
異なる不動産事情。
生の情報をいかに
収集できるかがカギ。
人と仕事
2019年入社
大学院・観光科学専攻修了
大学院の先生が統計の専門家で、私も統計を使う仕事がしたいと考え、調査会社やコンサルティング会社を訪問していました。
この会社では、現場で働く調査員が面接官になります。私の面接官が今の上司で、「統計なら、こんな仕事に活用できる」という話を詳しくしてくれて、自分が仕事をする姿をくっきりと想像することができました。特に不動産の分野では海外調査も増えていると聞き、日本語、英語、中国語の語学力も活かせると考えました。
私の部署では、日本の不動産会社の海外プロジェクトを成功に導くための調査を行っています。私は、英語あるいは中国語で交渉ができる国や地域を担当。これまでアメリカとオーストラリアでのプロジェクトに参加しました。
私の役割は、大きく2つ。基本的なデータ収集・分析と、インタビューおよび通訳です。まず、企業が進出しようとする都市の歴史、人口、産業、そして経済指標などを収集し、今後の発展を推察します。それを上司に報告、検討し、追加調査すべき点をピックアップ。その上で現地のエージェントと共にインタビューを行い、生の情報を集めて、レポートにまとめます。
データ収集・分析では分からなかったことがわかるようになる、とても刺激的で楽しい仕事です。
昨日はオーストラリア、今日はアメリカ、明日はインドネシア、ベトナム、タイ。次々と新しい都市を調べるので、飽きる暇もありません。
調査の仕事は、まだ誰も知らない新しいことを発見することでもあります。好奇心のある人には、こんなに面白い仕事はないと思います。
もし海外プロジェクトに携わりたいのなら、語学力は必須です。おそらく、語学力の先にあるコミュニケーション力のほうが重要だと思いますが。
当社には中国人の他にベトナム人もいて、少しずつですが確実に国際化が進んでいます。グローバルな仕事がしたい人にも、チャンスのある会社だと思います。
上下の関係がフラットで、誰もが平等に話をしてくれます。
私は大学3年生のときに交換留学で日本へ来て、日本語と日本文化をずっと学んできましたが、日本語はまだ不十分な面があります。入社直後は言いたいことがうまく言えず困りましたが、「ゆっくり話せばいいよ」と励まされて、少しずつ自信がついてきました。優しさのある会社です。
調査の入口から出口まで、すべて一人でやることが目標です。今はまだ補助的な業務が中心ですが、実際に海外の不動産事情を直接経験し、プロジェクト全体を動かすことになれば、もっと大きな手応えがあるだろうと思います。
オーストラリアの住宅事情について、現地の不動産エージェントに初めて遠隔インタビューすることになったX.H。上司と相談して候補先をリストアップし、まずはメールでのお願いを送ったものの、大半は「ノー」の返事。いざ質問内容を送ると「そうした物件の扱いはない」と言われるなど、交渉は難航した。
「国によって不動産の流通形態は違いますし、ビジネススタイルも異なります。スケジュールを合わせるだけでもひと苦労でした」
悪戦苦闘しながらも、X.Hは粘り強く交渉を進めていった。
パソコンの画面越しに話してくれるのは、オーストラリアに渡って不動産ビジネスを始めた中国人社長と、オーストラリア人のマネージャーたち。英語をベースに、ときおり中国語が混ざり、さらにX.Hは横にいる上司に日本語での通訳を挟み込む。
「何を聞くべきか、事前に上司と何度も確認していましたが、やはり本番は緊張しました。いろいろな言葉が飛び交うので、脳が疲れましたね(笑)」
1時間ほどのインタビューは、気づけばあっという間に終了していた。
上司のねぎらいの言葉に、X.Hはホッとした。
「事前調査は念入りにしていたものの、やはり現場の話は説得力が違います。反省もあるけれど、クライアントである日本のデベロッパーにも納得してもらえるデータを集められたと思います」
海外での不動産開発プロジェクトは、感染症の影響を受けている。だからこそ事前調査の重要性は増しており、「社員を現地に送れないから代わりに調べてほしい」という依頼も少なくない。
「私も早く世界中を駆け回って、現地の情報を集めたい。その日が来るまで、しっかり基礎トレーニングを積み重ねます」