メールマガジン

2021年3月4日号

2021.03.04 発行

HEADLINE

 

◆電池材料:大日本印刷がリチウムイオン電池部材の新工場を新設(2月26日)

◆リサイクル:住友化学がプラスチック資源循環に係る廃棄物由来の取り組みの事業化を推進(2月26日)

◆電子材料:住友化学が大型ディスプレイ向け高分子有機EL発光材料の事業化を加速(2月26日)

◆フィルム:パイクリスタルが有機半導体温度/振動センサを用いた長寿命リユース型無線物流トレースフィルムを開発(2月25日)

◆海外展開:ENEOSがベトナム事業を強化(2月25日)

◆ガラス:日本電気硝子が世界初の無色透明のゼロ膨張結晶化ガラスを開発(2月25日)

◆水処理関連:東レが省エネ高ウイルス除去UF膜を創出(2月25日)

◆包装材料:凸版印刷が超臨界流体を用いた「超薄肉射出成形容器」を開発(2月24日)

◆樹脂:住友化学がロシアの大手石油化学会社に高圧法ポリエチレン製造技術のライセンスを供与(2月22日)

◆ガラス:セントラル硝子が電子材料用ガラス事業から撤退(2月22日)

◆価格改定

・デンカがポリビニルアルコールを3月1日出荷分より値上げ

・東洋紡が包装用フィルム製品の一部を3月22日出荷分より値上げ

・JNCがオキソ誘導品及び酢酸を4月1日出荷分より値上げ

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆電池材料:大日本印刷がリチウムイオン電池部材の新工場を新設(2月26日)

大日本印刷(DNP)は、埼玉県の鶴瀬工場内にリチウムイオン電池の外装材であるバッテリーパウチを生産する工場を新設し、2021年6月に稼動を開始すると発表した。

新設工場は、EV、PHV、HVなどの電動車の需要の急拡大に対応するもので、当初の計画より約1年早めて稼働する。また、2022年にも同工場の設備を増強する計画もある。さらに電動車向けを中心とする、リチウムイオン電池の旺盛な需要に対応すべく、他拠点での増強など、生産能力の拡大を検討していく。

DNPは、生産能力の増強により、リチウムイオン電池用バッテリーパウチで、2024年度に年間1,000億円の売上げを見込むとしている。

 

◆リサイクル:住友化学がプラスチック資源循環に係る廃棄物由来の取り組みの事業化を推進(2月26日)

住友化学は、2021年4月に「プラスチック資源循環事業化推進室」を新設し、プラスチック資源循環に関わる取り組みの事業化を加速することを発表した。

同社は、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの技術開発を推進している。マテリアルリサイクルについては、石油化学部門において自動車部材向けのリサイクルコンパウンド事業の拡大に注力している。

一方、ケミカルリサイクルに関しては、他企業やアカデミアと共同で、ごみを原料としたポリオレフィン製造やメタノール合成、廃プラスチックの化学的分解による原料化について、2020年代での事業化を目指し研究を進めている。

今後、これらのケミカルリサイクル技術を広く社会実装していくためには、技術開発の加速だけでなく、原料となるプラスチック資源の確保、リサイクルにより得られたプラスチック製品の市場開拓など多くの課題の解決に取り組むことが不可欠であることから、同社は、プラスチック資源循環事業化推進室を新設した。同室を中心に顧客や同業他社、自治体などとの連携体制の構築も含めたケミカルリサイクル技術の事業化、および資源循環サイクルの社会実装を推進していくとしている。

 

◆電子材料:住友化学が大型ディスプレイ向け高分子有機EL発光材料の事業化を加速(2月26日)

住友化学は、高分子有機ELディスプレイ用発光材料事業について、専任組織から情報電子化学部門に移管すると発表した。

有機ELディスプレイ製造に使用する発光材料は蒸着型と塗布型に大別され、塗布型高分子有機EL発光材料は、シンプルなデバイス構造、低コスト、高い生産性を実現することができる。住友化学は、2019年に世界で初めて印刷法による有機ELパネル量産ラインを稼働させたJOLEDに、塗布型高分子有機EL発光材料の供給を開始している。

今後は、有機ELの特長である超薄型やフレキシブル・ベンダブル・ローラブルなどの形状の自由度によって、新たなアプリケーションの開発が見込まれる。大型有機ELディスプレイの需要は大幅に伸びると予測されることから、情報電子化学部門が手掛けるディスプレイ関連材料との一体的な運営によって、同発光材料の事業化を加速させるとしている。

 

◆フィルム:パイクリスタルが有機半導体温度/振動センサを用いた長寿命リユース型無線物流トレースフィルムを開発(2月25日)

ダイセルのグループ会社であるパイクリスタルは、東京大学大学院、三井不動産、日立物流の共同研究グループで、長期安定な有機半導体温度/振動センサを開発し、低消費電力回路と組み合わせた長寿命リユース型物流トレース電子タグの実証実験に成功したことを発表した。

有機半導体を用いた温度センサ素子及び振動センサ素子は、低い消費電力と低コスト化が可能な優位性があったが、素子の耐久性に課題があった。今回開発したセンサ素子は、柔軟な低コストの封止材料を用いることによって、長期安定動作を実現している。また、低消費電力のデータ処理回路と無線通信回路をすべてスクリーン印刷により作製した低コストの印刷基板上に実装する生産技術を確立し、センサデバイスとしての低コスト化と1年程度のバッテリー寿命を実現している。

パイクリスタル社では、今後センサデバイスの量産体制を整え、コンソーシアムメンバーをはじめとする事業連携体制を構築し、低コストかつエコフレンドリーの、安全・安心な物流サービスを関係事業者とともに進めていく計画としている。

 

◆海外展開:ENEOSがベトナム事業を強化(2月25日)

ENEOSは、ベトナム最大手の国有石油製品販売会社であるペトロリメックスとの間で、ベトナムにおける新規共同施策の拡大・推進に関する覚書を締結したと発表した。

新規共同施策には、ペトロリメックスの石油製品サプライチェーン強化、ペトロリメックスSSの併設事業開発支援、電子決済導入支援・データマーケティングの強化、エネルギーインフラ事業(LNG、再生可能エネルギー)、水素事業展開検討、ペトロリメックスの物流効率化、ペトロリメックスの代理店管理支援といった内容が含まれている。

また、新規共同施策の実行推進強化を目的に、2021年4月1日付で、ベトナムにおけるENEOSの代表として「ベトナム総代表」を設置する。

ENEOSは、今回の本覚書締結を契機として、新規共同施策の検討を推進し、ベトナムにおける同社事業の拡大に向けた事業検討・展開を加速させるとしている。

 

◆ガラス:日本電気硝子が世界初の無色透明のゼロ膨張結晶化ガラスを開発(2月25日)

日本電気硝子は、世界で初めて無色透明かつ熱膨張係数がゼロの結晶化ガラス「セラピュア」の開発に成功し、サンプルの供給を開始すると発表した。

同社は、ゼロ膨張結晶化ガラスの新しい用途開拓と発展のため、化学組成を抜本的に見直すことで、着色の要因となる成分を使用することなく所望の結晶を析出させ、無色透明のゼロ膨張結晶化ガラスの開発に成功した。

これにより、調理器用トッププレートにおいて、これまでに実現しえなかった白や淡色の印刷をより鮮やかに発色させることが可能になる。その他、さまざまな分野において、その透明性を活かして、市場参入を目指すとしている。

 

◆水処理関連:東レが省エネ高ウイルス除去UF膜を創出(2月25日)

東レは、水処理に用いられるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)製限外ろ過(UF)膜について、高ウイルス除去性と高透水性を兼ね備えた新たなUF膜を開発したと発表した。

同社はこれまで高強度と高透水性を追求したPVDF製UF膜を水処理用途に展開しているが、近年、処理水の安全性、低コストの観点から、UF膜には病原性ウイルスの除去性向上と高透水性の両立が求められている。しかし、ウイルス除去可能な範囲まで孔径を小さくすると、UF膜の抵抗が大きくなり透水性が低下するため、高ウイルス除去性と高透水性の両立は困難であった。今回、この課題を解決すべく、十分な透水性を保持しながら、除去性を向上させる技術を深化させ、高ウイルス除去性と高透水性を兼ね備えた新規PVDF中空糸UF膜の創出に成功した。

東レは、今後当該製品の実用化を目指して食品・飲料から下廃水再利用など幅広い用途での実証を加速するとしている。

 

◆包装材料:凸版印刷が超臨界流体を用いた「超薄肉射出成形容器」を開発(2月24日)

凸版印刷は、プラスチック射出成形において、超臨界流体を活用した超薄肉射出成形容器を開発したことを発表した。

超臨界流体は、物質の温度と圧力が臨界点を超えた時の状態で、気体と液体の両方の性質を有している。本技術は、溶融樹脂に超臨界流体を溶解させることで、プラスチック樹脂を射出成形金型の隅々まで効率よく行き渡らせる技術であり、これまで射出成形において成形が難しかった0.35mm厚までの成形が可能となるため、大幅にプラスチック使用量を削減することが可能となる。また、流動性が向上することで、成形自体が困難だった生分解性樹脂やバイオマスポリエチレンなどの環境対応樹脂にも対応可能である。

同社では2021年2月より食品メーカーやトイレタリーメーカー向けにサンプル提供を開始し、2025年度までに関連事業を含めて約10億円の売上を目指すとしている。

 

◆樹脂:住友化学がロシアの大手石油化学会社に高圧法ポリエチレン製造技術のライセンスを供与(2月22日)

住友化学は、ロシア連邦タタルスタン共和国のカザンオルグシンテツ社(以下、「KOS」)との間で、KOSが進めるポリエチレン増強プロジェクに対する高圧法ポリエチレン製造技術のライセンス契約を締結したことを発表した。

ロシア大手石油化学会社の一つであるKOSは、1965年にポリエチレンの生産を開始し、同連邦最大級のポリエチレンメーカーである。

今回採用された住友化学の高圧法ポリエチレン製造技術は、自社で開発したオートクレーブ型ポリエチレン製造プロセスで、一つの製造設備で低密度ポリエチレン(LDPE)とエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)の切り替え生産ができ、EVAについては酢酸ビニルの添加量の調整により幅広い製品グレードに対応が可能となっている。また、原料モノマーの反応効率が高く省エネであるほか、運転安定性に優れていることが評価され、採用に至った。

KOSが新たに建設する設備の生産能力は年産10万トンの予定としている。

 

◆ガラス:セントラル硝子が電子材料用ガラス事業から撤退(2月22日)

セントラル硝子は、同社と連結子会社である台湾信徳玻璃において電子材料用ガラス事業の業績が悪化していることから、同事業から撤退することを発表した。

今後は、顧客からの既受注品に対応した上で、順次、生産・販売を終了する。また、台湾信徳玻璃においては、生産・販売終了後、撤退の為の具体策を確定し、各種手続きを完了させる予定としている。

 

◆価格改定

・デンカがポリビニルアルコールを3月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、30円/kg

・東洋紡が包装用フィルム製品の一部を3月22日出荷分より値上げ

値上げ幅は、以下の通り

二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP):300円/連(20μm換算)

無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP):300円/連(20μm換算)

リニアポリエチレンフィルム(LLDPE):300円/連(20μm換算)

二軸延伸ポリエステルフィルム(PET):300円/連(12μm換算)

二軸延伸ナイロンフィルム(ONY):600円/連(15μm換算)

透明蒸着フィルム(PETベース):300円/連(12μm換算)

透明蒸着フィルム(ONYベース):600円/連(15μm換算)

・JNCがオキソ誘導品及び酢酸を4月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は20円/kg以上

関連記事

 

素材・工業材料

TOPへ戻る