市場データ

過去の建売住宅市場動向

2021年

【2021年の建売住宅市況】

2021年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は800物件・6,098棟。
前年2020年の752物件5,773棟に対して、物件数は+6.4%(+48物件)、棟数では+5.6%(+325棟)の増加となっている。
都県別にみると、前年に引き続き、東京都の供給棟数が大きく伸びている。埼玉県でも増加しているが、神奈川県と千葉県では減少しており、特に千葉県で大きく減少している。
東京都  供給棟数2,893棟(前年2,254棟)対前年比+28.3%
神奈川県 供給棟数 838棟(前年 964棟)対前年比▲13.1%
埼玉県  供給棟数1,282棟(前年1,237棟)対前年比+3.6%
千葉県  供給棟数  988棟(前年1,313棟)対前年比▲24.8%
茨城県  供給棟数  97棟(前年 5棟)対前年比+1,840.0%
前年から引き続き、在宅勤務やテレワーク、通勤回数の減少などの働き方の変革、働き方を含めた生活に対する意識の変化による広さや部屋数、庭(屋外空間)を求めるニーズの高まり、分譲マンション価格の高騰による建売住宅の値頃感・割安感により、建売住宅に対する堅調な需要がみられたことから、供給も堅調に続いている。
在宅勤務やテレワークの進展により郊外化の動きがみられたが、東京都内で大きく増加しており、埼玉県では増加しているが、神奈川県と千葉県では減少しており、郊外へ出ていく動きがある一方で、都心近郊部で求めるニーズも依然として根強くみられている。

2010年以降の供給推移は次の通り。
2010年/545物件5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件5,695棟(10.5棟/物件)⇒2014年/536物件5,533棟(10.3棟/物件)⇒2015年/549物件5,346棟(9.7棟/物件)⇒2016年/497物件4,965棟(10.0棟/物件)⇒2017年/497物件5,312棟(10.7棟/物件)⇒2018年/539物件5,337棟(9.9棟/物件)⇒2019年/543物件4,673棟(8.6棟/物件)⇒2020年/752物件5,773棟(7.7棟/物件)⇒2021年/800物件6,098棟(7.6棟/物件)
2019年以降、供給の小ロット化、物件の小規模化が顕著にみられている。

平均土地面積・平均建物面積は都県別に見ても前年とおおむね同水準であるが、平均価格は、茨城県を除いて、いずれの都県も上昇している。もともとの価格水準が低い千葉県で+7.9%の大きな上昇となっている。
東京都  平均価格5,914万円(対前年比+2.7%)
神奈川県 平均価格5,102万円(対前年比+2.3%)
埼玉県  平均価格3,766万円(対前年比+4.0%)
千葉県  平均価格4,021万円(対前年比+7.9%)
茨城県  平均価格2,769万円(対前年比▲22.8%)
平均価格別物件分布をみると、東京都では平均4,000~6,000万円台が中心となっているが、6,000万円台・7,000万台の増加が目立つ。1億円以上も30物件みられている。神奈川県では5,000万円台が増加している。埼玉県は2,000~4,000万円台が中心であるが、3,000万円台が減少しており、5,000万円台が増加している。千葉県も3,000~4,000万円台が中心であるが、2,000万円台・3,000万円台が減少し、5,000万円台が増加している。
平均土地面積の分布は100~149㎡が中心であるが、東京都では99㎡以下も多い。
平均建物面積の分布は90~109㎡が中心であるが、東京都では80~89㎡も多い。

年間契約率は56.5%で、前年(48.6%)よりも+7.9ポイントの上昇となっている。
売れ行きにおいては、依然として出足の鈍い物件が多いものの、広さや部屋数、大型収納など戸建住宅ならではの商品力、その商品力と価格とのバランス・値頃感で早期に完売している物件も多くなっており、前年の市況の追い風、好況感は2021年も継続していた。
各社のホームページをみても新規発売、継続販売ともに物件は減少している。

 

2020年

【2020年の建売住宅市況】

2020年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は752物件・5,773棟。
前年2019年の543物件4,673棟に対して、物件数は+38.5%(+209物件)、棟数では+23.5%(+1,100棟)の大幅な増加となっている。
都県別にみると、東京都の供給棟数が大幅に伸びている。神奈川県、埼玉県、千葉県でも増加しているが、東京都の増加が大きい。
新型コロナウィルスの感染拡大により4月に緊急事態宣言が発出され、当初は販売自粛や販売センターの営業自粛、新規供給の延期などの影響が懸念されたが、実際には緊急事態宣言中であっても予約制での案内で密を避ける等、感染防止対策を徹底しながら販売活動を行う現場も多くみられた。建売住宅の現場では分譲マンションの現場と違って密になりづらいという声が聞かれ、実際に顧客も動いていたとの話がよく聞かれた。
在宅勤務、テレワークの進展により広さや部屋数、庭(屋外空間)を求めるニーズが高まり、あわせて会社への通勤回数の減少から郊外の生活環境や自然環境を見直す動きもみられ、戸建住宅の持つ魅力が再認識された。都心部・都心近郊における分譲マンション価格の高騰も戸建住宅に相対的な割安感・値ごろ感を生じさせ戸建住宅に需要が流れる要因になったと考えられる。
以上のようなコロナ禍における社会情勢の変化、ニーズの変化が建売住宅市場の追い風となり、供給増加につながったと考えられる。

2010年以降の供給推移は次の通り。
2010年/545物件5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件5,695棟(10.5棟/物件)⇒2014年/536物件5,533棟(10.3棟/物件)⇒2015年/549物件5,346棟(9.7棟/物件)⇒2016年/497物件4,965棟(10.0棟/物件)⇒2017年/497物件5,312棟(10.7棟/物件)⇒2018年/539物件5,337棟(9.9棟/物件)⇒2019年/543物件4,673棟(8.6棟/物件)⇒2020年/752物件5,773棟(7.7棟/物件)
棟数では2011年と同レベルであるが、物件数では大きく上回っており、供給の小ロット化、物件の小規模化が進んでいると考えられる。

平均土地面積・平均建物面積は都県別に見ても前年とおおむね同水準であるが、平均価格はいずれの都県でも低下している。特に価格水準が高い東京都、神奈川県での低下が目立つ。
ただし、これはパワービルダー等の価格を抑えた物件の補足が増えたことにより平均価格が低下している面がある。平均価格別物件分布をみると、東京都では平均7,000万円台以上の物件数に大きな変化はないが、平均3,000万円台・4,000万円台の物件の増加が目立つ。平均土地面積・建物面積でも面積を抑えた物件が大幅に増加している。神奈川県では平均2,000万円台・3,000万円台、埼玉県と千葉県では平均2,000万円台の物件数が増加している。これら低価格帯での供給を得意とするパワービルダーの供給増加が平均価格を引き下げたと考えられる。

年間契約率は48.6%で、前年(58.1%)よりも▲9.5ポイントの低下となっている。
建売住宅の売れ行きにおいては、依然として出足の鈍い物件が多いものの、コロナ禍において戸建住宅の広さや部屋数の魅力、郊外立地の見直しなどのニーズの変化による追い風が吹き、販売開始から数ヶ月で完売する物件も多くなっており、契約率は低いものの市況は好転がみられた。実際に売れ行きは好調という声がよく聞かれ、各社のホームページを見ても短期間で完売して消えていく物件も多く、掲載物件数は新規発売物件、継続販売物件ともに減少している。
この市況がいつまで続くのか、注目される。

 

2019年

【2019年の建売住宅市況】

2019年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は543物件・4,673棟であった。前年・2018年の539物件・5,337棟に対して、物件数は0.7%の増加、棟数は▲12.4%(-664棟)の減少となった。物件数が殆んど変わらない一方、棟数は大きく減少しており、販売の小口化だけではなく、事業化される物件自体が少棟化傾向にあると思われる。
対前年比-664棟の減少数はここ10年では最も大きく、都県別では埼玉県の減少(-308棟)が顕著であった。
建売住宅の過去10年間(2010年以降)の供給推移は次のとおり。
2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件・5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件・5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件・5,695棟(10.5棟/物件)⇒2014年/536物件・5,533棟(10.3棟/物件)⇒2015年/549物件・5,346棟(9.7棟/物件)⇒2016年/497物件・4,965棟(10.0棟/物件)⇒2017年/497物件・5,312棟(10.7棟/物件)⇒2018年/539物件・5,337棟(9.9棟/物件)⇒2019年/543物件・4,673棟(8.6棟/物件)
2016年は5,000棟割れとなったが、2019年は「割れ」という範囲には納まらない減少となった。

 

土地・建物面積は縮小傾向、価格は上昇傾向にある。東京都の価格上昇率は大きくはないが、2018年は対前年比108.3%の上昇であった事から高止まっている。土地面積は東京都と埼玉県の縮小が顕著であり、東京都は「狭く、高額化」の傾向にある。

年間契約率は2017年から3年連続の下落となり、対前年比▲3.5ポイント下落して6割台を切った。2016年は供給が減少した半面、契約率は上昇(67.3%、+6.2ポイント)したが、2019年は市場の縮小、かつ売れ行きの鈍化であり、市況の厳しさが著しい。
1都3県では一様に契約率が下落しているが、千葉県、次いで埼玉県の下落が大きかった(対前年比各▲5.4ポイント、4.8▲ポイント)。

市況が厳しい中、東京都では新たな動きが見られた。「ファインコート新大塚」(5棟)は山手線内立地で3階建て、「ファインコート品川中延フロントコート」(5棟)は全区画車庫無しの2階建てという商品企画。立地や品質の高さを背景に、億超えも珍しくない高額物件が目白押しの中、云わば「変化球」物件であり、都市型戸建の概念に縛られない方向への可能性を示した。加えて、業界トップ企業の取り組みという点でも注目度は高く、大手であっても小回りの利く体制が求められる時代となった。

100区画以上の新規の大型開発は、「プラウドシーズン稲城若葉台」(212区画)、「リーフィア南大沢ガーデンズ」(185区画)、「稲毛海岸 美浜の杜シティ」(253区画※)が挙げられる。※三菱地所レジデンス139区画、三井不動産レジデンシャル114区画。2社がそれぞれ自社ブランドで販売。

 

【2019年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 45物件 418棟 82.8% 50.2%
2月 40物件 340棟 89.0% 55.0%
3月 45物件 404棟 129.1% 52.2%
4月 38物件 366棟 74.4% 56.3%
5月 33物件 260棟 70.3% 57.3%
6月 46物件 401棟 71.5% 64.3%
7月 36物件 313棟 76.3% 71.9%
8月 41物件 315棟 70.8% 63.5%
9月 44物件 306棟 74.6% 58.8%
10月 45物件 406棟 120.8% 40.9%
11月 53物件 419棟 79.4% 59.7%
12月 77物件 725棟 123.9% 65.4%
年計 543物件 4,673棟(月平均389.4棟) 対前年比 87.6% 58.1% (昨年61.6%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 101.8% 96.9% 99.1%
神奈川県 100.4% 101.1% 99.4%
埼玉県 99.7% 96.5% 98.9%
千葉県 102.9% 101.4% 100.6%
茨城県 127.6% 111.3% 98.7%
首都圏 102.1% 99.2% 99.5%

2018年

【2018年の建売住宅市況】

2018年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は539物件・5,337棟であった。前年・2017年の497物件・5,312棟に対して、物件数は8.5%の増加、棟数は0.5%(+25棟)の微増であり、殆んど変わらないレベルとなった。物件数のみ増加しており、売れ行きが厳しさを増す中、販売の小口化が見て取れる。
都県別では東京都と千葉県が対前年比で減少し、神奈川県と埼玉県は増加した。
建売住宅の過去10年間(2009年以降)の供給推移は次のとおり。
2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件・5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件・5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件・5,695棟(10.5棟/物件)⇒2014年/536物件・5,533棟(10.3棟/物件)⇒2015年/549物件・5,346棟(9.7棟/物件)⇒2016年/497物件・4,965棟(10.0棟/物件)⇒2017年/497物件・5,312棟(10.7棟/物件⇒2018年/539物件・5,337棟(9.9棟/物件)
この10年間では6,000棟に届く年次は無く、ここ数年では5,000棟台前半~半ばの供給レベルに納まっている。

建売住宅の平均価格(対前年比)は上昇した。東京都と埼玉県では上昇が明確であるが、神奈川県と千葉県は強含み程度であった。土地・建物面積は神奈川県、埼玉県、千葉県では縮小傾向が見られた。一方、東京都は面積自体は狭いが、傾向としては現状を維持している。

年間契約率は対前年比▲3.7ポイント下落し、2年連続の下落となったものの6割台(61.6%)の水準を維持した。2015年以降6割台で推移している。月間契約率には明確に反映されていないが、2018年の半ば以降は販売の厳しさが強く体感され、特に億超えを中心に高額物件が厳しかった。
対前年比の価格上昇が明確な東京都と埼玉県では、対前年比の契約率が大きく下落している(各▲7.1ポイント、▲8.9ポイント)。用地仕入れのなどのコスト上昇により、物件価格が顧客予算の届かない水準に高止まりする傾向が強まり、売れ行きの低下に繋がったと考えられる。

100区画以上の新規の大型開発は、「パークナードテラスGRANDSKY」(108区画)があったのみ。100区画に近いものでは「プラウドシーズン稲城南山」(93区画)、アドバンスドプレイス船橋・北習志野」(91区画)が挙げられる。
「プラウドシーズン稲城南山」は連続即完で早期完売(販売対象は87棟)しており、売れ行きにおいても2018年のナンバーワン物件であった。
間取りに関しては、収納の充実を図る物件が多くみられ、この1年間では特に固定階段付き小屋裏収納を採用する物件が増加した印象である。

【2018年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 39物件 505棟 123.2% 58.4%
2月 38物件 382棟 94.3% 68.1%
3月 32物件 313棟 81.7% 66.5%
4月 44物件 492棟 114.4% 61.6%
5月 40物件 370棟 94.3% 65.1%
6月 63物件 561棟 115.4% 62.4%
7月 45物件 410棟 96.7% 58.8%
8月 40物件 445棟 164.8% 60.0%
9月 42物件 410棟 93.6% 54.6%
10月 43物件 336棟 101.8% 61.3%
11月 47物件 528棟 94.6% 63.8%
12月 66物件 585棟 74.4% 60.5%
年計 539物件 5,337棟(月平均444.8棟) 対前年比 100.5% 61.6% (昨年65.3%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 108.3% 100.8% 101.1%
神奈川県 100.7% 96.7% 99.1%
埼玉県 104.6% 99.6% 99.2%
千葉県 100.7% 97.5% 99.1%
茨城県 84.5% 94.9% 101.0%
首都圏 103.4% 98.8% 99.8%

2017年

【2017年の建売住宅市況】

2017年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は497物件・5.312棟であった。前年・2016年の497物件・4,965棟に対して、物件数は全くの同数、棟数は7.0%(+347棟)の増加となった。小口の期分け販売物件は依然多いものの、30棟前後から60棟クラスの中規模物件が散見されており、1物件当たりの販売棟数が伸びて供給増となった。
建売住宅の過去10年間(2008年以降)の供給推移は次のとおり。
2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件・5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件・5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件・5,695棟(10.5棟/物件)⇒2014年/536物件・5,533棟(10.3棟/物件)⇒2015年/549物件・5,346棟(9.7棟/物件)⇒2016年/497物件・4,965棟(10.0棟/物件)⇒2017年/497物件・5,312棟(10.7棟/物件
5,000棟のラインを切った2016年からは大きく回復したものの、2015年よりは少なく、また、リーマンショックの翌年(2009年)や震災発生の翌年(2012年)にも届かない。7,400棟を超えていた2007年の水準から見ると隔世の感がある。

建売住宅の平均価格は、2014~2016年の3年間は上昇基調であったが、2017年は反転して下落傾向となった(茨城県は物件数が少ないため、一部高額物件の影響が大きかった)。土地価格の上昇が言われ、1億円超えの物件も珍しくない状況からすると、価格は上昇傾向にあるという印象を持つが、統計的には逆であった。土地価格の上昇ゆえに、全体的には「買える土地」での事業化物件が増えたと推測される。

年間契約率は対前年比▲2.0ポイントの下落となったものの、6割台半ば(65.3%)。の水準であり、2015年以降6割台で推移している。拾遺捕捉の増加による契約率の上振れ作用もあるが、「プラウドシーズン西武立川」や「プラウドシーズン横濱洋光台」、「ファインコート相模大野 マスターズゲート」などのまとまった供給の好調物件もみられた。

100区画以上の新規の大型開発は、「プラウドシーズン横濱洋光台」(203区画)、「パレットコートかしわ田中 エヴァーシティ」(150区画)が供給された。ひとまとまりのブロックで街区構成されていなため、厳密には大型開発とは異なるが、中央住宅の「ワンリンク西大宮332プロジェクト」も始まった。⇒URによる土地区画整理事業地(愛称:Liv-Field西大宮)内の分散した保留地を購入し、全体で40現場、332区画の建売事業を計画。
設備仕様に関しては、全館浄水システム「良水工房」の採用が更に増えている。コスト面でエネファーム程ハードルが高くない事も要因。三菱地所レジデンスではエアロテックから、エネファーム+床暖房に新年度から切り替える方針。コスモスイニシアでは全面的な2階LDK設置プラン採用に伴い、エネファーム+全室床暖房設置が進んでいる。

【2017年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 40物件 410棟 153.0% 58.3%
2月 41物件 405棟 119.1% 60.2%
3月 37物件 383棟 121.6% 65.5%
4月 35物件 430棟 134.8% 70.7%
5月 37物件 392棟 87.7% 73.7%
6月 45物件 486棟 138.5% 63.6%
7月 39物件 424棟 70.2% 68.4%
8月 33物件 270棟 90.0% 61.5%
9月 46物件 438棟 119.0% 65.8%
10月 43物件 330棟 60.7% 48.8%
11月 52物件 558棟 119.7% 56.5%
12月 49物件 786棟 122.2% 78.1%
年計 497物件 5,312棟 (月平均442.7棟) 対前年比 107.0% 65.3% (昨年67.3%

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 97.8% 100.2% 99.9%
神奈川県 104.7% 99.0% 101.3%
埼玉県 98.6% 95.9% 99.3%
千葉県 95.5% 104.5% 100.0%
茨城県 130.4% 102.3% 97.6%
首都圏 99.1% 100.2% 100.0%

2016年

【2016年の建売住宅市況】

2016年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は497物件・4,965棟であった。前年・2015年の549物件・5,346棟に対して大幅に減少しており、物件数は▲9.5%の減少、棟数は▲7.1%(-381棟)の減少となった。棟数ベースの方が減少幅は小さいが、これは市場規模が縮小し、小口の期分け販売が増加する中、まとまった規模の供給も見られた事による。
建売住宅の過去10年間(2007年以降)の供給推移は次のとおり。
2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件・5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件・5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件・5,695棟(10.5棟/物件)⇒2014年/536物件・5,533棟(10.3棟/物件)⇒2015年/549物件・5,346棟(9.7棟/物件)⇒2016年/497物件・4,965棟(10.0棟/物件)
2015年の供給は既に、リーマンショックの翌年(2009年)や震災発生の翌年(2012年)よりも少なかったが、3年連続の減少により2016年は5,000棟のラインを切った。

土地価格の上昇の影響により、建売住宅の平均価格は2014年以降3年連続で上昇基調となっている。2016年は東京都と千葉県で上昇傾向が顕著であった。
一方、土地・建物面積は価格の上昇に合わせて、東京都と千葉県では若干の縮小傾向となっている。神奈川県と埼玉県は2015年の縮小幅が大きかった事もあり、2016年は面積が若干反発している。

年間契約率は対前年比6.2ポイントの大幅な上昇となり、6割台後半となった(67.3%)。2015年までは5割台後半で推移していたが反転し、2年連続の6割台である。供給の減少による契約率の上昇という市場の法則に加え、まとまった供給の好調物件があった事(野村不動産「プラウドシーズンひばりヶ丘テラス」など)や、拾遺捕捉の増加による契約率の上振れ作用も要因と思われる。

100区画以上の新規の大型開発は、2社以上のJV事業では「ウエリスパーク南流山」(102区画)、「マイホームランド玉川上水」(216区画)、単独事業では「ファインコート武蔵小金井 コリドール・ガーデン」(114区画)が供給された。100区画には満たないが、「ボゥヴィラージュ浦和美園 グランディールセゾン」(91区画)も供給されている。
設備仕様に関しては、相鉄グループが開発した全館浄水システム「良水工房」の採用が増えている。相鉄不動産物件では以前から採用されていたが、他社物件では2015年頃から一部で採用され始め、2016年は採用例が急増した。既に高いレベルで平準化している設備仕様の中では、新奇性がある。ファインコートシリーズでは採用例が多く、また同シリーズは物件数も多いため、顧客層の認知度も高まってゆくと思われる。

【2016年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 34物件 268棟 58.9% 60.4%
2月 41物件 340棟 68.4% 64.1%
3月 38物件 315棟 125.0% 65.7%
4月 33物件 319棟 68.5% 58.3%
5月 44物件 447棟 91.4% 59.5%
6月 44物件 351棟 137.6% 65.2%
7月 51物件 604棟 119.4% 68.5%
8月 29物件 300棟 68.6% 69.0%
9月 35物件 368棟 68.3% 68.2%
10月 51物件 544棟 112.2% 68.4%
11月 43物件 466棟 96.5% 75.1%
12月 54物件 643棟 133.4% 74.2%
年計 497物件 4,965棟 (月平均413.8棟) 対前年比 92.9% 67.3% (昨年61.1%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 104.4% 98.6% 99.3%
神奈川県 100.3% 102.5% 100.8%
埼玉県 102.4% 103.3% 100.4%
千葉県 107.1% 95.3% 99.8%
茨城県 90.5% 92.6% 102.9%
首都圏 102.2% 99.1% 99.9%

2015年

【2015年の建売住宅市況】

2015年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は549物件・5,346棟であった。前年・2014年の536物件・5,533棟に対して物件数は2.4%の増加、棟数ベースでは逆に▲3.4%の減少(-187棟)となった。市場規模が縮小する中での物件数増加であり、小規模開発の増加、小口の期分け販売の増加が要因と考えられる。
建売住宅の過去10年間(2006年以降)の供給推移は次のとおり。
2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件・5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件・5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件・5,695棟(10.5棟/物件)⇒2014年/536物件・5,533棟(10.3棟/物件)⇒2015年/549物件・5,346棟(9.7棟/物件)
2年続けて減少傾向であり、リーマンショックの翌年(2009年)や震災発生の年(2011年)よりも少ない供給となった。また、1物件当たりの供給棟数を見ても、小規模・小口化が顕著である。

価格は神奈川・埼玉・千葉の3県では前年と逆の動きで上下した。一方、東京都は2年連続の上昇傾向となっている(103.0%→105.9%)。土地価格の上昇により、「用地仕入れが思い通りにできない」という話がしばしば聞かれたが、23区内、都下共に用地の高額仕入が物件価格に反映された形となっている。
日銀の「マイナス金利」政策により、事業者の資金調達が容易になると、入札案件は参加事業者の増加が見込まれ、仕入れ競合による土地価格の上昇 ⇒ 物件価格への反映(上昇)が予想される。そのため、ローン金利が下落してもユーザーにとっては必ずしも買い易くなるとは限らず、売主にとっては売りにくい状況が生じる可能性がある。契約率の回復には障害が多い。

一方、年間契約率は対前年比2.2ポイント上昇し、6割台に乗った(61.1%)。震災発生の2011年以降、5割台後半で推移していたが、供給の減少下でようやく上昇方向に若干反発した(とは言え、販売の小口化が顕著な中では、売れ行き回復は実感できない)。

区画数が3桁を越えるような新規の大型開発は、「レイクタウン美季の杜 Five Seasons」(ハウスメーカー5社、建築条件付宅地分譲は2014年夏から先行)程度であり、新規開発の話題性としては地味な年であった。
エネルギー関連では、家庭用燃料電池「エネファーム」の採用事例は増えつつあるが、コスト面で蓄電池、太陽光発電システムとのセット採用例は少なく、ネット・ゼロ・エネルギーハウスへの取り組みはまだ弱い。

【2015年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 47物件 455棟 126.7% 55.6%
2月 52物件 497棟 95.0% 55.5%
3月 36物件 252棟 51.4% 57.9%
4月 42物件 466棟 137.5% 62.2%
5月 51物件 489棟 100.8% 58.9%
6月 32物件 255棟 67.3% 62.4%
7月 52物件 506棟 101.6% 68.8%
8月 41物件 437棟 122.1% 61.1%
9月 47物件 539棟 116.7% 61.0%
10月 45物件 485棟 105.9% 59.0%
11月 45物件 483棟 94.9% 59.2%
12月 59物件 482棟 71.6% 70.3%
年計 549物件 5,346棟 (月平均445.5棟) 対前年比 96.6% 61.1% (昨年58.9%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 105.9% 101.8% 100.7%
神奈川県 98.4% 94.7% 97.7%
埼玉県 106.9% 91.4% 99.8%
千葉県 98.0% 103.1% 99.3%
茨城県 100.0% 110.5% 97.6%
首都圏 102.2% 99.4% 99.8%

2014年

【2014年の建売住宅市況】

2014年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は536物件・5,533棟であった。前年・2013年の542物件・5,695棟に対して物件数は▲1.1%の減少、棟数ベースでは▲2.8%の減少(-162棟)となり、市場規模は若干縮小した。野村不動産の物件や「Fujisawa SST」など、まとまった規模の供給が比較的多かった印象があるが、総数は伸びていなかった。
建売住宅の過去10年間(2005年以降)の供給推移は次のとおり。
2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件・5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件・5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件・5,695棟(10.5棟/物件)⇒2014年/536物件・5,533棟(10.3棟/物件)
大きな外的要因が無かった年次としては、最も供給が少なかった2012年に次いで少ない供給水準であり、膠着状態が続いている。

価格は東京都、神奈川県では若干上昇している。立地などの点で高額物件が増えた事が要因と思われる。茨城県の上昇は「ファインコート守谷ビスタシティ」の影響によるもの。一方、埼玉県の下落は郊外エリアの供給が増加した事が要因と思われる。

年間契約率も供給と同様に伸び悩んでおり、対前年比▲0.4ポイント下落し6割に届かなかった(58.9%)。他業界を見ると、円安効果により自動車は過去最高益であるとか、百貨店、家電量販店は中国人観光客の“爆買い”の恩恵で潤っているといった話が聞かれる。しかし、経済的な波及効果はまだ限定的であり、人生最大の買い物である建売住宅の販売は低空歩行が続いている(震災発生の2011年以降、5割台後半で推移)。
発売から完売までの期間の長期化が続いており、事業利益が確定する最後の1~2棟で足踏みをする物件が多く見られ、次の仕込みが遅れる要因になっている。

大型開発では「サスティナブル・スマートタウンFujisawa SST」(600区画、パナホーム、三井不動産レジデンシャル)、「ソライエ清水公園 アーバンパークタウン」(500区画、東武鉄道)、「プラウドシーズン船橋小室」(331区画)、「プラウドシーズン栗平」(250区画)などが新規供給された。
「Fujisawa SST」は太陽光発電システム、家庭用燃料電池「エネファーム」、蓄電池、HEMSを採用したスウマートハウスの街。また三井不動産レジデンシャルは「ファインコート」に「エネファーム」の標準採用を決定しており、他事業主の物件でも「エネファーム」や蓄電池の採用、ネット・ゼロ・エネルギーハウスへの取り組みが見られ、省エネ・省CO2の動きが本格化しつつある。

【2014年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 35物件 359棟 85.7% 65.7%
2月 41物件 523棟 129.8% 62.5%
3月 51物件 490棟 104.0% 69.9%
4月 35物件 339棟 87.4% 67.0%
5月 47物件 485棟 110.5% 66.0%
6月 37物件 379棟 62.5% 65.7%
7月 53物件 498棟 102.7% 50.0%
8月 37物件 358棟 89.9% 61.5%
9月 44物件 462棟 87.2% 60.2%
10月 50物件 458棟 91.2% 47.8%
11月 49物件 509棟 110.4% 53.2%
12月 57物件 673棟 113.5% 64.2%
年計 536物件 5,533棟 (月平均461.1棟) 対前年比 97.2% 58.9% (昨年59.3%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 103.0% 100.4% 99.1%
神奈川県 106.0% 100.3% 100.5%
埼玉県 96.0% 109.0% 99.3%
千葉県 102.5% 97.1% 100.1%
茨城県 114.0% 99.2% 100.4%
首都圏 104.2% 101.3% 99.6%

2013年

【2013年の建売住宅市況】

2013年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は542物件・5,695棟であった。前年・2012年の526物件・5,421棟に対して物件数は3.0%の増加。棟数ベースでは5.1%の増加(+274棟)となり、物件数よりも増加幅が若干大きい。30~40棟台の供給物件も散見されるなど、1物件当たりの供給棟数は若干回復した。

建売住宅の過去10年間(2003年以降)の供給推移は次のとおり。
2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件・5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件・5,421棟(10.3棟/物件)⇒2013年/542物件・5,695棟(10.5棟/物件)
供給は昨年より増加したとはいえ、震災が起きた2011年のレベルまでは戻っていない。経済指標ではアベノミクス効果が伝えられているが、建売市場にも効果が及んでいるとは言い難い。契約率に関しても同様である。

千葉県の対前年比の平均価格は下落しており、価格志向が強まっている。郊外エリアでは物件平均が2,000万円台の例も目立つ。
東京都、神奈川県、千葉県では価格はあまり変わっていない。一方、土地面積と建物面積の対前年比は多少の差はあるが一様に減少している。食品メーカーなどが原材料費の値上がりに対処するため、商品の容量を減らして価格を維持するのと同じような現象が建売市場にも表れている。

年間契約率は対前年比2.5ポイント上昇したが6割には届かなかった(59.3%)。震災発生の2011年以降、3年連続して5割台後半で推移しており、膠着した印象が強い。7月以降の後半は比較的順調な売れ行きであったが、拾遺物件が多く含まれる12月は低迷しており、“隠れ不調物件”が多くある事が分かる。立地が良い物件でも、ひと通り回遊を終えないと購入しない例も目立つ。
大手デベロッパーでは三井不動産レジデンシャル、野村不動産の2社の積極性が際立っており、販売体制の面でもその他のデベロッパーとは格差を付けている。また、三井不動産レジデンシャルは守谷市で大規模団地の分譲に再度取組み始めており、従来の10棟前後~20棟前後を中心とした開発物件と並行して供給を伸ばして行くものと思われる。

大型開発では大和ハウス工業「スマエコシティ吉川美南」(274区画)、「ファインコート西武立川アユモシティ」(168区画)、「プラウドシーズン玉川上水」(134区画)、「ファインコート守谷ビスタシティ」(611区画)などが新規供給された。

【2013年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 40物件 419棟 108.3% 53.5%
2月 42物件 403棟 88.4% 65.5%
3月 45物件 471棟 122.0% 52.0%
4月 40物件 388棟 103.2% 59.3%
5月 46物件 439棟 103.1% 62.9%
6月 61物件 606棟 131.2% 51.3%
7月 46物件 485棟 103.4% 62.9%
8月 35物件 398棟 99.3% 63.3%
9月 48物件 530棟 103.1% 68.7%
10月 48物件 502棟 120.1% 65.5%
11月 37物件 461棟 63.8% 63.1%
12月 54物件 593棟 131.5% 48.4%
年計 542物件 5,695棟 (月平均474.6棟) 対前年比 105.1% 59.3% (昨年56.8%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 100.3% 95.2% 99.7%
神奈川県 101.9% 99.0% 97.7%
埼玉県 100.4% 98.6% 99.1%
千葉県 94.4% 98.8% 99.9%
茨城県 110.8% 84.3% 95.6%
首都圏 99.4% 96.7% 99.1%

2012年

【2012年の建売住宅市況】

2012年の1年間に首都圏で供給された建売住宅は526物件・5,421棟であった。前年・2011年の543物件・5,770棟に対して物件数は▲3.1%の減少。棟数ベースでは▲6.0%の減少(-349棟)となり、物件数よりも減少幅が大きい。厳しい市況が続く中、細かい期分け販売の増加や、不調でも“傷が浅い”小規模物件の増加が考えられる。

建売住宅の過去10年間(2003年以降)の供給推移は次のとおり。
2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年/543物件・5,770棟(10.6棟/物件)⇒2012年/526物件・5,421棟(10.3棟/物件)
震災が起きた2011年より供給は少なく、リーマンショック(2008年9月)後の2009年の水準に近い棟数となっている。大きな外的要因が無かった年次としては、最も供給が少なかったと言える。

年間契約率は、震災発生の2011年との対前年比▲1.3ポイントと下げ幅は小さいが、56.8%と低い水準。更にはリーマンショックの前段階、すなわちサブプライムローンが破綻した2007年(58.7%)や、リーマンショック後の2009年(60.4%)をも下回っており、厳しい状況となった。
デフレと円高、株安により、世界的な大手企業までも疲弊する経済状況の中、資金力、購入マインドとも回復せず、建売住宅市場は供給減少下でも契約率が低下する“ダブル不況”が前年にも増して進行した。
大手デベロッパーでも売れ行き不振、販売長期化が目立った。年末には飯田グループ6社の「経営統合の基本合意」のニュースが伝わった。その中でリーディングカンパニーの三井不動産レジデンシャルと野村不動産は好調を維持しており、建売住宅市場において、この2社の優位性は一層強まった印象である。
都県別の契約率は神奈川県が7割と高いが、東京都は6割、埼玉県は4割台半ばと低く、千葉県は5割強。神奈川県は大手事業主物件の捕捉が中心のため、契約率は高くなっている。埼玉県は価格、土地・建物面積の平均値が対前年比で上昇傾向となっており、低い契約率の遠因とも考えられる。

大型開発では中央グリーン開発「パレットコート六町 東京ココロシティ」(206区画)、日清紡ホールディングス・トヨタホーム東京「川越ココロマチ」((257区画)、野村不動産「プラウドシーズンひばりが丘 ガーデンテラス」(115区画)、「プラウドシーズンふじみ野上福岡」(188区画)、「プラウドシーズン船橋高根台」(127区画)などが新規供給された。

【2012年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 45物件 387棟 109.0% 45.2%
2月 43物件 456棟 88.2% 61.8%
3月 46物件 386棟 104.0% 51.0%
4月 37物件 376棟 66.3% 57.2%
5月 43物件 426棟 94.2% 64.8%
6月 43物件 462棟 102.7% 55.4%
7月 38物件 469棟 110.6% 71.4%
8月 45物件 401棟 80.4% 50.4%
9月 48物件 514棟 136.0% 45.1%
10月 41物件 418棟 83.9% 53.6%
11月 55物件 675棟 106.5% 52.0%
12月 42物件 451棟 72.2% 73.8%
年計 526物件 5,421棟 (月平均451.8棟) 対前年比 94.0% 56.8% (昨年58.1%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 100.5% 100.3% 101.6%
神奈川県 98.7% 97.4% 100.7%
埼玉県 103.3% 102.0% 102.1%
千葉県 99.5% 98.2% 98.6%
茨城県 92.9% 103.2% 100.2%
首都圏 100.8% 99.2% 100.6%

2011年

【2011年の建売住宅市況】

2011年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は543物件・5,770棟であった。前年・2010年の545物件・5,923棟に対して物件数はほぼ同数。一方、棟数ベースでは▲2.6%の減少(▲153棟)となった。市況が回復した前年は物件数が減少する一方、棟数が増加したが、2011年は物件数は変わらずに棟数が減少している。市況の悪化によって細かい期分け販売が増加しており、「プラウドシーズン」が1期で100棟を供給する例もあったが、これも低調な供給傾向の中に収斂されてしまっている。
震災の影響は否めないとは言え、月次供給(対前年同月比)を見ると前年後半の増加基調は年内に終了し、1月には既に潮目が変わったと見てとれる。

建売住宅の2000年以降の供給推移は次のとおり。
2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)⇒2011年543物件・5,770棟(10.6棟/物件)
リーマンショック(2008年9月)後の2009年の水準は上回っているものの、2010年に感じられた回復の兆しはまた遠退いた。

年間契約率は対前年比▲10.5ポイントの大幅な下落となり、6割を切った。震災からの復興の遅れと自粛ムード、歴史的な円高、海外生産拠点の水害、等による日本経済の停滞は購入マインドに大きな影響を及ぼしており、年間契約率はリーマンショック後の2009年(60.4%)をも下回っている。
売れ行きの低迷は供給水準に直接影響を与えている。2009年は売主がいっせいに土地仕入れを控えた事が供給減少の主要因であったが、2011年は「売れないから出さない」という経済活動の基本に基づいていると言える。月次契約率も7割を超えたのは野村不動産が「稲毛海岸」「東船橋」で各100棟・84棟を即日完売させた11月のみ。

都県別の契約率は神奈川県が7割強と高いが、東京都は6割、埼玉県と千葉県は各5割。供給棟数の少ない神奈川県では契約率の底上げ効果は薄い。
大手デベロッパーでは6,000~7,000万円台の物件も好調であるが、平均価格は前年に比べて下落傾向となった。土地・建物面積も東京都を除いて小さくなっており、狭小化によって買い易い価格に合わせようとする傾向が見られる。東京都では土地・建物面積が広がり、価格は低下している。駅距離のある立地での事業化により、価格水準を客予算に合致させる供給が増加したものと思われる。

【2011年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 36物件 355棟 88.1% 47.3%
2月 51物件 517棟 93.5% 64.8%
3月 42物件 371棟 94.2% 59.3%
4月 41物件 567棟 154.5% 62.6%
5月 45物件 452棟 83.2% 52.9%
6月 41物件 450棟 93.9% 64.7%
7月 41物件 424棟 82.8% 55.9%
8月 47物件 499棟 112.4% 57.3%
9月 38物件 378棟 63.1% 57.7%
10月 53物件 498棟 86.6% 44.2%
11月 47物件 634棟 104.8% 72.7%
12月 61物件 625棟 139.2% 51.5%
年計 543物件 5,770棟 (月平均480.8棟) 対前年比 97.4% 58.1% (昨年68.6%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 96.6% 103.4% 101.0%
神奈川県 97.4% 98.8% 97.7%
埼玉県 97.0% 97.9% 98.9%
千葉県 101.4% 94.9% 98.0%
茨城県 85.5% 95.6% 93.4%
首都圏 98.2% 96.4% 98.1%

2010年

【2010年の建売住宅市況】

2010年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は545物件・5,923棟であった。前年・2009年の581物件・5,374棟に対して物件数で▲6.2%減少している一方、棟数ベースでは10.2%の増加(+549棟)となった。物件数が減少したのは、市況の回復によって細かい期分け販売が減少する一方、「プラウドシーズン」に代表されるように1回の分譲ロットの大きい物件が多くなったことに因る。
なお、月次の供給を見ると1~4月までは対前年比で減少傾向を示しており、市場の縮小は継続した。増加に転じたのは5月以降である。その後は12月を除いて対前年比は増加基調が続き、通年の増加となった。

建売住宅の2000年以降の供給推移は次のとおり。
2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)⇒2010年/545物件・5,923棟(10.9棟/物件)。
前年比1割の増加とは云え、一昨年の2008年よりも1,000棟強少ない供給量であり、市場規模そのものはリーマンショック(2008年9月)からの本格的な回復には至っていない。なお1物件当たりの供給棟数は10棟台を回復しており、良い兆しが表れている。

価格水準は前年に比べて上昇傾向を示している。東京都では高額物件が多く供給された事から対前年比で5.3%上昇している。

売れ行きは大きく回復してきており、年間契約率は対前年比8.2ポイント上昇して 68.6%と7割台が覗ける処まで来ている。実際月次の契約率では6・7・10・11月の4ヶ月、すなわち年間の3分の1が7割台に乗っている。また低調な月次でも何とか6割台に乗っており、概ね6割台半ば以上で推移した。
供給の総量は以前の水準までには回復しておらず、依然として市場規模が小さいことが売れ行き好調の基本要因であるが、まとまった規模感の有る物件では好調物件が目立っており、1回の分譲ロットが大きいため平均契約率の引き上げに寄与している。⇒「プラウドシーズン花小金井」「プラウドシーズン藤沢 湘南テラス」「時めく街 草加松原」など。

都県別の契約率も2009年は6割前後で横並びであったが、2010年は東京都が7割強、神奈川県が8割強、埼玉県が7割弱、千葉県が6割弱であり、東京都と神奈川県が牽引している。東京都では大手デベロッパーのグロスの張る物件の動きが総じて良かった。物件の出ていない希少立地では高額でも売れており、物件待ちの資産家層がいた。
その一方、既存分譲エリアでは7,000万円超えの高グロスは慎重姿勢が目立ち、一般物件では給与所得の上向き感がないため3,500万円までの寄り付きが強いという傾向も見られた。景気が本格的な回復に至らないことから近郊エリアは概して需要が弱く、千葉県は苦戦物件も目立ち、契約率は他都県より低調である。

【2010年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 42物件 403棟 80.4% 61.0%
2月 52物件 553棟 104.1% 67.8%
3月 41物件 394棟 82.6% 69.5%
4月 36物件 367棟 88.6% 66.5%
5月 48物件 543棟 120.4% 69.6%
6月 47物件 479棟 128.8% 72.0%
7月 53物件 512棟 139.1% 70.1%
8月 36物件 444棟 113.3% 61.5%
9月 42物件 599棟 113.2% 65.6%
10月 53物件 575棟 141.3% 73.2%
11月 48物件 605棟 140.0% 73.2%
12月 47物件 449棟 89.8% 67.5%
年計 545物件 5,923棟 (月平均493.6棟) 対前年比 110.2% 68.6% (昨年60.4%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 105.3% 98.7% 98.9%
神奈川県 100.8% 100.7% 99.7%
埼玉県 101.2% 98.9% 99.3%
千葉県 100.8% 100.0% 97.6%
茨城県 111.4% 100.3% 100.6%
首都圏 102.4% 100.7% 99.2%

2009年

【2009年の建売住宅市況】

2009年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は581物件・5,374棟であった。前年・2008年の716物件・6,939棟に対して物件数で▲18.9%減少しており、更に棟数ベースでも▲22.6%の大幅な減少となっている。すなわち2009年の建売市場は前年の8割未満に縮小した。
実数で見ると対前年比▲1,565棟という大きな減少であるが、減少規模は2008年の対前年比▲490棟の3倍以上に拡大しており、建売市場は急加速で縮小したと言える。

建売住宅のここ数年の供給推移は次のとおり。
2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)⇒2009年/581物件・5,374棟(9.2棟/物件)

2000年以降の供給の内、7,000棟の市場規模を下回ったのは2002年と2008年の2回のみであり、5,000棟台前半という数値はこれまでに無い領域であり衝撃的である。1物件当たりの供給棟数も続落しており、小口販売化は進行している。

2008年9月のリーマンショックによって建売市場は大打撃を受けた。金融筋の引き締めにより、売主にとって必要なのは新規供給よりも目の前の在庫処分となり、用地仕入れは止まり、供給圧力は一気に弱まった。これにより2009年の供給はこれまでに無いほどの減少となった。なおパワービルダーも仕入れを止めた中、在庫処分の対応が早く、財務基盤の堅いポラスグループはほとんど競合無く仕入れを続けており、基本青田販売のため商品化も早く、2009年前半は独り勝ちの感じがあった。

景気の低迷とデフレ現象が続き、商品特性も土地・建物はともに狭くなり、価格は下落傾向となっている。神奈川県の価格下落が群を抜いて大きいが、これは実際に価格がここまで下がったのではなく、東急田園都市線の東急電鉄物件に代表される高額物件の供給減少、ロットの大幅に縮小が要因になっていると思われる(実際に東急電鉄では土地分譲が主力の年であった)。

供給が大幅に減少した反面、売れ行きは回復してきており、年間契約率は対前年比9.1ポイント上昇している。 2007年、2008年の対前年比は各▲5.1ポイント、▲7.4ポイントの続落であったが歯止めが掛かり、2006年の63.8%までは戻らないものの、ぎりぎり6割台に乗せている。
6月以降は9月を除いて6割以上の契約率となっており、景気低迷、給与所得の下振れが続く状況下にしては売れ行きは堅調である。グロスの張る物件(プラウドシ-ズンやファインコートなど)も年後半は好調物件が目立っており、明るさが見えてきた。一方パワービルダーは財務の回復と共に物件回転率と価格政策に一層のドライブが掛かってきている。そのため中堅どころのスタンスの取り方が難しくなるのではないかと思われる。

【2009年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 58物件 501棟 103.3% 43.5%
2月 63物件 531棟 84.3% 57.4%
3月 49物件 477棟 75.0% 60.4%
4月 40物件 414棟 89.8% 61.1%
5月 54物件 451棟 88.3% 52.5%
6月 37物件 372棟 58.1% 65.3%
7月 51物件 368棟 61.0% 63.6%
8月 44物件 392棟 85.4% 65.3%
9月 47物件 529棟 93.5% 55.4%
10月 42物件 407棟 67.7% 68.3%
11月 50物件 432棟 72.5% 72.9%
12月 46物件 500棟 66.6% 65.0%
年計 581物件 5,374棟
(月平均447.8棟)
対前年比
77.4%
60.4%
(昨年51.3%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 98.2% 88.4% 94.6%
神奈川県 88.8% 93.1% 96.1%
埼玉県 93.6% 95.2% 98.5%
千葉県 97.3% 97.9% 99.6%
茨城県 102.2% 92.4% 99.9%
首都圏 96.9% 92.6% 96.9%

2008年

【2008年の建売住宅市況】

2008年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は716物件・6,939棟であった。前年・2007年の689物件・7,429棟に対して物件数で3.9%増加する一方、棟数ベースでは6.6%の減少となっている。500棟近い供給棟数の減少という市場の縮小が見られるが、これと並んで注意すべきは、棟数減少下での物件数の増加である。すなわち1物件当たりの供給棟数の減少は小口販売化の進行を示しており、取りも直さず販売状況の悪化を意味している。

建売住宅のここ数年の供給推移は次のとおり。
2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)⇒2008年/716物件・6,939棟(9.7棟/物件)。

2000年以降の供給の内、7,000棟の市場規模を下回ったのは2002年の6,981棟以来の事である。 2002年は”戸建て離れ”が業界紙面で言われた反面、分譲マンションは2000年に次いで史上2番目の供給量と住宅市場全体としては盛況であり、建売り・分譲マンション”共倒れ”の2008年とは供給減少の意味合いが異なっている。1物件当たりの供給棟数も初めて10棟を下回っており、市況の悪化を印象付ける。

市況は2006年12月あたりから悪化し、2007年のサブプライムローンの破綻を経て、建売市場も”浸水状態”に至った事が認識された。9月のリーマンショックによって建売・分譲マンションとも大打撃を受けて2008年を終えた。

2008年は契約率が6割を超えた月次は1回のみと低調であり、年間契約率は2006年:63.8%⇒2007年:58.7%⇒2008年:51.3%と対前年比▲5.1ポイント、▲7.4ポイントと下落幅を拡大して落ちて来ている。ただし、唯一性の高い物件等は高グロス帯でも売れており、他方商品企画や販売戦略の工夫により多少足回りが悪くても売れている物件も有るなど、需要そのものは無くなってはいない。長引く不況は所得の下落を引き起こしており、購入へのハードルは高くなるため、より魅力的な商品づくりが要求される。

新たな大型開発は、細田工務店・コスモスイニシア「TOKYO DECORTE」(各275区画、計550区画)を筆頭に次の様な物件が挙げられる。大和ハウス工業「レイクタウン美環の杜」(132区画、建築条件付宅地含む)、細田工務店「グローイングタウン柏・高柳 ハピリアの森」(160区画)、相鉄不動産「早川城山グランニューヴィレッジ」(288区画)、小田急不動産「リーフィア片平」(112区画)、相鉄不動産・三井不動産レジデンシャル「ル・アージュ横浜鴨居 輝憶の街」(116区画)、コスモスイニシア・東武鉄道「春日部ザ・パークアソシエ」(190区画)、コスモスイニシア「コスモアベニュー蘇我」(123区画)、三井不動産レジデンシャル「ファインコートららシティ」(268区画)、野村不動産「プラウドシーズン千葉ニュータウン中央」(181区画)など。「ファインコートららシティ」は「ららポート」など3つの大型商業施設、その他を含む大規模複合開発の一角を占めるという点で、これまでに無い建売開発である。

【2008年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 52物件 485棟 91.5% 59.6%
2月 67物件 630棟 81.9% 44.9%
3月 65物件 636棟 83.0% 54.2%
4月 52物件 461棟 107.7% 54.4%
5月 56物件 511棟 86.9% 63.6%
6月 64物件 640棟 94.7% 43.4%
7月 63物件 603棟 100.2% 53.7%
8月 46物件 459棟 76.2% 41.6%
9月 59物件 566棟 121.7% 43.8%
10月 60物件 601棟 119.7% 49.3%
11月 64物件 596棟 86.3% 56.5%
12月 68物件 751棟 92.7% 52.3%
年計 716物件 6,939棟
(月平均578.3棟)
対前年比
93.4%
51.3%
(昨年58.7%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 96.0% 97.9% 98.4%
神奈川県 102.5% 103.1% 101.6%
埼玉県 105.0% 94.2% 97.5%
千葉県 99.6% 95.7% 97.9%
茨城県 95.4% 109.2% 100.0%
首都圏 97.1% 98.3% 98.8%

2007年

【2007年の建売住宅市況】

2007年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は689物件・7,429棟であった。前年・2006年の648物件・7,343棟に対して件数で6.3%、棟数で1.2%の増加となっている。棟数ベースでの1.2%(プラス86棟)の増加はほとんど横這いと言って良い状況であり、昨年並みの市場規模で推移した。
2007年は年の半ば以降、改正建築基準法の問題が指摘され、統計数値では建築着工戸数の減少が見られたが、建売住宅はマンションの様に1物件当たりの戸数が多くないため、建売住宅市場の規模縮小を招く様な影響は受けていない。なお狭小3階建を主に手掛ける地場業者の場合、資金力が弱いため建築確認の遅れが事業サイクルに影響し、3階建用地が滞留気味という話は聞かれた。

建売住宅のここ数年の供給推移は次のとおり。
2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)⇒2007年/689物件・7,429棟(10.8棟/物件)。
2005年を除くと2000年以降年間7,200~7,500棟の市場規模で推移している。なお2006年、2007年と1物件当たりの供給棟数が減少を続けており、市況が一層厳しさを増している事が窺われる(物件の小規模化、あるいは小口販売化の進行)。

物件の価格は首都圏平均で前年比3.4ポイント上昇しており、東京都、千葉県で顕著である。神奈川県は前年と変わらないが土地・建物面積が縮小しており、実質的な上昇となっている。ユーザーの予算が付いて来ない物件価格の独り歩きの上昇が売れ行き低下に繋がっていると言えよう。

市況に関しては2006年12月からの悪化を引きずっての厳しいスタートであり、年度末の数字合わせなど契約率の高い月次もいくつか有ったが、年間を通して低調であった。春先あたりには「秋には市況は回復する」という観測が良く聞かれたが回復感は無く、逆にサブプライムローンの破綻の影響もあって、初夏頃までは価格上昇を何とかしのいでいた人気路線・高額物件にも秋以降は明確に影響が出てきており、市況はより一層厳しさを増した感じが有る。年間契約率も前年比▲5.1ポイントの大きな下落となっている。

新たな大型開発を見てみると京浜急行電鉄・京急不動産「京急ニューシティ湘南なぎさの丘」(667区画、他ハウスメーカーにも用地卸し)は別格の規模であり、全体がオール電化という点でも特殊。そのほか都営住宅の再開発で70年定借(底地は東京都所有)の東京工務店「むさしのiタウン 四季の街」(280区画)、小田急電鉄・東急電鉄「天空の丘 AIRY HILLS」(118区画、2006年11月新規供給の捕捉漏れ)、東京建物「ブリリアテラス三鷹の杜」(95区画)、中央グリーン開発「パレットコート七光台10 Winds Avenue」(142区画)、新日鉄都市開発「千城台ウェルウィン ガーデンヴィレッジ」(145区画)、積水ハウス「コモンステージおゆみ野ファーストヒルズ」(124区画)などが挙げられる。街区入口を限定し、内部環境を外部から守る街区構成を取るのに加え、街区入口に監視カメラ付防犯灯を設置するなど安全への配慮に重きを置く物件も出て来ている。

【2007年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 58物件 530棟 112.8% 52.6%
2月 69物件 769棟 132.4% 57.2%
3月 62物件 766棟 168.4% 69.3%
4月 45物件 428棟 64.0% 64.7%
5月 58物件 588棟 101.6% 53.6%
6月 63物件 676棟 96.0% 53.3%
7月 55物件 602棟 98.9% 67.3%
8月 42物件 602棟 112.3% 59.1%
9月 54物件 465棟 79.8% 51.0%
10月 57物件 502棟 60.6% 60.4%
11月 55物件 691棟 101.0% 57.5%
12月 71物件 810棟 125.8% 56.7%
年計 689物件 7,429棟
(月平均619.1棟)
対前年比
101.2%
58.7%
(昨年63.8%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 105.0% 102.2% 102.0%
神奈川県 100.4% 94.8% 98.8%
埼玉県 97.3% 102.7% 99.5%
千葉県 105.7% 101.7% 100.8%
茨城県 91.3% 102.9% 99.0%
首都圏 103.4% 99.2% 99.9%

2006年

【2006年の建売住宅市況】

2006年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は648物件・7,343棟であり、これは過去8年間では最多の供給量であった昨年・2005年の680物件・8,802棟に対して▲16.6%の大幅減少供給となっている(棟数ベース)。それまでの最多供給が7,500棟台であった事からすると2005年の供給が”異常値”というくらいに多かったともいえ、その意味では一昨年以前の”平常値”に戻ったと考えられる。

建売住宅のここ数年の供給推移は次のとおり。
1998年/656物件・6,917棟(10.5棟/物件)⇒1999年/563物件・6,300棟(11.2棟/物件)⇒2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)⇒2006年/648物件・7,343棟(11.3棟/物件)。
1物件当たりの供給棟数は2003年~2005年は約13棟で一定していたが、2006年は11.3棟と減少している。 2003・2004年が580物件弱・7,500棟台の供給水準に対して2006年は650物件弱・7,300棟台であり、物件の小規模化、あるいは小口販売化が進んだと見て取れる。

価格・土地面積・建物面積の平均値は2005年と比較してどれも上回っており、商品特性の向上とそれに伴う価格の上昇が見られた。また地価の上昇も多少の影響を及ぼしていると思われる。平均価格は神奈川県と埼玉県で大きく1割強上昇している。神奈川県では東急田園都市線での東急、コスモスイニシアの供給、野村「横浜中山」「横浜戸塚」などグロスの張った物件供給が増加した事が一因と思われる。埼玉県では好立地物件の増加に加え「ボゥ ヴィラージュ美園」などの高グロス物件の供給が影響していると考えられる。千葉県は価格・土地・建物とも前年と同水準で変化が無かった。茨城県はつくばエクスプレス沿線で大手ハウスメーカーが供給した事から価格は大幅に上昇した。
マンション市場では「新価格」「新・新価格」なる言葉の踊った年であったが、建売市場には未だ波及していない。つくばエクスプレス「流山おおたかの森」駅前の開発物件「ザ・フォレストカーサ」が唯一相当すると思われる(平均価格は第1期1次7,121万円、2次6,330万円)。最高価格がキラリと光る物件は「イトーピアコート上用賀」「ハーモニーデイズ芦花公園」などいくつか見られた。

供給が減少した事から売れ行きは好転し、契約率は2003・2004年の水準(65.3・64.1%)には及ばないものの6割台を回復している。春までは昨年の流れを引きずって低調であったが、5月~11月は7ヶ月続けて6割台半ば~後半で安定的に推移しており、市況の回復が感じられる。

新たな大型開発は2005年程には目立っていない。細田工務店・相互住宅「1000 FOREST成田はなのき台」(1,000区画)の開発団地は別格であるが、そのほかは100~200区画以内に納まる規模である。主なものを挙げると中央住宅「ボゥ ヴィラージュ美園」(172区画)、中央グリーン開発「パレットコート七光台RARK SIDE」(132区画、加えて隣接街区をPARK SIDE 2ndとして41区画開発)、野村不動産「プラウドシーズン府中武蔵野」(97区画)、同「プラウドシーズン横浜戸塚」(100区画)、同「プラウドシーズン横浜中山」(112区画)など。新たな大型開発を”投入”するというよりも、2005年新規開発の大型物件を期分け販売という形で商品化する”産出”の方にむしろ力点が置かれていた。

【2006年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 45物件 470棟 71.4% 57.7%
2月 52物件 581棟 77.3% 67.8%
3月 41物件 455棟 79.4% 56.7%
4月 44物件 669棟 109.9% 59.5%
5月 54物件 579棟 64.2% 68.4%
6月 58物件 704棟 80.7% 68.6%
7月 58物件 609棟 82.5% 64.4%
8月 48物件 536棟 108.5% 63.8%
9月 54物件 583棟 86.1% 66.2%
10月 72物件 829棟 78.4% 64.3%
11月 62物件 684棟 94.0% 67.3%
12月 60物件 644棟 86.8% 57.9%
年計 648物件 7,343棟
(月平均611.9棟)
対前年比
83.4%
63.8%
(昨年59.9%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 105.5% 104.3% 102.3%
神奈川県 111.1% 104.5% 101.9%
埼玉県 112.0% 101.5% 102.6%
千葉県 101.5% 100.1% 99.8%
茨城県 114.2% 97.1% 106.9%
首都圏 105.2% 104.5% 102.6%

2005年

【2005年の建売住宅市況】

2005年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は680物件・8,802棟であり、過去8年間では最多の供給量となった。昨年の2004年もそれまでの過去最多であったが、実際には一昨年の横這いに近かった。これに対して2005年は、2004年に対し104物件・1,271棟と大きな差を付ける形で過去最多となった。

建売住宅のここ数年の供給推移は次のとおり。
1998年/656物件・6,917棟(10.5棟/物件)⇒1999年/563物件・6,300棟(11.2棟/物件)⇒2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)⇒2005年/680物件・8,802 棟(12.9棟/物件)。
上記供給推移に見られるように1999年を除いて7,000棟前後~7,000棟台半ばで推移しており、これまで8,000棟を超えた事は無かった。その意味で約8,800棟という数値は非常に大きいと言える。1物件当たりの供給棟数は2003年~2005年は約13棟で一定しており、これは供給物件そのものが順調に増えた事を意味しており、供給数値を見る限り景気回復基調の下に大幅な供給増に転じたと言える。
月次毎の供給を見ると、対前年同月比では2月・3月・11月を除いて全て前年を上回っている。特に4月・5月・7月の対前年比の伸びが大きく、例年は年度末の3月とゴールデンウィークの5月に挟まれた供給が落ち込む4月も供給が多かった。各月次では5月が902棟、10月が1,057棟と特に多かったが、これまで月次の供給が900棟を上回った事は無く、この点でも過去最多であった。

物件価格(平均価格)を見ると東京都、神奈川県では価格が下げ止まっている。特に東京都では土地・建物は若干狭くなっても利便性の良い立地で販売価格の上乗せを図る傾向があったと推測できよう。茨城県は「つくばエクスプレス」の開通により新駅周辺で都市再生機構卸しの用地にハウスメーカーなどが高額物件を供給しており、大幅な価格上昇が見られた。

一方売れ行き面では供給とは反対に低調であり、年計では6割を切って59.9%の契約率。2003年/65.3%、2004年/64.1%に対して大きく落ちており、各月次の契約率を見ても6割を上回ったのは2・5・6・10・12月の5ヶ月のみであった。初月契約率に拘泥しない青田物件が多いという側面も有るが、全体的に好・不調の格差は大きくなっており、大幅な供給増に伴い売れ行きは厳しさを増した。

2005年は新たな大型開発が目立った年でもあり、供給増の要因であると同時に建売市場の活気を物語る事柄でもある。主なものを挙げると近鉄不動産「ローレルヒルズ手賀の杜」(726区画、全1,650区画)、相鉄不動産「湘南みずきサウザンドビレッジ」(約400区画、全1,000区画予定)、野村不動産「プラウドタウン稲毛」(350区画、全777区画)、住協/住総「時空の庭 グランシア」(364区画)、リクルートコスモス「グランフォーラム宮崎台」(238区画)、同「コスモアベニュー東京ガーデンイースト」(全93区画)、中央グリーン開発「パレットコート七光台Ⅱ」(164区画)など。

商品企画面では「エコウィル」(ガス発電・給湯暖冷房システム)の「ローレルヒルズ手賀の杜」(726区画)での標準採用が大きな動きで、「ヴェルデの杜 柏」(60区画)でも採用された。
京葉ガスだけでなく、これまで燃料電池の開発に軸を置いていた東京電力も2006年1月からはTVCMを実施して販売に乗り出しており、今後採用例が増えるものと思われる。

【2005年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 52物件 658棟 113.4% 55.5%
2月 53物件 752棟 89.4% 60.9%
3月 44物件 573棟 97.9% 54.3%
4月 51物件 609棟 141.3% 58.8%
5月 67物件 902棟 158.2% 64.2%
6月 69物件 872棟 124.4% 60.7%
7月 58物件 738棟 140.6% 56.9%
8月 43物件 494棟 120.5% 44.9%
9月 60物件 677棟 126.8% 55.2%
10月 75物件 1,057棟 129.4% 72.7%
11月 58物件 728棟 88.7% 58.8%
12月 50物件 742棟 103.6% 62.1%
年計 680物件 8,802棟
(月平均733.5棟)
対前年比
116.9%
59.9%
(昨年64.1%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 102.3% 94.9% 98.7%
神奈川県 101.6% 101.2% 100.2%
埼玉県 99.7% 102.6% 99.5%
千葉県 97.9% 104.5% 100.0%
茨城県 142.5% 100.5% 104.7%
首都圏 100.2% 100.5% 99.6%

2004年

【2004年の建売住宅市況】

2004年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は576物件・7,531棟であり、過去7年間で最多の供給量となった。しかし、過去最多とはいうものの前年2003年(579物件・7,508棟)に対し、物件数では横ばい(プラス3物件)、棟数でも横ばい傾向(プラス23棟)にとどまっている。
建築着工統計の伸びが指摘されている中で前年と比べて横ばいとなっているが、当調査の対象外となっている地場業者や大量供給しているものの物件が充分に捕捉されていないパワービルダー系の供給が大きく伸びている事が要因と考えられる。

言い換えると、パワービルダー系を除いた、大手デベロッパーを中心とする事業者の供給は過去数年のレンジで見ると伸びているものの、昨年との比較では横ばいであった。ただし、開発規模の大型化、あるいは販売ロットの拡大化は昨年から続いており、下記の供給推移と比較しても、1物件当たりの供給棟数は多くなっている。

建売住宅のここ数年の供給推移は以下の通り。
1998年/656物件・6,917棟(10.5棟/物件)⇒1999年/563物件・6,300棟(11.2棟/物件)⇒2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)⇒2004年/576物件・7,531棟(13.1棟/物件)。
月次ごとの供給を見ると、対前年同月比では2月・11月・12月を除くと、良くて横ばい、大半は前年を下回っている。一方、秋から年末にかけて、リクルートコスモスをはじめとする大手デベロッパーの動きが活発化しており、年明け以降の供給予定も多く控えている。

パワービルダーの伸長もさる事ながら、新しい動きとして積水ハウスの完全子会社に移行した積和不動産が、春以降「マストステージ」のブランドでパワービルダーに対抗する物件を供給する事を表明しており、市場の活性化が予想される。対する東栄住宅等のパワービルダーも一層のコストダウンを図る意向であり、競合は激しさを増すものと思われる。

年間の売れ行きに関しては弱含みの状況であり、相変わらず厳しい状況が続いている。この影響か、埼玉県・千葉県では物件価格(平均価格)が下げ止まっているが、東京都・神奈川県では下落が続いている。

商品企画面の動きとしては、三井不動産が2月から新商品「ファインコートmono」シリーズを投入したことや、兼六土地建物/兼六ホームの「グレードセレクト3」の採用が挙げられる。また、秋から年末にかけてはオール電化に対抗する省エネシステムとしてガス発電・給湯冷暖房システム「エコウィル」の採用物件が登場しており、大手デベロッパーとは別の付加価値を模索する動きも見られる。

【2004年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 45物件 580棟 104.1% 56.2%
2月 59物件 841棟 124.6% 76.0%
3月 38物件 585棟 101.7% 62.9%
4月 38物件 431棟 71.6% 67.5%
5月 45物件 570棟 95.2% 68.4%
6月 50物件 701棟 92.8% 67.0%
7月 45物件 525棟 77.1% 61.1%
8月 35物件 410棟 76.2% 67.3%
9月 45物件 534棟 96.4% 56.2%
10月 58物件 817棟 101.2% 63.2%
11月 68物件 821棟 123.6% 59.9%
12月 50物件 716棟 142.9% 61.6%
年計 576物件 7,531棟
(月平均627.6棟)
対前年比
100.3%
64.1%
(昨年65.3%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 97.2% 104.3% 101.1%
神奈川県 97.7% 98.5% 98.4%
埼玉県 100.5% 99.5% 100.0%
千葉県 100.5% 99.2% 100.2%
茨城県 89.6% 84.0% 91.6%
首都圏 114.0% 109.2% 102.9%

2003年

【2003年の建売住宅市況】

2003年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は579物件・7,508棟であり、過去6年間では最多の供給量となった。前年2002年(603物件・6,981棟)に対し、物件数で▲4.0%減少したにもかかわらず、棟数では7.5%の増加となっている。
明確な供給増加の傾向が見られると同時に、物件数の減少からは開発規模の大型化、あるいは販売ロットの拡大化という現象が見えて来る。下に示したここ数年間の供給推移と比較して見ても1物件当たりの供給棟数は多くなっている。また、小分けの期分け販売というものも少なくなった印象がある。

建売住宅のここ数年の供給推移は次のとおり。
1998年/656物件・6,917棟(10.5棟/物件)⇒1999年/563物件・6,300棟(11.2棟/物件)⇒2000年/610物件・7,370棟(12.1棟/物件)⇒2001年/592物件・7,207棟(12.2棟/物件)⇒2002年/603物件・6,981棟(11.6棟/物件)⇒2003年/579物件・7,508棟(13.0棟/物件)。

土地・建物面積、価格の水準を見ると、3要素とも若干の縮小・下落傾向を示しており、これは2年連続しての動きである。価格は対前年比96.9%⇒96.7%と推移しており、明確な下落傾向が続いている。神奈川県・茨城県は下げ止まった感じもあるが、昨年の下落幅が大きかった事(神奈川県は1割下落)による調整であり、下げ止まりとはいえない。

売れ行きはやや回復しているが1999年/74.1%⇒2000年/68.9%⇒2001年/61.1%⇒2002年/62.1%⇒2003年/65.3%という動きからは本格的な復調とは言い難い。各月次の契約率も大型好調物件によって底上げを図っている例が多く、総じての回復感というよりも優勝劣敗の傾向が強いのが実際のところである。とは言え供給増かつ売れ行き上昇という点では明るさが見えて来たといえよう。

具体的には、大手マンションデベのリクルートコスモスが本格的な供給(「コスモ・ザ・パークス清瀬の森」全104区画、など)に踏み込んだのが2003年であり、ゼファーの参入もあった(「ゼファー津田沼マークプレイスガーデン」全130区画)。また、建売団地の「早川城山」「み春野 翼の丘」「フランサ」等は引き続き好調な売れ行きを示しており、単発の中・大型物件「ルア・ジーランド流山」「フェアグローヴ武蔵野の森」「パレットコート船橋」(モデル2棟のみの青田で80区画を69日間で売り切る)などは非常に勢いがあった。さらに、都市部の人気路線での大型開発「ジェネヒルあざみ野」(443区画)と「さくらが丘アイザック日吉」(346区画)は大量集客しており、2004年も継続供給されるため注目度は高い。

【2003年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 53物件 557棟 112.3% 63.4%
2月 59物件 675棟 87.0% 74.2%
3月 53物件 575棟 123.1% 70.1%
4月 46物件 602棟 101.7% 63.3%
5月 46物件 599棟 126.4% 59.8%
6月 49物件 755棟 109.7% 63.6%
7月 48物件 681棟 142.5% 65.2%
8月 39物件 538棟 96.9% 58.2%
9月 45物件 554棟 90.5% 61.2%
10月 53物件 807棟 107.3% 68.3%
11月 56物件 664棟 87.9% 58.9%
12月 32物件 501棟 149.1% 77.0%
年計 579物件 7,508棟
(月平均625.7棟)
対前年比
107.5%
65.3%
(昨年62.1%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 95.1% 102.0% 99.4%
神奈川県 100.2% 94.5% 98.0%
埼玉県 95.9% 100.1% 97.6%
千葉県 92.7% 98.2% 97.4%
茨城県 101.5% 129.2% 106.1%
首都圏 96.7% 98.5% 98.1%

2002年

【2002年の建売住宅市況】

2002年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は603物件・6,981棟であった。前年2001年(592物件・7,207棟)に対し、物件数で1.6%の微増、棟数では▲3.1%の若干の減少となった。
この1年間、業界では戸建て離れが指摘されてきた。建売棟数が若干の減少にとどまっているとはいえ、2002年のマンション市場が史上2番目の供給量だった事を考えると、否定はできない。

建売住宅のここ数年の供給推移は次のとおり。
1998年/656物件・6,917棟⇒1999年/563物件・6,300棟⇒2000年/610物件・7,370棟⇒2001年/592物件・7,207棟⇒2002年/603物件・6,981棟。
※マンション市場は物件の捕捉率がかなり高いため建売市場の数値と直接比較することはできないが、首都圏の集計では2000年/102,752戸⇒2001年/96,861戸⇒2002年/99,168戸の推移。

価格、土地・建物面積の対前年比を見ると、首都圏全体では土地・建物の水準は変化なく、価格が若干の下落傾向を示している。東京都では3要素全てが圧縮傾向、神奈川県では高額エリア以外の物件供給の増加が見て取れる。サンプル数の少ない茨城県は別にして、千葉県は価格下落が顕著である。

売れ行きに関しては厳しい状況が続いており、年間平均契約率は62.1%と6割を何とか保っている。1999年/74.1%⇒2000年/68.9%⇒2001年/61.1%⇒2002年/62.1%と昨年以降市場が急速に冷えており、上述した戸建て離れとは供給棟数よりもむしろ売れ行きを表わしていると言えよう。

戸建て離れが指摘される一方で、優れた商品企画を採用した物件の登場や好調を持続している物件も見られる。
注目に値する物件としては、テーマ性に富んだ間取りが出色で低グロス・広面積の『フランサ』、商品企画・価格ともハイレベルな『千都の杜』(野村不動産、730区画)、一般デベでは実現は難しい天然温泉付き共用施設のある『ルア ジーランド 流山』、これも一般デベでは難しいと思われる5年間無償で貸りられる宅地とほぼ同面積のフリーコート付き物件『KIRARA NO KUNI 第5期 コンベンションフィールド』、フットパス・エントランスガーデン等の共用施設を持ち、資産として共有管理する街区を持つ『あすみが丘東』など。そのほか単発物件としては圧倒的な売れ行きを示した『グレースタイムズ高幡不動 水彩の街』(53棟)、依然好調な建売団地『早川城山』『パークシティ湘南山手』『み春野 翼の丘』など。

【2002年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 53物件 557棟 112.3% 63.4%
2月 59物件 675棟 87.0% 74.2%
3月 53物件 575棟 123.1% 70.1%
4月 46物件 602棟 101.7% 63.3%
5月 46物件 599棟 126.4% 59.8%
6月 49物件 755棟 109.7% 63.6%
7月 48物件 681棟 142.5% 65.2%
8月 39物件 538棟 96.9% 58.2%
9月 45物件 554棟 90.5% 61.2%
10月 53物件 807棟 107.3% 68.3%
11月 56物件 664棟 87.9% 58.9%
12月 32物件 501棟 149.1% 77.0%
年計 579物件 7,508棟
(月平均625.7棟)
対前年比
107.5%
65.3%
(昨年62.1%)

 

【平均価格・土地・建物の都県別対前年比】

都県名 価格比 土地面積比 建物面積比
東京都 95.1% 102.0% 99.4%
神奈川県 100.2% 94.5% 98.0%
埼玉県 95.9% 100.1% 97.6%
千葉県 92.7% 98.2% 97.4%
茨城県 101.5% 129.2% 106.1%
首都圏 96.7% 98.5% 98.1%

2001年

【2001年の建売住宅市況】

2001年の1年間に首都圏で発売された建売住宅は592物件・7,207棟であった。前年2000年(610物件・7,370棟)に対し、物件数で▲3.0%、棟数で▲2.2%と若干の減少となった。湾岸エリアに限らず、前年よりも更に大規模物件の開発トレンドが強まった分譲マンション市場に押されて、建売住宅の供給は非常に抑制された印象があったが、減少幅は意外と小さかった。

建売住宅のここ数年の供給推移は次のとおり。
1998年/656物件・6,917棟⇒1999年/563物件・6,300棟⇒2000年/610物件・7,370棟⇒2001年/592物件・7,207棟。
物件当たりの供給棟数を見ると、10.5棟⇒11.2棟⇒12.1棟⇒12.2棟と増加傾向が見られる。これは①物件規模の拡大、②細かい期分け販売の減少、が理由として考えられる。
8月・12月を除くと月次ごとの供給棟数が比較的平準化した反面、供給の盛り上がりが全く見られなかった秋(9月~11月)は、2001年の市況を象徴していた。

デフレ基調の影響により、平均価格は5,299万円⇒4,817万円(▲9.1%)、平均土地面積は150.86㎡⇒141.91㎡(▲5.9%)、平均建物面積は111.14㎡⇒107.75㎡(▲3.1%)と、前年に比べて下落・圧縮傾向となった。
価格に関しては、東京都6,062万円⇒5,663万円(▲6.6%)、神奈川県6,486万円⇒5,722万円(▲11.8%)、埼玉県4,239万円⇒3,746万円(▲11.6%)の下落が大きい。

売れ行きに関しては、厳しさがより増した1年であり、特に夏~秋が厳しかった。月間平均契約率が5割台に落ちた月が5ヶ月に達しており(3・7・8・10・11月)、年間平均契約率は61.1%と何とか6割台で踏みとどまった。
なお、前年2000年を振り返ると、月間平均契約率が5割台に落ちたのは12月の1ヶ月のみ、逆に7割以上の月は4ヶ月、年間平均契約率は68.6%と対照的な結果であった。

しかし、市況の厳しさは2001年に入っていきなり出現したものではない。年間平均契約率は1999年/74.1%⇒2000年/68.6%(対前年比▲5.5ポイント)⇒2001年/61.1%(対前年比▲7.5ポイント)と、下落基調が続いている。未だ不良債権処理も片付かない不況下にあって、1999年~2000年はこれまでのストックと低金利によって住宅購入意欲を喚起してきたが、2001年に入ると「決断できない」層が増えた状況が数値に表れている。2002年の回復を期待したい。

【2001年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 48物件 514棟 85.7% 64.8%
2月 66物件 778棟 95.0% 67.2%
3月 45物件 589棟 166.4% 57.9%
4月 46物件 702棟 132.0% 62.1%
5月 52物件 684棟 125.0% 61.7%
6月 48物件 612棟 81.9% 61.8%
7月 56物件 633棟 117.7% 53.4%
8月 32物件 326棟 74.6% 55.5%
9月 56物件 625棟 99.0% 63.8%
10月 59物件 769棟 82.1% 59.4%
11月 57物件 622棟 70.5% 55.5%
12月 27物件 353棟 102.0% 70.5%
年計 592物件 7,207棟
(月平均600.6棟)
対前年比
97.8%
61.1%
(昨年68.6%)

2000年

【2000年の建売住宅市況】

2000年の1年間に首都圏で販売された建売住宅は610件・7,370棟であった。大量供給・大規模物件投入のマンション市場の陰に隠れた事、売れ行きも全般に厳しかった事から建売り市場が活況を呈したという印象はないものの、前年・1999年(563件・6,300棟)に対し、物件数で8.7%、棟数で17.0%の大幅供給増となった。一昨年・1998年(656件・6,917棟)と比較しても棟数ベースで6.5%多い供給量だった。
供給は増えたものの、昨年のようなストーリー性が無かったのも2000年の市場の特徴。すなわち昨年は景気回復の打開策として策定された住宅ローン減税と低金利政策にもかかわらず、前年後半以降の仕入れの手控えから市場が対応できず前半は低調な供給にとどまり、秋から供給は増加に転じたものの公団主導の大型供給に下支えられての数値というもの。
2000年は昨年と比べて供給に対する慎重姿勢は薄れたといえる。供給増をもたらした背景には、建売り団地のようなスパンではなく比較的短期間で売り切る40~50区画クラスから90区画前後までの中規模から大規模物件の供給が多かった事がある。
主だった物件では「ファインコート武蔵野シーズンズコート」(58区画)、「サンクタス横濱 三ッ沢公園」(88区画)、「E‐TOWN 高南台」(43区画)、「Eco Town 陽だまりの杜」(91区画)、「プライムヒルズたまプラーザ」(43区画)、「アークアベニュー松ヶ丘」(46区画)、「エクセルアベニュー武蔵野 東大和」(83区画)などが挙げられる。このほか、「いには野」「N-CITY」「み春野」など団地系の分譲が供給数を押し上げている。

面積・価格に関しては昨年に比べて低下しており、販売環境には厳しさが感じられる。全体平均では土地156.60㎡→150.86㎡、建物112.57㎡→111.14㎡、価格5,359万円→5,299万円。東京都では6,330万円→6,062万円に下落しているが、全体の値下げ傾向に加え都下への供給シフトが影響していると考えられる。

しかし、契約率は年間平均68.9%と前年(74.1%)を▲5.2ポイント下回っており、特に夏以降は低調に推移しており、供給増にも係わらず、市場の印象の薄さをもたらしているといえる。マンション市場のような話題性のある物件が出にくいという点も要因と思われる。

新しい動きとしてはオール電化住宅、住宅性能評価への取り組みが挙げられる。今後定着するか否か興味深い。

【2000年の建売住宅月別供給推移】

月次 物件数 供給件数 対前年同月比 契約率
1月 60物件 600棟 117.0% 63.0%
2月 70物件 819棟 113.4% 75.3%
3月 29物件 354棟 98.1% 68.1%
4月 40物件 532棟 197.8% 74.2%
5月 42物件 547棟 97.2% 81.2%
6月 58物件 747棟 154.3% 73.4%
7月 53物件 538棟 119.0% 69.3%
8月 31物件 437棟 130.1% 67.3%
9月 55物件 631棟 83.5% 67.4%
10月 73物件 937棟 119.2% 66.0%
11月 73物件 882棟 110.5% 66.3%
12月 26物件 346棟 94.0% 58.1%
年計 610物件 7,370棟
(月平均614.2棟)
対前年比
117.0%
68.6%
(昨年74.1%)
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