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2021年7月8日号

2021.07.08 発行

HEADLINE

 

◆メディカル:AGC Biologicsが米Novartis社との間で米国における遺伝子治療薬工場の買収契約を締結(7月2日)

◆電池材料:旭化成がCO2を主原料とする高純度カーボネート類製造技術のライセンス契約を締結(7月1日)

◆開発拠点:東レが欧州に樹脂テクニカルセンターを開設(7月1日)

◆新素材:リグノマテリア、森林研究・整備機構森林総合研究所、マナックらが改質リグニン製造実証プラントの試験生産を開始(6月30日)

◆メディカル:富士フイルムがバイオ医薬品の原薬生産能力を増強(6月29日)

◆異種接合:昭和電工が異種材料接合技術「WelQuick」を開発(6月28日)

◆次世代通信:ダイセルがNEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」先導研究に採択されたことを発表(6月28日)

◆抗ウイルス:日本板硝子がゾルーゲル法コーティングによる抗菌・抗ウイルスガラスを2021年8月より生産開始(6月28日)

◆バイオマス:三菱ケミカルがクラレグループとバイオマス原料由来ポリエステルの関連特許に係るライセンス契約を締結(6月28日)

◆価格改定

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

・カネカが変成シリコーンポリマーを7月1日出荷分より値上げ

・日本触媒がアクリル酸メトキシエチル(AME)を7月1日出荷分より値上げ

・DICが共押出多層フィルムを7月21日納入分より値上げ

・デンカが食品包材用スチレン系シートを8月1日納入分より値上げ

・デンカがデンカサーモシートBOPSを8月1日納入分より値上げ

・デンカが電子包材用シートを8月1日出荷分より値上げ

・JSPが発泡ポリスチレンシート(PSP)を8月1日より値上げ

・アイカ工業が化成品商品を8月23日出荷分より値上げ

 

 

WEEKLY NEWS

 

◆メディカル:AGC Biologicsが米Novartis社との間で米国における遺伝子治療薬工場の買収契約を締結(7月2日)

AGCのバイオ医薬品CDMO(製造受託に加え、製造方法の開発を受託・代行)事業子会社であるAGC Biologics社が、Novartis社との間で、同社が米国コロラド州に保有する遺伝子治療薬工場の買収契約を締結することを発表した。

本件は、昨年買収したイタリアのMolMed社(現AGC Biologics S.p.A.)に続く、遺伝子・細胞治療分野での事業増強となる。AGCでは、成長著しい遺伝子・細胞治療分野で、拡大する製造委託ニーズに対応するため、イタリアでの設備増設に加え、世界最大市場の米国で製造能力を確保するものとしている。

 

◆電池材料:旭化成がCO2を主原料とする高純度カーボネート類製造技術のライセンス契約を締結(7月1日)

旭化成は、リチウムイオン電池(LIB)の電解液の主要原料であり、世界中で需要が高まっている高純度エチレンカーボネート(EC) および高純度ジメチルカーボネート(DMC) の製造技術のパッケージが完成し、第1号のライセンス契約を締結したことを発表した。

対象品は高純度EC3.8万トンと高純度DMC7万トンの製造技術パッケージであり、ライセンス先は海外大手化学メーカーとしている。また、供与するライセンス権は当該国における非独占的製造権および全世界への非独占的販売権としている。

本技術パッケージの特徴は、同社のPC樹脂製造技術同様、CO2を原料とすることである。原料の約半分がCO2であり、今回のライセンスで年間約5万トンのCO2を消費することになるとしている。

 

◆開発拠点:東レが欧州に樹脂テクニカルセンターを開設(7月1日)

東レは、欧州における樹脂製品のマーケティング及び販売会社であるToray Resins Europe GmbH(TREU)の技術開発拠点として、東レの欧州自動車開発拠点であるオートモーティブセンター欧州(AMCEU、ドイツ)敷地内に樹脂テクニカルセンターを開設したと発表した。

欧州自動車産業は、燃費規制によるCO2排出量削減などの環境規制強化に伴い、開発リソースを電動化と自動運転技術にシフトする動きが加速しており、電子制御・通信関連部品市場拡大による高機能樹脂の継続的な需要拡大が見込まれている。また、電気・電子機器、住宅関連部品などの産業用途においても、耐熱性・耐薬品性の要求を満たす高機能樹脂の需要が拡大している。

樹脂テクニカルセンターでは、欧州域内での迅速な技術データ提供やCAE解析を通じた設計支援、イノベーティブな材料開発、分析・評価機能を充実し、製品開発を支援するとしている。

 

◆新素材:リグノマテリア、森林研究・整備機構森林総合研究所、マナックらが改質リグニン製造実証プラントの試験生産を開始(6月30日)

リグノマテリア、森林研究・整備機構森林総合研究所、東京工科大学、マナック、エルアンドコージー、宮の郷バイオマス有限責任事業組合、ネオマテリアからなる共同事業体は、スギを原料として製造する新素材「改質リグニン」を製造する実証プラントを竣工し、試験生産を開始すると発表した。

改質リグニンは森林総合研究所で開発された木材由来の新素材で、耐熱性などの高い性能に加え、石油化学製品では達成できない環境適合性を併せ持つこれまでにない工業材料として注目されている。

実証プラントは、改質リグニンの安定生産を実証する世界初のプラントで2021年6月30日に竣工する。実証プラントでは、生産技術の効率化を進めると共に、改質リグニンの試験生産を開始するとしている。

 

◆メディカル:富士フイルムがバイオ医薬品の原薬生産能力を増強(6月29日)

富士フイルムは、バイオ医薬品の開発・製造受託事業をさらに拡大する為、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(FDB)の欧米拠点に総額約900億円の大型設備投資を行うと発表した。

今回、米国にあるFDBの既存拠点に、機動性に優れるシングルユース仕様の2,000リットル細胞培養タンクなどの製造設備を新たに導入することにより、米国における遺伝子組換えタンパクワクチンの原薬製造能力を現行の約2倍に向上させる。また、遺伝子治療薬にも対応した設備とすることにより、COVID-19ワクチンのみならず、最先端医療分野の遺伝子治療薬などの受託ニーズに応える。

英国拠点では、遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造が可能な新棟を建設し、同拠点内の原薬生産能力を現行の10倍以上に拡大させる。また、動物細胞培養により、製造する抗体医薬品では、小・中量の培養タンクの追加導入により、英国拠点内の原薬生産能力を約3倍に増強する。特に欧州における小・中規模生産の受託ニーズに応えるとともに、大型培養タンクを有するデンマーク拠点での大規模生産にスムーズに繋げる受託基盤で顧客の新薬開発を支援していく。更に、新棟スペースを利用し、連続生産システムによるGMP製造が可能な設備を導入する。

この他、微生物培養により、製造する遺伝子組換えタンパク医薬品では、既存ラインの精製設備の増強などにより、英国拠点内の原薬生産能力を約2倍に高め、需要増に応えていく。増強設備の稼働は、2023年後半の予定としている。

 

◆異種接合:昭和電工が異種材料接合技術「WelQuick」を開発(6月28日)

昭和電工は、樹脂と金属など異種材料を簡便かつ強固に接合するフィルムタイプの接合技術「WelQuick」を開発し、6月からサンプル提供を開始したと発表した。

近年、素材に対する軽量性、耐熱性、強度などのニーズは単一素材では解決できないほど高度化しており、異種材料を接合して複合化するマルチマテリアル化が進展しているが、接合強度とともに、接着プロセスの簡便化や工程の短時間化の両立が困難であることが課題となっていた。

今回開発したWelQuickは、接着成分をフィルム形状にすることで、接着プロセスを簡便化し、さらにフィルム材料の固体と液体間の相変化を利用することで、数十分必要であった接着時間を数秒に短縮可能となった。また、樹脂と金属との接着に対応し、40通り以上の基材の組み合せで10MPa以上の高いせん断接着力を確認している。さらに、フィルム状態で常温での長期保管が可能な上、溶着時のVOC(揮発性有機化合物)の発生せず、環境負荷の抑制ができるとしている。

 

◆次世代通信:ダイセルがNEDOの「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」先導研究に採択されたことを発表(6月28日)

ダイセルは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の公募に対し、「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」及び「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」が採択されたことを発表した。

「ミリ波・テラヘルツ帯向け高機能材料・測定の研究開発」では、次世代超ローロス低誘電材料、平滑導体と低誘電材料の高信頼性接合、テラヘルツ帯通信用材料の測定技術を開発する。本研究により、ポスト5Gの基地局向けリジッドプリント配線板の低誘電材料や接合の事業化、及び測定技術の標準化を目指す。

また、「ポスト5G半導体のための高速通信対応高密度3D実装技術の研究開発」では、高周波対応高密度パッケージCu焼結接合技術、高信頼・高性能ビルトアップ半導体サブストレイト技術、高周波パッケージ導波路コネクタ技術を開発する。本研究により、先端後工程向けのCu 焼結接合材料やバンプ形成絶縁接着材料の事業化、装置、周辺材料、プロセス等のノウハウ組合せによるソリューションの提供、及びサブストレイト技術や導波路コネクタ技術の標準化、デファクト化を目指すとしている。

 

◆抗ウイルス:日本板硝子がゾルーゲル法コーティングによる抗菌・抗ウイルスガラスを2021年8月より生産開始(6月28日)

日本板硝子は、独自技術のゾル‐ゲル法(溶液原料の化学反応により合成したゲル体を加熱処理により緻密化することで、セラミックスやガラス質のコーティングを作製する材料合成法)による抗菌・抗ウイルスのガラスコーティング「NSG Purity」を開発し、2021年8月より生産を開始することを発表した。

「NSG Purity」は銅を配合することで暗所でも高い抗菌・抗ウイルス性能を発揮するガラスコーティングであり、高い耐久性や光透過性などの強みを有している。2021年6月にはSIAA(抗菌製品技術協議会)の認証である「抗菌加工」と「抗ウイルス加工」を取得した。

今後はスマートフォン・タブレットのカバーガラスや、レジ端末、ATM、エレベーター、医療機器、家電のタッチパネルなど、家庭や公共施設をはじめとした幅広い場所への応用を目指すとしている。

 

◆バイオマス:三菱ケミカルがクラレグループとバイオマス原料由来ポリエステルの関連特許に係るライセンス契約を締結(6月28日)

三菱ケミカルは、同社が保有するバイオマス原料由来ポリエステルに係る基本特許を含む関連特許について、クラレおよびクラレトレーディングとライセンス契約を締結したと発表した。

ライセンス対象の製品は、再生可能なバイオマス原料を用いたPET(ポリエチレンテレフタレート)を指し、繊維をはじめ様々な用途が見込まれており、従来の石油由来の製品と比べ、温暖化ガスの排出量を抑えることが可能である。

同社が保有する本特許は、バイオマス原料由来の高品質ポリエステルそのものに関する物質特許で、製造販売など事業を行ううえで必要な基本特許になるとしている。

 

◆価格改定

・ENEOSがベンゼンの契約価格を改定

7月契約価格は、1,040$/t(前月比+70$/t)、国内価格換算想定値は120.5円/kg

・カネカが変成シリコーンポリマーを7月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、50円/kg以上

・日本触媒がアクリル酸メトキシエチル(AME)を7月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、30円/kg以上

・DICが共押出多層フィルムを7月21日納入分より値上げ

値上げ幅は、1連(500㎡)あたり250円以上(厚み20μm換算)

・デンカが食品包材用スチレン系シートを8月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、27円/kg以上

・デンカがデンカサーモシートBOPSを8月1日納入分より値上げ

値上げ幅は、27円/kg以上

・デンカが電子包材用シートを8月1日出荷分より値上げ

値上げ幅は、27円/kg

・JSPが発泡ポリスチレンシート(PSP)を8月1日より値上げ

値上げ幅は、27円/㎏以上

・アイカ工業が化成品商品を8月23日出荷分より値上げ

値上げ幅は、10%以上

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