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2021年3月25日号

2021.03.25 発行

HEADLINE

 

◆メディカル:富士フィルムがバイオ医薬品の大型製造拠点の建設地を決定(3月19日)

◆CCS:三菱ガス化学がインドネシアのアンモニア製造販売合弁会社とクリーン燃料アンモニア生産のためのCCS共同調査の覚書を締結(3月19日)

◆リサイクル:JX金属が台湾リサイクル拠点の集荷・処理能力を増強(3月19日)

◆色材:富士フイルムが水性顔料インクジェットインク用色材の生産工場を米国拠点に新設(3月18日)

◆樹脂:BASFが次世代の熱安定性を持つUltramidを上市(3月18日)

◆電子材料:住友ベークライトがミニ/マイクロLEDディスプレイ向け感光性材料を開発(3月18日)

◆樹脂:ユニチカが6Tナイロンや66ナイロンの代替素材となるナイロン樹脂シリーズの販売を開始(3月17日)

◆フィルム:東レが世界最高レベルの高耐熱・高品位二軸延伸ポリプロピレンフィルムを創出(3月17日)

◆電池材料:旭化成がリチウムイオン二次電池用セパレータの生産能力を増強(3月15日)

◆炭素繊維:三菱ケミカルが高耐熱性と高強度を両立した炭素繊維プリプレグを開発(3月17日)

◆ウイルス対策:日本板硝子がゾル‐ゲル法によるガラスへの抗菌・抗ウイルスコーティングの開発に成功(3月17日)

◆価格改定

・日油がオレオ関連製品を3月21日納入分より値上げ

・JSPが発泡性ポリスチレンビーズ製品を3月22日納入分より値上げ

・住友ベークライトがポリカーボネート樹脂製品を4月1日出荷分より値上げ

・東ソーがポリウレタン原料のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を4月1日出荷分より値上げ

・カネカが変成シリコーンポリマーを4月1日出荷分より値上げ

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆メディカル:富士フィルムがバイオ医薬品の大型製造拠点の建設地を決定(3月19日)

富士フイルムは、米国ノースカロライナ州ホーリースプリングス市にバイオ医薬品の大型製造拠点を建設することを発表した。

同社では、本拠点をバイオ医薬品CDMO(薬剤開発初期の細胞株開発から生産プロセス開発、安定性試験、治験薬の開発・製造、市販薬の製造までの幅広いサービスを製薬企業などに提供する)の中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、FDB)の米国ノースカロライナ拠点の第2サイトとして、2025年春に稼働させる予定である。

FDBでは、原薬製造ラインとして2万リットル動物細胞培養タンク(8基)、それ以外では全自動型製剤製造システム、多品種のシリンジ用デバイスの組立が可能な機器、自動ラベル貼付・梱包装置などを導入するとしている。

 

◆CCS:三菱ガス化学がインドネシアのアンモニア製造販売合弁会社とクリーン燃料アンモニア生産のためのCCS共同調査の覚書を締結(3月19日)

三菱ガス化学は、インドネシアのアンモニア製造販売会社PT Panca Amara Utama(以下、PAU)社に間接出資しているが、PAUがインドネシアにおけるクリーン燃料アンモニア生産の為の二酸化炭素地下貯留(CCS:Carbon Capture & Storage)及び二酸化炭素の利用に関する共同調査を実施することに合意したことを発表した。

共同調査はPAUの他、三菱商事、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、インドネシア国立大学のバンドン工科大学で行い、4者間で覚書が調印された。

アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を排出しない次世代のクリーンエネルギー源として期待されており、製造時に発生する二酸化炭素をCCS処理する事でクリーン燃料アンモニア生産の実現可能性を追求するとしている。

 

◆リサイクル:JX金属が台湾リサイクル拠点の集荷・処理能力を増強(3月19日)

JX金属は、リサイクル原料の取扱量増を目的に、主要海外拠点である台湾日鉱金属の彰濱リサイクルセンターの集荷・処理能力を増強したと発表した。

台湾は最先端の電子産業の集積地域であるとともに、リサイクル原料の回収システムが整備されている中で、今後もリサイクル原料発生量の増加が予想される。

今回の増強は、彰濱リサイクルセンターの集荷ヤードを新設し2棟体制にするとともに、破砕機および自動サンプリング設備を導入することで、集荷・処理能力を現状の500t/月から1,200t/月に拡充した。

彰濱リサイクルセンターは本年4月より本格稼働の予定としている。

 

◆色材:富士フイルムが水性顔料インクジェットインク用色材の生産工場を米国拠点に新設(3月18日)

富士フイルムは、インクジェット事業の成長を加速するため、水性インクジェットインク製品を製造する米国子会社であるFUJIFILM Imaging Colorants(以下、米国FFIC)に、約20億円の投資を行い、水性顔料インクジェットインク用色材である顔料分散液の製造設備を新設することを発表した。

現在、米国FFICでは染料および顔料を用いた水性インクジェットインク製品の製造を行っている。今回、水性顔料インクジェットインクの主要色材となる顔料分散液の製造設備を新設することで、色材からインク製品までの一貫製造体制を構築する。これにより、効率的に高品質な水性顔料インクジェットインク製品の提供が可能となり、拡大する需要に対応する。

新設する製造設備は、2021年4月に着工し、2022年4月に稼働を開始する予定としている。

 

◆樹脂:BASFが次世代の熱安定性を持つUltramidを上市(3月18日)

BASFは、新開発の熱安定性を備えた「Ultramid B3PG6 BK23238」を上市したと発表した。

自動車業界のトレンド変化に伴い、最高190℃の温度要件を満たすPA6標準材が求められているが、従来の金属系熱安定化材では繊細な電子部品へのガルバニック腐食による電気短絡の懸念がある。

同品は、190℃までの耐熱性があり、ハロゲン化物や金属フリー安定化により、電気部品のガルバニック腐食を防止する。さらに30%ガラス繊維により、強化されたこのポリアミドは、優れた耐熱老化性を持つほか、振動溶着およびホットガス溶着への適用も可能である。

同品は、従来の使用環境に限らず、電気自動車やダウンサイジングエンジンなど高温かつ様々な材料特性が要求される用途に有用であるとしている。

 

◆電子材料:住友ベークライトがミニ/マイクロLEDディスプレイ向け感光性材料を開発(3月18日)

住友ベークライトは、ミニ/マイクロLEDディスプレイ向け感光性材料スミレジンエクセルCRXシリーズを開発し、実用検証を開始したと発表した。

ミニ/マイクロLEDディスプレイは、高輝度・高コントラストなどの特長から屋外ディスプレイやARグラスなどの用途に適した次世代ディスプレイとして大きな注目を集めており、2022年頃から量産本格化すると言われている。しかし、その製造は難易度が高く、LEDチップの高密度実装のため微細加工性、絶縁信頼性、高密着性を有する感光性絶縁材料が必要と見込まれる。

今回、同社が半導体ウェハーコート分野で培った技術を活かすとともに、プロセス設計自由度に貢献する、低温硬化性、高透明性、部品接着性、厚膜加工性の追加機能を付与したサンプルも用意した。各用途に応じて必要な機能を付与した製品を提供する。

すでにいくつかのディスプレイメーカーで評価が開始されており、2022年製品量産化を目指す。将来的には、CRXシリーズで数十億円規模の拡販を狙うとしている。

 

◆樹脂:ユニチカが6Tナイロンや66ナイロンの代替素材となるナイロン樹脂シリーズの販売を開始(3月17日)

ユニチカは、世界的に供給不足が続いている、6Tナイロン(PA6T)や66ナイロン(PA66)を置き換えることができるナイロン樹脂「ゼコット/XecoT AG310A-64」「ゼコット/XecoT AG310A-67」「ナノコン/Nanocon M2090」各シリーズを開発し、販売を開始したと発表した。

現在、自動車や電子部品などに使用されているPA6T、PA66の世界的な供給不足が続いている。その原因は、PA6T・PA66の主成分のひとつであるヘキサメチレンジアミンを合成するための原料アジポニトリルが、自然災害などの影響により供給の不安定な状況が続いているためとされ、供給不足解消には数年はかかると見込まれている。このような状況の中、ユニチカは、ヘキサメチレンジアミンを使用しないナイロン樹脂でPA6T・PA66を代替可能な各シリーズを開発した。

ゼコット/XecoT AG310A-64シリーズは、PA6Tとほぼ同等の物性を実現しており、ゼコット/XecoT AG310A-67シリーズは、ガラス繊維強化PA66とほぼ同等の物性を実現している。また、ナノコン/Nanocon M2090シリーズは、非強化PA66とほぼ同等の物性を実現するとしている。

 

◆フィルム:東レが世界最高レベルの高耐熱・高品位二軸延伸ポリプロピレンフィルムを創出(3月17日)

東レは、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムとしては世界最高レベルの耐熱性と品位を実現した新タイプ「トレファン」を創出したと発表した。

近年、IoT社会の発展に伴い、光学材料や電子部品の高性能化、高機能化に寄与するフィルムの耐熱性の向上が求められており、OPPフィルムの更なる適用には耐熱性の向上が課題であった。

今回、耐熱性を自在に制御する要素技術を極限追求することで、従来のOPPフィルムと比較して高温弾性率を最大80%向上させ、さらに、収縮が開始する温度を40℃高温化した新タイプを創出した。本開発品は打痕、汚染リスクを極小化する高い品位を有し、120℃の高温環境でも使用することができる。

新タイプ「トレファン」は、耐熱性を大幅に向上したことで、離型剤転写が許されない保護・支持体用途や低アウトガス性が必須となる蒸着・スパッタ保護用途、紫外線照射工程保護用途、低吸湿性が必須となる偏光板部材、感光性材料保護等、幅広い工業材料用途への適用が可能としている。

 

◆電池材料:旭化成がリチウムイオン二次電池用セパレータの生産能力を増強(3月15日)

旭化成は、リチウムイオン二次電池(LIB)用セパレータ「ハイポア」の生産能力増強を決定したことを発表した。

電気自動車等の車載用途を中心にリチウムイオン二次電池市場は急速に成長する中で、同社はセパレータとして「ハイポア」と「セルガード」を有し、湿式膜と乾式膜の双方を手がけている。湿式膜は滋賀県守山市および宮崎県日向市に、乾式膜は米国ノースカロライナ州に生産拠点を有しており、今回、宮崎県日向市の既存工場敷地内にて湿式膜「ハイポア」生産のための設備増強を行う。

今回の3.5億m2/年の増強により生産能力は湿式膜が計約13.5億m2/年、乾式膜が約5.5億m2/年、合計約19億m2/年となる。なお設備投資額は300億円、2023年上期に商業運転を開始する予定としている。

 

◆炭素繊維:三菱ケミカルが高耐熱性と高強度を両立した炭素繊維プリプレグを開発(3月17日)

三菱ケミカルは、高耐熱性と高強度を両立したシアネートエステル系の炭素繊維プリプレグを開発したことを発表した。

同社の原料・触媒の組み合わせ技術を用いて新たに開発したシアネートエステル系樹脂をベースレジンに用いており、250℃以上の耐熱性を有しながら、炭素繊維の有するしなやかさや高い靭性との両立を実現している。また、一般的なエポキシ樹脂ベースのCFRPと同じ型を用いて硬化できるうえ、従来のシアネートエステル系樹脂に比べ保存安定性に優れており、顧客における加工特性も良好である。

本プリプレグは、既にレーシングカーのエンジン周辺のCFRP部材として使用されており、今後は自動車用途に加え、高温環境で使用されるロボットなどの産業用途や航空機用途、宇宙用途等への販売も進めるとしている。

 

◆ウイルス対策:日本板硝子がゾル‐ゲル法によるガラスへの抗菌・抗ウイルスコーティングの開発に成功(3月17日)

日本板硝子は、ガラス基板上に高い抗菌・抗ウイルス機能を発揮する、ゾル‐ゲル法を用いた当社独自のコーティング技術の開発に成功したと発表した。

このコーティングが施されたガラスは暗所でも機能を発揮する抗菌、抗ウイルス性能にとどまらず、摩擦や薬品に対する優れた耐久性や高い透過性を持つため、各種端末画面や操作ボタンといった人が触れる機会のある様々な部位への使用が可能である。

今後マーケティング活動を進め、2022年3月期中の発売開始を図るとしている。

 

◆価格改定

・日油がオレオ関連製品を3月21日納入分より値上げ

値上げ幅は、動物系脂肪酸及びその誘導品:20円/kg以上

植物系脂肪酸及びその誘導品:30円/kg以上

脂肪酸、グリセリン、金属石鹸、脂肪酸アマイド、工業用石鹸:30円/kg以上

・JSPが発泡性ポリスチレンビーズ製品を3月22日納入分より値上げ

値上げ幅は、25円/kg

・住友ベークライトがポリカーボネート樹脂製品を4月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、15%以上

・東ソーがポリウレタン原料のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を4月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、50円/kg

・カネカが変成シリコーンポリマーを4月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、10円/kg以上

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