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2021年5月20日号

2021.05.20 発行

HEADLINE

 

◆環境技術:東ソーが低濃度CO2からの尿素誘導体合成法を開発(5月14日)

◆有機:東ソーが塩素化パラフィンの生産および販売停止を発表(5月14日)

◆エンジニアリング:日揮ホールディングスがナイジェリアで初のFLNGプラントの概念設計役務を受注(5月13日)

◆電子材料:デクセリアルズが自動車のヘッドアップディスプレイの性能を向上する拡散マイクロレンズアレイを開発(5月13日)

◆塗料関連:旭化成がアクリルラテックス事業と光触媒塗料事業の撤退を発表(5月12日)

◆フィルム:信越ポリマーが食品包装用ラッピングフィルム事業を譲受(5月12日)

◆合成油:三井化学が市原工場でルーカントの新プラントの営業運転を開始(5月12日)

◆エラストマー:ENEOSがJSRのエラストマー事業を買収(5月11日)

◆エンジニアリング:日揮がベトナムで固形製剤工場建設等プロジェクトを受注(5月10日)

◆炭素繊維:三菱ケミカルが速硬化型の炭素繊維プリプレグの販売を開始(5月10日)

◆電池材料:日本板硝子が米国ENTEK社にバッテリーセパレーター事業を譲渡(5月10日)

◆価格改定

・クラレがポリビニルアルコール樹脂を5月17日出荷分より値上げ

ヨーロッパ:0.42ユーロ/kg以上

・ダイセルが酢酸ブチルを5月24日納入分より値上げ

・ダイセルが電子材料溶剤製品を5月24日納入分より値上げ

・サカタインクスがパッケージ印刷用インキを6 月1日出荷分より値上げ

・東洋インキがグラビア・フレキソインキ製品、ラミネート接着剤製品を

6月1日出荷分より値上げ

・タキロンシーアイが塩ビ波板、FRP製品を6月1日出荷分より値上げ

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆環境技術:東ソーが低濃度CO2からの尿素誘導体合成法を開発(5月14日)

東ソーと産業技術総合研究所(以下、産総研)は、共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで、火力発電所排気ガス相当の低濃度CO2から、樹脂や溶媒、医薬品の原料として有用な化学品である尿素誘導体を合成する触媒反応を開発したと発表した。

この技術は、低濃度CO2とアミンから簡便に得られるカルバミン酸アンモニウム塩にチタン触媒を作用させて、有用化学品である尿素誘導体を効率的に合成できる。また、これまで直接利用が難しかった火力発電所排気ガス中の低濃度 CO2 を、有用化学品に効率よく変換できるため、地球温暖化の原因とされる CO2の排出量削減への貢献が期待される。

今回開発した反応について実際の火力発電所排気ガスを用いた検証を行った後、工業スケールでの尿素誘導体合成反応の実用化を目指す予定としている。

 

◆有機:東ソーが塩素化パラフィンの生産および販売停止を発表(5月14日)

東ソーは、東北東ソー化学が製造し、東ソーが販売している塩素化パラフィン(トヨパラックス)の生産および販売停止を決定したことを発表した。

同社の塩素化パラフィンは、1953年に同社南陽事業所で製造を開始してから半世紀にわたり事業展開してきた。近年は設備老朽化が著しく、設備更新が必要となっているが、環境規制の観点から、将来的な事業継続性は先行き不透明な状況となっているため、同社は設備更新の投資を断念した。生産停止時期は2022年5月の予定としている。

 

◆エンジニアリング:日揮ホールディングスがナイジェリアで初のFLNGプラントの概念設計役務を受注(5月13日)

日揮ホールディングスは、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、ナイジェリアにおいてUTMオフショア社がナイジェリア国営石油公社と共同で計画しているFLNGプラントに係る概念設計役務を受注したと発表した。

本案件は、ナイジェリアにおけるエクソンモービル社およびナイジェリア国営石油公社所有のガス田のガスを利用し、LNGを洋上で生産するFLNGプラント(年産120万トン)の概念設計役務である。概念設計終了後、基本設計、設計・調達・建設(EPC)役務が計画されており、実現すればナイジェリアでは初のFLNGプラントになるとしている。

 

◆電子材料:デクセリアルズが自動車のヘッドアップディスプレイの性能を向上する拡散マイクロレンズアレイを開発(5月13日)

デクセリアルズは、自動車のヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)の輝度を向上させ、表示輝度のムラを低減する「拡散マイクロレンズアレイ」を開発したことを発表した。

同社が開発した「拡散マイクロレンズアレイ」は、HUDの光源となるLEDから出る光を制御し、拡散配光をおこなうことでHUDの高輝度化と輝度ムラの低減を実現し、より鮮明な投影を可能とする拡散フィルムとしている。

具体的には、ベースフィルムの表面に、同社の要素技術である微細構造形成技術を用いて微細なレンズを配置したマイクロレンズアレイ構造を形成する。拡散フィルム全体として最適な配光特性となるように一つひとつのレンズの位置を設計、配置しているため、光源から発せられた光が効率的かつ均一に表示部に届き、HUDの輝度を約40%高めるとともに輝度ムラを低減することができるとしている。

 

◆塗料関連:旭化成がアクリルラテックス事業と光触媒塗料事業の撤退を発表(5月12日)

旭化成は、アクリルラテックス事業と光触媒塗料事業からの撤退及び両事業の製造拠点である和歌山工場の閉鎖を決定したと発表した。

同社は、同事業の市場環境の厳しさが更に増す中で、将来的な拡大が難しいと判断した為、事業撤退を決定した。

今回終了する予定である対象製品は、塗料、セメント関連、粘・接着など向けのアクリルラテックス及び住宅外装防汚塗料向けの光触媒塗料である。これらの製品は、2022年4月末に生産が終了し、2022年の10月末に販売が終了する予定としている。

 

◆フィルム:信越ポリマーが食品包装用ラッピングフィルム事業を譲受(5月12日)

信越ポリマーは、昭和電工マテリアルズから食品包装用ラッピングフィルム事業を譲受する契約を締結したと発表した。

2021年8月2日付で同事業を承継する新設会社の昭和電工マテリアルズの株式を全て取得し、子会社化することを予定している。

信越ポリマーの食品包装用ラッピングフィルム事業は、塩ビ業務用ラップを中心に展開しており、スーパーマーケットなどの食品量販店向け、飲食店などの外食産業向けに展開している。一方、昭和電工マテリアルズの事業は、外食産業向け中心に塩ビ小巻ラップの国内市場においてトップシェアを有している。

信越ポリマーは、新設会社の株式を取得することで、塩ビ小巻ラップ国内市場での高いシェアを獲得し、業界内において販売競争力の向上を図るとしている。

 

◆合成油:三井化学が市原工場でルーカントの新プラントの営業運転を開始(5月12日)

三井化学は、市原工場(千葉県)内に炭化水素系合成油ルーカントの新プラントを建設し、2021年4月より営業運転を開始したことを発表した。

ルーカントは、粘度の温度依存性が小さく、剪断安定性・熱化学的安定性に優れている等の特長を有していることから、自動車ドライブラインのギア油、工業用潤滑油並びにグリースなどの粘度調整剤として採用されている。低環境負荷ニーズの高まりの中、省燃費や長寿命に貢献するものとして世界的に需要の増大が見込まれている。

三井化学のルーカントは、岩国大竹工場、市原工場の2拠点供給体制となり、世界の旺盛な需要に対応するとともに不測の事態における事業継続性を強化するとしている。

 

◆エラストマー:ENEOSがJSRのエラストマー事業を買収(5月11日)

ENEOSは、JSRの合成ゴムの製造・販売を含む同社のエラストマー事業を買収する契約を締結したことを発表した。

JSRのエラストマー事業は、業界最高水準の性能を保有するタイヤ素材であり、低燃費・高性能タイヤのトレッド(路面との接地面)の原材料として欠かせないSSBR(溶液重合スチレン・ ブタジエンゴム)を主力製品として、モビリティ産業に不可欠であると共に環境負荷低減に貢献する素材を提供している。

今後JSRは新会社を設立し、会社分割によりエラストマー事業および同事業に係る子会社等の株式を新会社に承継する。その後、2022年4月を目途に、ENEOSは当該新会社の全株式を取得し、完全子会社化する。なお最終的な株式取得価額は、合意した1,150億円をベースに各種価値調整を踏まえ実質的な買収価格(企業価値)から、買収完了時点の純有利子負債等を考慮し確定するとしている。

 

◆エンジニアリング:日揮がベトナムで固形製剤工場建設等プロジェクトを受注(5月10日)

日揮ホールディングスは、日揮グローバルならびにベトナム現地法人であるJGCベトナム社が共同で、あすか製薬が出資するHa Tay Pharmaceutical Joint   Stock Company(以下ハタファー社)から固形製剤工場に関わる設計・調達・建設役務を受注したことを発表した。

同プロジェクトは、あすか製薬が24.9%出資するハタファー社が、ベトナムのハノイ近郊の工業団地内に計画する固形製剤工場建設プロジェクトであり、同工場では、医薬品の国際基準であるPIC/S GMPに対応した多品種の固形製剤を年間で約20億錠生産する予定である。同プロジェクトの納期は2023年としている。

 

◆炭素繊維:三菱ケミカルが速硬化型の炭素繊維プリプレグの販売を開始(5月10日)

三菱ケミカルは、同社の従来品より硬化時間を大幅に短縮した、最短1分で硬化可能な速硬化型の炭素繊維プリプレグの販売を開始したと発表した。

航空機や自動車などのモビリティ用途では、軽さと強度を兼ね備える炭素繊維複合材料(CFRP)の利用が進むと見込まれている。また、ウェアラブル端末向けにも、CFRPが有望視されている。しかし、一般的にCFRPの成形加工は時間がかかるため、CFRPの更なる普及には、生産性を向上させる技術が必要とされている。

本プリプレグは、同社が独自に開発したマトリックス樹脂を適用することにより、最短1分での速硬化性と、従来品と同レベルの保存安定性を両立した。また、自動車部材に要求される耐熱性も兼ね備え、高い機械的強度も有している。既にサンプルワークを進め、一部製品での採用も決まったとしている。

 

◆電池材料:日本板硝子が米国ENTEK社にバッテリーセパレーター事業を譲渡(5月10日)

日本板硝子は、バッテリーセパレーター事業を、吸収分割により新たに設立した日本板硝子コンパス(以下、「NSGC」)に対して承継させたのち、NSGCの株式の全てを、ENTEK Technology Holdings LLC(本社:米国)(以下、「ENTEK社」)が日本国内に設立する子会社(以下、「ENTEK Japan」)に譲渡することを、決定したと発表した。

ENTEK社は、鉛蓄電池用セパレーターおよびリチウム電池用セパレーター事業において35年以上の歴史を有している。また、日本板硝子とENTEK社は、インドネシアの合弁事業のパートナーである。日本板硝子は、バッテリーセパレーター事業をさらに発展させ、事業の価値を向上させていくためには、確固とした事業基盤を有し、信頼関係のあるENTEK社と事業を統合し、ENTEK社の経営の下で事業の強化拡大を図ることが最良の選択肢であると判断した。

今後、2021年8月(予定)を効力発生日としてNSGCに承継させたのち、同日

付(予定)でNSGCの株式の全てをENTEK Japanに譲渡する予定としている。

 

◆価格改定

・クラレがポリビニルアルコール樹脂を5月17日出荷分より値上げ

値上げ幅は、日本:50円/kg以上

アジアパシフィック、北米、南米、中東、アフリカ:0.50US$/kg以上

ヨーロッパ:0.42ユーロ/kg以上

・ダイセルが酢酸ブチルを5月24日納入分より値上げ

値上げ幅は、25円/kg

・ダイセルが電子材料溶剤製品を5月24日納入分より値上げ

値上げ幅は、メトキシプロパノール(略号:MMPG):40円/KG

メトキシプロピルアセテート(略号:MMPGAC):40円/KG

エチルジグリコールアセテート(略号:EDGAC):40円/KG

3-メトキシブチルアセテート(略号:MBA):80円/KG

・サカタインクスがパッケージ印刷用インキを6 月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、白インキ:50円/㎏、色インキ:65円/㎏(紫:100円/kg)

メジューム・ニス・添加剤:50円/㎏、硬化剤 100円/㎏

・東洋インキがグラビア・フレキソインキ製品、ラミネート接着剤製品を6月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、グラビア・フレキソインキ(油性インキ):60円/㎏、

(水性インキ):50円/㎏、(硬化剤):50~130円/㎏

ラミネート接着剤(主剤):50円/㎏、(硬化剤):50~130円/㎏

・タキロンシーアイが塩ビ波板、FRP製品を6月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、15%以上

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