2021.06.03 発行
◆フィルム:東レが三島工場におけるフィルム開発専用機の本格稼働開始を発表(5月27日)
◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングがインド向けにアンモニアプラントの受注を発表(5月27日)
◆樹脂:三井化学が高屈折メガネレンズ材料の生産能力増強を発表(5月27日)
◆電子材料:三井化学がEUVペリクルの商業生産を開始(5月26日)
◆フィルム:三井化学が新素材「ヒートシーラブル高ガス透過フィルム」の市場開発を開始(5月25日)
◆環境素材:カネカが生分解性ポリマーの発泡成形品を開発(5月25日)
◆研究開発:東ソーがスペシャリティ事業拡大のための先端技術研究拠点を整備(5月25日)
◆リサイクル:三菱ケミカルがアクリル樹脂のケミカルリサイクルの事業化に向けた実証設備を建設(5月24日)
◆価格改定
・住友化学が塩酸を6月1日出荷分より値上げ
・日本触媒が無水マレイン酸及び有機酸類を6月1日出荷分より値上げ
・東ソーがPPS樹脂を6月21日出荷分より値上げ
・東ソーがペースト塩ビ樹脂を6月21日納入分より値上げ
・大洋塩ビが塩化ビニル樹脂を6月21日納入分より値上げ
◆フィルム:東レが三島工場におけるフィルム開発専用機の本格稼働開始を発表(5月27日)
東レは、高度化・多様化するフィルム市場のニーズに対応した高機能フィルムの開発力を強化するため、三島工場に独自のフィルム開発専用機を導入し、本格稼働を開始したことを発表した。
本開発専用機は、同社の強みである高精度ナノ積層、ナノアロイ、高機能ナノコーティングなどの要素技術ならびに多様なフィルム設計技術を適用することで、幅広いフィルム開発への対応を実現した。また、実生産機に近いマシンサイズとクリーンルーム環境を兼ね備えた設計としている。
今回の開発専用機導入により、電子デバイスやディスプレイ向けの高品位・高精細化を追求した新フィルムの開発に加え、今後の成長が期待される自動車、エネルギー、環境・ライフイノベーション分野に向けて革新的な新技術・新製品の開発を加速するとしている。また、市場ニーズを先取りした提案を積極的に進めることで、高付加価値市場におけるさらなる事業拡大を目指すとしている。
◆エンジニアリング:東洋エンジニアリングがインド向けにアンモニアプラントの受注を発表(5月27日)
東洋エンジニアリングのインド現地法人であるToyo Engineering India(以下、Toyo-India)は、インドのPerformance Chemiserve Limited (以下、PCL)が同国南西のマハーラーシュトラ州で計画する日産1,500トンのアンモニアプラントおよび付帯設備・用役設備の建設プロジェクトを受注したと発表した。
PCLはインドを代表する肥料および化学製品の製造会社であるDeepak Fertilisers and Petrochemicals Corporation Limited (以下、DFPCL)の子会社で、DFPCLはインド各地に各種製造施設を保有する。
Toyo-Indiaは設計、調達、建設、試運転までのEPC業務を一括請負で実施し、プラントの完成は2023年上半期の予定としている。
◆樹脂:三井化学が高屈折メガネレンズ材料の生産能力増強を発表(5月27日)
三井化学は、同社が世界をリードする高屈折メガネレンズ材料(製品名:MR)の生産能力の増強を決定したと発表した。
世界における高屈折メガネレンズの需要は、アジアでの高機能品を求める層の拡大、北米でのポリカーボネート素材からの置き換え需要などから長期的な成長が見込まれている。同社も、それらの需要拡大にこたえるべく、既存プラントを有する同社大牟田工場にて設備を増強することを決定した。
新プラントは2023年下期の商業運転開始の予定としている。
◆電子材料:三井化学がEUVペリクルの商業生産を開始(5月26日)
三井化学は、半導体リソグラフィー分野においてASML社(オランダ)から、EUVペリクル事業のライセンス契約を受け、その設計と技術に基づき、同製品の生産設備を三井化学の岩国大竹工場内に新設、今回世界に先駆けて商業生産を行うと発表した。
ASML社は半導体の露光(リソグラフィー)機メーカー世界最大手であり、EUV露光機及びEUVペリクルの開発に成功した唯一のメーカーである。先端デバイスに用いられる半導体では、回路線幅7nm以下の超微細化が必要であり、超短波長であるEUV露光技術の採用が本格的に拡大している。EUVペリクルはその露光工程で利用されるフォトマスクの防塵カバーとなる。
三井化学は今後EUV露光機の進化に合わせ、EUVペリクルの技術改良・革新をASML社とともに取り組むとしている。
◆フィルム:三井化学が新素材「ヒートシーラブル高ガス透過フィルム」の市場開発を開始(5月25日)
三井化学は、選択的に高いガス透過性を発現できる新素材フィルム「ヒートシーラブル高ガス透過フィルム」(開発品)の市場開発を開始したと発表した。
このフィルムは、特定のガスを選択的に高く透過できる性能を持ち、また他の樹脂のフィルムと比較して低温でヒートシールできる特長も有している。これまでにも選択的に特定のガスを高く透過するフィルムはあったが、ヒートシールが困難であることから、用途が限られるという課題があった。
このフィルムは、それらの課題を解決したことで容易にパッケージ加工ができ、使用用途が広がると考えている。想定されるターゲット用途は、細胞培養キットの保護用途、医療用器具のパッケージ、特定ガスの分離膜等の産業分野などとしている。
◆環境素材:カネカが生分解性ポリマーの発泡成形品を開発(5月25日)
カネカは、「生分解性ポリマーGreen Planet」の発泡成形品を開発し、水産事業者に鮮魚用魚箱として採用されたことを発表した。
鮮魚用魚箱は、通常、発泡性ポリスチレンビーズが用いられているが、地球規模でのプラスチック汚染が問題となり、海洋マイクロプラスチック問題への対策が急がれている。
Green Planetは、同社が発酵技術と高分子技術を融合させ開発した100%植物由来の生分解性ポリマーで、幅広い環境下で優れた生分解性を有し、海水中で生分解する特徴を持っている。
カネカは、今後水産漁業・農業分野での生鮮食品輸送容器、養殖用フロートなどの漁業資材、また発泡ビーズを詰め物としたクッション、家電・家具の緩衝包装材といった製品開発を加速させ、環境対応製品として販売を強化するとしている。
◆研究開発:東ソーがスペシャリティ事業拡大のための先端技術研究拠点を整備(5月25日)
東ソーは、東京研究センター(神奈川県)において、新研究棟やカスタマーサポート棟を新設するとともに、既存研究施設の大規模リニューアルを実施することを発表した。
東京研究センターは、南陽事業所および四日市事業所と並ぶ主要研究開発拠点であり、研究開発重点3分野である「ライフサイエンス」「環境・エネルギー」「電子材料」に代表されるスペシャリティ事業に関する先端技術創出の拠点となっている。今回の研究開発機能強化により、バイオサイエンス事業の拡大、MI(マテリアルインフォマティクス)を使った材料開発、カスタマーサポートの強化、研究者間の交流の活発化を目指す。
バイオサイエンス研究のための新研究棟は2024年4月完工予定、新カスタマーサポート棟は2026年5月完工予定、環境エネルギーや、電子材料研究のための研究8号棟(リニューアル)および先進的有機材料研究のための研究9号棟(リニューアル)は2024年10月完工予定となっている。なお、今回の新棟建設およびリニューアルのための設備投資額は約100億円としている。
◆リサイクル:三菱ケミカルがアクリル樹脂のケミカルリサイクルの事業化に向けた実証設備を建設(5月24日)
三菱ケミカル及び連結子会社の三菱ケミカルメタクリレーツは、PMMA(ポリメチルメタクリレート、以下「アクリル樹脂」)のケミカルリサイクルの事業化に向け、2021年6月に日本国内で実証設備を建設し、事業化に向けた実証試験を進めることを発表した。
アクリル樹脂は優れた透明性・耐光性を持つプラスチック製品で、自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに幅広く用いられている。
同社では、自社のアクリル樹脂製造工場から出る廃材に限らず、将来的には広く市場から回収することを視野に入れている。
同社のアクリル樹脂リサイクル技術により製造されたMMA(メチルメタクリレート)及びそれを原料として製造されたアクリル樹脂は、通常品と同水準の性能を保つとともに、製造工程でのCO2の排出量が従来よりも70%以上削減できると見込んでおり、環境負荷低減に貢献することが可能としている。
◆価格改定
・住友化学が塩酸を6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、5円/kg
・日本触媒が無水マレイン酸及び有機酸類を6月1日出荷分より値上げ
値上げ幅は、無水マレイン酸:30円/kg以上
コハク酸:30円/kg以上
コハク酸二ナトリウム:15円/kg以上
・東ソーがPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を6月21日出荷分より値上げ
値上げ幅は、ベースレジン:95円/kg、コンパウンド:60円/kg
・東ソーがペースト塩ビ樹脂を6月21日納入分より値上げ
値上げ幅は、12円/kg以上
・大洋塩ビが塩化ビニル樹脂を6月21日納入分より値上げ
値上げ幅は、12円/kg以上