「Sunglider(サングライダー)」を開発しているが、大型の無線機を搭載して長期間サービスを提供することを想定している為、大容量かつ軽量化された蓄電池のさらなる改良を目指している。
三洋化成の関連会社APBはHAPSモバイルと、全樹脂電池の高いエネルギー密度や高い異常時信頼性といった特長により、サングライダーの長期間にわたる成層圏での飛行を支え、全樹脂電池のバイポーラ構造の特長を活かし、軽量化を実現していくとしている。
◆ポリマー関連:三菱ガス化学と田岡化学工業が光学樹脂ポリマー増産に係る原料モノマー合弁会社を設立(12月23日)
三菱ガス化学と田岡化学工業は、三菱ガス化学の新潟工場内に新設する光学樹脂ポリマー「ユピゼータEP」用原料モノマー製造プラントを活用した原料モノマーの生産事業の運営を行う合弁会社の設立に合意したと発表した。また、三菱ガス化学は鹿島工場内にも新プラント増設することを併せて発表した。
「ユピゼータEP」は、高屈折率と低複屈折性を高次元で両立させた高機能小型カメラレンズ材料としてスマートフォンやタブレット端末等に広く採用されており、今後も更なる需要の伸びが予想される。
原料モノマーの主要調達先である田岡化学工業の技術を用いて、三菱ガス化学の新潟工場内に原料モノマー製造プラントを新設し、田岡化学工業の原料モノマー生産の一部を、三菱ガス化学が合弁会社を通じて受託することにより、原料モノマーの生産能力の増強と調達の安定化を実現する。あわせて、鹿島工場内での重合プラントの増設を行うことにより、「ユピゼータEP」の供給安定性の確保も図るとしている。
◆電子材料:三菱マテリアルが有機EL・液晶 TFT配線用黒化膜スパッタリングターゲットを開発、量産開始(12月23日)
三菱マテリアルは、ディスプレイTFT配線用黒化膜スパッタリングターゲット「DIABLA(ディアブラ)」を開発し、量産を開始することを発表した。
スパッタリングターゲットは、対象とする電子基板に原子レベルで合金や金属酸化物等の物質を付着させ、薄い膜を形成するための電子材料である。黒化膜用スパッタリングターゲットは、有機ELや液晶パネルのTFT配線上への成膜によって配線を黒化し、TFT配線の可視光反射率を下げる(低反射化)ために使われている。今回開発した「DIABLA(ディアブラ)」は、配線上への成膜後に可視光の低反射化が可能、反応性ガス不要でDCスパッタ可能などの特徴を有しており、従来製品と比べ、各種ディスプレイの更なる高精細化やデザインの自由度向上や半導体関連製品等の配線反射光によるノイズ低減に寄与するとしている。
◆電子材料:JX金属が半導体用スパッタリングターゲットの生産能力を約30%増強(12月22日)
JX金属は、半導体の微細な配線の形成に用いる銅・銅合金、チタン、タンタルなどのスパッタリングターゲットの製造設備について総額120億円規模の増強を行い、生産能力を現行から約30%引き上げると発表した。
同社の半導体用スパッタリングターゲットは、業界トップのシェアを有し、主に最先端のロジックやメモリーの微細配線材料に用いられており、データ社会の進展により着実に需要が伸び続けている。
現在、テレワークなどを背景とした通信インフラやモバイル端末の需要増大により、半導体市場の成長は加速している。JX金属はこの基調は5Gやデジタルトランスフォーメーションの進展により今後も継続するものと予測している。
今後、設計・建設・立上げを行い、2022年春以降に順次稼働を開始する予定としている。
◆建材:宇部興産が新開発の有機系土木・建築材料を宇部興産建材より発売開始を発表(12月22日)
宇部興産は、ウレタン樹脂の分子構造設計技術を土木・建築分野に展開したコンクリート構造物用の有機系表面被覆材「U-レジストクリアコート」および有機系はく落防止材「U-レジストクリアガード」を開発し、宇部興産建材より発売を開始したことを発表した。
同品は、新たに開発した新規ウレタン樹脂を使用し、強靭性と高耐久性を兼ね備え、補強メッシュなしで良好なはく落防止性能を有している。また、コンクリートの劣化因子である炭酸ガスや塩化物イオンなどがコンクリート内部に侵入することを防止することで、構造物の長寿命化を可能とする。さらに透明塗膜であることから視認性に優れ、施工後の構造物の目視点検ができるため、コンクリートの状態の変化を早期に検知可能となっている。
同社は今後、コンクリート構造物の保全・長寿命化のニーズに応えるべく二品目の拡販を行うとしている。
◆リサイクル:凸版印刷がリサイクルフィルムを使用した環境配慮型・紙パックの販売を開始(12月22日)
凸版印刷は、環境配慮型紙パッケージであるEP-PAKのラインアップにメカニカルリサイクルPETを使用した製品を追加し、2021年1月より本格的な販売を行うことを発表した。
透明蒸着のバリアフィルムを使用した「EP-PAK・GL」は主に酒類の紙容器に用いられてきたが、今回新たに追加された製品ではメカニカルリサイクルPETを配合し、再生樹脂配合率を世界最高レベルの80%に高め、CO2排出を24%削減することができるようになった。また、紙パックに使われるプラスチック製の口栓部分を簡単に分離させ、分別廃棄が出来る機能にも対応し、リサイクル適正を向上させている。
今後、清酒・焼酎・調味料メーカーへの提案を進め、2023年度に5億円の売上を目指すとしている。
◆工業用織物:大和紡績が出雲工場の立地計画の認定を島根県より受けたことを発表(12月22日)
大和紡績は、出雲工場の設備投資計画に関し、島根県より立地計画認定書の交付を受けたことを発表した。
この投資により、産業資材の生産拠点として、従来の工業用織物に加え、電子・半導体分野などで需要拡大が見込まれるフィルター製品の一貫生産体制を構築するとともに、トンネルや地盤補強に使われる土木資材の出雲工場への集約を行うとしている。
◆価格改定
・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定
1月契約価格は、635$/t(前月比+60$/t)、国内価格換算想定値は71.1円/kg
・クラレがビニロンとクラロンK-Ⅱを1月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、10~20%
・積水化学工業が塩素化塩化ビニル(CPVC)樹脂およびCPVCコンパウンド製品の南アジア(インド・ネパール他)の価格を1月1日より値上げ
値上げ幅は、5%以上
・住友化学がMMA(メタクリル酸メチル)モノマーを1月11日出荷分より値上げ
値上げ幅は、25円/kg
・住友化学がポリエチレンおよびポリプロピレンを1月15日納入分より値上げ
値上げ幅は、10円/kg以上
・住友化化学がエチレン・プロピレンゴム(EPDM)を1月18日出荷分より値上げ
値上げ幅は、20円/kg
・東ソーがポリエチレン樹脂を2月1日納入分より値上げ
値上げ幅は、15円/kg以上